“平川啓子” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '18 | フジロック会場から最新レポートをお届け http://fujirockexpress.net/18 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Wed, 17 Jul 2019 08:24:01 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 雨ニモマケズ、風ニモマケズ、灼熱の太陽ニモマケズ…  http://fujirockexpress.net/18/p_10468 Tue, 07 Aug 2018 03:00:19 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=10468 「おかえり!」と声をかけると「ただいま!」と戻ってくる。今では恒例となった、前夜祭はレッド・マーキーで行われるオーディエンスの記念撮影。満面に笑みを浮かべたフジロッカーズが堰を切ったように、ステージ前に雪崩れ込んでくると、それを粋な選曲で受け入れてくれるのがDJ Mamezukaだ。そして、その光景をステージから楽しそうに撮影しているのがスタッフの面々。オーディエンス同様にスタッフもこの瞬間を待ちわびていたのがよくわかる。彼らの顔も嬉しそうだ。

 今年は「おかえり!」に続いて、「ニイハオ」、「アンニョンハセヨ」、「オラ」「ハロー」「アロ」…と、たまたま覚えていた中国語や韓国語にスペイン語なんぞも交えて呼びかけてみた。言うまでもないだろう、ここ数年、飛躍的に増えているのが、遠路はるばる海外からやって来る人々。正確な数はわからないが、一説には、台湾からは500人近い人々が来ているんだそうな。しかも、多くが「ラインナップ」に引き寄せられたのではなく、フジロック・フェスティヴァルそのものに魅せられているという。それを証明してくれたのが6月に台湾で開催されたフジロッカーズ・バー、フジロックを愛する人たちが集まるパーティだった。

「フジロックが体現しているものを形にしたかった」

 と、これを企画してくれたのは、過去10年ほど、毎回家族でフジロックにやって来る人物だ。台北の華山1914と呼ばれる公園の一角にDJ用のテントを設置。そこから数々のDJが音楽を流し、時には生演奏も楽しむことができる2日間のイヴェントだった。踊っている人もいれば、芝生の上でのんびりと時を過ごす人もいる。大切なのは人々が繋がり、互いをリスペクトしながら、時間と空間を共有すること。フジロックをキーワードに、そんな動きが海外でも生まれていることがどれほど嬉しかったか。

 また、2001年の出演から17年を経て、苗場に戻ってきたアイルランドのバンド、ホットハウス・フラワーズのメンバーとの会話でも同じようなことを感じることになる。

「クリーンなフェスといっても、ルールやマナーを守らなければいけないってことより、互いが互いをリスペクトして、気遣う姿勢がそんな結果に結びついてんじゃないかな。それがすごいと思うんだ」

 そう話してくれたものだ。山に囲まれ、川が流れるという自然の素晴らしさが、そうさせるのかもしれない。また、長年にわたって環境問題やリサイクルを訴え続けるiPledgeや主催者、fujirockers.orgによるキャンペーンも後押しているんだろう。が、なによりも会場の主役となる観客が動かなければ、それが形になることはない。その結果が「世界で最もクリーン・フェスティヴァル」というイメージに結びついているのだ。

 もちろん、すべてがバラ色なわけはない。昨年のエキスプレスではこのゴミの問題を取り上げなければならなかったし、今年はスリや置き引きといった都会の犯罪が流れ込んでいるという話しも伝わっていた。それでも大きな事故や事件も起きることなく今年のフェスティヴァルが幕を閉じたのは奇跡ではなかっただろうか。

 特に気がかりだったのは台風だった。全国を灼熱の太陽が照りつけ、史上最高気温を記録していた開催前、接近中の台風が下手をすると苗場を直撃するのではないかという憶測も流れていた。1997年の第一回からフジロックに関わっている仲間が想起していたのはあの時の惨状だ。どれほどの人が覚えているかわからないが、あの時、台風が上陸したのは遙か西だったと記憶している。が、それでも本部からステージの上までもが野戦病院のようになっていた。そんな経験を踏まえて、フェイスブックといったSNSを通じて、充分な装備を訴え、開催期間中も台風情報を発信しながら、注意を呼びかけていたのだが、それがどこまで届いただろうか。

