憂歌団
ステージの奥の「憂」の幕が、赤提灯に見える。
最終日19時台、若大将が去り、オレンジコートはすでに祭りの後のような静けさが漂っていた。日も落ち、今年のフジロックも踊り納めの時間が刻々と迫る中、フレーミング・リップスにも、スカタライツにも、バーバレラス・バン・バンにも行かない、いい歳の大人たちがすっかりオレンジコートに根を下ろし、飯を食らい、酒を煽りながらその時を待っている。
彼らが登場し、待ってましたと歓迎の拍手喝采が起こる。それもそのはず、まだ苗場に移る前のフジロックが2年目の開催の年に、憂歌団は活動休止を宣言しており、FUJI BLUES PROJECTや団でメンバー個々の出演はあったが、昨年15年ぶりの再始動。2012年にオリジナルメンバーの一人が他界するという悲しみを乗り越え、満を持してのフジロック初登場が今であり、ファンにとっては喜びもひとしおなのだ。
ジャズのスタンダードとしても知られている”サマータイム”が始まると、ブルーズギターの音色が冴え渡り、たちまち歓声があがる。続く”Midnight Drinker”では手拍子が起こり、既に会場は暗がりだが、お客さんは思い思いに口ずさみ、まさに「上機嫌」な表情になってることは見なくてもわかるくらい、とてつもない幸せに満ちた空間と化している。
木村充揮の激渋にもしゃがれた声。名手、内田勘太郎によるスライド・ギターによるブルージーな空間に、五臓六腑は刺激され、アルコールのおかわりでお店とステージを行ったり来たりするお客さんが後を立たない。”おそうじオバチャン”、”10$の恋”など、ベスト・ソングを中心にライブは進行した。終始静かな空間なので、お隣ヘブンからスカタライツの裏打ちリズムの音が漏れてきて、間を取れずにいる木村氏は「じゃかしいわ〜」とか「アホ」だとか「ボケ」とか連発しまくり。曲前に余裕で煙草に火をつけようとするし、お酒が足りなくなれば「もう1杯ください」とステージからオーダーするし(笑)。なんだか凄いけど、このキャラクターが憎めず、ニヤニヤとほくそ笑む人が続出している。
音と酒に酔いしれたわずか1時間ほどのステージだったが、ライブが終わっても拍手が鳴り止まず、アンコールには”胸が痛い”、”嫌んなった”を披露。すると会場をますます酩酊の境地へと誘い込んでいた。
posted on 2014.7.27 21:00
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