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7/27 SUNPYRAMID GARDEN

Rickie-G

奇跡の理由

夜と小雨。下がる気温で少し肌寒いピラミッド・ガーデン。ぽつぽつと観客が集まる。まださほど多くは無い。このあと登場するRickie-Gには悪いが好条件とは言えないだろう。この寒さの中でレゲエ。勝手なことを言って申し訳ないが出来れば暑い時間帯に聴いて暑さを吹き飛ばしたい音楽だ。どんな展開になるか想像できない。ピラミッド・ガーデンはキャンドルが煌々とステージを照らしている。だが「綺麗だな」なんて考えてられない。そんなことより寒いからだ。あちらこちらから聴こえる「寒い」の声。本当に残念だ。これでは良いライブをしても盛り上がれない可能性がある。しかしこのあと行われるのが『ライブ』なのだと言うことをこの後、身をもって体感した。それでは順を追って書いていこう。

まずステージに登場したのはRickie-G以外の演奏者たちだった。Rickie-G無しで演奏を始め、頃合いを見計らって彼が登場。歌い始める。素晴らしい声の持ち主だ。不安なのは観客のほうだ。ピラミッド・ガーデンのこの時間は立って見ている人が本当に少ない。具体的なアクションが無いとどのように聴いているのかわからない。本当は寝てしまっているのかもしれない。しかし曲が終わると歓声があがる。決して大きいものではないが聞こえる。三曲目はアップテンポなナンバー。観客の影が動いてるところを見るとちゃんと聴いてる様子。振り返って観客の様子を見てみた。開始時から考えると大分増えている。流石だ。ライブは続いていき、曲中にサックスのソロがあったところで観客から歓声があがる。おとなしかった観客が徐々に火がついてきた。6曲目の”Life is wonderful”ではRickie-Gが観客に歌わせようと促す。しかし観客の声は小さい。だが彼は諦めず煽る。徐々に大きくなる。観客と繋がろうとする意思は充分に伝わってきた。もし彼がこれ以上のものを求めるのなら、ボクシングでいう『タオルを投げる』という行為をしてあげたいところだ。三日目の夜の疲れ。下がる気温と雨。観客ももう限界なのだろう。そう思っていた。程よいところで彼は最後のフレーズを歌い終え、ライブを終わらせた。彼自体は、バンド自体は素晴らしかった。全ては環境の問題だと思っていた。しかし信じられない光景を見た。

誰かがアンコールを叫んだ。「リッキー戻ってきて!」「リッキーまだやってよ!」その声とともにアンコールを意味する手拍子が始まった。参加せずにはいられなかった。しかし残念なことに転換のための作業が開始された。楽器やスピーカー、ケーブルなどがひとつひとつ減っていく。つまり予定調和のアンコールがないということだ。しかし観客は手拍子をやめようとしない。「リッキー!」と呼びかける声も消えない。こんなミュージシャン冥利に尽きる出来事はそうないだろう。その時、ついに諦めなかった観客の願いがとどいた。リッキーが戻ってきた。機材がないのでマイク一本でアカペラを披露した。最後に盛大な拍手のなかステージから去っていった。その光景はとても美しかった。

なぜこのような事が起こり得たかを考えてみると、それは彼が誠実に観客と繋がろうとした結果だろう。偶然的な要素はひとつもなく、全ては必然だったのだ。観ている人、聴いている人にちゃんと伝わっていたのだ。努力が結果を引き寄せたのだ。彼を惜しみなく賞賛したい。

ありがとう、Rickie-G!

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