 雨がひどくなり始めた土曜夜から、スタッフが更新作業を進める本部テントも強風と雨の影響を受け始めていた。キャンプ場でテントを張っている人たちは大丈夫だろうか? この風雨に耐えられる丈夫なテント、ペグを使っているだろうか… 予定されていた取材が大切なのは言うまでもない。が、あの時、僕らはもっと臨機応変に対応しなければいけなかったのではないだろうか。おそらく、フェスティヴァル慣れしている多くの人々が準備万端で挑んでいたからだろう、21年前の悲劇は繰り返されることはなかった。が、それでもキャンプ場の3割ほどのテントが全半壊し、急遽用意されたプリンス・ホテルの一角に避難したのは約250人。もっと彼らに寄り添うべきではなかったのか… もっともっと必要とされている情報を発信すべきではなかったか? 反省すべきことは、今年もいっぱいあったように思う。

 それでも振り返ると、楽しいことばかりが思い出される。エキスプレスに登場したオーディエンスのひとりが口にしていたように、すでに「ホーム」のようになったのがフジロック。ここに来れば、必ず会うことができる仲間もいれば、何年ぶりかに懐かしい顔をみつけて昔話に花を咲かせることもある。子供を連れて遊びに来ている昔のスタッフや友人もいたし、ずいぶん昔、子供に連れられてここにやって来たおかぁさんとも再会。「夢は3世代でここに来ること」という、彼女の夢が現実になるのは、そう遠くはないだろう。

 ラインナップがどうのこうの… 文句を言うのも、おそらく、楽しみのひとつで、毎年のこと。でも、通りすがりに目にしたアーティストの演奏に聞き惚れたってことも少なくはなかっただろう。有名無名を問わず、ジャンルなんぞ「どこ吹く風」で世界中からミュージシャンからオーディエンスが集まってくるフジロックは、苗場での20回目で成人期に突入したのかもしれないとも思う。

「大きく育った木を根っこから掘り起こして、植え替えても根は張らないよ」

 その昔、フジロックが始まった頃、グラストンバリー・フェスティヴァルの主催者、マイケル・イーヴィス氏にそれを伝えると、そんな言葉をかけられたのを思い出す。おそらく、それは彼からフジロックへのアドバイスだったんだろう。今のフジロックを彼に体験させてみたいものだ。フジロックは苗場にしっかりと根を下ろし、根を張り、確実に成長を続けているのがわかるはずだ。それは年々と整備充実されている施設や、今回の台風への主催者の対応を見れば、一目瞭然だろう。

 1970年に始まったあのフェスティヴァルも、もう少しで50周年。面白いのは… 10数年前だったか、彼の大好きなヴァン・モリソンが上機嫌で演奏した後、「喜んでくれたよ、ステージで笑ってたからね」と話してくれたんだが、実は、同じようなことが今年のフジロックでも起きていた。「ボブ・ディランやドノヴァンが歌っていることへのロマンティックなアプローチ」がグラストを始めるきっかけと、彼が語っていたんだが、そのディランがステージを終えて、にっこりと笑って幸せそうに会場を離れたんだそうな。日頃は、にこりともしないらしいんだが、この日は上機嫌だったと、あの時、ステージにいたスタッフから聞いている。

 さて、雨ニモマケズ、風ニモマケズ、灼熱の太陽ニモマケズ、今年のフジロックを体験されたみなさん、いかがでしたか? 実際には足を運ぶことができず、自宅でモニタを見ていた方、あるいは、初めて実現したYouTubeのストリーミングでライヴを見ていたみなさんもいたかと思います。でも、この現場にあるのは、モニタからはけっして伝わらない「幸せ」。それを体験しにやって来ませんか?一度はまると抜けられませんよ。

