“あたそ” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '25 | フジロック会場から最新レポートをお届け https://fujirockexpress.net/25 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Fri, 10 Oct 2025 14:26:10 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.2 「もうええやろ。そろそろ辞めようか…」と考えたことが幾度かあった。でも、辞めなくてよかったね。やっと、「いつものフジロック」が戻ってきた…かも。 https://fujirockexpress.net/25/p_9083.html Sat, 09 Aug 2025 02:09:19 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=9083 我々が愛情と尊敬の念を持って大将と呼ぶのが、フジロックを創造したプロデューサー、日高正博。その彼に「俺がやりたいことを一番わかってるのがお前だ。手伝ってくれ」と言われて、黎明期のインターネットを核に情報発信を始めたのは第1回が開催された1997年が開けた頃だった。それからすでに28年が過ぎている。あの年、台風の影響で生まれた混乱や2日目のキャンセルで荒れまくったのが公式サイトの掲示板。それを公式から切り離し、コミュニティ・サイトとして、その年の暮れか翌年にfujirockers.orgを立ち上げている。それは大将と相談の上で生まれた、いわば、裏公式サイト。フジロッカーという言葉を生み出したのもこの時だ。個人として積極的に発言できる場として彼は幾度となく、ここを通じてメッセージを発信。直接、オフ会に顔を出すことさえもあった。ところが、コロナ禍で参加者が抗原検査を余儀なくされ、全面禁酒に加えて小規模開催しかできなかった21年を境に彼の言葉がほとんど聞こえなくなっていった。我々が彼の「指名手配」写真をパロディ化したTシャツを制作したのは、それを受けていた。なによりも大将が描いたフェスティヴァルを楽しみにしているのがフジロッカー。それほどまでに彼は求められている(「Wanted」)という意味をここに込めていた。このTシャツが最も参加者数が少なかったフジロックで、fujirockers.org史上最高の売り上げ枚数を記録。それはフジロッカーと大将が強い絆で結ばれている証のようにも思えていた。

その大将が「もうどうでもいい。放っとけ」と口にしたのは22年か。彼の体調が悪くなったのは、フジロックがただの野外コンサートにしか見えなかったあの頃からではなかったか? 人気エリア、カフェ・ドゥ・パリ周辺がフード・コードになり、パレス・オヴ・ワンダーにいたってはその片鱗さえなかった。主催者には苦渋の決断だったかもしれないが、あれを「フェスティヴァル」と呼ぶには無理がある。それにも関わらず、「いつものフジロック」を謳っていることに大きな失望を感じていた。もう辞めようか… fujirockers.orgも解散してしまおうかという思いが脳裏をよぎっていた。それでも自分をつなぎ止めたのはスタッフを含め、フジロックの存続を支えようとしていたフジロッカーたち。あの時、「フジロックがない人生なんて考えられない」という声を耳にしていた。そんな彼らがこのままじゃ終われないという気持ちにしてくれたように思う。もちろん、あの流れに抗い、フェスティヴァル復活を目指して必死に動き続けていた裏方がたくさんいたことも忘れてはいけない。

そのフジロックを触発した英国のグラストンバリー・フェスティヴァルを初体験したのは1982年にさかのぼる。当時、まだ20代だった自分はすでに高齢者と呼ばれる年齢になっている。あの時とは比べることができないほど巨大化したこれを取材し続ける意味はあるのか? ここ10数年悩み続けていた。そろそろ潮時かもしれないと思ったことが何度もあった。メディアが求めるのはステージに姿を見せるアーティストのことばかり。でも、それは、おそらく会場の20%にも満たないスペースで繰り広げられている一部分にしか過ぎない。だからこそ、ラインナップがほとんどわからない時点でも、20万枚以上のチケットが20~30分で完売となる。あのフェスティヴァルの魅力はメディアがほとんど取り上げない、その他にあるのだ。が、それを伝えるメディアはほとんど消え失せている。加えて、毎回同じことを書くわけにもいかないと、ここ数年はグラストンバリー未体験の若手ライターや写真家を同伴。彼らの新鮮な視点で伝えられる記事を楽しむようになっていた。開催時期に入院していた1995年を除いて、欠かさず通い続けて今年は43年目。もうなにも目新しいものはないと予測するのが普通だろう。が、待っていたのは「伝えなければいけない」という衝動を生む出来事や人との出合い。それが嬉しくて、また語り、書き続けていくことになる。

そのひとつが今年の前夜祭でレッド・マーキーに集まったみなさんの集合写真を撮影する時に語ったことだった。

「The Whole Farm’s the stage and all of you are players」

そんな言葉が書かれたポスターが、取材拠点となるプレス・テントを出た広場の壁に飾られていた。これは会場内で古ぼけた活版印刷の機械を使って毎日新聞を発行している地元のスタッフが作った1枚。それにハッとさせられるのだ。ここに書かれているfarmとは会場となっている農場を示す。簡単に訳せば「会場全てが舞台(ステージ)で、あんたたちみんなが演者(プレイヤー)なんだ」となる。

Photo by 阿部光平

フェスティヴァルの魅力…あるいは、そこで生まれるマジックの所以をこれが見事に語りかけているように思えていた。「自然に囲まれた環境がフジロックの魅力ですよ」としたり顔で語る業界人は多い。でも、それは要素のひとつにしか過ぎない。また、「ユニークなラインナップ」も間違ってはいない。が、フジロックというフェスティヴァルの魅力ってなになんだろうと考えた時、グラストンバリーでみつけたあのフレーズがピンとくる。おそらく、苗場にやって来る人たちの想いがなにやら磁場のようなものを生み出し、それがフェスティヴァルを作り出しているんじゃないだろうか。

フジロックに絡んで始まったのが年に3回ほど開催されている苗場のボードウォーク・セッション。全国からその補修をするために集まってくるヴォランティアのみなさんとはすでに顔なじみで、会場で彼らとよく顔を合わせている。今年は行けなかったが、フジロック直前の7月のセッションの時には会場設営が始まっていたはず。ここに舞台設営にPA関連、テント設営からトイレの準備と、多くの人が加わっていく。そして、前夜祭前日まで、汗まみれで働いているのが、ゴンちゃんの制作チームやパレス・オヴ・ワンダーのスタッフ。と思えば、ボードウォークを歩いていると、様々なオブジェを作っているアーティストたちが目に入る。その誰もが笑顔で輝いている。出店しているブースの飾りやデザイン担当から、その裏で働く人たちやフジロックを支えてくれる地元のみなさんの想いをひしひしと感じるのだ。

