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FUJIROCK EXPRESS 2018

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LIVE REPORTGREEN STAGE7/28 SAT

The Birthday

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© Photo by 古川喜隆© Text by 石角友香

Posted on 2018.7.28 14:53

グリーンを見渡すチバの目に見えたものは......

フジロックには通算7度目の出演となるThe Birthday。約3分の1は出演していることになるのだが、なぜかこれまで見逃していた。頻繁に出演してくれているのでどこか安心していたのかも知れない。2008年には出演キャンセルになった忌野清志郎のバンドの代打を務め、グリーンステージのトリを任され、同年のホワイトとグリーンの両方に出演。日本のロックバンドの中でも開催当時からあるフジロック的なものの精神的支柱の一つであることは確かだ。今更thee michelle gun elephantの話を持ち出すのもなんだが、1998年の豊洲開催で、エリア指定のないスタンディング・ライブの自由と混沌を体験し、それが90年代以降のフェス原体験になっている自分などにとっては、まだ何が安全でどこからが危険なのか、誰に教えてもらえるわけでもなく、経験を蓄積していった覚えがある。フジロックという従来にないロックフェスを続けていきたいオーディエンス全員の経験や知見が積み重なり、現在に至っているのだと思う。

昔語りはその辺りにして、天候は意外にも好転。少し暑いぐらいの12時30分、悠然とメンバーは現れた。チバユウスケ(Vo / Gt)の風貌が誰かに似ていると思ったら、最近のアレックス・ターナー。70年代のヨーロッパ映画に出てきそうだ。ミラーのサングラス越しにグリーンステージからオーディエンスと風景を一望しているような彼は、アカペラで「とんでもない歌が 鳴り響く予感がする」と歌い、“くそったれの世界”でライブはスタート。これはThe Birthday流の“What’s a Wonderful World”だと思う。世界がどんなでも個々の愛に勝るものはない、とは歌わないけれど、存外チバユウスケというアーティストはずっと愛を比喩的に歌ってきたアーティストだからだ。

フジイケンジのヴィンテージでしかも研ぎ澄まされたギターサウンド、選び抜いたリフはクラシックのソリストの演奏に感嘆するのと意味は近い。同じギターでもこういう音が鳴らない演奏者の方が多いだろう。献身的にボトムを支えるクハラカズユキの確かなドラミングも、曲に入り込み曲を活かすベースを肉体と心全部を使って弾くようなヒライハルキ。フロントはチバだが、今のThe Birthdayは太い4本柱が各々の仕事を完全に担う、全員が主役のバンドだ。

4曲一気に演奏し、サングラスを外したチバ、ジャケットを脱いだフジイ。さらに物語性と混沌の色が濃いハードボイルドな“24時”や“Red Eye”を濃厚に表現していく。そしてチバが「(苗場で)20周年だね。20年前、俺、二十歳だっけ?……あれ?30か(笑)」と、笑わせにきたわけでもなく、フジロックでの経験の多さを感じさせる一言がつい口をついて出た感じだ。自分の言葉に「そんなもんか」という表情を浮かべながら、新曲“THE ANSWER”を演奏し始める。疾走感がありつつ、変拍子も取り込んだオルタナティヴなビート感、短い散文のような歌詞が、より聴き手にイメージの余白を与える。(余談だがPILの『フラワーズ・オヴ・ロマンス』めいたジャケットのアートワークが最高だ)。

ハードボイルドでセクシーなロックバンドというイメージも、詩的な表現でリスナーの背中を押す側面の両面があるThe Birthdayだが、今また深い表現を4ピースで突き詰めようとしているように見える。佇まいのカドは取れたけれど、やりたい音楽はまだ尽きない。生きている者がやることはそれだろう。そんなチバユウスケの内なる声が聴こえるような1時間だった。

[写真:全10枚]

#TAGS : 7/28 SATGREEN STAGE

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