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 苗場で20回目という節目もあって、今年は幾度もスタッフが苗場入りして、数多くのレポートを、このエキスプレスの根っこである、fujirockers.orgにアップしてきました。フジロックという「祭り」の魅力は、そこでもみつかると思います。お時間があれば、そちらもぜひチェックしていただければと思います。また、例年、主要部隊が会場入りするのは、開催前の火曜日ですが、今年はその遙か前から、準備期間を含めて取材活動をしてくれたスタッフもいました。ありがとう。あの灼熱と雨と嵐の中、熱中症と向き合いながら、一方で、ずぶ濡れになりながら、会場の内外を走り回ってレポートを続けてくれたのは以下のスタッフとなります。まだまだ未熟でいたらない点があることは否定できませんが、彼らを叱咤激励していただければ幸いです。記述に情報等の間違いがあれば、それを修正し、ご報告いたします。ただ、彼らが残した記録はアーカイヴとして、これからもずっと残していきます。

■日本語版(http://fujirockexpress.net/18/)
写真家:森リョータ、古川喜隆、平川啓子、北村勇祐、安江正実、アリモトシンヤ、粂井健太、岡部智子、MITCH IKEDA、MASAHIRO SAITO、木場ヨシヒト、Yumiya Saiki、高津大地、Yusuke Baba(Beyond the Lenz)、白井絢香、HARA MASAMI、陳彦伶、上村理穂、つちもり

ライター:阿部光平、あたそ、石角友香、イケダノブユキ、梶原綾乃、長谷川円香、三浦孝文、若林修平、卜部里枝、近藤英梨子、平井ナタリア恵美(Paula)、増田ダイスケ、松原充生子、Masaya Morita、Masako Yoshioka

■英語版(http://fujirockexpress.net/18e/)
Laura Cooper, Sean Scanlan, Patrick St. Michel, Park Baker, Jonathan Cooper, Dave Frazier, James Mallion

フジロッカーズ・ラウンジ:飯森美歌、関根教史、小幡朋子、町田涼、藤原大和

ウェブサイト制作&更新:平沼寛生(プログラム開発)、酒田富紗葉(デザイン)、坂上大介、迫勇一

スペシャルサンクス:本梅あさみ、坂本泉、土橋崇志、本人(@biftech)、熊沢泉、藤井大輔、Taio Konishi、三ツ石哲也、丸山亮平

プロデューサー:花房浩一

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台風クラブ http://fujirockexpress.net/18/p_1763 Sun, 29 Jul 2018 15:30:39 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1763 serpentwithfeet http://fujirockexpress.net/18/p_1644 Sun, 29 Jul 2018 14:40:12 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1644 サーペントウィズフィートことジョシア・ワイズの存在を知ったのはくるりの岸田繁の2016年のツイートだった。“blisters”のエレクトロにクラシックの要素が混ざった旋律はもちろん、その頃はまだクィアというワードを知らなかったものの、女性以上にエレガンスや美にこだわりがありそうな強烈なキャラクターにも惹かれた。その後、程なくビョークの“Bllising Me”のリミックスにボーカルとしフィーチャーされたあたりから認知を広げ、今年6月に待望のデビュー・アルバム『soil』をリリース。共同プロデュースにアデルやU2を手がける売れっ子ポール・エプワースを迎えて、サウンドクラウド上にアップされていた頃の曲より随分ポピュラーな印象にはなった。しかし、その歌声は無二だ。

背景には顔が明確ではないが、夫婦に見える絵画がずっと映し出されてる。そこにすっと、迷彩柄をフリルのようにも見えるデザインに消化したセットアップと、キャップ、白いソックスに赤いローファー、手には赤いタッセルのようなものを持って登場。彼ひとりきりのステージだ。1曲目はアルバム『soil』同様、“whisper”。インディR&Bともオペラとも取れるボーカリゼーションや、モデルのような振る舞いがエレガントだ。ハンドマイクで歌う時は、ローの効いたトラップにも似たトラックだが、ピアノのナンバーはピアノのみの弾き語りで、メリハリをつける。

