“古川喜隆” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '18 | フジロック会場から最新レポートをお届け http://fujirockexpress.net/18 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Wed, 17 Jul 2019 08:24:01 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 雨ニモマケズ、風ニモマケズ、灼熱の太陽ニモマケズ…  http://fujirockexpress.net/18/p_10468 Tue, 07 Aug 2018 03:00:19 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=10468 「おかえり!」と声をかけると「ただいま!」と戻ってくる。今では恒例となった、前夜祭はレッド・マーキーで行われるオーディエンスの記念撮影。満面に笑みを浮かべたフジロッカーズが堰を切ったように、ステージ前に雪崩れ込んでくると、それを粋な選曲で受け入れてくれるのがDJ Mamezukaだ。そして、その光景をステージから楽しそうに撮影しているのがスタッフの面々。オーディエンス同様にスタッフもこの瞬間を待ちわびていたのがよくわかる。彼らの顔も嬉しそうだ。

 今年は「おかえり!」に続いて、「ニイハオ」、「アンニョンハセヨ」、「オラ」「ハロー」「アロ」…と、たまたま覚えていた中国語や韓国語にスペイン語なんぞも交えて呼びかけてみた。言うまでもないだろう、ここ数年、飛躍的に増えているのが、遠路はるばる海外からやって来る人々。正確な数はわからないが、一説には、台湾からは500人近い人々が来ているんだそうな。しかも、多くが「ラインナップ」に引き寄せられたのではなく、フジロック・フェスティヴァルそのものに魅せられているという。それを証明してくれたのが6月に台湾で開催されたフジロッカーズ・バー、フジロックを愛する人たちが集まるパーティだった。

「フジロックが体現しているものを形にしたかった」

 と、これを企画してくれたのは、過去10年ほど、毎回家族でフジロックにやって来る人物だ。台北の華山1914と呼ばれる公園の一角にDJ用のテントを設置。そこから数々のDJが音楽を流し、時には生演奏も楽しむことができる2日間のイヴェントだった。踊っている人もいれば、芝生の上でのんびりと時を過ごす人もいる。大切なのは人々が繋がり、互いをリスペクトしながら、時間と空間を共有すること。フジロックをキーワードに、そんな動きが海外でも生まれていることがどれほど嬉しかったか。

 また、2001年の出演から17年を経て、苗場に戻ってきたアイルランドのバンド、ホットハウス・フラワーズのメンバーとの会話でも同じようなことを感じることになる。

「クリーンなフェスといっても、ルールやマナーを守らなければいけないってことより、互いが互いをリスペクトして、気遣う姿勢がそんな結果に結びついてんじゃないかな。それがすごいと思うんだ」

 そう話してくれたものだ。山に囲まれ、川が流れるという自然の素晴らしさが、そうさせるのかもしれない。また、長年にわたって環境問題やリサイクルを訴え続けるiPledgeや主催者、fujirockers.orgによるキャンペーンも後押しているんだろう。が、なによりも会場の主役となる観客が動かなければ、それが形になることはない。その結果が「世界で最もクリーン・フェスティヴァル」というイメージに結びついているのだ。

 もちろん、すべてがバラ色なわけはない。昨年のエキスプレスではこのゴミの問題を取り上げなければならなかったし、今年はスリや置き引きといった都会の犯罪が流れ込んでいるという話しも伝わっていた。それでも大きな事故や事件も起きることなく今年のフェスティヴァルが幕を閉じたのは奇跡ではなかっただろうか。

 特に気がかりだったのは台風だった。全国を灼熱の太陽が照りつけ、史上最高気温を記録していた開催前、接近中の台風が下手をすると苗場を直撃するのではないかという憶測も流れていた。1997年の第一回からフジロックに関わっている仲間が想起していたのはあの時の惨状だ。どれほどの人が覚えているかわからないが、あの時、台風が上陸したのは遙か西だったと記憶している。が、それでも本部からステージの上までもが野戦病院のようになっていた。そんな経験を踏まえて、フェイスブックといったSNSを通じて、充分な装備を訴え、開催期間中も台風情報を発信しながら、注意を呼びかけていたのだが、それがどこまで届いただろうか。