そこに雪崩れ込んでくるのが、全国どころか全世界から集まってくるオーディエンス。なかには思い思いのコスチュームに身を固めて遊んでいる人や楽器を持ってきて演奏する人もいる。今年はゲリラDJも出没したんだそうな。彼らから放たれるエネルギーがなにかを揺り動かし、それが共鳴しながら拡散、拡大されていく。ステージに立つミュージシャンの演奏がそこに重なって有機反応を引き起こす。それが奇跡的なパフォーマンスの数々を生み出しているようにも思えるのだ。フジロックでのライヴ体験の素晴らしさの背景にはそれがある。DJブースは、もちろん、カフェやバーに食事を提供するストールでも同じこと。見ず知らずの人にだって、当たり前のように話をすることができて、あっという間につながりができる。そんな空気がここに出来上がっている。

そのフジロック、今年は7月19日に始まっていた。前夜祭は7月24日なのになぜ? と思われるかもしれないが、その前の週末に幕を開けたのがフジロックの一部、ピラミッド・ガーデン。会場の端っこにあるここが「Beyond the Festival」と銘打って単独開催されていた。フジロック独特の磁場がゆるやかに、本番に向かって確実に強くなっていたのを、ここに遊びに来た人たちなら、感じることができただろう。

主催していたのは2010年からこのエリアを任されていたキャンドル・ジュン。彼のフェスティヴァルへの想いがこれを動かしていた。それは大将が抱いていた「想い」にも繋がっている。ずいぶん昔のこと、彼が口にしていたのは「1週間ぐらい開催するってのもいいなぁ」というアイデア。ひょっとすると、そのあたりに伏線があったのかもしれない。大将がなによりも求めていたのは、ラインナップに依存することなく、「フジロックだから」こそ戻ってきたいと思わせるフェスティヴァルを作り上げること。そんな想いをピラミッド・ガーデンに詰め込もうとしたのが今回の試みだったのかもしれない。

ここにいるだけで気持ちよかった。ライヴを追いかけてあくせく歩き回ることもない。タイムテーブルはのんびりと余裕を持って作られているし、ライヴが中心でないのは明らかだ。釣り堀で釣った魚を料理して食したり、サウナで汗を流して冷たい水が流れる川に飛び込む。あるいは、ワークショップを覗き込んだり、日陰で昼寝をしたりと、ゆったりとした時間と空間の中に身を置くことだけで気持ちいい。生きていることのしあわせを充分に感じることができるのだ。

加えて、大将がいつも口にしていたのは「地元の人たちと一緒に作る」という意識だった。都会から地方に来た企業が利益を吸い上げ、地元はおこぼれを授かるだけといったイヴェントのあり方を彼は嫌悪していた。ピラミッド・ガーデンに反映されていたのがそれだった。後援は地元の湯沢町で、一役買っていたのが苗場観光協会。実は、この閉幕からフジロック開催までの間に会場を使って開かれたのが、フジロックに大きな貢献をしている地元若者の結婚式だった。これが今後、どういった展開を見せるか未知数だが、フジロックや苗場を愛する人たちにもそういった場として、この時間と空間を提供していきたいとのこと。興味がある方は観光協会へ問い合わせてみたらどうだろう。

大将から「フジロック前に、みんなに伝えておきたいことがある」と連絡があったのはその取材をしていた時だった。それを受けて、東京のスタッフが彼を訪ねている。話題になったのはクロージング・バンド。その言葉からはこのプロジェクトに対する彼の並々ならぬ想いが伝わっていた。今年はそれだけにとどまらず、様々な指示を出している。ネパールのバンドを招聘したり、どん吉パークのDon’s CafeにDJを入れたいという依頼も届いていた。それを受けてフジロッカーズ・バーの常連DJに協力を依頼。「俺もDJするかも」なんて言われて、リクエストのあった昭和歌謡のシングル盤も用意していた。その1枚がクロージングに出演した尾藤イサオの大ヒット曲『悲しき願い』のオリジナル。もちろん、これはここで使っているし、最後のグリーン・ステージでご本人に見せると大喜びしてくれて、なんとサインもいただいている。

Photo by おみそ

Don’s Cafeは大将の盟友、池畑潤二率いる苗場音楽突撃隊がゲリラ的にライヴをする苗場のホーム。昨年はDJゴンちゃん夫妻がDJをしているし、彼のお気に入りバンド、USも演奏している。今年も同じだがホットハウス・フラワーズのリアムがここに加わり、ゴンちゃん夫妻に代わったのがフジロッカーズ・バーや仲間のDJたち。主要ステージでの演奏が終わる頃ともなると、大将を慕う仲間がここに集まってくる。といっても、実は、フジロック開催を前に「身体が持たないかもしれない」という情報もあって、大将の会場入りが危ぶまれていた。が、前夜祭の朝、東京を離れたという連絡が入ってひと安心したものだ。彼を訪ねると、血色もよくて、去年より元気に見えた。体調もよかったんだろう、毎晩、ここに顔を出して仲間と一緒に楽しんでいた。

そして、最終日、いきなり大将から呼び出しだ。DJの仲間とセッティングをしていたどん吉パークからとぼとぼ歩いて本部の隣を訪ねると、「フジロッカーになにかプレゼントしたいんだ」という。「じゃぁ、今年のポスターにサインしてよ」とお願いして、その様子を撮影。それを3枚受け取っている。さて、このプレゼント、どうしようか。大将へのメッセージを書いてもらうのを要件として、応募してくれた人から抽選するのがベストだろうと思う。もちろん、そのメッセージは彼に手渡すことにしよう。詳しくはこちらで確認していただけると幸い。

Photo by おみそ

クロージング・バンドが演奏する前に大将と一緒にグリーン・ステージ脇に移動。初めて顔を合わせる尾藤イサオと彼が談笑している姿がほほえましい。耳をそばだてているとエルヴィス・プレスリーがどうしたこうしたとロック談義が続いているのがわかる。このライヴに出演するみなさんと挨拶を交わしつつ、「お客さん、残ってくれてるかなぁ」と心配顔だった大将。でも、残って楽しんでいる人たちを見ると実に嬉しそうだ。そして、1943年生まれで御年82歳だというのに、とてつもなくソウルフルな尾藤イサオに大喜びしながら、『悲しき願い』を声を出して一緒に歌っているのだ。

「みんな、若いから知らないかもなぁ。でも、これは、俺からみんなへのギフトなんだ」

彼が愛して止まないロックンロールの名曲の数々を、日本の伝説的ロッカーに歌ってもらい、オーティス・レディングの名曲『ドック・オヴ・ザ・ベイ』をリアムにまかせる。そして、チェ・ゲバラと並んで彼のヒーローだというジョン・レノンの『イマジン』を加藤登紀子に託して幕を閉じる。そこには彼の想いがあった。

さて、今年のフジロックはどうだったか? なによりも嬉しかったのは愛知県豊田市で続けられている、おそらく、国内で最も素晴らしいと感じた『祭り』、橋の下世界音楽祭の仲間がフジロックの奥地を復活させたことかもしれない。印象的なステージを苗場に持ち込んで作り上げたのがオレンジ・エコー。これで明らかに観客の流れが変わっていた。彼ら独特の色を持つラインナップも興味津々で、あの世界がまだまだ広がっていくことを予感させる。地元新潟から三国トンネルを越えた群馬あたりの伝統工芸から民謡や芸能までがここに紛れ込んできたら… なんて夢みるのは、それこそ彼らが橋の下でやっていることだから。さて、来年はどうなるだろう。