ピアノ曲はクラシック素人なりの感覚だが、ドビュッシーに教会音楽的な旋律が加わった感じだろうか。バッハやヘンデルなどのバロック調ではない、温かみのある神聖さ。ミニマルなピアノの上を低音からファルセットまで自在に歌う姿に、聖歌隊で培われた彼のバックボーンが見て取れる。コブシ回しはR&Bのそれだが、澄んだ歌声だけにうますぎる人の嫌味な感じがない。ピアノの弾き語りはずっと聴いていたいほど、フジロック3日目も終盤という、疲れを忘れさせてくれた。静かに家で音楽を聴くとか、イヤホンで音楽に没頭している時のようなパーソナルな空間が、ライブ、しかもフェスなのに実感できたからだ。

ブリープ音とヘヴィなビートの上を囁きから、エモーショナルな歌まで声の表現力の豊かさでさらにフロアを沸かせた“mourning song”は、ビョークの音楽性に似たものも。そしてラストは再びピアノに向かい、不穏に動くコード進行がどこかレディオヘッドの“Pyramid Song”が一瞬頭をよぎった“bless ur heart”をピアノの弾き語りで披露。安易な表現に聞こえるかもしれないが、それは祈りだ。徹頭徹尾、美意識の塊のような彼は、覚えたての日本語も「オゲンキデスカ?」というワードを選んでいた。彼のキャラクターを知る人が教えたのか、彼自身が見つけたのかはわからない。でも、あまりにも似合っていて、それも含めてトータルにサーペントウィズフィートの世界がすっかりレッドマーキーを染め上げていた。

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DIRTY PROJECTORS http://fujirockexpress.net/18/p_1643 Sun, 29 Jul 2018 13:31:39 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1643 人で敷き詰められたレッド・マーキー。大きな拍手と歓声のなかで迎えられたのは、ブルックリン出身男3人女3人の6人組バンドのDirty Projectorsだ。

これだけの人が集まったのは、もちろん8年前の2010年に出演したときの評判のよさもあるだろう。しかし、その8年間の間に、中心メンバーであるデイヴ・ロングストレスが失恋を経験し、他メンバーだった5人が全員脱退。昨年のソロプロジェクト状態から再びバンド編成になったという人間臭いバックグラウンドがある。失恋から復活し、今年の7月にリリースしたばかりのニューアルバム『Lamp Lit Prose』は全体を通じて明るい雰囲気であり、評判もいい。そういえば、何日も前から前入りをし、居酒屋で飲んでいたところにファンが居合わせたというツイートも見かけた。いくつもの要因が合わさったからこそ、雄叫びのような歓声と拍手のなかで、6人が迎えられたのだった。

「こんばんは!みんな元気~?」と流暢な日本語で話すデイヴの着ているTシャツの胸にはなぜか「コーヒー」の文字が書かれている。そんなだっさいTシャツ、一体どこで売っているんだ!(笑)
ステージの背後には、カラフルな花々が映し出されている中、ニューアルバムから“I Found It In U”、“Break-Thru”、“What Is the Time”の演奏がでスタート。曲のイントロが鳴る度、観客たちからは声が上がる。
Dirty Projectorsの音楽は、魔法のようだと思う。6人と、バンド編成としては人数が多く、当然その分音の数は多くなる。音源を聴けば、各々のパートが複雑なことをしていることがわかるだろう。なのに、しっかりと統制の取れた再現率の高いライブを平然とこなしている。ライブは、どこの部分を切り取っても楽しいのだけれど、一体どこに合わせているのだろう。音源で聴いても、ライブを実際に見ても、謎が深まっていき、魅力にもとりつかれていく。

転換時にデイヴのTシャツにちなんで「コーヒー!コーヒー!」というコールが起こり、笑いを誘う場面もあった。“I Feel Energy”、“No Intension”では、女性陣によるコーラスの独特のハーモニーが癖になる。どうしたらそんな音を出せるのであろうか、コーラスワークも見事なもので、楽器の一部にも感じられるほどであった。

