FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTWHITE STAGE7/28 SUN

BANDA BASSOTTI

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Photo by 古川喜隆 Text by 三浦孝文

Posted on 2019.7.28 14:28

高らかに鳴り響く革命のロック

昨日までの豪雨が嘘の様に晴れ渡ったフジロック最終日。満を持してホワイトステージに登場するのは、イタリアはローマからやってきた闘う音楽ギルド、バンダ・バソッティだ。開演前から入念にリハをやり、開演10分前になるとスマッシュ代表の大将こと日高正博が登場し、「晴れたね!開演まで後10分あるからみんな友達呼んでくれよ!ローマからやってきてくれてるんだからさ。よろしくな!ありがとう!」と呼びかける。

開演時間になると、ピースマークがでっかく描かれたTシャツを着たFujirockers.org主宰、花房浩一がバンドの紹介役としてステージに登場。「みなさん、こんにちは!知っている人も多いと思うけど、2002年のフジロックには、ジョー・ストラマーがいました。マヌ・チャオもいました。そして、これから登場するバンダ・バソッティもいました。バンドの代表メンバーだったシガロ(故アンジェロ・コンティの愛称)が昨年12月に亡くなりました」と声を詰まらせる。見ると、ドラムセットのところにシガロに捧げるサッカーユニフォームが掲げられている。「彼の魂がここにあります。彼がフジロックの時の思い出を基に“Fuji Rock”という曲を作りました」と、フジロックに集う人たちは戦争なんて無縁の仲間たちだと歌ったその胸を打つ歌詞を語りかけた。「あなたが目の当たりにしているのは現実です。彼らの音楽は政治的です。彼らの音楽は現実を変えるための武器です。でもね、政治のための音楽じゃないんですよ」と言う。バンダ・バソッティはパレスチナ、ニカラグア、エルサルバドルで、現地の人の為に学校や家を建てるなど、ダイレクトな行動を起こしていることでも有名だ。これから登場するバンドは、ただのロックバンドではない雰囲気を場に作り出して「ブラザー&シスターズ、そして同士のバンダ・バソッティ!」とメンバーを呼び込んだ。

“SAVE DONBASS CHILDREN”とドーンと描かれたスクリーンが表示され、バンダ・バソッティの“Asi Es Mi Vida”が流れると、フロアからどでかい「Oi! Oi!」コールが巻き起こる。サイレンが鳴り響き、“The Internationale”をバックに、腕を突き上げたメンバーが「¡No pasarán!」(スペイン語で「奴らを通すな!」の意)と描かれた横断幕を掲げ登場した。

熱さそのままに一発目に繰り出したのは“Piazza Fontana(Luna Rossa)”。想いが込められた歌に胸が熱くなる。続けて“E’ Solo Un Sogno”でフロアは一瞬でスカ天国に。サックス、トローンボーン、トランペットのブラス隊がこれでもかとブロウし、ギターの軽快なカッティングでフロアにスカダンスを次々に生み出していく。

ゆったりしたテンポのレゲエチューン2連発で「踊ってくださーい!」と会場を暖めた後に、激烈パンクチューンの“Avanzo De Cantiere”を落とすものだから、ステージ前方はモッシュが巻き起こるわ、クラウドサーフは飛び出しまくるわでぐちゃぐちゃな状態に。その様を見ていて、不意に涙が流れてきた。集まったみんなが今、この瞬間を存分に楽しんで笑顔でいっぱいの空間。こんな空間がもっともっと共有されれば世界は平和になるのに。

バンダ・バソッティ節満載のパンクチューンはとどまるところを知らない。ハイオク満タンのパンクアティテュードで疾走する。ステージ中央を見やると、の黄色い旗と、チェ・ゲバラの真紅の旗がはためいている。今、ここには銃なんて必要としない音楽と言う名の革命が繰り広げられているのだ。シガロの魂もステージで一緒になって歌っているかのような熱さを伴っている。「オーオーオー」とみんなで歌い、何度もしゃがんでは天に向かって爆発するダンスをかまして最高の時間を共有するのだ。

「ジョー・ストラマーと花房に捧げる!」と投下したのは、ザ・クラッシュの“Revolution Rock”。俺たちは武器を手にせず、音楽を武器として踊って体制に立ち向かうぜ!という熱い気持ちが込められているような胸が熱くなる演奏だった。そのまま軽快なビートで“L’altra Faccia Dell’impero”になだれ込んだ。あ~、終わってほしくないこの時間!最後は反ファシストの讃美歌“Bella Ciao”で拳を突き上げ歌い、「¡No pasarán!」の横断幕と“The Internationale”の再登場とともに締めくくった。オーディエンスから「ありがとうー!」や「Gracias!」といった感謝の歓声が尽きなかった。音楽に込められた想いと主張、音楽が持つ可能性を訴えかけてくるような彼らのステージは、今回のフジロックで体験したどのステージよりも涙腺にくる胸を打つものだった。

“Limited Edition for Fujirockers”と記されたバンダ・バソッティの「Fuji Rock(c/w)Revolution Rock」7インチシングル盤は、フジロッカーズ・ラウンジと岩盤のオフィシャルショップで購入できます。限定100枚しかありません。ぜひ、記念にお買い求めください。

[写真:全10枚]

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7/28 SUNWHITE STAGE