Controversial Spark
鈴木慶一率いる渋カラフルなギターポップバンド
午後5時が過ぎて、昼間の暑さも少しクールダウン。空高くトンボたちが舞うジプシー・アヴァロンで、鈴木慶一が2013年に新しく結成したバンド、コントロバーシャル・スパークの出番を待つ。メンバー自らサウンドチェックをする中、寝そべる人あり、腹ごしらえする人ありと、観客はみな腰を下ろしてくつろいでいる。徐々に人が増えていく。
ムーンライダーズの鈴木慶一が新しいバンドを始めたと聞いて、今度はどんな音楽をやるのだろう、と思った人も多くいたに違いない。しかも、メンバーはギター&ボーカルに元ザ・ルームス のkonore、ギターに栗コーダーカルテットの近藤研二、ドラムスには元カーネーションの矢部浩志、ベースはジ・ユレイナスの岩崎なおみという、それぞれ自分のバンドを持ち活動してきたミュージシャンが揃っている。全員が曲を書けるという5人の個性が混ぜ合わさってできたのは、ねじれたセンスがたまらないポストニューウェーブなギターポップだった。
サウンドチェックの後に鈴木慶一が「こんにちは、コントロバーシャル・スパークです」と挨拶し、そのままなんともナチュラルな流れでステージが始まった。1曲目は今年1月にリリースされた『Controversial Music Spark』から“in June”。Konoreのハイトーンなボーカルに岩崎がハーモニーを重ね、近藤の弾くギターメロが印象的なギターポップに、すっと引き込まれていく。なんだろう、この感じ。ステージ上の4人(この日ドラムスの矢部は欠席だった)を見ていると、わざわざ主張しているわけではないのに、ただならぬ音への想いが伝わってくる。そうか、これほどまでに年齢も経歴も違うこのミュージシャンたちをつなげているのは、その秘めた情熱なのだ。飾らない姿で次々とハイセンスな曲を紡ぎ出していくバンドを見て、そう納得した。
メンバーそれぞれが書いた曲を演奏していき、最後に一曲のみを残すというところで、11月にアルバムをリリースする予定であるという嬉しいニュースが発表になった。観客がゆったりと聴き入る中で演奏されたラストソングは新曲の“Controversial Short Stories”。声の相性が気持ちいい女性陣のコーラスに鈴木慶一が掛け合う。と、そこでゲストとして、バイオリンを持ったムーンライダーズの武川雅寛、リンダちゃん名義で上野洋子が登場した。彼らが演奏し始めた途端、世界観が変わったのには驚いた。一転、ステージはエクスペリメンタルなセッションの場と化し、まるで異世界を覗き込んでいるような不思議な空間を醸し出している。その緊迫感にしばらく圧倒されていると、最後に「どうもありがとう」という鈴木慶一の一言でふっと現実に引き戻された。最後にすごいインパクトを与えといて、どこまでもナチュラルな佇まい。面白い。これからどんな音楽を送り出してくれるのか楽しみになった。
posted on 2014.7.25 17:15
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