また、子供の頃から、あるいは、生まれた頃からフジロックと共に育ってきた地元、苗場の若者たちがDJブース、Roots Grooveを動かし始めたのも特筆に値する。かつてワールド・レストランがあったエリアにGonchan Barを誕生させたのもそんなひとり。これで彼らもフジロックを作る一部となった。さて、これから彼らがなにをどうする? ボードウォークでのパーティは、もちろん、まだまだできることはあるはずだ。彼らからどんなアイデアが出してきて、どう発展させていくのか、それが楽しみでならない。

3年を費やして徐々に復活したパレス・オヴ・ワンダーとブルー・ギャラクシーがフジロックには「なくてはならない存在」だということを見事に証明していたのが今年。「ラインナップでしかチケットは売れない」ってのが、業界では常識らしいが、さて、どうなんだろう。圧倒的な人気を持つスターが演奏している時だって、ちっぽけなステージやDJがいるところには人が集まっていた。その全てがフジロックの魅力。だから、ここに来るのだ。

結局、今年も、雑務に追われて、ほとんどライヴを見ることはできなかった。6月にローマにまで出かけていって、魅力を伝えようとしたフェルミン・ムグルサもクリスタル・パレスでチラ見しただけ。楽しみにしていたホワイト・ステージにはたどり着けなかった。春ねむりを見ようとアヴァロンに向かうと、NGOヴィレッジで難民問題をアピールするブースで昔からの友人と遭遇して長話。結局、わずかな時間しかライヴには接することができなかったが、インパクトは強力で濃密だった。ちなみに、かつてワールド・レストランでフィッシュ&チップスを売っていたのが遭遇したイギリス人。映画にもなったワイト島ミュージック・フェスティヴァルを10代の頃に体験していて、東京でやったフジロッカーズ・バーに来てもらって当時の体験談を聞かせてもらったことがある。

多くの人がそうだったように山下達郎のライヴはなんとしても見たかった。が、あまりの人の多さに恐怖を感じてステージが見えるところまで出かけてはいない。簡単には帰ってこられないと思って、フジロック・エキスプレスの本部裏で音を聞いてたにすぎない。

「仕事がどうなるかわからないんですけど、見に行きたいですよ。竹内まりやが出てきたら… もう、奇跡ですもの」

と、語っていたのは苗場プリンスで働いているスタッフの方。さて、彼はその奇跡を体験できただろうか。あの時の騒ぎや興奮は本部裏にも伝わっていた。実際に見に行った仲間からは、目の前で泣きそうになっていたのは日本人じゃなくて、アジアのどこかから来た人だったとか、海外からのお客さんがやたら多かったなんて話しも伝わっている。

山下達郎の方針としてライヴは放送させないんだとか。でも、それでいい。スクリーンを通じて伝わるのはその一部。Be there or be squareとはよく言ったもので、そこにいなけりゃわからない。うだるような暑さに襲われていたあの日、ひどい雨にやられてしばらくの後に始まったあの時の空気や臭い… そのなかで待ちわびた人たちが最初の音を聞いた時の興奮がどれほどのものだったか。ステージから放たれる音楽が空気を揺らして、それを全身で浴びる感覚はお茶の間ではわからない。さらに、フジロックそのものの魅力は伝わりようがないだろう。

あのステージに近づけなかったおかげで、苗場食堂で目撃することになったのがクリス・ペプラーのバンドだった。

「J-Waveで番組をやっているんですけど、そこで言ってたんですよね。今年のフジロックの一押しは、間違いなく山下達郎だよねって。そしたら、真裏で演奏ですからね」

と苦笑いしながら続けたライヴ。素晴らしかった。スライ&ザ・ファミリーストーンの『Thank you』をカバーしたのは、スライ・ストーンへのトリビュートなんだろう。そこにはブラック・サバスのフレーズも飛び出していた。言うまでもなくオジー・オズボーンへの感謝の気持。めちゃくちゃ嬉しかった。

始まるまではずいぶん長い時間を待たされるように感じるけど、動き出すと一瞬のうちに終わってしまうのがフェスティヴァル。どこかでメンバーには出会えてもライヴを見ることができなかった友人のバンドは数え切れない。出店している仲間たちにもわずかに挨拶できたに過ぎない。会場内外を歩きながら、できるだけ多くの仲間たちと言葉を交わそうと思うけど、なかなかうまくはいかない。そして、気が付くと最終日。いつものように夜明けを迎えるパレス・オヴ・ワンダーあたりに顔を出すのだ。そこで体験できるのが至福の時。会場から流れ出てくる人たちの表情が素晴らしい。若干の疲れを見せながらも、誰もがニコニコ、ニヤニヤと笑顔を見せている。それだけで「楽しかったよ」と語りかけてくれているように見える。名残惜しそうな表情を浮かべながら、たむろしている人も多い。クリスタル・パレスから音が消えて、バーのテントも最後の曲を流している。ザ・ハイロウズの『日曜日よりの使者』。それを大声で歌っている人たちに感動しながら、撤収作業に向かう。ありがとう。今年もフジロックに来てくれて。きっと、来年も、また会えるよね? 心の中で彼らにそう語りかけながら、今年の幕が下りていった。

さて、自分が体験できたフジロックはほんのわずかな部分でしかない。でも、全国から駆けつけてくれたボランティア・スタッフが、馬車馬のように働きながら続けてくれたこのがフジロック・エキスプレス。ここにもっともっとたくさんの「しあわせ」の瞬間 が刻まれているはず。これを書き上げて一段落したら、また、ジックリと拝見しようと思う。ありがとう。みなさんは、私の宝物です。

なお、今年動いてくれたのは以下のスタッフとなります。

■日本語版
HARA MASAMI(HAMA)、安江正実、堅田ひとみ、リン(YLC Photography)、森リョータ、みやちとーる、古川喜隆、おみそ、平川啓子、佐藤哲郎、©2025MITCH IKEDA、前田俊太郎、井上勝也、suguta、粂井健太、エモトココロ、Miyaryo
東いずみ、渡辺紗礼、YAMAZAKI YUIKA、越川由夏、浅野凜太郎、こっこ、Izumi、Eriko Kondo、阿部光平、丸山亮平、梶原綾乃、阿部仁知、イケダノブユキ、三浦孝文、石角友香、あたそ、西野タイキ

