FUJIROCK EXPRESS'10 » eriko http://fujirockexpress.net/10 フジロック会場から最新レポートをお届け Mon, 13 Sep 2010 16:31:08 +0000 ja hourly 1 http://wordpress.org/?v=3.0 ATOMS FOR PEACE http://fujirockexpress.net/10/?p=4511 http://fujirockexpress.net/10/?p=4511#comments Sun, 08 Aug 2010 14:50:17 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4511 続きを読む ]]> ATOMS FOR PEACE

 今日音楽業界では有名バンドのメンバーが別プロジェクトを組むのがちょっとした流行だが、バンド名のごとく“原子力級”なバンドがフジロック最終日のグリーン・ステージにお出ましだ。レディオヘッドのボーカルのトム・ヨークとレッド・ホット・チリ・ペッパーズのベースのフリーという、現代オルタナティブ・ロック界のアイコンを二人据えているだけでもお腹いっぱいなのに、それを陰で支えるのがレディオヘッドやトラヴィスなどのプロデュースでお馴染みの、音楽業界のトップ・プロデューサー、ナイジェル・ゴドリッチときたもんだ。さらにはR.E.M.でドラムスを担当していたジョーイ・ワロンカーとブラジル出身のマルチ・プレイヤーであるマウロ・レフォスコが演奏に加わるとあれば、ライブ観る前から悪くなるはずがない。そう思っていた。

 だが、私は真のアーティストの底力をなめていたかもしれない。これは以前、ボブ・ディランの来日公演でも感じたことなのだが、一流のアーティストは観客が期待の上の上をいくようなことをやってのけてみせる。彼らが造りだす音は、トムの楽曲にフリーのベースによってファンクネスが加わって、ナイジェルによって全体のバランスが整えられた音・・・・・・なんて単純な加算式で導き出せるようなものではなかった。

 無感情で無機質で機械的なエレクトニカ・アルバム『The Eraser』の楽曲は、トライバルなリズムが加わることによって熱を帯び、感情を持ち、野獣のような躍動感で耳に迫ってきた。それは今年のグラストンバリー・フェスティバルででトムとジョニーによって奏でられたシンプルでアコースティックなアレンジとも全く異なるもので、一音先の展開さえ読めなかった。音のプロ集団のプライドがぶつかり合うような鉄壁の演奏に支えられ、トムはレディオヘッドのときよりもいささかリラックスした様子。お馴染みのトム・ダンスもいつもより激しい。フリーもレッチリのときほどとまででは言わないものの、あのお馴染みの動きでスラップベースを鳴らしてみせる。トムとフリーが対峙してギター×ベースバトルを繰り広げる姿は「かっこいい」の一言で、観客からも大きな歓声が沸き上がった。

 一通り『The Eraser』からの楽曲を演奏した後、中盤に挟まれたのはトムのソロコーナー。ギター一本で奏でられた”I might be wrong”、ピアノ弾き語りによる”video tape”と、レディオヘッドの楽曲が、シンプルなアレンジで演奏された。これまでの攻撃的なステージの様子とは一変、夜の苗場がトムの暖かな声に静かに包み込まれていった。

 バンドのメンバーが再度ステージにあがってからも、特にレディオヘッドのキラーチューンを演奏するわけでもなく、淡々とステージは進んだ。途中のMCで「次の曲はThe BeatlesのPaperback Writerだよ」なんてギャグを言いつつ子供のように笑っていたトムに、最後の最後までかわされた気分だ。グリーンステージの後方までみっちりと集まった観客も、ライブ後にステージを去る熱狂的な歓声で送るというよりは、彼らの演奏に圧倒されて拍手をするのがやっと、というように見えた。こんなにも「置いてけぼり」感を味わったライブはかつてなかったように思う。ただそれと同時に、こんなにも鳴らされる一音一音に身震いを覚えたライブもなかった。

 タンクトップから胸毛が覗くトムも、ピアニカを吹くフリーも、コーラスをするナイジェルも、この先そう観ることはできないだろう。そして今晩聴いたあの音も、二度と同じように鳴らされることはないだろう。これぞ一期一会のライブの醍醐味。2010年夏、この一瞬の夢のようなステージを目撃できたことがだただ嬉しい。

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[setlist]
1. The Eraser
2. Analyse
3. The Clock
4. Black Swan
5. Skip Divided
6. Atoms For Peace
7. And It Rained All Night
8. Harrowdown Hill
9. Cymbal Rush

-Thom Yorke solo part-
10. I Might Be Wrong
11. Give Up The Ghost
12. Videotape

13. Paperbag Writer
14. Judge, Jury and Executioner
15. Hollow Earth
16. Feeling Pulled Apart By Horses

写真:前田博史
文:本堂清佳

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MUSE http://fujirockexpress.net/10/?p=2188 http://fujirockexpress.net/10/?p=2188#comments Sun, 08 Aug 2010 14:40:42 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=2188
今年、数々のフェスティバルでヘッドライナーを飾り、その勢いにとどまることを知らないミューズ。自分が1stアルバムの「ショウビズ」の”マッスル・ミュージアム”に衝撃を受け熱狂していた頃から月日が経ち、今や世界中から注目されるアーティストである事実は信じがたいもののように思えた。しかしそれは、今日のグリーンステージの一幕により、確信に繋がっていた。

