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7/26 SATORANGE COURT

JAKE SHIMABUKURO

3度目のフジロックで魅せた最高級の演奏

夜の帳が落ちて、気温が下がり過ごしやすくなってきた18時帯。オレンジ・コートへ向かおうとすると、ホワイト・ステージからフィールド・オブ・ヘブンへ向かう道で大渋滞が発生していて、かなり焦る。できる限りの早足で人波を切り抜け、何とか時間内にオレンジ・コートの入り口に到着。ホッとして会場を見渡すと、驚いた。

オレンジ・コート全体を“キレイ”に埋め尽くす、すごい数の観客だ。前方にはスタンディングで楽しみたいという全体の4分の1ほどの人が詰めかけ、1歩下がったところから、残りの4分の3の人がズラリと並ぶ広大な“着席”ゾーンとなっていた。壮観な眺めだ。

しかも、皆すでに場所取りを終え、詰めすぎず広がりすぎず、余裕を持ってライブ開始を待っている。それぞれがどのようにこれから始まるライブを楽しもうとしているのか、その場所を見れば一目瞭然だ。家族とワイワイしながら楽しもうとする人、カップルでロマンチックに過ごそうとする人、疲れたのでヒーリング・ミュージックとして寝ながら聴こう(?)とする人。比較的カオスになりがちなオレンジ・コートで、クラシック・コンサート会場のように大量の席がキレイに並んでいるのを観たのは筆者は初めてだった。その時点で、どれだけの人がハワイから来た“ウクレレを持った渡り鳥”のライブを楽しみにしているのかが、手に取るように分かった。

そうこうしていると、このステージの主役、ジェイク・シマブクロがウクレレを持って登場。大歓声とともに、そのときだけは後方の観客も立ってお出迎えしていた。ハワイ・ホノルルでの友人というベーシスト、ディーン・ダバも愛くるしい笑顔で一緒に登場すると、早速“Trapped”を2人で丁寧に弾き始める。なんて優しいサウンドなのだろう。“Me and Shirley T.”では、キレのあるジェイクの奏法に、6弦ベースを持ったディーンも凄テクで応酬する。まだ2曲目だ。速くて複雑な奏法でも、音の清涼感はまったく損なわれていない。ウクレレの音は澄んでいてどこまでも遠くに届きそうだ。猛暑の日中から解放された観客は爽やかなウクレレの音色に耳を傾けながら、表情まで穏やかにリラックスしていた。

「アロハ〜!楽しんでますか?」と1発目のMC。ジェイクはフジロックに過去2回出演しているが、どちらも残念ながら雨。「フジロックにまた出れて嬉しい。今日は快晴でハワイのようだ」と待ち望んだ晴れの日の嬉しさにはにかみながら“143”を弾き始める。後半へ進むに従い、演奏が熱を帯びていく。“Ukulele Five-0”では狭い指板の上を走り回る見事な指使いを見せ、ディーンもそれに柔軟に対応していく。曲が終わると2人はハグし、ステージはジェイク1人に。

「僕は日本が好きで、カルチャーも食べ物も好き。日本の食べ物は一番おいしい」というジェイク。「次の曲は“Sakura”です。皆さんに捧げます」と日本へのリスペクトを込めて演奏した。まるで、しだれ桜、散りゆく桜を表現するように一段と激しい指使いを見せる。時の流れの非情さと儚さを噛み締めるように、ウクレレのボディを叩く。すると、今日一番の大きな拍手が起きた。小さな楽器を1つ持って立つだけのその姿は、神々しさすらあった。

瑞々しさを200%増量したザ・ビートルズのカヴァー“In My Life”、フラメンコのように情熱的な凄テクを連発した“Let’s Dance”を続けて披露。次の“Dragon”では、ボクサーのようにウクレレを低く構えて、戦うように弾くジェイク。壁があっても常に前進していく彼を体現しているようでシビれた。この曲でも終始使われたタッピングが凄まじい。ウクレレの可能性を高度な奏法で開花させていく手腕に脱帽する。スライド、ハーモニクス、チョーキング、最後でまたタッピングでシメ。ウクレレでエレキ・ギターのように少し歪ませたサウンドも飛び出したのでちょっとビックリもした。

そして、「1番大好きなロックの曲」というQueenの“Bohemian Rhapsody”を演奏。美しい旋律に途中からベースのディーンも加わり、大いに盛り上がった。続けざまに、穏やかな“Five Dollar Unleaded”、グルーヴ感溢れる“Third Stream”を弾き切り、「ウクレレはMy Passion」とMC。その想いが十分に伝わるライブだ。「次は一番好きなジョージ・ハリスンの曲、ザ・ビートルズの“While My Guitar Gently Weeps”です。皆さんよろしくお願いシマブクロ!」と観客に笑いを起こしながらも、想いを込めて情熱的にプレイ。ウクレレの狭い指板の上で美しいチョーキングをキメて、胸に迫る“泣き”を聴かせる。ディーンもまるでベースが“歌っている”ような素晴らしい演奏を見せた。「今日は本当にありがとうございます」 満足したかのようにジェイクの笑顔も晴れやかだ。

「ハワイに来てください!」と最後にもう1曲追加したのは、“Hallelujah”。柔らかな音色で静かな光さえも表現し、そのウクレレは鳴り止んだ。「ありがとうございました。よろしくお願いシマブクロ!」 ライブを通して英語に日本語を織り交ぜ、分かりやすく話そうとしたジェイク。そんな人柄の良さが音にも出ている彼に、フジロッカーたちは癒され、また惚れ直してしまったに違いない。最後まで爽やかな笑いを提供してくれた彼に、3度目の夏はご褒美をくれたのかもしれない。

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