全編を通じて、独創的でありながら凝ったアレンジをしているのに、ポップに突き抜け、デイヴのヘタウマな歌声も親しみやすい。絶妙なバランス感覚には圧倒されっぱなしであった。
アンコールはなし。「フジロック愛してます!またね!」と言い残し、ステージを去っていく6人。今回のライブは、Youtubeで中継もされていた。Dirty Projectorsに摩訶不思議な魅力に取りつかれ、中毒になってしまった方も多いのではないだろうか。

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Awesome City Club http://fujirockexpress.net/18/p_1645 Sun, 29 Jul 2018 12:08:13 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1645 満員のレッド・マーキー。「待ってました!」と言わんばかりの大きな拍手と歓声で迎えられ、駆けながら登場するAwesome City Clubの5人のメンバー。これだけで、観客たちからの期待値が充分に高いことがよくわかる。

Awesome City Clubと言えば、どんなイメージがあるだろう。お洒落で、クールで都会的。そんな、自然に溢れた苗場には似つかわしくない印象を持っている方も多いかもしれない。しかし、そのイメージは、半分本当で半分は嘘。あんなに激情的でエモーショナルなライブを見ることができるなんて思ってもいなかった。

まず、演奏されたのは、“ダンシングファイター”。atagi(Vo/Gt)の丁寧なビブラートがしっかりと伸び、それに負けじと耳に残る透き通った声で歌うPORIN(Vo/Syn)に会場の空気はどんどんヒートアップしていくのがわかる。
“今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる”からノンストップで続く“アウトサイダー”では、2人の掛け合うような絶妙なハーモニーに、ブイブイ言わせているマツザカタクミ(Ba/Syn/RAP/Cho) のベースラインに、アクセントとなっているモリシー(Gt/Syn/Cho) の気の利いたフレーズ。ユキエ(Dr)も複雑なフレーズを難なくこなしている。フロントマンの2人がこうして安定感を持って、自由気ままに歌うことができるのは、バックのサウンドがしっかりしているからであろう。

“燃える星”、“pray”と落ち着いたナンバーのあとは、先月末にリリースされたばかりの“SUNNY GIRL”。クラップ&ハンズも巻き起こり、ステージ上で踊るatagiとPORINの2人につられて、観客たちの身体も自然と動き出す。正直に言うと、atagiの声の調子が良さそうではなく、特に伸びのいい高音がキツそうはあった。しかし、この場面ではなんとしてでも歌い切らなければならない。先ほどのMCでは、バンド結成当初からフジロックのステージに立ちたいと思っていて、ROOKIE AGO-GOに何度も応募し、それでも返事が来ることはなかったという。今年、結成5年目を迎えるAwesome City Club。ルーキーのステージを飛び越えて、やっとの思いで立ったレッド・マーキーの大舞台。ここで、すべての力を出し尽すしかなく、なんとか最後までしっかりと歌いあげるatagiには、さすがプロ!と思わずにはいられなかった。

ブルーとピンクのライトとミラーボールがキラキラと光る“Don’t Think,Feel”、レッド・マーキーが一帯となりながら踊った“ASAYAKE”とダンスナンバーが続き、最後の曲“GOLD”が演奏される。「熱狂のラストシーン 響くファンファーレ 早くなるハートビート 時が止まって」と歌うPORIN。ああ。今この瞬間に、なんて似合った歌詞なんだろう。ACCの熱気のこもったステージは、本当に素晴らしい景色を見せてくれたように思う。本望を言えば、本当に時が止まって(というか永遠に月曜日が来ないで)もっともっとフジロックを、ACCのステージの楽しさに浸っていたいのだけれど。

演奏後、メンバー紹介ののち、「今、ここにいるあなたたちを含めてAwesome City Clubでした!ありがとう!」とatagiが言い残し、メンバーはステージを去っていった。

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HINDS http://fujirockexpress.net/18/p_1646 Sun, 29 Jul 2018 09:45:36 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1646 フジロック2018最終日、レッドマーキーに登場するのは、スペインのロック・バンド史上初めて全世界でブレイクしたと言われる4人組ガレージ・ガールズ・バンドのハインズだ。話題のバンドを一目観ようと。ステージ後方までぎっしりだ。