ライブの開始は予定時刻より10分以上押して始まった。始まりは最新アルバム「レジスタンス」から”アップライジング”。グリーンステージは後ろの方までびっしりと人で埋め尽くされ、大歓声と大合唱のもと再び迎え入れた。そしてかき鳴らすスクラッチで始まる”スーパーマッシブ・ブラック・ホール”。ギターボーカル、マシュー・ベラミーのどこまでも高くのびる艶やかな美声が苗場を包み込んだ。夕方の雨は重たい湿気を残していったが、霧に包まれ不気味ささえ感じるステージはぴったりの演出になっていた。

”ニュー・ボーン”で一変して旧曲に。待ってましたとばかりに飛び跳ね、踊り出す人たちの光景がレーザーライトからこぼれた光に映る。この曲を聴いていた当時を思い出しながら、人で埋め尽くされた会場を見るのは圧巻だった。そうかと思えば3rd「アブソリューション」から”ヒステリア”が。攻撃的なベースのイントロが耳にこびりつく。スポットライトを浴びたマシューはここぞとばかりにギターソロを見せつける。そして再び新譜からの”レジスタンス”。選曲は新旧が織り混ざり、そのひとつひとつが違和感なく耳に届く。

終盤は”タイム・イズ・ランニングアウト”、”スターライト”でクラップの嵐。グリーン・ステージでの一体感、星のない夜空に、光を突き刺す。激しく重たい音と美しいメロディ。ひとつのカテゴリーに収まることのないエネルギッシュなライブは、初日を飾る堂々たるステージとなった。

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写真:古川喜隆
文:千葉原宏美

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石橋英子 http://fujirockexpress.net/10/?p=4859 http://fujirockexpress.net/10/?p=4859#comments Tue, 03 Aug 2010 14:52:38 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4859
 遅目の夕飯の時間帯だったせいか、ステージ前では石橋英子の登場を椅子に座ってのんびりと待つ人が多く目立った。彼女はシンガーソングライターでありピアニストでありドラマーでもある。ライブや音源では、山本精一、七尾旅人、灰野敬二、ナスノミツルなど名だたるアーティストと共演しており、楳図かずおの作詞作曲した「むかしトイレがこわかった!」をみんなの歌で歌っていたりもする。知れば知るほど石橋英子への興味は深まるばかりだ。さて今日は誰と一緒に演奏するのだろう。

 苗場食堂のステージに登場した石橋英子とともに現れたのは、ドラムの山本達久とヴァイオリンの勝井祐二(ROVOなど)。メンバーの2人をを紹介し軽く挨拶をしてから美しいピアノのイントロ「帰郷」がスタート。キーボードだけのサウンドから徐々にドラムとヴァイオリンが重なってゆき音に滑らかな厚みがついてくる。

 あたりに音が充満すると、苗場食堂の中だけでなく目の前の小高くなった場所も、ワールドレストランの入り口も素敵な空間に早変わり。レストランでディナー、なんて背伸びしたお洒落の空気ではなく田舎に帰って畳の上でくつろいでいるような落ち着いた感覚だ。のんびり食事をしながら、お酒を飲みながら生演奏が聴けるだなんて贅沢なんだろうか。あぁ、私も椅子を持ってくればよかった。

 美しい演奏にのせて「Postcard from Ghost」では「まるつぶれ めっためただ」「アル中になればよかった」などというドキっとするような歌詞が、家族団らん的な雰囲気の客席に容赦なく刺さる。刺さりはするが不快感や嫌悪感は感じないのが彼女の魅力の1つなのだろう。その証拠に演奏が終わったとき苗場食堂を埋め尽くした拍手は、とても暖かさに溢れていた。
_MG_5714 _MG_5737 石橋英子 KKM_8471 KKM_8430

写真:輪千希美
文:名塚麻貴

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カジヒデキ http://fujirockexpress.net/10/?p=4950 http://fujirockexpress.net/10/?p=4950#comments Sun, 01 Aug 2010 16:41:52 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4950

 登場するアーティストもあとわずかになったフジロック最終日の夜。苗場食堂のステージ周辺はいまだかつて無いくらいにギッシリとお客さんで埋まり、そして「彼」が登場するのを待っていたのだった。
 
「こんばんは、カジヒデキです(はあと)」

 あぁ全てのセリフに(はあと)を入れたい。ノンジャンルの出演者を誇るフジロックに、ついにミスター・スウェーデン、カジ君の登場である。集まれ森ガール! 集まれオリーブ女子!

 カジ君を中心にRiddim Saunterのメンバーが参加するパーカッション、ドラム、フルートで構成されたバンドは、アコースティック仕様。”パッション・フルーツ”からライヴは始まり、ハーフパンツに麦わら帽子姿のカジ君が「さぁみんな一緒だよ(はあと)」と客席に声をかけるのは”甘い恋人”。デスメタルの人が乱入して苗場食堂のステージが真っ赤な血で染まる……ような事はなく、お客さんも一緒にサビで大合唱。

 フジロック開催前、テレビ番組でブライアン・バートンルイスに苗場に連れて行かれたというカジ君。番組の中でフジロックのお客さんをテーマにしたという”ロックと長靴”を作曲したのがきっかけで、急遽フジロックへの出演が決まったのだという。フジロックのお客さんに捧げるというこの曲、苗場食堂の空気にもピッタリハマって、ほんとにポップでキュート(はあと)。

 後半はギターを持ち替えて、ロックモードのカジ君。再び降り出した雨にも全然負けないお客さんの熱気に、「サンキュー、ソーマッチ(はあと)」と嬉しそう。かつてCMソングにもなった”LA BOUM ~MY BOOM IS ME~”ではオアシスエリアのお客さんも大盛り上がり。本編終了後には熱烈なカジ君コール(アンコール)が起こり、急遽予定に無かった”ヘイ・ヘイ・ベイビー・ポップ”が演奏され、お店のお客さんまでも盛り上がっていた。カジ君が去り際に言っていたのけれど、「サンキューフジロックピーポー(はあと)」。そう、まさにそんな一体感を見せていたのだった。

