contact
home

7/25 FRIORANGE COURT

大友良英スペシャルビッグバンド・フェスティバルFUKUSHIMA!オールスターズ大盆踊り大会

盆踊りにルールなんかありません

「大盆踊り大会をフジロックで!」という大友良英の意図は、プロジェクトFUKISHIMAで共有されている”気持ち”をロックフェスティバルという、比較的若い世代が集まる場所でプレゼンテーションすることなのではないか?と全編見終わって感じた。

サウンドチェックの時点で、この大所帯でリハをする機会がなかったために、”あまちゃん音頭”をサクッと演奏したのだが、音頭にアレンジされているとはいえ、あのメロディが鳴り響いたときほどみんなの歓喜がブワッと沸き起こる瞬間はなかった。改めて、去年1年を通じて「あまちゃん」が震災後の一歩の踏み出し方を見出させてくれたり、ある種後押しされてたのだと思う。その共感が久しぶりに出現した瞬間だった。

一旦、メンバーがはけて、再び登場。色とりどりの浴衣に身を包んだメンバーが1曲目に鳴らしたのは、やはり”あまちゃん音頭”。音頭のリズムに合わせて手拍子が起こり、このアレンジのエンディングは?というと、オリジナル以上にカオティックな様相を見せる、大友良英とその仲間ならではの展開に。珍しいキノコ舞踊団の面々が、その場でできる盆踊りの振り付けを披露してくれるのも楽しい。そうなのだ。ステージが中央にない限り、人間やはりステージを見てしまうもので、盆踊りのように輪になることはなかなか難しい。ま、それもあるけれど、演奏やステージ上で起こっていることから目が離せないというのも理由のひとつだろう。

続けてオリジナルの”隅田川音頭”、そしてゲストボーカルに阿部芙蓉美を迎えての”相馬盆唄”。アンニュイと土着と、アレンジによっては洒脱という、音楽的にも感覚的にも多彩な要素が盛り込まれた、この個性的な楽団の中でも特にユニークな演奏だった。大友曰く、クラフトワークの「Radio Activity」とコード進行がたまたま一緒という話もフジロッカーズには刺さっていたし、同時に笑いも誘っていた。そして、これもオリジナルがおなじみの”地元に帰ろう”の音頭バージョン!ゲストボーカルには二階堂和美を迎えて、しっかり地に足の着いたしなやかな歌声が場を牽引。この曲はエンディングがサンバ風に展開して大盛り上がりだった。祭りに国境も理屈もない。

大団円は”ええじゃないか音頭”。この曲では、輪になって踊ることはなかったものの、隣り合わせた人同士、手をつないで前へ後へ波のようなアクションが起こり、スタイルこそ違うが盆踊りのグルーヴが発生したことに、ああ、ここまでただ見ていたわけじゃないんだな、形は決まってないし、どこかの現実の地方の盆踊りを踊っているわけじゃないだけに、今ここで”それ”を模索していたんだと気づいた。

ルールはなかった。そこに大友良英というミュージシャンの軸を見た思いがする。ノイズをやろうが盆踊りをやろうが、ともにいる人に作用して何かを立ち上がらせる、その装置としての大友良英、そして仲間のミュージシャンの存在感を思い知った。

SAME CATEGORY

page top