■E-Team
Jonathan Ruggles、Sean Scanlan

■フジロッカーズラウンジ
mimi、obacchi、SEKI、yamato

■ウェブサイト制作&更新
平沼寛生(プログラム開発)、迫勇一、坂上大介

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PAS TASTA https://fujirockexpress.net/25/p_1233.html Wed, 30 Jul 2025 02:46:46 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1233 ヘッドライナーのVAMPIRE WEEKENDも無事に終了したあとのOASIS AREAを眺めていると、「少なくともここにいる人は明日も有給を取っているんだな」と思ってにやにやしてしまう。この日のGAN-BAN SQUAREもすごい人!この光景にも納得ができる。昨年リリースされた『GRAND POP』は話題になったし、メンバーそれぞれが活動の枠組みをどんどん広げている。フジロックに出るにもまあ~時間の問題でしょ!と思っていたけれど、そのときが来た。今だ!!!という期待を抱きながら、スタートを待っているのがわかる。

6人中4人がお揃いのレーシングジャケットを羽織り(全員お揃いじゃないんだ……。)、まずは、ニット帽とマスク姿のquoreeがDJ卓へ。『GOOD POP』より“Sunamei smoke”でスタート!ウ山あまねはマイクを持ち、まっすぐに声を伸ばしていくように歌う。他のメンバーは後ろで思い思いに踊ったり、卓周りでわちゃわちゃしたりと楽しそう。そりゃあ、これだけ大人数ならGANBANのステージも狭く見えます。そこからシームレスにCOLTEMONIKHA”SLEEPING girl”へ。もうすぐ12時で、そろそろ眠いから?もうきっとシンガーとして活動しないであろう酒井景都にしか出せないロマンチックモードな歌詞、舌っ足らずでキュートな歌声、そして特徴的すぎる中田ヤスタカのサウンド。リリースは2007年で、この曲を夜の苗場で聴けるのがうれしい。キックの重さも気持ちよくて、BPMを加速させながら、“zip zapper”へ。強い音圧に応えるようにヘッドバンキングをする観客たち。もう足腰もヘロヘロだし眠くてたまらないけれど、こんなに心地いい爆音を出されてるんだもん、踊るしかない!

Kabanaguにバッターチェンジで、“Byun G”。ウ山はどんどん煽るし、疾走感のある曲の歌詞のごとく「Byun byun飛ばし」ていく。kmoeの『K1』もいいアルバムですよね!来年のフジかサマソニ来てくれないかなあああ!“Bloodbath(Dance)”は更にバカでかい音で、場を沸かしていく。ヘヴィなサウンドに乗るkmoeの若干気だるげな歌声も今の時間にぴったりで踊り狂わずにはいられない。
“B.B.M”で初音ミクが聴こえたと思えば、yuigotのターン。バイレファンキをポップに仕上げられたこの曲を、再構築しながらぶち上げていく。testpress&2HOT2PLAYの“FLOW”、そしてphritzに代わっての“ISEWAN”。ねえ、これってこんな曲だったっけ!!?ユーロービートサウンドが空気を揺らし、スピーカーがぶっ壊れそうな大音量のkZmの“DOSHABURI”とつないでいく。やっぱりバカでかい音って元気になりますよね。
先ほどまでマイクを握って絶叫していたウ山が卓に立てば、音が割れまくりの“peanut phenomenon”。絶対ハイパーポップ好きだろ、と思いながら聴いていたから、Allice Longyu Gaoの“I <3 Harajyuku”のあとに、100gecs“xXXi_wud_nvrstøp_ÜXXx”がアホみてえな音量かつバキバキに音の割れた状態で流れてくるんだからやっぱり笑ってしまう。ですよね! もう何度も聴いてきたイントロに歓声が上がった“BULLDOZAR+”!hirihiriの出番です。休憩する時間なんてもらえない。そのままLil Texasの“Die Young”、Skrillex“Scary Monsters and Nice Sprits”と場に慣れきっている観客たちも一緒に歌って踊り、最後に向けてヒートアップさせていく。ウ山の「体力使い切らないともったいないぜ!」「(オアシスエリアに向かって)飯食ってる場合じゃねえぞ!」と煽りに煽り、ここでunderscoresの“Spoiled little brat”はあまりにもうれしい。全体を通じて、各メンバーの好みや癖が個性豊かに感じられ、一層楽しむことができるようにも思う。最後は“river relief”!踊りながらのヘドバンに、もう本当に体力残ってなくない!??深夜まで足腰が終わるまで、ぶち上がりまくった1時間!フジロックの夜は更に更けていきます。

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LITTLE SIMZ https://fujirockexpress.net/25/p_1031.html Tue, 29 Jul 2025 13:13:34 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1031 SEはなし、背後が見えなくなるほどのスモークが焚かれ、ブラックの衣装をまとったバックバンドのメンバー3人が事前の告知通り登場する。ドラムは元Black midiのMorgan Simpson(先に言ってよ!)。爆音の演奏が始まると、Little Simzが登場する。バックには「simz」と書かれたサッカー日本代表のユニフォーム、レッドのキャップ、オーバーサイズめのハーフパンツにコンバースのスニーカーと、ボーイッシュなスタイリングがすっごくかわいくておしゃれ!!!!!これは絶対に真似したい!(笑)

まずは6月にリリースされたばかりの『Lotus』から“Thief”、“Flood”が披露される。いろいろなライブを見ていると、演奏が始まった瞬間に「あ、もうこれは絶対にいいライブになるな」と確信できるときがある。この日のGREEN STAGEは、まさにそうだった。場の空気がぎゅっと締まり、雰囲気がガラッと変わる。バンドサウンドだからこそ、音は厚みを増し、立体感を伴いながら、ダイレクトに身体に響く。シムズは殺傷力すら覚えるビートにラップを矢継ぎ早に重ね、観客たちだって手を挙げ「Thief!」と一緒になって歌う。曲中に聴こえる狼の雄たけびだって一緒になって叫ぶ。この曲の肝であると言ってもいい“Flood”のタムも、音のいいステージだとこんなに躍動感溢れ、聴いている者をこんなにも高揚させるのか……アフロービート全開の、ゴリッゴリなベースも身体に染み渡る。
“Two Worlds Apart”、“I Love You, I Hate You”と2021年リリースの『Sometimes I Might Be Introvert』の曲が続く。バックバンド3人と音数も少ないのに、繰り返されるビートのなかに時折織り交ぜられるフィルインがあまりにも心地よい。この人、HIP HOPも叩けるのか、なんでもできんじゃん……と思いながら、ドラムが加わるだけで音の印象ってこんなにガラッと変わるのか、と改めて実感する。ピンクのスポットライトが美しく輝く“Young”では、ステージを歩き回り、手でハートマークを作りながらフロウを刻む。3年前のODD BRICKでは、たったひとりマイク一本で圧巻のライブを披露し、そのときだって呆気に取られた。けれど、この日はお客さんの反応を見ながら、さまざまな方法で返事をしているのがわかる。彼女のなかで変化があったのかなと思った瞬間でもあった。