_MG_5746 _MG_5748 KKM_8493 KKM_8520 カジヒデキ

写真:輪千希美
文:小田葉子

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DJ JAMES MURPHY(LCD SOUNDSYSTEM) http://fujirockexpress.net/10/?p=4939 http://fujirockexpress.net/10/?p=4939#comments Sun, 01 Aug 2010 16:02:27 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4939

_MG_3055 _MG_3061 _MG_3070 _MG_3074 DJ JAMES MURPHY(LCD SOUNDSYSTEM)

写真:中島たくみ

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RYUHEI THE MAN (universounds / The Man’s World Productions) http://fujirockexpress.net/10/?p=4905 http://fujirockexpress.net/10/?p=4905#comments Sun, 01 Aug 2010 15:25:23 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4905

RYUHEI THE MAN (universounds / The Man’s World Productions) _TR14486 _TR14489 _TR14495 _TR14503

写真:深野輝美

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BELLE AND SEBASTIAN http://fujirockexpress.net/10/?p=4842 http://fujirockexpress.net/10/?p=4842#comments Sun, 01 Aug 2010 14:24:18 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4842

 なんか、こういう終わり方もいいかなと思った。

 フジロック最終日、ホワイトステージの締めくくりに登場したのはベル&セバスチャンだった。おそらくアトムス・フォー・ピースが終わって流れてきたと思われるお客さんたちで、ホワイト・ステージはほぼ満員状態になった。夜霧が低いところまで下がってきて、小雨が降るような天候。かなり冷気に包まれていた。始まる前はファウンテンズ・オブ・ウェインが流れている。

 なんだか、大音量だとか、音の迫力だとか、そういうのばっかりを聴いていると、あんなにバンドのメンバーがたくさんいるのに、淡々とした音楽をベル&セバスチャンは聴かせてくれた。おそらく新曲”I Didn’t See It Coming”で始まり、”I’m A Cuckoo”、”Step Into My Office, Baby”とポップで軽快な曲が続く。スチュアート・マードックはジャケットを着用。スチュアートはふるまいはロック・スターのパロディを演じているかのようだ。

 ステージの上にいるのは、いつもの7人プラス、日本人の男女4人のストリングスなので、しっとりとしたストリングスの美しい響きが染み入る。スチュアートを中心に、プライベート・パーティを楽しむかのようなライヴだった。「マタふじ二モドッテコレテウレシイ」「ヤマデウタウノガスキ」と挨拶したり、ステージに客を上げて踊らせたり、ステージ上に虫が(カブトムシ?)迷い込んできたとかで、ビートルズの曲のイントロをスティービーが次々とつま弾いて歓声を上げさせ(”A Hard Day’s Night”とか数曲)て、鼻歌的に”Ticket To Ride”演奏し始めたけど、グダグダになってやめたとか、”If You Find Yourself Caught In Love”でスチュワートはステージを降りて、客席にダイヴをおこなった。ダイヴというのがベルセバらしくないのだが、十分遊んでいる感じが、むしろ良い。アッパーでも感動でもなく、こうしたユルく3日間を終わらせるのもいいと思えたライヴだった。

 ラストのラストは”Legal Man”。スチュワートは最後の挨拶をおこなう「キヲツケテ、カエッテ、オヤスミ」。では気をつけて帰りましょう。

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写真:古川喜隆,文:イケダノブユキ

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MASSIVE ATTACK http://fujirockexpress.net/10/?p=4764 http://fujirockexpress.net/10/?p=4764#comments Sun, 01 Aug 2010 13:27:00 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4764
今年に入って5枚目のアルバムとなる『ヘリゴランド』を発売したマッシブ・アタック。前回フジロックに登場した時もアルバム『100th Window』直後の2003年だっただけに、もしかして…と思ったファンもいたのではないだろうか。実に7年ぶりのオリジナルアルバムをたずさえた苗場でのライブは、前回と同様に異常にクオリティの高いサウンドとビジュアルにあわせて強いメッセージを宿したものであり、フジロッカーズの心に深く重い問いを投げかけていた。

アトモス・フォー・ピースの興奮が覚めやらぬグリーンステージ。風鈴のような鈴のような音色のSEが響くなか、青い照明に3Dことロバート・デル・ナジャの姿が浮かび上がり、「ユナイテッド・スネイクス」からライブはスタートした。白い閃光が走る中スモークがたかれ、最終日のヘッドライナーの登場を目撃した客席から、静かだがたしかな喜びを伴った歓声がわき起こった。マルティナ・トップレイ・バードを招いて「バベル」、「ライジングサン」と『ヘリゴランド』からのナンバーが披露され、おさえた展開ながら隙のない完璧なステージにグリーンステージの客席がさざ波のように揺れ始める。

レゲエの雄ホレス・アンディを招いての「ガールアイラブユー」に続いて、「サイケ」、「フューチャープルーフ」、そして名曲「ティアドロップ」。細身でキュートなマルティナが発するハスキーで芯のある独特の歌声が夜の苗場に染みていくにつれ、雨脚が強まる厳しい環境がおだやかな浮遊感に包まれていく。アルバムとは全アレンジが異なることも手伝って、何度も繰り返し聞いた楽曲がまるで別の作品のように感じられた。