エルヴィス・コステロの名曲‟Pump It Up”が鳴り止むと、ザ・プロディジーの‟Stand Up”が鳴り響き、笑顔でいっぱいの4人が飛び跳ねながら登場した。バックには、ハノイ・ロックスを思い起こさせるような一輪の薔薇が描かれ「HI WE’RE HINDS AND WE CAME HERE TO ROCK(ハイ!私たちはハインズよ。ロックしに来たわ)」と明記されている。

ステージの中央を陣取るボーカル・ギターの一人、カルロッタ・コシアルスが「ハロー!」と可愛らしく叫び!「美しい国のスペインから来たハインズよ!ロックしにきたわ!」とセカンド・アルバムのリードトラック‟The Club” を披露し、‟Chili Town”に続く。可愛らしい曲だが、ベースがズシッときてライヴはワイルドに響く。終わると「カワイイー!」と叫び「来れて嬉しいわ!日本が大好きなの!」と嬉しさ爆発といった感じで喜びを伝える。

お次は‟Sober land”、曲が進むに連れてどんどんワイルドな演奏になってくる。シラフ(Sobar)といいながら、酒が進んで酔っていくような演奏だ。ケヴィン・エアーズの軽快なロックンロール‟Caribbean Moon”の中盤で、前方のカルロッタ、もう一人のボーカル・ギターのアナ・ガルシア・ペローテとベースのアデ・マーティン3名が左右を行き来し、同じアクションを可愛らしくかまして会場が沸かせる。

「10月20日、21日に東京と大阪に戻ってくるわ!」とアナウンスするカルロッタ。まだ100%確かな状態じゃないのに言ってしまうあたりが自由な彼女らしくて微笑ましくなる。嬉しくて言いたくてしょうがなかったんだろうね。そして、ジーザス・アンド・メリーチェンっぽいフレーズが個人的にドツボな‟Easy”。比較的ソフトなこの曲も終始ワイルド。飛ばし過ぎてカルロッタの息があがっているほどだ。

フワフワしたギターが心地よく、リズムセクションが特に前に引っ張っていく‟Bamboo”の後、「オドロウヨ!」とカルロッタ、「オドリタイ!」とアナ。二人が絶妙なやり取りをしたところで‟Tester”になだれ込む。ガレージパンクな悪ノリでカルロッタがこれでもかと髪を振り乱してギターを弾き倒して更に会場の熱を上げていた。

ここでアナが3つのコメントをした。まず、日本を愛してるということ。ライヴ後に行われるサイン会のPRと、そしてグッズの宣伝だ。ここでカルロッタがグッズのTシャツ見せようとスタッフを無理やりステージに連れて来る。登場曲のザ・プロディジーの‟Stand Up”を口ずさみながら。底なしに自由で本当に素晴らしい!

「後2曲で私たちのステージが終わるけど、今日はボブ・ディランが出るのよ!」とアナ。演奏をはじめた時に最初にカバーしたのがディランの‟It Ain’t Me Babe”だったというエピソードを語る。ライヴで聴く‟New For You”はほんとにワイルドで最高だ。ヴァースを全員でがなり立てまくる感じがたまらない。‟New For You”が終わったあと、4人がお辞儀してしばしの静止。アナから順に、カルロッタ、アデ起き上がってフレーズを奏でて、ラストの一打、‟San Diego”をドロップして本セットを締めくくった。終演後に10月の再会を約束して、にこやかにステージを後にした。会場満杯のオーディエンスもとても満たされた表情を浮かべていたが、何より一番楽しんだのは彼女たちのはずだ。彼女たちのアルバムのタイトル『Leave Me Alone』(ほっといてよ)と『I don’t run』(マイペースにいくわ)そのまんまの自由さにあふれたライヴだった。彼女たちのようなスタンスのバンドは今後のトレンドになることだろう。今、彼女たちのライヴに立ち会えたことにただ感謝したい。