サポートメンバーがいなくなり、荘厳なイントロにシムズの高速ラップは“Venom”だ。モッシュを煽ったかと思えば、まさかのウォール・オブ・デスのリクエスト!そこに応える観客たちもステージ中央に空間を作り出し、思いっきりモッシュをする。こんなにビートの重いHIP HOPでこんなこと起こるんだ!あまりの出来事に、おかしくって笑ってしまう。その様子を眺めるシムズもうれしそう。夕方に差し掛かり、ほんの少し涼しさを取り戻した苗場が、どんどんヒートアップしていく。
シムズがダイナミックなリズムの合わせて踊りまくる“Mood Swings”と“SOS”は、『Drop7』から。最新作に偏らず、新旧さまざまな曲をセットリストに組んでくれるのもうれしい。“SOS”で踊りながらサポートメンバーが戻ってくれば、レガシーなピアノとCleo Solの浮遊感のある歌声が気持ちのいい“Selfish”。語りかけるようなシムズの歌に「I‘m so selfish」のシンガロングも起こり、“Only”では歌詞の一部を「Japan」に変えてくれるというサービスのよさ!でも彼女のほころんだ笑顔を見ていると、きっと今この場で一番楽しんでいるのはシムズ本人なのだと感じる。こんな風に、誰がどう見ても楽しそうな姿でフジロックのステージに立ってくれることが誇らしい。それは、次の“Lion”の自身を喪失したからこそ出来上がった自ら鼓舞し、自信を取り戻すようなリリックからも、彼女自身の心境の変化がうかがえる。いろんなものを乗り越えたからこそ、こんな風な穏やかな表情を見せてくれたのかもしれない。

繰り返されるアフリカンなグルーヴにサポートメンバーそれぞれの腕が光りまくる“Point and Kill”、場をグッと落ち着かせた“Free”は、やっぱり息をするのも許さぬほどのライムなのにどこか余裕すら感じる。爽やかなサウンドに手を左右に揺らし、「Japan!love you!」という一言が聞けた“Woman”に、最後は“Gorilla”!イントロから神々しく、縦に揺れるしかないグルーヴたっぷりの重いサウンドは、まさに今日にライブにぴったり。圧巻でありながら、キュートに笑う姿だけじゃなくて自分に向かってくる虫に「Shit!」と言いながら驚く様子とか、もう本当に非の打ちどころのない完璧なステージングを見せつけられた。

MCで、「私の音楽を聴いてくれてありがとう!人生、変わったよ!」という言葉が強く記憶に残っている。「Louder!」と言い、観客が更に大きな声を上げれば、噛み締めるように見渡して頷く姿も。私だって、人生変わったよ!こうしてライブをするために遠い日本で今日みたいな凄まじいライブをしてくれて、あの場にいる人の人生を変えてしまったと確信できる時間だった。

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RADWIMPS https://fujirockexpress.net/25/p_1030.html Sun, 27 Jul 2025 17:06:13 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1030 大音量のSEが流れ、背後のスクリーンに大きなロゴが映し出されると、「待ってました!」と言わんばかりに、歓声が起こる。サポートメンバーを引き連れ、野田 洋次郎(Vocal/Guitar/Piano)、武田 祐介(Bass)の2人が登場し、本編はNHKの朝ドラ『あんぱん』の主題歌にもなった“賜物”からスタート。早速のヒットソングに、更に大きな声があがる。しっとりとしたテンポから始まるにも関わらず、GREEN STAGEでは大合唱が起き、このような一面でも国民的なバンドなのだということを実感できる瞬間だった。
ビビットなキーボードのサウンドから始まる“NEVER EVER ENDER”のサビでは、爽快感のある歌とバスドラのリズムに合わせてジャンプやクラップ&ハンズをしながらそれぞれ楽しむ観客たち。それぞれのメンバーが複数の楽器を用いながら、RADWIMPSらしくさまざまな要素を楽しむことができる。

「体力をすべて使い尽くして帰るのはどうでしょう?」というMCのあとは、疾走感のある“ます。”、サイケデリックな映像を背後に耳に残るギターのリフとブリブリのベースが躍らせる“DARMA GRAND PRIX”と、言葉通りに体力を奪っていく。ちょっとフライング気味な“セプテンバーさん”では、涼しさを感じるメロディに身を任せながらお決まりのコール&レスポンスが起きる。ずっと第一線で活躍しているバンドなのだから、当然かもしれないが、いかなる観客であっても自分たちのライブに巻き込みながら、必ず楽しませるような配慮があるようにも思った。
“スパークル”では、皆でスマホのライトを光らせ、ステージ背後と幻想的なスポットライトも手伝ってまるで星空のなかにいながら演奏を聴いているような演出があり、ついうっとりしながら聴き入ってしまう。

「まだいけるか!」という野田。聴いたら2度と忘れない特徴的なイントロは、“おしゃかしゃま”だ。爆発するようなサビに呼応して観客たちも思いっきりジャンプをして反応を返そうとする、途中には、野田がバンマスのごとく、それぞれのパートを競い合わせるようにソロパートとしての見せ場を作る。昨日のVulfpeckを少しだけ思い出しながら、会場をどんどん温めていく。面白いくらいに煽り、食らいつこうとしていく他のメンバーたち。緩急をつけながら、会場の期待値をあげつつ、解放させていくステージングは見事であった。
4日前にリリースされたばかりの“命題”、そして多幸感のあふれる“いいんですか?”では、覚えやすいフレーズにクラップ&ハンズが起きる。

最後は駆けだしたくなるような“トレモロ”のあとは、2021年のフジロック前に作られた“SUMMER DAZE”。ステージ上で花火もあがり、ミニマルな切ないメロディにはまだ早すぎる夏の終わりを感じながら、RADWIMPSの4年ぶりのGREEN STAGEは終わっていく。

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BALMING TIGER https://fujirockexpress.net/25/p_1046.html Sun, 27 Jul 2025 13:09:38 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1046 厳しい日光の差すWHITE STAGEに視線をやると、ギター2本、ベース、キーボード、ドラム、シンセサイザーとバックバンドを引き連れて戻ってきてくれたことがわかる。生のサウンド重い音圧を全身で感じていると、オメガ・サピエン、ソグム、そして「World Expo」らしく大きなブルーの旗を持ったビー・ジェー・ウォンジンとマッド・ザ・スチューデントの4人が登場すれば、観客たちからも期待の込められた大きな拍手と歓声が巻き起こる。
2年前のRED MAQUEEでのステージも彼ららしく個性的であり魅力たっぷりだったけれど、バックバンドがいるからこそ、音は臨場感を持ち、更なる高揚感を引き立たせているのがわかる。