ステージ中盤からは再びホレス・アンディを招いての「エンジェル」、「セーフフロムハーム」、「イナーシアクリープス」といったおなじみの楽曲が立て続けに演奏された。マッシブアタックといえばメッセージ性の強いビジュアルの展開がライブでの大きな魅力であるが、前回のフジロック同様日本語にローカライズされた彼らのステージは若者を中心としたフジロッカーズに衝撃を与えた様子である。

たとえば、アウンサン・スーチーやネルソン・マンデラらの談話を引用するという形で自由や民主主義についてのメッセージが投げかけられる「セーフフロムハーム」では、雨の中大はしゃぎしていたカップルが楽曲が進むにつれてだんだん静かになり、最後にはふたりで手を取り合ってじっとスクリーンを見つめるようになっていた光景が印象的であった。また、「イナーシアクリープス」では、3万匹のミツバチが消えたニュースや捕鯨問題をはじめ、一般のマスコミでは大きく取り上げられないようなメッセージ、国内の政治や芸能といったトピックスが次々にスクリーンでとりあげられ、モッシュピットにいる熱心な観客の中からも「キツイな」「メッセージ性強すぎて、ヤバイ…」といったひとりごとが聞かれるほどであった。

マッシブアタックの楽曲に触れて感じるのは、ただ騒いで発散したり感動して涙するだけではなく、魂の深い部分まで降りていってじっくりと考える契機としても音楽は大きな力を持っているということである。その意味で、今回のステージもまた大成功であったといえるだろう。しかし、自由や民主主義、あるいは大手マスコミが取り上げないようなディープなニュースといったモチーフは911を経てリーマンショックを経験した現在の私たちには若干古くさく感じられるのも事実であろう。

今進行している、現在の私たちに、7年ぶりに現れたマッシブアタックはどのようなメッセージを投げかけるのか。その姿勢は、アンコール最後の曲に選ばれた『ヘリゴランド』10曲目の「アトラスエアー」とそのビジュアルにあらわれていたように感じられる。ステージには線画で自転する地球が映し出され、国境を越えて飛行機が飛んでいく様子が航空路線の形で描写されていく。続いて表示される、たくさんの国旗。そしてそれと同列に表示される「ジョンソンアンドジョンソン」や「マクドナルド」「アップルコンピュータ」といった多国籍企業のロゴーマーク。それは私たちの住む社会は市場経済を中心に回っていることを改めて示すものにも見え、私たちは個人の力ではあらがうことができない「何かに」支配されているのではないか?という問いをフジロックという非日常に浮かれている私たちに突きつけているようにも感じられた。

デーモン・アルバーンの登場こそかなわなかったものの、フジロックフェスティバル2010の大トリとして大きなインパクトを残したマッシブアタック。ステージ終了後「雨の中ありがとう」との言葉を投げかけたロバート・デル・ナジャとメンバー全員の笑顔が、そのステージの成果を証明していたといえるだろう。

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写真:前田博史
文:永田夏来

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DAMAGE (3AM SET) http://fujirockexpress.net/10/?p=4682 http://fujirockexpress.net/10/?p=4682#comments Sun, 01 Aug 2010 12:39:35 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4682

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写真:佐俣美幸

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MATSUSAKA DAISUKE http://fujirockexpress.net/10/?p=4596 http://fujirockexpress.net/10/?p=4596#comments Sun, 01 Aug 2010 12:00:12 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4596

MATSUSAKA DAISUKE IMG_0850 IMG_2171 IMG_2191

写真:佐俣美幸

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Gellers http://fujirockexpress.net/10/?p=4576 http://fujirockexpress.net/10/?p=4576#comments Sun, 01 Aug 2010 11:50:42 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4576

 「あのギターの人、トクマルシューゴさんですよね?」

 「もうすぐ終わってしまうなぁ」的な寂しさをほんのり感じ始めたフジロック三日目の夜。苗場食堂にて「Gellers」のサウンドチェック風景を眺めていると、お客さんにそう尋ねられた。

 「Gellers」は2007年にルーキー・ア・ゴーゴーのステージに登場したバンドだ。直後に活動を休止してしまいとても残念だったのだけれど、今年になって復活し、再びフジロックのステージに登場してくれる事になった。メンバーには海外でも高く評価され、2009年のニューズウィーク誌で「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれてしまった(!)アーティスト、トクマルシューゴがギタリストで在籍している。しかし、彼らに対して特筆すべきは、そこではないのだ。

 メンバーと機材が乗りきった苗場食堂のステージは、もうすでにギュウギュウといった感じ。そしてそれはお客さんも同様で、そんな中、ライヴは始まった。

 ”M”でピアニカを吹いて見せるヴォーカル&キーボードの田代。彼はルーキーステージ出演の時もキレまくっていたのだけれど、今年の苗場食堂でも衝動のままにキレて大暴れ。”Buscape”の演奏中にドラムセットにダイヴし、機材を破壊する。しかしこのバンドが本当にオソロしいのは、それでもどこか冷めた(覚めた)視線の演奏が併行し続ける所だ。

 彼らの演奏の裏では、グリーンステージでトム・ヨークが登場する「ATOMS FOR PEACE」が演奏中だった。「アレ見ないで俺ら見るなんてバカか!」なんてMCで言われてしまったのだけれど、壊れたステージセットを直しているインターバルの間、トクマルがギターでさりげなくレディオヘッドの”Creep”のワンフレーズを爪弾いて見せた。すかさず反応するお客さん。そしてコッソリと続き始めた歌と演奏が、結局最後にはお客さんもサビで一緒にアンセム状態、大音量演奏で大盛り上がりに。こらこらこらっ。でも、まぁ、面白かったからいいか。