 雨がひどくなり始めた土曜夜から、スタッフが更新作業を進める本部テントも強風と雨の影響を受け始めていた。キャンプ場でテントを張っている人たちは大丈夫だろうか? この風雨に耐えられる丈夫なテント、ペグを使っているだろうか… 予定されていた取材が大切なのは言うまでもない。が、あの時、僕らはもっと臨機応変に対応しなければいけなかったのではないだろうか。おそらく、フェスティヴァル慣れしている多くの人々が準備万端で挑んでいたからだろう、21年前の悲劇は繰り返されることはなかった。が、それでもキャンプ場の3割ほどのテントが全半壊し、急遽用意されたプリンス・ホテルの一角に避難したのは約250人。もっと彼らに寄り添うべきではなかったのか… もっともっと必要とされている情報を発信すべきではなかったか? 反省すべきことは、今年もいっぱいあったように思う。

 それでも振り返ると、楽しいことばかりが思い出される。エキスプレスに登場したオーディエンスのひとりが口にしていたように、すでに「ホーム」のようになったのがフジロック。ここに来れば、必ず会うことができる仲間もいれば、何年ぶりかに懐かしい顔をみつけて昔話に花を咲かせることもある。子供を連れて遊びに来ている昔のスタッフや友人もいたし、ずいぶん昔、子供に連れられてここにやって来たおかぁさんとも再会。「夢は3世代でここに来ること」という、彼女の夢が現実になるのは、そう遠くはないだろう。

 ラインナップがどうのこうの… 文句を言うのも、おそらく、楽しみのひとつで、毎年のこと。でも、通りすがりに目にしたアーティストの演奏に聞き惚れたってことも少なくはなかっただろう。有名無名を問わず、ジャンルなんぞ「どこ吹く風」で世界中からミュージシャンからオーディエンスが集まってくるフジロックは、苗場での20回目で成人期に突入したのかもしれないとも思う。

「大きく育った木を根っこから掘り起こして、植え替えても根は張らないよ」

 その昔、フジロックが始まった頃、グラストンバリー・フェスティヴァルの主催者、マイケル・イーヴィス氏にそれを伝えると、そんな言葉をかけられたのを思い出す。おそらく、それは彼からフジロックへのアドバイスだったんだろう。今のフジロックを彼に体験させてみたいものだ。フジロックは苗場にしっかりと根を下ろし、根を張り、確実に成長を続けているのがわかるはずだ。それは年々と整備充実されている施設や、今回の台風への主催者の対応を見れば、一目瞭然だろう。

 1970年に始まったあのフェスティヴァルも、もう少しで50周年。面白いのは… 10数年前だったか、彼の大好きなヴァン・モリソンが上機嫌で演奏した後、「喜んでくれたよ、ステージで笑ってたからね」と話してくれたんだが、実は、同じようなことが今年のフジロックでも起きていた。「ボブ・ディランやドノヴァンが歌っていることへのロマンティックなアプローチ」がグラストを始めるきっかけと、彼が語っていたんだが、そのディランがステージを終えて、にっこりと笑って幸せそうに会場を離れたんだそうな。日頃は、にこりともしないらしいんだが、この日は上機嫌だったと、あの時、ステージにいたスタッフから聞いている。

 さて、雨ニモマケズ、風ニモマケズ、灼熱の太陽ニモマケズ、今年のフジロックを体験されたみなさん、いかがでしたか? 実際には足を運ぶことができず、自宅でモニタを見ていた方、あるいは、初めて実現したYouTubeのストリーミングでライヴを見ていたみなさんもいたかと思います。でも、この現場にあるのは、モニタからはけっして伝わらない「幸せ」。それを体験しにやって来ませんか?一度はまると抜けられませんよ。

—————————————————————

 苗場で20回目という節目もあって、今年は幾度もスタッフが苗場入りして、数多くのレポートを、このエキスプレスの根っこである、fujirockers.orgにアップしてきました。フジロックという「祭り」の魅力は、そこでもみつかると思います。お時間があれば、そちらもぜひチェックしていただければと思います。また、例年、主要部隊が会場入りするのは、開催前の火曜日ですが、今年はその遙か前から、準備期間を含めて取材活動をしてくれたスタッフもいました。ありがとう。あの灼熱と雨と嵐の中、熱中症と向き合いながら、一方で、ずぶ濡れになりながら、会場の内外を走り回ってレポートを続けてくれたのは以下のスタッフとなります。まだまだ未熟でいたらない点があることは否定できませんが、彼らを叱咤激励していただければ幸いです。記述に情報等の間違いがあれば、それを修正し、ご報告いたします。ただ、彼らが残した記録はアーカイヴとして、これからもずっと残していきます。