まずは、“UP!”。4人それぞれがコミカルなダンスを踊れば、クラップ&ハンズも起こり、暑いステージを更にヒートアップさせていく。時折ゆったりと聴かせるソグムの歌声からは冷涼感からも感じ、こういう曲の作りからも静と動を生み出しながら、ライブではバンドサウンドをバックに、踊ったりしてくれるのだから、より盛り上げ上手になっているのだと感じた。“Sudden Attack”では、攻撃的なオレンジのライトに照らされながら、4人がそれぞれステージを動き回り、マッド・ザ・スチューデントとオメガ・サピエンの激しいシャウトと、WHITE STAGEが一気に引き込まれていくがわかる。
ソグムが拡声器を用いつつ新鮮な歌声を聞かせた“Scumbag”が終われば、4人がお決まりのフォーメーションを取って、滑らかに左右に動けば“JUST FUN!”でしょう!お客さんも4人の動きに合わせて踊り、軽快なリズムと「JUST FUN!」というわかりやすい掛け声は、まさに今を表現しているのだと思った。「鳥山明のために歌います!」という“Kamehameha”。彼らの流暢な日本語や初期のジャケットイラストに駕籠真太郎を用いていることからもわかるように、日本の文化にも影響を受けている楽曲があり、うれしさを覚える。ホワイトにお似合いの大音量で低音をかましながらのキュートなダンス、ビー・ジェー・ウォンジンは、ピッコロの魔貫光殺砲のお決まりのポーズまで披露してくれた(そこなんだ!?)。

スタンドマイクが3つ置かれ、ソグム以外の3人での“SEXY NUKIM”。ベースの低音がダイレクトに身体に響き、タイトル通りのセクシーなダンスとともに、オメガ・サピエンのお腹が見えれば、観客たちも大盛り上がりを見せる。引き続き、3人の低音ボイスとギターのうなりが気持ちいい“SOS”、左右で観客を分けておなじみのフレーズを皆で合唱したあとは“Spirit Chaebol”!原曲とは異なりよりポップになった印象を受ける。オメガ・サピエンが「うちの会社の社長です」と紹介した三つ目のタイガーの着ぐるみとともにダンスを踊る。
スピーカーを壊しそうなほどの低音とバスドラが更に踊らす“kolo kolo”、そしてハイソなイントロが流れた“Buriburi”では、オメガ・サピエンとビー・ジェー・ウォンジンの裏声心地よく聴きながらも、キャッチーなトラックと歌詞はどうしても口ずさみたくなる。一度聴いたらなかなか離れなくなるバリエーシ豊かな曲も魅力的ではあるけれど、こうやって観客と一緒に踊り、同じフレーズを口ずさむ参加型にできているのも大きな魅力のひとつだと思う。

何の紹介もなく、見慣れたセーラー服を身にまとった4人が現れたかと思えば、新しい学校のリーダーズがゲストとしてステージ立っている!曲はもちろん“Narani Narani”でしょう!いや、やるとは思ってたけど、まさかゲストで出てきてくれるとは微塵と思っていなかった……それは皆さんも同じだったみたいで、大きな歓声が上がる。それぞれのダンスもボーカルだって息ピッタリ!たった1曲だけやって去っていくのは惜しい気もするけれど、うれしいサプライズであった。

2度のウォール・オブ・デスが起こり更にめちゃくちゃになった“POP THE TAG”、「自分を信じてください」というメッセージとともに“Trust Yourself”の演奏が始まった頃には今年のフジロックで一番の豪雨が降りそれでもサークルモッシュは起こるし、4人のメンバーは呼応するようにシャウトしまくっているし、まるで激しくなっていくこの空間にぴったり。
最後の“Wash Away”では、雨に濡れながもエネルギーたっぷりに思いっきりシャウト!ステージの熱についてくのが大変なほどだった。雨も手伝ってカオスな状態だったけれど、突然雨に降られてからが楽しいですよね……!数年で進化し続け、更にユニットとして変化を続けるBalming Tigerに踊らされまくった!

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鈴木実貴子ズ https://fujirockexpress.net/25/p_1197.html Sun, 27 Jul 2025 08:08:16 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1197 リハーサルの時点で、GREEN STAGEにも聞こえちゃうんじゃない?ってくらい全力で歌っている姿を見ていると、それだけで気合いの入り方というか一発かましたろうという思いが感じられるようでもあった。そうだよね、とも思う。鈴木実貴子ズの曲って、どうしても不器用で、うまくいかないことばかりの人が作っていると思うから。
苗場食堂の聴きなれた出囃子に、颯爽と登場する鈴木実貴子(Ag.Vo.)とズ(Dr.)。早速漫談みたいなMCで、ふたりの仲が悪くて、名古屋から苗場まで移動も泊まりもずっと一緒で、ストレスが溜まっていて、そのストレスという名の負のエネルギーで盛り上げていけたらと話す2人の様子には笑いが起こる。ねえ、ほんとに仲悪いんですか?

まずは、“音楽やめたい”。やめようとしたって、やめられない人の歌なのにね。実貴子のすべての感情をぶち込んだような大きな歌声が力強く響く。2人の演奏を見ている観客は、手を挙げている人はまばらで、ほとんどが微動だにしない。でも、わかるよ。すでにステージからあふれ出ているパワーに引き込まれてしまっているということが。
“生きてしぬ”、“チャイム”と、時間が進んでいくたび、背中を押される気持ちになる。扶助ロックのプロフィールだって「結成13年、30代半ばでメジャーデビュー。」で、MCだってもうなんか、本当に音楽を諦めたくても諦められなくて、嫌いにもなれなくて、なのに全然うまくいかなくて、そういう人が作る、カッコつけることもおしゃれでいることも丸投げにしたような、自分の生活をそのまま投影した歌詞が、いちいち突き刺さる。
「ハッピーエンドばかりではないけど、エンドばかりにこだわらず、自分が選ぶということ。その決断を受け入れるということ。それこそ、決断/決意だと思う」というMCから始まった“かかってこいよバッドエンド”は、まるで普通とか一般常識とか、そういう普通とされるものに対するカウンターパンチであるようにも思えた。目の前の死に物狂いで歌う人の様子を見ながら、自分の人生で諦めてしまったこと、選べずに、決断できなかったことを思い出しながら、私もこんなに(せめて人前に立つときくらいは)かっこよくいられたらいいのに、と思ってしまう。

3年前にROOKIE A GO-GOに出演しているが、緊張や不安のために思うように演奏ができず、悔しい思いをした旨を話してくれる実貴子。その悔しい気持ちを「払拭できるチャンスをくれてどうもありがとう」とそのときうまく演奏ができなかったという“正々堂々、死亡”を披露する。爆発するようなドラムとアコースティックギターの音、冒頭のMCでもあったようなストレスだけではなくて悔しさや後悔、そういう負の気持ちをすべてつぎ込んだ歌声が心を打つ。最後の“ファッキンミュージック”は、前回フジロックに出たときに思ったことを歌にしたという。そんなこと言っちゃって大丈夫?なんて心配になってしまうけれど、やっぱり音楽が好きで、ずっと諦められない人なのだと実感する。こんな不器用で、自分のすべてを振り絞るような40分に心が掴まれるのは当然のことのように思う。ものすごい現場を目撃してしまった。