 機材が復活した演奏終盤、”9 teeth Picabia”でメンバー全員、狭いステージで蠢くようにキレ始める。ステージに座り込んでギターを抱えこみながら演奏を続ける川副。トクマルはギターを置きドラムスティックを持ったかと思うとシンバルを乱打し始めた。止む事なく演奏は続いている。ス、スゴい、コワい。
 
 行動に対する理論立てが存在せず、好きな事に対して一切の妥協がない子供の衝動。時としてオソロしいそれらは大人になるにつれ理性とか分別とかそういったものでねじ伏せられてしまうけれど、「Gellers」にはDNAとしてそのまま存在してしまっているのだ。彼らはそんな、稀有なバンドなのであった。

_MG_5712 KKM_8274 KKM_8333 KKM_8357 Gellers

写真:輪千希美
文:小田葉子

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BOOM BOOM SATELLITES http://fujirockexpress.net/10/?p=4362 http://fujirockexpress.net/10/?p=4362#comments Sun, 01 Aug 2010 09:17:24 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4362

俺たちが日本のブンブン・サテライツだ! というような自信と誇りに満ちたライヴだった。

ブンブン・サテライツはフジロックに何度も出演して縁が深いので、ホーム/アウェイでいえば、ホームといってもいいくらいだけども、グリーン・ステージに立つのは初めてである。ホワイト・ステージでは存分に力をみせている(2005年のライヴはDVDとして商品化されたくらい)けど、大きさが2倍となるグリーン・ステージではどうなのか。グリーン・ステージが大きすぎて力不足を露呈したバンドだっているのだ。

演奏が始まると、お客さんはだんだん増えていって、泥田のようにぐちゃぐちゃになっているPAブース脇のスペースまで埋まるようになった。それは、もちろん次に演奏するバンド目当ての人が多かったからなんだろうけど、ブンブンへの反応をみていると、そういったお客さんを巻き込んでいくだけのパワーを存分に発揮できたのだ。

それはブンブン・サテライツがグリーン・ステージにふさわしい音楽的なスケールの大きさを獲得したからだろう。今までホワイトステージで聴いてきた”Fogbound”や”Kick It Out”や”Dress Like An Angel”の激しさや、音の厚みが何倍にもなってグリーン・ステージの隅々まで届くようになったのだ。

ライヴは”Easy Action”で始まった。ヴォーカル/ギターの川島はステージ駆け巡りお客さんを煽る。川島のギターはハードで、ラウドで、かつ鋭く、中野が操る電子音や攻撃的なベースと一体となって迫力を生む。川島はギターの、中野はベースの、フライングVを持っているのだけど、二人が並んでそれを上に掲げ、お客さんを沸かせた。この日の一番の聴きどころは”Stay”のゆったりとしてスケールの大きい音像をグリーン・ステージで十分に再現できたことだ。またひとつステップアップして、次の段階に進んでいることを確認できたものだった。

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写真:前田博史
文:イケダノブユキ

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VAMPIRE WEEKEND http://fujirockexpress.net/10/?p=4222 http://fujirockexpress.net/10/?p=4222#comments Sun, 01 Aug 2010 07:50:48 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4222

ロックにとっての「垣根」は、昔はルールとか政治とか、社会的なものに対し存在していたように思う。しかし最近では、もっぱら垣根は音楽ジャンルに対して建てられ、そして昔と同じようにその垣根を若き才能が飛び越えていく様を見せているようだ。ロックの名を冠した苗場の夏が音楽の多様性に満ちたものであったり、アメリカから来たこのバンドが、インディーロックのフォーマットでワールドミュージックを取り込んでみたりするように。

さわやかさ的にはちょっと惜しい空模様に対し、ステージ上にヒョロリと現れたハーフパンツ&パステルカラーのヴァンパイアウィークエンド。のっけからスカのように裏拍でメロディーを走らせる「Holiday」でじっと待っていたオーディエンスの体をほぐしにかかった。音源やクリップでのポップな印象は、再現される曲の楽しさや外見からそのままである。けれども意外にも音の足腰はしっかりとしており、ローファイなペラペラ感にニヤニヤするというよりは、彼らのエッセンスでもある中南米〜アフリカのリズムに身を投じるような感覚でライヴを堪能させてくれる。

今年の名盤として年末頃にまたあのジャケと対峙させられそうな『Contra』からだけでなく、ファーストアルバムからもバランスよく楽曲が披露される。中でも盛り上がったのは中盤の「A-PUNK」であろう。ギター、キーボード、そして声というカラフルな音のレイヤーが、軽やかだけどブレないリズムの上で弾む。広いグリーンステージのクラウドが揺れ、後方でもなんとなくの姿勢で見ていたであろう人が徐々に身を踊りに変化させていく様子も見られた。

フェスティバルにふさわしい、祝祭の彩りを見せた時間だった。願わくば晴天の下で、というわがままも出てきそうな彼らのカラフルなサウンドは、高い再現性をもって鳴らされた。だが、やっかいな曇天もまた、彼らの多様性の中に内包されたのかもしれない。だって僕と、その他多くの人は、彼らの時間を使ってずいぶんと体を揺らされていたわけだもの。

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写真:穂谷益代

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CODEINE VELVET CLUB http://fujirockexpress.net/10/?p=4211 http://fujirockexpress.net/10/?p=4211#comments Sun, 01 Aug 2010 07:36:52 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4211
 フジロックのラインナップが決定し、タイムテーブルを眺めながら、音を聴いてみると、ふと気になる音に手が止まった。へー、スコットランドの人なのか、なるほど。え?元The Fratellisのフロントマンのジョンのサイドプロジェクト? ははぁん、なるほど。The Fratellisとしての活動に終止符を打ったのは今年、2010年の春のこと。バンドが解散することは悲しいことではあるけれど、そのバンドをいったん解体することにより、もう一度、それぞれの音楽のスイッチを元に戻して、再度自分のなかの音楽を構築し直すチャンスであると思うと、新たな楽しみができたとも思える。ジョンが音楽をリセットしたのは早く、次の音楽の基盤として誕生させたのがCodeine Velvet Clubだったというわけなのだ。