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LEO IMAI http://fujirockexpress.net/18/p_1647 Sun, 29 Jul 2018 06:44:52 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1647 自分がレッドマーキーに着いたとき、マイクチェックで「ツーフー、チェッ、チェッ、チェッ、ツーフー」とよくやるけど、「ツーフー、尿酸値」といって早くもステージに来ていた人たちを笑わせる。そして1曲リハーサルして、一旦下がってから12:40に改めて登場する。

「我々がレオイマイです」と何度もいったように、バンドとしての一体感を強調している。メンバーは、レオ今井がヴォーカルとギター、キーボード。岡村夏彦がギター、ベースがシゲクニ、ドラムスが白根賢一である。METAFIVEなどの活動で多くの人たちに知られるようになってきた。レッドマーキーにもそんな彼の姿をみに多くの人たちが来ていた。

ステージ背後のスクリーンには、新しいアルバム『VLP』のロゴが映しだされている。登場してレオ今井が「VLP! VLP!」とお客さんを煽る。

そしてまず1曲目は新しいアルバムから”Wino”。ゆったりとした立ち上がりから4人の演奏はずっしりとした触感がある。レオ今井はアルバムのジャケット写真にあるような帽子を被ったり取ったりする。次は重たいギターのリフが特徴の”Bite”。レオの声にふんだんにリバーブがかけられる。ハードファンクナンバー”New Roses”までが新アルバムの曲だった。

“Furaibo”を挟んで、新アルバムに戻って軽快な”Fresh Horses”。ピアノの音に導かれて”Venom”。ラストに向けて”Lemon Moon”。ステージ中央に置かれたパットをレオとシゲクニで叩きまくり会場のボルテージを上げていく。そして”Tokyo Lights”で締める。メドレーでデヴィッド・ボウイの”Heroes”を演奏し、サビを叫ぶレオ今井にお客さんたちは喝采を送っていた。

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odol http://fujirockexpress.net/18/p_1649 Sun, 29 Jul 2018 04:41:14 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1649 嵐の一夜を過ごし、まだ雨風残るフジロック3日目。今のところ無事におこなわれている。レッドマーキーに1番手として登場したのは、日本の6人組のバンド、odolである。

ステージ背後のスクリーンには「odol」のロゴが映しだされていた。まだ朝早いのに結構多くのお客さんが集まっている。

メンバーは下手から、キーボード、ベース、ギター、中央にヴォーカル(兼ギター)、ドラムス、上手にギター(兼キーボード)という編成である。

まずは”夜を抜ければ”。ゆったりとした立ち上がりから、丁寧に音を重ねてレッドマーキーを楽器の響きで満たしていく。森山公稀によるピアノの音色が美しい。

2014年のルーキー・ア・ゴーゴーにでてからフジロックのメインステージにでるのが目標だったと語るヴォーカルのミゾベリョウ。その気持ちが伝わるような誠実で力のこもったステージだった。

新曲”four eyes”は長いドラムロールで盛り上げたり、四つ打ちのリズムでフロアを揺らす、おそらく最近のフロア事情を取り入れたフェス仕様の曲である。こうした曲を用意するのも彼らの意気込みを感じさせる。

エモーショナルな”GREEN”、”years”と続けて最後は”生活”。ゆったりした演奏は日曜の朝にふさわしい。だけど、感情をぶつけるような激しさもあって、その強さで聴く者の心を掴む。レッドマーキーを突き抜けてその外まで届くようなミゾベの声とodolの演奏が、フェス最終日の寂しさを掻き立てたのだった。

セットリスト
1.夜を抜ければ
2.大人になって
3.four eyes
4.狭い部屋
5.GREEN
6.years
7.生活

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JABBA DA FOOTBALL CLUB http://fujirockexpress.net/18/p_1758 Sat, 28 Jul 2018 21:45:31 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1758 CUBANA FIESTA http://fujirockexpress.net/18/p_1690 Sat, 28 Jul 2018 20:33:23 +0000 http://fujirockexpress.net/18/?p=1690