■日本語版(http://fujirockexpress.net/18/)
写真家:森リョータ、古川喜隆、平川啓子、北村勇祐、安江正実、アリモトシンヤ、粂井健太、岡部智子、MITCH IKEDA、MASAHIRO SAITO、木場ヨシヒト、Yumiya Saiki、高津大地、Yusuke Baba(Beyond the Lenz)、白井絢香、HARA MASAMI、陳彦伶、上村理穂、つちもり

ライター:阿部光平、あたそ、石角友香、イケダノブユキ、梶原綾乃、長谷川円香、三浦孝文、若林修平、卜部里枝、近藤英梨子、平井ナタリア恵美(Paula)、増田ダイスケ、松原充生子、Masaya Morita、Masako Yoshioka

■英語版(http://fujirockexpress.net/18e/)
Laura Cooper, Sean Scanlan, Patrick St. Michel, Park Baker, Jonathan Cooper, Dave Frazier, James Mallion

フジロッカーズ・ラウンジ:飯森美歌、関根教史、小幡朋子、町田涼、藤原大和

ウェブサイト制作&更新:平沼寛生(プログラム開発)、酒田富紗葉(デザイン)、坂上大介、迫勇一

スペシャルサンクス:本梅あさみ、坂本泉、土橋崇志、本人(@biftech)、熊沢泉、藤井大輔、Taio Konishi、三ツ石哲也、丸山亮平

プロデューサー:花房浩一

]]>
CHVRCHES http://fujirockexpress.net/18/p_1623 Sun, 29 Jul 2018 14:48:50 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1623 はじまる前から、予想はできていた。キュートなルックスに透き通る声。「ハピハピ!ジョイジョイ!」なんて、ギャップを感じる愛くるしいMC。ステージを駆け回るフロントマン、ローレン・メイベリー(Vo)の魅力が、会場にいる全員の胸を撃ち抜いた。もう、本当に老若男女問わずに、メロメロになっていたのではないだろうか。そして、ポップでわかりやすい曲に、特徴的なキラキラとしたデジタルサウンド。安定感のある重い低音も合わさって、自然と身体が揺れてしまう。CHVCHESの魅力に骨抜きにされてしまった!

登場したローレンは、袖の部分をカットしたTシャツにチュールスカート。全身ホワイトの装いに、目の周りにはキラキラとしたラメがまぶしいブルーとピンクのメイク。ああ、かわいい。まるで天使のようであった。

特徴的なイントロにクラップ&ハンズが起こり、まずは、5月にリリースされたばかりのニューアルバム『Love Is Dead』から“Get Out”。実は、フジロックには初登場となるCHVCHES。今回は、ドラマーのジョニー・スコットを迎えた新たなライブセットとなり、力強いアレンジが全体の演奏をより一層迫力のあるものにしている。今までの3人形態のライブは、どうしても心細い音になってしまっていたが、そういう不安が一気に払しょくできたように思う。
それだけでも十分、といいたいところなのだけれど、体内の空気が震えるほど響く低音に、ホワイト・ステージ特有の音圧。完璧な照明の揃った、シンプルなステージセット。見事なまでのライブバンドに成長したCHVCHESに、踊らされる準備はもう整っていた。

“Bury It”のサビでは、チュールスカートを鷲掴みにし、思い切りヘッドバッキングをしながら歌うローレン。ステージ上で可憐に舞う彼女も素敵だけれど、頭を振り乱す姿もたまらない。“WE SINK”では、スカートを翻しながらくるくると回る、ローレン。陰と陽が入り乱れる曲たちに、透き通る声がマッチする。ときに口元からマイクを離し、感情を発露させながら歌っていたのだけれど、それでも声の圧が収まることはなく、ホワイトステージ一面に向かって響き渡るのだった。

中盤では、ローレンとマーティン・ドハーティー(Key, Vo)がパートを替え、“God’s Plan”と“Under The Tide”の2曲を堂々と、歌い上げる。ノリノリのダンスも含めてなかなかの上手さ。ローレンが歌うCHVCHESの雰囲気とはまた異なった一面を見せてくれ、ホワイトステージはこの日一番の大盛り上がりを見せたのではないだろうか。

複雑なリズムが心地よい“Leave a Trace”、ローレンのアカペラからはじまった“The Mother We Share”、雨がやみ本当の意味でブルーの夜空が広がった“Clearest Blue”と、後半にかけての素晴らしい畳みかけも、大いに盛り上がりを見せた。この絶妙な流れに、興奮した方も多かったのではないだろうか。