 ジョンがCodeine Velvet Club として活動する仲間に選んだのは、Lou Hickeyだったのだ。ステージにはシャツにベスト 姿のジョン、隣にたたずむはスレンダーなラインが最大限美しく生えるようにデザインされた膝上丈ワンピースをきるLou。写真で見ていたLouとはまるで別人とも思えてしまう その姿は、女であるはずの私には決定的に欠けている要素、洗練された美というもの。 そしてまた、このLouの歌声は秀逸そのもの。女性でしか持ち得ない透明感と、艶かしさ と力強さの3つともを兼ね備えているのである。
 
 それにしてもグラスゴーの音楽ネットワークには脱帽し放題である。The Fratellis というバンドの歴史を終えても、これだけ良質の音楽を排出することができる仲間ができるのだ。The Fratellisの延長線の音楽をするのではなく、Louというパートナーと、ベース、 ドラムにキーボード、トランペットとサックスを加えて7人のパワーは、グラスゴーの ポップさを追求した極上のポップ・ソング・オブ・ポップ、あるい はポップ・ソングのためのポップ・ソングに新たな1ページを追加した。
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写真:熊沢泉
文:ヨシカワクニコ

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OCEAN COLOUR SCENE http://fujirockexpress.net/10/?p=4009 http://fujirockexpress.net/10/?p=4009#comments Sun, 01 Aug 2010 04:49:12 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=4009

 曇り、時々晴れ、微風というフジロック3日目昼間のグリーンステージに登場したのは、オーシャン・カラー・シーン。何度かフジロックには登場しているので、お馴染みのバンドである。すでにベテランといっても差し支えない年月を重ねたバンドであり、その年月からくる貫録や余裕をステージ上で十分に発揮していた。

 始まる前は、ビートルズの『アビー・ロード』が流れていて、いかにもという感じがほほえましい。登場してまずは、”The Riverboat Song”から始まる。賑やかなギターリフが鳴りステージ前のお客さんは歓声を上げる。早くもハンドクラップを要求してステージ前が応える。それをみてご機嫌な表情でビールを飲むヴォーカルのサイモン。続いて演奏されたのが、”The Circle”。『モーズリー・ショールズ』2連発でオールドファン歓喜の流れである。

 ”Profit In Peace”では、ドラマーのオスカーが歌いだしのヴォーカルを取り、サイモンが本編を歌う。この「平和には利益がある」というストレートすぎる反戦ソングは最近のオーシャン・カラー・シーンで繰り返されるメッセージである。そして、お客さんたちに「Don’t wanna fight no more~」とサビを合唱させる。”Magic Carpet Days”のマンドリン(?)はローディの人が演奏する。このローディの人はテルミンを演奏したり陰ながら活躍していた。

 新しいアルバムの曲をもっともっとやってくれた方がよかった。中盤は少しマッタリしすぎたかなと思えるだけに、”Sing Children Sing”とか”Rockfield”とか、やってほしかったのが正直なところ。もしかしたら、苗場のユルい空気に感化されたのかもしれない。締めに”Hundred Mile High City”、そして”The Day We Caught The Train”とみんなが待ち望んでいた曲を演奏。”The Day We Caught~”では、サイモンがコーラスを促し、それに応える。思えば99年の3日目のグリーンステージでもこの今日で大合唱したことを思い出し、10年経っても変わらなさに感慨にふけり、そしていまだに、この場でこの曲を聴くことができることに感謝してしまうのだ。

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写真:穂谷益代
文:イケダノブユキ

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REDSHOES http://fujirockexpress.net/10/?p=3923 http://fujirockexpress.net/10/?p=3923#comments Sun, 01 Aug 2010 03:44:32 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=3923

REDSHOES IMG_9240 IMG_9269

写真:横山正人

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WOMB http://fujirockexpress.net/10/?p=3882 http://fujirockexpress.net/10/?p=3882#comments Sun, 01 Aug 2010 03:30:25 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=3882

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写真:横山正人

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TAKKYU ISHINO http://fujirockexpress.net/10/?p=3847 http://fujirockexpress.net/10/?p=3847#comments Sun, 01 Aug 2010 03:17:09 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=3847

IMG_7829 TAKKYU ISHINO IMG_7844 IMG_7868 ZI1V8593

写真:前田博史

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ASIAN KUNG-FU GENERATION http://fujirockexpress.net/10/?p=3805 http://fujirockexpress.net/10/?p=3805#comments Sun, 01 Aug 2010 03:07:48 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=3805

_HY19639 _HY19663 ASIAN KUNG-FU GENERATION _HY19746 _HY20063

写真:穂谷益代

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快速東京 http://fujirockexpress.net/10/?p=3724 http://fujirockexpress.net/10/?p=3724#comments Sun, 01 Aug 2010 02:55:00 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=3724
 快速東京というバンド名よりは、奇天烈混沌超速特急ともいうべき新人が苗場に嵐を巻き起こした。この4人組は、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムというシンプルな4人編成の若者で、スラッシュメタルを旨みとして十二分に取り入れた激烈激速のハードコア、というかパンクというべきか、そんな感じの音楽をやっている。

