FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTWHITE STAGE7/28 SUN

KOHH

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Photo by 古川喜隆 Text by あたそ

Posted on 2019.7.28 19:29

たったひとりの感情と叫びに、揺さぶられ続けた50分間

2017年の圧巻のパフォーマンスが記憶に新しく、多くの人が押し寄せるホワイトステージ。DJが静かに登場し、黒く、炭が溶け出したかのような映像が背後に映し出される。そして、壮大な音楽が大音量で流れ、気だるそうに登場するKOHH。シルバーの大きなリングがたくさん埋め込まれ、水玉模様のようなセットアップにTシャツという、いで立ちだった。

1曲目は、“ひとつ”。裏声がきれいに伸び、観客たちは指を「1」の形にして掲げる。曲の終盤に真っ直ぐ前を見つめたかと思えば、一瞬、KOHHがにやっと笑みを見せた。その直後、ここから一気に加速していくかのように、どこまでもヘビーな音が体内にまで響く。“Imma Do it”だ。ステージの端から端までを歩き、ときにしゃがみながら、強気の姿勢を一切崩すことはない。大音量かつ重すぎるサウンドに、まるで絶叫にも近いKOHHの声に鼓膜や胸が揺さぶられ、まるで無抵抗なままぶん殴られているかのようだった。

「今日の天気は暑くもない。寒くもない。だから……薬物の曲をやります」と始まったのは、“Drugs”。今回のフジロックで薬物に関する曲をやるのは、何かの意図を感じずにはいられない。KOHHといえば、自身の過去をリリックに落としていることでも知られている。薬物を吸わされたリアリティの滲み出る歌詞に加え、背後に映し出されているのは薬物使用時をイメージしたのだろうか、物体が徐々に色を持ち歪んでいく映像に、思わずクラっとしてしまう。
また、このときスクリーンに映し出された映像は、2台のカメラが撮影をしたものを、リアルタイムでCGなどの加工を重ねたものだった。今見ているものが本物で現実なのはわかっているのに、ずっと眺めていると、バーチャルの世界に無理やり引きずり込まれそうになる。

他者から向けられた賞賛や好意をすべて否定する“Hate me”をゆっくりとアカペラで歌ったあとは、“Leave Me Alone”。相変わらず、押しつぶされそうになるほどの重低音に、声質を変化させたいくつもの叫びが重なる。KOHHという個人から溢れ出る膨大な感情とそこに混ざり合った絶望的なまでの孤独を感じ、思わず鳥肌が立つ。

“Mind Trippin’”。そして、言葉だけではなく身振り手振りに感情を込められた“ロープ”が終わると、あっさりとステージを後にするKOHH。終盤にのみ降ってきた冷たい雨は、まるでこのパフォーマンスの演出でもあるかのようだった。
全編を通じて、KOHHの視界に観客の姿が入ることは、それほど多くはなかったように思う。背後にDJを従えていたものの、大きなホワイトステージにたった1人で立つ堂々たる姿は、周囲の人間なんてまるで関係がない。どこまでも孤独であり、ライブやパフォーマンスというよりも表現を通じて自己との対峙を見せられているかのようだった。本当なら、目を逸らしたかった。なんだか、少しショックな体験であり、見る者の力を奪うかのような50分間だった。

[写真:全10枚]

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7/28 SUNWHITE STAGE