最後は、“Never Say Die”で大合唱が起き、ゆっくりと終了に向かっていく。ファンの方が柵にかけていた「CHVRCHES」と書かれた日本の国旗をまとい、はしゃぐようにステージを走り回っているローレン。ああ、もう!最後の最後までかわいいんだから!
アンコールはなし。途中から雨が降り出してしまったのは少し残念だったけれど、心地よい音の洪水にのまれ、作り込まれた音に踊りに踊らされた夜となった。

後半のMCでは、「まだ詳しくは言えないけれど、近々また来る予定だから、すぐに会おうね!」という嬉しい報告をしてくれるローレン。もしかして、単独公演?なんて、ちょっと期待してしまう。
駆け抜けるようにフジロックが終わり、明日からフジロスを抱えてしまいそう。けれど、近々CHVRCHESのライブを見ることができる日が来ることを胸に、これから続いていく毎日も頑張っていけそうな気がする。

]]>
cero http://fujirockexpress.net/18/p_1624 Sun, 29 Jul 2018 12:48:17 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1624 前回のフジロックでの彼らのことは、とても印象に残っている。ブラックミュージックの要素を取り入れた『Obscure Ride』という大名作が生まれた直後だったこと。演奏の完成度は高く、シンガーとしての髙城 晶平に伸びしろを感じていたこと。そんな彼らが3年ぶりに、また一段とビックになって戻ってきた。それも、髙城 晶平のポテンシャルをフルに開花させた状態で、だ。3年前では観られなかったceroの到達点が、今ここにある。

前回の真っ昼間とはうってかわって夜のホワイトステージ。新編成のceroは、高城晶平(vo,g,fl)、荒内佑(key,cho)、橋本翼(gt)の3人と、サポート厚海義朗(ba)、光永渉(dr)、古川麦(cho,tp)、角銅真実(per,cho)、小田朋美(key,cho)の合計8人。1曲目“Summer Soul”で高らかにオーケストラの開始を宣言すると、続いて最新アルバム『POLY LIFE MULTI SOUL』でも鍵となっている”魚の骨 鳥の羽根”。6/8拍子から発展するエキゾチックなビートと、古川、角銅、小田を巻き込んだコーラスワークがアンサンブルしていく。高城は叫んだり、鳥の鳴き真似などを突発的に入れ、曲のエフェクトとして落とし込んでいく。
続いて“Yellow Magus”。わっと会場は湧き、発生したスモークが彼らを包んでいく。夜のceroは、チルな空気でとてもイイ。そして、以前の同曲とは比べものにならないくらいの「モノにした」感がある。それは“レテの子”でもハッキリと感じ取れていて、「笑って」という歌詞で笑ってみせたり、ブラックミュージックさながらのしゃがれ声を出すなど、歌の表情に合わせて変わる高城のフロウに、とてつもない進化を感じる。それでいて、飛んだりくるくる回ったりと、心から楽しめる余裕っぷりも感じられる。“Buzzle Bee Ride”が終わったあとは腕組みをして、右肩だけクイっとあげたヒップホップ的キメポーズでカメラ目線。茶目っ気たっぷりだ。後半は“Orphans”、“water”と苗場をメロウな空気に変換させ、現編成のひとつの完成形ともいえる“POLY LIFE MULTI SOUL”へ。音が消えた瞬間、スモークがふわっとオーディエンスに向かってくる様子は幻想的な一コマだった。

正直に言うと『POLY LIFE MULTI SOUL』が発表されたときは、より実験的になっていくサウンドに戸惑いを感じたこともあった。『Obscure Ride』のceroがどこかに行ってしまうようで名残惜しかったのかもしれない。しかし、ceroはやっぱりceroだった!自分たちのやりたいように、面白いようにサウンドを突き詰めながらも、わかりやすくて爽快で、気持ちいい。3年前のフジロックで見た良い部分も、これ以上に期待してた部分もすべて身にまとった髙城には今、不安も隙もなかった。

「最高に楽しかったです!いい思い出をありがとうございました!」とMCが入り、名残惜しくも“街の報せ”でフィナーレ。この先にグリーンステージが見える、素晴らしい時間だった。こちらこそ、いい思い出をありがとう。

