BEGIN
世界をつなぐ、沖縄のそして日本の宝
日本屈指のブルースバンドであり、また沖縄の島唄をベースとしたポップスを聞かせてくれるバンド。そう言えば誰もがピンとくるであろうビギンがフジロックに10年ぶりに登場。ポピュラーバンドに対する「一度は見てみたい」を実現してくれるのがフェスティバルだ。残念ながら雨脚が結構強くなっているけれどグリーンステージには多くの人が待っている。「ハイサイ!」の挨拶で現れた彼らは、いつも見るいつものままの姿で、それを見るだけでなんだかほっこりしてしまった。
“国道508号線”でスタートし、初見の人が多いであろうオーディエンスを軽快なリズムで温める。すると楽しげな雰囲気を察知した人たちがステージ前に押し寄せる。
「改めましてビギンです。よろしくお願いします。10年ぶりのフジロックですが相変わらずのメンバーでやってます。」独特のリズムを持った穏やかな口調のゆるいMCは、たちまちここを彼らのホームのようにしてしまうから不思議だ。「食べ物の歌が一番好きなのネ」と言ってサーターアンダギーのことを歌った“砂糖てんぷら”やラテン調の果てしなく明るい“シュハスコ”などを披露すると、おいしいものを食べた後のような幸せなムードが立ち込める。続いて「島唄やるか」と語りかけるように言うと待ってましたと歓声が上がった。陽気な三線の音色が弾んであの独特の「イーヤーサーサー」が聞こえると沖縄県民でもないのに懐かしい気持ちになって自然と踊り出したくなってしまうのはなんでなんだろう。名曲“島人ぬ宝”ではどこからともなく合唱が起こっていた。
アッパーな曲やりますと言って始まった“かりゆしの夜”。「めでたい夜」という意味だと言うこの曲を幸せな祭りがやがて終わることをまだ受け入れたくないフジロッカーたちに贈ってくれた。曲の終盤のカチャーシータイムは大盛り上がり。まだまだ祭りは終わらない!と森の中に現れた巨大な沖縄民謡酒場で思い思いに踊るのだった。
そしてラスト。現地でライブを行うなどハワイと繋がりが強い彼ら。東日本大震災による津波で流された郵便ポストが、ハワイを経由して二年後に沖縄に流れ着いたというエピソードを話してくれた。ゆるやかに紡がれる絆。それを証明するために、ゲストのフラダンサーと共に“涙そうそう”を演奏してくれるという。一五一会のアコースティックな音色、比嘉の柔らかだけど力のある歌声、伸びやかで目覚ましいほどに美しいフラダンスが融合したステージに、涙を拭う人々の姿も多く見られた。それはここに今世界で一番優しい時間が流れていると思ってしまうほどに感動的で、見るもの全ての魂に響くものだった。
posted on 2014.7.27 12:30
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