 特徴としてはとにかく切れ味抜群のリフと速さで全部まとめてぶったぎることだろうか。若者らしく活きのいい演奏で、坂道だろうが曲がり角だろうがとにかく目標物に向かって走っていく。それも感情むき出しで荒削りなところがまたよい。出鱈目というかユニークというかそんな歌詞をハイトーンで絶叫する歌い手も印象的で、楽曲の混沌具合はさらに深まっていく。楽曲を1~2分台にまとめあげているのも特徴で、やりたい放題に詰め込んでいる感じなんだが、楽曲として確かなインパクトを聴き手に残してくれる。すべてを巻き込むハリケーンのような、そんな強烈さが存在するように思えるのだ。

 4つ打ちを取り入れた横殴りの曲やヘヴィなミドルチューンも顔を出していたことはあったが、ほとんどがスラッシュ寄りの速さを持つ曲ばかりなところは本当にいさぎ良い。それで全15曲で約20分のステージを駆け抜けていた。たしかに快速なのかしれないのだが、15曲で20分って逆にこれは各駅停車じゃないかなと思ったりという疑念も浮かんだり(笑)。それでもこのステージでとにかく強烈なインパクトを残していたのは、盛り上がり具合を見ればよくわかる。「帰ったらgoogleで検索してみてください」という去り際のお願いにも応えてくれる人が多いのではないだろうか。そんな予感を覚える強烈なステージであった。今年見たルーキーの中では、かなり異彩を放っていたことも述べておきたい。

_HY19557 _HY19576 _HY20021 快速東京 _HY29972

写真:穂谷益代
文:伊藤卓也

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GOOD 4 NOTHING http://fujirockexpress.net/10/?p=3766 http://fujirockexpress.net/10/?p=3766#comments Sun, 01 Aug 2010 02:49:15 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=3766

3日目のスタートはGOOD 4 NOTHINGから!
SEが鳴り、走ってステージに登場するメンバーはとにかく元気がいっぱいだ。

It’s My PradiseからライブがスタートするとTANNY、U-TAN、MAKKINの3人がステージ上を動き回る。柵の前まで降りてきて演奏を続ける場面も見られた。そんな姿を見ているとこちらもテンションが上がらずにはいられない。フジロック初出演にも関わらず、すでにホーム感たっぷりだ。彼らの演奏の安定感はものすごい。10年以上の活動暦を持つ彼らとしては当然のことではあるが、改めてそれを実感した。

ひたすら駆け抜ける印象のステージであった。時間の制限もあるが、8曲終わるまでほぼMCなし!
「みんな盛り上がってんの?アホちゃう?まだ10時やで!」
確かにアホかと聞きたくなるくらいにモッシュピットは激しかった。寝起きの体で激しくぶつかり合い、人の上を転がっていく。オーディエンスは水を得た魚のように跳ね上がる。後ろの方の人まで拳を突き上げ、ハンズクラップをする。そうせずにはいられないのだ!楽曲の激しさに加え、何とも気持ちの良いコーラスを聞くと、前日までの疲労なんか全部吹き飛ぶ。彼らの滲み出るパワーが私たちを触発してくるのだ。

次回は是非もっと大きなステージに立つ彼らを見たい、と私は強く思った。

_IZ12704 _IZ12707 _IZ12722 _IZ12755 GOOD 4 NOTHING

写真:熊沢泉
文:岡安いつ美

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HIGURASHI RECORDS INC. http://fujirockexpress.net/10/?p=3704 http://fujirockexpress.net/10/?p=3704#comments Sun, 01 Aug 2010 02:27:56 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=3704
今年のフジのラインナップに稀少なスカバンドがルーキーに登場した。メンバーは7人編成、ボーカルとキーボードに女性がいるのが特徴的だ。会場に着くと、すでに1曲目が始まっていた。彼らが奏でるのは、オーセンティックなスカに乗るボーカルは囁くようではかない声。3曲目ではボーカル、サトウリナがスティールパンを叩く。サックスやトランペットの音が聞こえれば、自然と体がゆらゆらと動くのだが、それに加えて歌ものとして聴ける要素もある。サックス担当、タダトオルのアジテートにより、客側とのコミュニケーションを図り盛り上げる。気づけば、演奏開始当初に空きスペースとなっていた前方の空間が人で埋まっていた。関東と関西で勢力的に活動しているという彼ら。今後の活動にも注目したい。
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写真:穂谷益代
文:千葉原宏美

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FLOGGING MOLLY http://fujirockexpress.net/10/?p=3153 http://fujirockexpress.net/10/?p=3153#comments Sun, 01 Aug 2010 02:24:00 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=3153
 定刻ギリギリにレッドマーキーへ向かってみると、あの屋根の下へ入ることすらも不可能なほどの人、人、人。雨が降っていたことも影響しているもしれないが、それにしてもこんなにも多くの方々にお目当てにされていたとは思わなかった。アイリッシュ・パンクの愛すべきバンド、Flogging Molly。これまで何度となく日本を訪れ、その行った土地で凄まじい熱気を生み出してきたことで,既にその実力は証明されていることだろう。レッドマーキーのトリを務めたこの夜も、当然のように凄まじく熱い夜へと変えていった。

 小気味よい疾走感溢れる演奏と軽やかだけどちょっとくぐもった歌声、そこにアコーディオンとヴァイオリンが重なって絶妙な華やぎをもたらし、陽気で熱量の高い空間を描き出す。伝統的なアイリッシュの薫りをたっぷり撒き散らしながら、パンクの昂揚感を伴って炸裂するサウンドが彼等の持ち味だ。カントリーやフォークといった要素も含んだメロディにもまた風情があり、やはり聴いていて非常に心地よい興奮に襲われる。人間の本能を呼び覚ます音楽、胸の奥底から蒼白い炎を燃え上がらせる音楽である。これを前にしてしまったら会場のテンションが爆発してしまうのも無理はないだろう。