]]>
UPENDRA&FRIENDS http://fujirockexpress.net/18/p_1773 Sun, 29 Jul 2018 08:48:01 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1773 朝から強風が吹き荒れたかと思えば、ザーッと雨が降ったり太陽が照りつけたりと不安定な天気が続いた3日目のフジロック。夕方17:00にようやく天気が落ち着き、気持ちいい風が吹き抜ける木道亭は、湿った土や枯葉、木々の芳しい香りがした。林の中を通るボードウォークの途中、木々の間に設置された木道亭は、大自然に囲まれたフジロックの中で一番自然と一体化しているステージだ。こじんまりとした木製のステージに登場したのは、フジロック常連のネパール出身のキーボード奏者、ウペンドラ・ラル・シン率いるウペンドラ・アンド・フレンズ。5人編成で奏でるネパールのフォーク・フュージョンは自然に溶け込むように空間を満たしていく。

風のように自由なバンブーフルートの音色が美しくて、フジロック3日目の疲れた体に沁みた。ステージ中央でパーカッションと音響的なサウンドを奏でるメンバーの演奏も素晴らしく、見事な楽器さばきで風のさざめきのような音を演出していた。林の中の小さなステージだからこそ、ミュージシャンたちが奏でる音楽や美しいメロディーがここまで自然と調和するのだろう。それになんだかホッと癒されるのだ。ステージ前には数十人が椅子や丸太に腰を下ろして、気持ち良さそうに聴き入っていた。苗場に捧げた“wind of naeba”という美しい曲では、演奏に応えるかのように優しい風が吹き、なんだか小さな奇跡みたい。ラストには、「フジロックに捧げた新しい曲」と紹介し、全員がなんらかの打楽器に持ち替えてトライバルなリズムの曲を演奏し始めた。フェスらしい高揚感や喜びが表現されているようで嬉しくなる曲だ。演奏を終えたウペンドラたちは拍手のなか去っていったけれど、きっとまた苗場で会えるのだろう。まるで古い友人に再会するかのように、またフジロックに捧げた音楽を聴かせてほしい。

]]>
おおはた雄一トリオfeat.細海魚 http://fujirockexpress.net/18/p_1774 Sun, 29 Jul 2018 06:40:39 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1774 浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS http://fujirockexpress.net/18/p_1628 Sun, 29 Jul 2018 05:27:39 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1628 フジロック3日目、お昼のホワイトステージは、降り続いていた雨もおさまり、温かい空気が流れまったりムード。13時、浅井健一(Vo,G)ことベンジーが、ふらっと登場。髪の毛がいつもより短くなっている。何年ぶりだろう、ショートカットになったのは。続いて中尾憲太郎(B)、小林瞳(Dr)が姿を見せる。参加ユニットが多いベンジー。「浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS」として、どのような顔を見せてくれるのか楽しみだ。

「Let’s party」ベンジーが静かに言い放ち、“Watching TV”。ベンジーは、愛用のワインレッド色のグレッチをかき鳴らす。中尾憲太郎は元NUMBER GIRLのメンバーだったとだけあって、太いベース音をボスボスと体に響かせてくれる。続く“Vineger”ではグレッチの高音がホワイトステージに響き渡る。ベンジーの「懐かしい曲やるわ」に胸がざわざわ。オーディエンスも「ウォーッ」と興奮する。もちろんBLANKEY JET CITYよね??期待が膨らむ。正解はBJCの「パイナップルサンド」。ここでも鋭利な高音のギターソロがシャキーンと耳に突き刺さる。まったりムードなんて一掃だ。

「見に来てくれてありがとね」。少年がはにかむかのように、ベンジーはぼそっとつぶやく。この素朴さに心をつかまれたオーディエンスも多いのでは。ベンジーのシングル曲“スケルトン”。少年から一変、色気と渋さが全開だ。スリーピースなのに音が幾重にも分厚い“OLD PUNKS VIDEO”。小林瞳の力強いドラム音が地に響くロックなナンバーだ。ロックな空気はそのままに、BJCの「デリンジャー」へと続く。BJCのナンバーになるたび、オーディエンスの歓声が一段と大きくなる。