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RED HOT CHILLI PIPERS https://fujirockexpress.net/25/p_1034.html Sun, 27 Jul 2025 03:36:45 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1034 2025年のフジロックも最終日!朝いちばんの出演者として「RED HOT CHILLI PIPERS」と名前が書かれているのを見ると、笑いそうになってしまう。前回2019年の出演でも名前で話題になり、そして現地でもから離れないバグパイプの軽快で踊れるサウンドで再び話題になった。

赤と黒のサッカーユニフォームとスコットランドの伝統衣装の間のようないで立ちで登場するパイパーズたち。まずは、“400%”。3人のパイパーズがステージを歩き回りながら、苗場の大自然のなかでその音色を響かせる。時折吹く風も心地がよく、どこかノスタルジーな雰囲気も感じさせる。クラップ&ハンズの起きた伝統的なバグパイプトラッドの“Mrs Macleod of Raasay”のあとは、ボーカルのキャメロンが出てきて“Gimmie all your Lovin’”、そして“Chasing Cars”をしっとりと聴かせる。どの曲も、バンドサウンドとして再構築されているのでより親しみやすくなり、そしてバグパイプが高らかになり、踊らせる。“Chasing Cars”はドリーミーな一曲であったけど、それでも雰囲気を壊さないのだから彼らの演奏技術の高さがうかがえるようでもあった。

ここで、Aviciiの“Wake me up”!音源にはなかったボーカルありもうれしく、軽やかなメロディーに合わせて観客たちからは合唱も起きる!楽しい!やっぱり、朝いちばんのフジロックはこうじゃないと。AC/DCの“Thunderstruck”では、「おお!」という声も上がり、日差しのきついGREEN STAGEを更に踊らせにくる。この曲ってこんなに踊っていいんだっけ?まったく異なる曲のようでもあった。
再び伝統的な“Oblique Jig”では、パーカッションがわざわざステージ前方に出てきて拍手を煽る煽る!演奏される音楽だけではなくて、メンバーそれぞれも盛り上げ上手なところもこのバンドの魅力のひとつだなと思わせる。Jorneyの“Don’t stop Believin’”は、バグパイプの音楽に合わせて踊り、飛び跳ね、声もあがる。ステージを含めた会場の一体感がすごい!聞こえてきた音をそのまま楽しむという音楽のすばらしさをそのまま体現しているような時間だった。

AHAの“Take on Me”も大胆にアレンジされ、「こういうのもありなんだ……。」なんて、感心してしまう。おなじみのフレーズを、バグパイプを持った3人も一緒になって皆で歌うけれど、途中でバグパイプの音がそこに加わるとしっかり主役の音になるので、尚のこと魅力的な音に聞こえる。
最後はQueenの“Rock You”!これはうれしい!こちらもおなじみすぎるあのフレーズに合わせて皆でクラップ&ハンズをし、野太いギターに、高鳴るバグパイプ、こんなの盛り上がらないはずがない!踊りに踊った3日目トップバッター!幸先のいいステージだったんじゃないでしょうか。

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EGO-WRAPPIN’ https://fujirockexpress.net/25/p_1094.html Sun, 27 Jul 2025 03:00:35 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1094 マイクチェックからこなれた様子で観客たちを一盛り上げしたのち、前回のヘブンでの土砂降りのライブを漫談のように話す2人。そうだよね、ライブ中でも言っていたけれど、来年は30周年、フジロックは10回目の出演となるのだから、いい意味で緊張感もなく、こちらも安心した面持ちのまま期待を寄せられる。

中央に置かれたマイクスタンドに取り付けられた赤いライトが照らされ、バンジョーにコンガ、マラカスと、ウエスタンを彷彿とさせる演奏が終われば、“Neon Sign Stomp”!軽快なドラムとべースのリズムにトランペットとフルートが高らかに鳴り、中納良恵(Vocal)がパワフルに歌う。そして「ヘブン!」「フジロック!」と歌詞の一部を変えて観客たちを一気に引き込んでいく“PARASNOIA”、軽々しく高鳴る森雅樹のギターとドラムがロマンティックに聴かせる“Love scene”と、名曲が続く。長いキャリアがあるからこそ、人から愛されてきた曲も複数あり、曲のよってさまざまな表情を見せ、強弱をつけながら徐々に会場を温めていく。このような一面も、ライブを何度もやってきた彼らだからこそできることなのだと思う。
キャッチーなメロディーに駆け抜けていくドラム、中納の豊かな歌声が伸び行く“裸足の果実”のあとは、7月にリリースされたばかりの“AQUA ROBE”!鈴の音に骨太なベース、シンセも用いり、観客たちはゆっくり身体を揺らして聴き入る。

マイクを手に持ち、「今が幸せ!」というよっちゃん。“a love song”では、ロマンチックな雰囲気のなか美しい歌声を披露し、観客たちとのかけ合いもばっちり!ヘッドライナーだからこそ、最後の力を出しきるかの如く、音に身を任せながら今この瞬間を楽しもうとする。温かなギターのサウンドが心地いい“満ち汐のロマンス”のあとは、中納と森の2人がステージに残り、結成して初めて作ったという“Callling me”、そして“かつて…。”をシンプルな構成でしっとりと聴かれてくれた。こういうのも、フジロックならではなんじゃない?途中で肩を組もうとしたけれど、2人の身長差がありすぎてうまくいかなかった様子もおかしかった。

コンガがリズミカルに踊らせる定番の“色彩のブルース”、そして新曲“Treasures High”は耳に残る管楽器、浮遊感の漂うリズミカルなサウンドの思わず身体を揺らしてしまう。
休む暇もなく“サイコアナルシス”のイントロが流れれば、大きな歓声も上がる。今までも本番だったけど、これからが本番だと言わんばかりの熱気の込められたクラップ&ハンズが起こり、夕方ごろまで降り続いた大雨で奪われた体力を更に奪っていく。「チェリー!」という声とともに“くちばしのチェリー” の聴きなれたパーカッシブなギターが聴こえる。これはうれしい!聴いているこちらが元気をもらえそうな安定した歌声、「ヘブン行こうか!」という扇動もさすが!やっぱり踊らずにはいられない。
アンコールは、“サニーサイドステディ”に“GO ACTION”と、最後の最後まで踊りつくした最高のヘッドライナーだった!1時間半の決められた枠組みのなかでメリハリをつけながらも全員を取り残すことなく楽しませてくれる様子はMCで言っていたように「真面目にコツコツ」やってきたからこそなのではないでしょうか!