 序盤から既に踊り狂う人、飛び跳ねる人、モッシュする人が続出。気づけばこの波は大きくなり、狂乱の宴となっていく。屋根の下に入ることができず、かなり後ろで見ていた自分にもこの熱波が伝播していて、肩を組みながら楽しそうに歌っている人たちの姿も目に付いた。とてつもなく気分が昂ぶるライヴであるのは確かだが、情熱的で激しい演奏の中で笑顔がここまで咲いていくのも、底抜けの陽気さが彼等の音楽を包んでいるからだろう。

 当然ながらライヴが進めば進むほどに熱気は高まり、鼓動は高鳴っていく。人間の鼓動に合わせたかのようなリズムが心地よかったり、どこか懐かしさを持ったメロディに温かみを覚えたり、パワフルなアンサンブルに牽引されたりというのにも興奮を誘われた。その中で何より、演奏している本人たちの笑顔がまぶしいぐらいに輝いているのが印象的だった。そんな彼等と会場との間にあった、もの凄い一体感も素晴らしく感じた次第。1時間強に及んだライヴだが、まさに”楽しさの詰め合わせ”のような貴重な時間を私たちに与えてくれた。

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写真:佐俣美幸
文:伊藤卓也

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JAMIE CULLUM http://fujirockexpress.net/10/?p=2931 http://fujirockexpress.net/10/?p=2931#comments Sat, 31 Jul 2010 17:00:31 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=2931

 ただ淡々とピアノを演奏するわけではなく、1曲という短い時間の中でも最大限のステージングを披露してくれるジャズ・シンガー。それがピアノを自由自在に操ることができる、JAMIE CULLUMだ。

 約6年ぶりにグリーンステージに立つ彼は、4月に来日公演を開催するなど勢力的な活動を展開中。しかも1月には、なんと約4年ぶりにアルバム『ザ・パースート』も発表している。日に日に勢いが増している彼は、一体どのようなステージを見せてくれるのだろうか。目の前に起きる光景を想像しながら、出番を待ちわびていた。

「盛り上がっている?」という彼の一言から、ライヴの本編がスタート。鍵盤を力強く弾くと思えば、急にステージ上を走り回っていく彼。しかもピアノの上に登り、そのままの状態で歌うなんてことも。といってもどのような場面でも、歌を大切に紡ぐことは決して忘れることはない。いつもありったけの力を注ぐように、メロディを繋いでいくのだ。息づかいまでもが繊細で、時おり聴いているだけで涙腺が潤んでしまうことも。

 またラスト曲の前に彼はステージを降り、ハイタッチをしながらオーディエンスが集まる通路まで走りぬけてしまった。すると一瞬にしてハイタッチを求める人達が集結。柔軟性のある彼の姿に、思わず惹かれずにはいらなかった。

 新世代のジャズ・ミュージシャンと呼ばれる彼。今後もさらに表現者としての新境地を開拓してくれるはず。彼が作る音楽の渦に、早くも飛び込みたいという気持ちばかりが膨らんでいる。

JAMIE CULLUM _IZ12250 _IZ12275 _IZ12294 _IZ12298

写真:熊沢泉
文:松坂愛

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DIRTY PROJECTORS http://fujirockexpress.net/10/?p=2688 http://fujirockexpress.net/10/?p=2688#comments Sat, 31 Jul 2010 15:30:37 +0000 eriko http://fujirockexpress.net/10/?p=2688
 6人が奏でる魔法の音、不思議な空間に酔いしれたステージであった。

 昨日のオレンジコートでの演奏も評判だったというブルックリンの男3人女3人の6人組Dirty Projectors(ダーティ・プロジェクターズ)を見ようと、レッドマーキーはかなりの人だかり。元々はこの枠はParachuteが出演予定だったのは周知の通りだが、代替でDirty Projectorsが決まった時の反応も大きかったことを思い出すと、注目されているんだなということを実感する。

 インディ系ロックを骨格にして、フリーフォーク、エレクトロ、ポストロック、ソウル、クラシックなどの様々な音楽を取り込んだサウンドは、奇天烈な感性を持ちながらもポップにくるまれている。ライヴでもそれは健在で、へたうまな歌声はどこか親近感を抱かせるし、細かい音響アレンジを加えている中で、アコギの切なく甘美なメロディやキーボードの美しい煌めきが随所に光っている。弦の一本一本が共鳴を起こし、キーボードの旋律が空気に溶け、ドラムが精微に打ち鳴らされ、男女の歌声が美しく溶け合う。そんな6人の調和のとれたハーモニーが奇跡的な時間を紡いでいるのだ。それは温かく色鮮やかな風景を描いているようでもある。凝ったアレンジを施しながらもあそこまでポップネスを突き詰めれる音楽的センスには脱帽。特に「Cannival Resourse」における瑞々しい響きには、一発で惹かれる。

 聴いていると、なんだろう。時間が遅く感じられたというか、時間が引き延ばされているとかそんな感覚を覚えてしまったりもした。それだけ心地よかったからだろうか。ただ、眠りを誘っているようで、じわじわと覚醒を促すかのような刺激もあって、どこか不思議な感覚に今でも陥ってる。Dirty Projectorsのライヴはどうしようもないぐらいに素敵で素晴らしいステージであった。

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写真:古川喜隆
文:伊藤卓也

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