ベンジーはさまざまなユニットで活動しているけれど、中尾憲太郎、小林瞳とのスリーピースがとてもロックしている。ゴリゴリ分厚い音を腹に響かせてくれる。ライブ後半に向かってメンバーもオーディエンスも熱を帯び、両者ともたまりかねたかのように、BJCの“SKUNK”が放たれる。「来た!」とばかりにフロアではあちこちでダイブが起こり、ホワイトステージにオーディエンスの熱い気が吐かれた。ラストソングは“DEVIL”。ベンジーがあおるように「飛びはねようぜ!」と呼びかけ、フロアでは再びダイブが始まる。日差しも暑いが、体感気温はもっと高い。

「朝まで遊ぼうぜ」。ベンジーはそう呼びかけ、再びふらっとステージから去っていった。夏はまだ長い。みんな、「Let’s party」。

]]>
THE FEVER 333 http://fujirockexpress.net/18/p_1629 Sun, 29 Jul 2018 03:38:48 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1629 最高!クレイジー!で終わらせたいところだが、そうもいかないのでこのチャーミングな3ピースのLOVE満載なフジロック初出演かつ日本初ライブを振り返ろう。

サウンドチェックの後、ただでさえ強風の中、楽器セットの前に白い幕が張られ、オープニングSEにのせ黒装束に黒頭巾の男が登場し、立ち尽くす。SEが止まると、黒頭巾をかなぐり捨て、男は実はボーカルのジェイソンとわかる。そこからは阿鼻叫喚(!?)、トライアスロンもかくやなステージが展開。ジェイソンもギターのスティーヴィンもステージを駆け回り、モニターは転倒するわ、先ほどの幕を立てていたポールを撤去するわでスタッフもその狂騒についていくのに必死だ。ドラムのアリックも椅子の上に立って煽りまくる。

サウンドはロックとパンクとヒップホップが融合された、大雑把に言えばレッチリ的なミクスチャー感と、ポリティカルなメッセージの部分ではレイジに通じる部分もある。が、もっと底抜けに目の前にいるオーディエンスをサウンドとアクトと、今できる最大限のヒューマンパワーで、見ず知らずの人と人を繋ごうとする意志がちょっとどんなバンドとも比べ物にならないほど強い。

2曲目でモッシュピットに突撃したかと思えば、4曲めで早くもパンイチになるボーカリストなんて、いくら急に雨が降ってきたからって見たことない。でも、モッシュピットでオーディエンスにもみくちゃにされていようと、裸でステージ上をスライディングしようと歌やラップはブレないのだ。同期を用いているので、楽器隊は手を離してパフォーマンスできる部分もあるが、それでもクランチなカッティングも、カッチカチにタイトなスネアも止まることはないのだ。

しかもヒューマン・ビート・ボックスも達者なジェイソンは、身体能力の高さの中に音楽的な身体能力も備えているのだろう。見ていて笑うしかないカオティックなステージだが、音楽性が担保されているから、どんどん後方にも人が集まってくる。曲の良さがホワイトの橋の前にも届いているのだろう。さらにこのバンドの人間性の素晴らしさ。中盤に自分たちのスタッフはもちろん、日本サイドのステージスタッフも呼んで、オーディエンスの前で感謝の言葉を述べ、握手を交わしている。このあたりから完全に3人のファンになってしまった。国も言語も違うけれど、僕たちは喜びをシェアできる、そんな意味のことをジェイソンが言うと、説得力が違う。

約1時間のライブは後半になっても全力のパフォーマンスが続き、ジェイソンとスティーヴィンが中継車(機材車?)の屋根に登って演奏する場面も。苗場の森を背景にしたパンイチの男二人。自然に溶け込みすぎている。冗談じゃない。本気の人間の表現ってこんなに愛らしくてかっこいいんだ。もしかしたらディランを見に来たのかな?と思しき世代のオーディエンスも軽くヘドバンさせてしまう、おそるべき全人類への共通言語を持つバンドに午前中から勇気をもらってしまった。来年3月には来日するらしいが、この熱量は初来日にして初フジロックだったからかもしれない。最高!

]]>
セロリ http://fujirockexpress.net/18/p_7225 Sun, 29 Jul 2018 01:36:35 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=7225 店名:森のハイジカレー
エリア名:ところ天国
メニュー名:セロリ

★★★★☆

疲れてきた三日目。強風のなか、たどり着いたそこにあったセロリ。野菜も食べよう。

]]>
日本伝統舞台芸術「雅楽」 http://fujirockexpress.net/18/p_1754 Sat, 28 Jul 2018 13:30:28 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1754 サラーム海上 Salam Unagami http://fujirockexpress.net/18/p_1834 Sat, 28 Jul 2018 13:03:18 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1834