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JJJ https://fujirockexpress.net/25/p_1044.html Sat, 26 Jul 2025 14:20:38 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1044 約10分押しでのスタート。まずは大音量で“Synthese Freestyle”のイントロ、そして雨でぬれた身体に突き刺す重低音が鳴る。ステージ背後には、Aru-2(DJ)と岩見継吾(Contrabass)やストリングスのメンバーがいるし、JJJの声だって聞こえる。「今は溢れて止まらない」のシンガロングも起こった。それなのにステージには誰も立っていなくて、いつもよりWHITE STAGEががらんとした空間であるように感じられた。
水中にいるみたいなミックスにストリングスのラグジュアリーな生の演奏が7月の今にグッとハマった“Mihara”のあとは、先ほどまで豪雨のなかで暴れ回ったBaliming TigerからSogummが、ブルーのリュックサックを背負って穏やかに登場する。背後のスクリーンにはMVが流されていて、そこにはJの姿があったし、Sogummの冷涼感を覚える切ない歌声が響く。時折、天に向かって祈るように歌うようにも見えた。「My Friend」というフレーズをその美しい声で語りかけるように歌う姿、わざわざ手紙を用意して「JJJさんのステージでご一緒できてうれしかったです。また会いましょう。I Love You!」と読みあげる姿を見ていると、国や言語を超えて2人はよい関係だったのだろうということが感じ取れて少し泣きそうにもなる。

重いギターにストリングスが加わることで新たな表情を見せる“DJANGO!”のあとは“Eye Splice”。思い切りのいいくらいに大音量で流れるビビットなビートにJの声。「訳わからないほどに 落ちる日にもちゃんと意味がある 知ってる 立てば転ぶようにできて繰り返す」という苦悩と葛藤を繰り返し、それでも優しさや希望を手放さなかった人にしか生み出せないリリックにどれくらい救われてきたんだろう。周りを見渡せば、ひとつずつの音を噛み締めるように観客たちの様子がうかがえる。
盟友STUTSとOMSBがゲストに登場し、2人が関わった“心”のイントロが鳴る。そのあとの“Bro”でも、OMSBのざらついた厚みのある歌声と、スピーカーから聴こえるJJJの声が重なり合うと、まるで2人がそこにいるような感覚にもなってくる。
2人と入れ替えになる形でストリングスの5名がステージに戻ってき、5月にリリースされた“dali”。サイケデリックな映像と重厚感のあるコントラバスに「俺は歌の中で生きると朝は死んだようなサナギ」というリリックに胸がぎゅっとなる。

ほっかむりみたいにタオルを被ったCampanellaが登場し、水を注ぎこむようにライムをかましまくった“Friendskill”のあとは、Daichi Yamamotoが現れ、軽快なビートに乗るDaichiの切ない声を聴く観客たちの手も次々と上がった“Taxi”、そして“Find A Way”では、ループするピアノとコントラバスがフックとなって重くしっかり聞かせてくれる。
スクリーンのノスタルジックな写真が次々と映し出された“PLACE TO GO”、そしてCampanellaが再登場して耳障りのいいピアノのイントロが流れたと思えば、“Something”。「今現在リリックに込める 自分と自分のその後 2022.9.15」をJの命日である「2025.4.13」と力強く歌い、スクリーンに映し出されたCampanelllaの首筋には、「Maktub」の新しいタトゥーが見える。最後には「最高の友達でした!」と過去形で話す姿に、理解をしているつもりだったJの不在、そしてもう2度とステージで姿を見ることも、新曲を聴くこともできないのだと実感してしまう。

MVとともに流れた“Beaurtiful Mind”のあとは、STUTSが再登場し、“Three Stars Willl Shine Tinight”のメロディが流れる。“DANCE SHOES”だ。STUTSのフィンガードラムの音も心地よく響き、最後は“Changes”。ストリングスの加わり、先ほどのSTUTSのステージの同曲とは異なった表現、そして「過去、今、あの日が重なる」にはグッと来ながらも、Jの残した作品とその意味について考えてしまう。さよならって、いつ言えばいいんだろう。まだわからないでいる。突然の訃報に、すでに発表されたステージを「JJJ」の名前をそのままにしてやり抜いた出演者の皆さんには謝意を表したい。

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FAYE WEBSTER https://fujirockexpress.net/25/p_1045.html Sat, 26 Jul 2025 12:35:04 +0000 https://fujirockexpress.net/25/?p=1045 SEとしてNew Jeansの“How Sweet”が流れるけれど、周りの観客たちは無反応で、え?New Jeansおじさんとフジロックの客層って被ってないのか?なんて考えてしまうけれど、大雨でそれどころではないだけかもしれない。1時間前から降り始めた雨は止む気配を一切感じさせず、「ああ、そういえばフジロックってこういう感じだったな」ということを思い出す。

背後のスクリーンにワインレッドのカーテンが映し出され、登場するミニオン。その様子はどこかフェイにも似ているように見える。メンバーとともに出てきたフェイは、学生服を改造したようなドレスを着ていて、お団子頭にもよく似合う。背後のスクリーンは、ブルーのランドリースペースに切り替わっている。優しいギターの音とともにスタートしたのは“But Not Kiss”。骨のあるドラムと優しく耳に残るピアノのサウンドをフックにし、透明感のあるフェイの歌声が染み渡る。
チルウェイブを取り入れた“Wanna Quit All the Time”はタイトル通りどこか脱力感を覚えながらも心地よいグルーヴが聞こえ、2本のなめらかなギターのサウンドが重なる“Wilco Type Beat”、そして、“Right Side of My Neck”ではきらめくようなバイオリンがアクセントとなって、フェイ自身は表情を変えることなく淡々と「私の首の右には、まだあなたの匂いが残っている」というフレーズを繰り返していたけれど、尚のこと他者とのもっとも親密だった頃を静かに映すような表現でもあって、息を飲むように聞き入ってしまう。海外フェスなどの映像を見ていると、大体どこであっても大合唱が起きていて、静かにフェイの歌声に酔いしれることができるのは珍しいことで、結構貴重な体験かもしれないなんて思ったりもする。

サイケデリックなギターが印象に残る“Lego Ring”のあとの“Suite: Jonny”では、ハンドマイクを持ち、話しかけるみたいに歌うフェイ。とても私的で、自身に起こったような出来事を歌っていると思われる曲が多いからこそ、1つのステージを通じてまるで日記を見ているような気持ちになる。時折見せる笑顔に、思わずときめいてしまう。

ひとりステージに残されたフェイ。「大好きな友達です!」と招かれたのは、午前中のライブを終えたばかりのmei ehara!“Overslept”では2人の声とギターのみというシンプルな構成だったけれど、だからこそ、質の異なるふたりの声が日本語と英語で交互に美しく響く。タイムテーブルが出た瞬間に、ちょっと予想はしていたけれど、やっぱりうれしいサプライズであった。
一日の終わりのような白昼夢のような“Tttttime”は、囁きながら繰り返される歌声が響く。タイトル通り、寝る直前みたいなドリームポップの“Feeling Good Today”では、コーラスとキーボードのみというシンプルな構成だからこそ、しっとりと聴き入ることができた。最後は、定番の“Kingston”。全編を通じて、多くは語らず、過度に感情を見せることなく歌う姿に、すっかり魅了された1時間であった。

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