“三浦孝文” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '19 | フジロック会場から最新レポートをお届け http://fujirockexpress.net/19 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Mon, 02 Sep 2019 02:34:33 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.10 過去最悪のどしゃ降りという試練を乗り越え、まるでなにもなかったかのように弾けていたフジロッカーに乾杯。間違いなく、これまでで最も素晴らしかったと絶賛のフジロックを作ったのはあなたたちです http://fujirockexpress.net/19/p_8672 Thu, 01 Aug 2019 01:33:33 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=8672  台風に襲われて、修羅場のようになった1997年のフジロックを、まさか2年連続で思い起こすことになろうとは、想像だにしなかった。例年なら、梅雨も明けてからっとした空気に包まれるのが開幕の頃。現地入りした火曜日も、ほとんど雨の気配は感じられなかったし、そろそろ梅雨明けと思っていた。実際、その頃の予想では、フジロック開催時の週末はわずかな雨を伴うが、おおむね好天だろうと囁かれていたものだ。が、台風発生のニュースが飛び込んでくる。当然のように、脳裏に浮かんだのは昨年の惨状。風で吹き飛ばされたテントの数々や横殴りの雨…。 コンピュータ機器が重要な役割を果たす、我々の作業場となっているテントも補強しなければいけないし、キャンパー達にはテントの再点検も呼びかけなければいけない。そんなことを頭の片隅に感じながら幕開けした前夜祭で、DJ Mamezukaのターンテーブルから飛び出してきたのは、1997年、台風に見舞われたフジロックで強烈なインパクトを残した電気グルーヴの“富士山”だった。

 わざわざその意味を説明する必要もないだろう、全身全霊でこれを受け止めていたオーディエンスがそれを雄弁に物語っている。とりわけ、今年は特別なんだろうが、例年、ここで目の当たりにするのが弾けんばかりの笑顔の数々。間違いなく、これこそがこの会場で働くスタッフの宝物だ。だからこそ、それを目にしようと多くの関係者がこのステージ脇に集まってくる。今回は、総合プロデューサーの大将こと、日高正博氏もここで、ニコニコしながら、オーディエンスを見守っていた。そんな彼らの表情を記念写真という形で記録し始めてすでに10余年。それをポストカードという形で販売し始めたのが数年前と思うんだが、今年からは無料で配布することにした。どれほどの人がそれを手にしてくれたのか定かではないが、ささやかなお土産として受け取っていただければ幸いだ。

 限られた時間しかないステージで多くを語るのは難しい。が、今年なによりも伝えたかったのは14年ぶりに苗場に戻ってきたイタリアのバンド、バンダ・バソッティが、世界で初めて“フジロック”というタイトルで発表した歌のことだった。

「ようこそ、フジロックへ。君たちが目の当たりにしているのは紛れもない現実で、ここにいるのは戦争とは無縁の人たち。僕らは一人ぼっちじゃない。残酷な世界は僕らを潰しにかかるだろう。でも、誰にも僕らを止めることはできない…」

 すでに今年のフジロックへの出演が決まっていた昨年暮れ、この歌を書いてくれたバンドの要のひとり、ギター&ヴォーカルのアンジェロ”シガロ”コンティが他界。どこかで彼がフジロックを愛する人たちに残してくれた遺産にも思えるのがこの歌だ。「Welcom To Fuji Rock」という英語のフレーズが出てくるが、歌詞のオリジナルはイタリア語。今回、こちらのリクエストに応える形で、バンド側が「フジロッカーズ限定盤」としてプレスしてくれたイタリア盤シングルの日本での販売に向けて出来上がった歌詞対訳を見ると、彼がフジロックに、そして、その向こうに何を見ていたのかがくっきりと浮き上がる。

 その歌で「まるで流れる川」のように山に戻ってくると描かれている人々にここ数年著しく増えたのが、様々な人種や国籍。フジロック好きが集まってくる飲み会のようなフジロッカーズ・バーが台湾でも開催されているのは昨年お伝えした通りで、フジロッカーズ・ラウンジのそばにあるグラフィティ・ボードには香港関係の書き込みも多かった。また、お隣の韓国から東南アジアの国々にオーストラリア…と、会場では様々な国の言葉が飛び交っていた。彼らがコミュニケーションに戸惑うことはないんだろうかという危惧をよそに、僕らの共通言語、音楽がそれを全てカバーしてくれているようにも感じたものだ。

 耳にしたくなくてもメディアで伝えられるぎくしゃくした国際情勢がここでは嘘のように思えていた。世界中で分断を謳う偏狭なナショナリズムや人種差別の嵐が吹き荒れているというのに、ここで目撃したのはそれとは真逆の世界。誰もが互いを個人として尊重し、いたわり、繋がろうとする。その結果、単純な言葉では描ききれない平和がもたらされていた。この平和を愛し、形にすること、あるいは平和について語ることって政治的? 人種差別に反対し、繋がることが政治的なら、もっと政治的になってもいいじゃないかとも思う。ここ数年、きわめてちっぽけな世界で囁かれている「音楽(あるいは、フジロック)に政治を持ち込むな」という発想がどれほどの矛盾を抱えているか、言うまでもないだろう。音楽であれ、アートであれ、自由。それを規制をしようとすることがどれほど政治的なのかを理解できないとしたら、あまりに貧しい知性の持ち主でしかないだろう。

 誰もが政治や経済、社会とは切っても切れない存在としてこの世界を生きている。だからこそ、背を向けるのではなく、向き合うことが必要とされるのだ。そうすることで自らの未来を描くことができる。「The Future Is Unwritten」と語ったジョー・ストラマーが、その言葉の向こうに込めたのがそれなんだろう。音楽やアートはそういったことを気づかせてくれる貴重な宝物であり、そんな宝物で溢れているのがフジロック・フェスティヴァルなのだ。

 実を言えば、今年NGOヴィレッジに生まれた「うちなーヴィレッジ」の発端も音楽だった。きっかけは10年ほど前に辺野古への新たな米軍基地建設計画を巡って、沖縄で繰り広げられていたピース・ミュージック・フェスタの仲間たち。「フジロックは沖縄に関して何もやってくれないの」というつぶやきをきっかけに昨年からなにかが動き始めていた。それを快く受け入れてくれたのが、フジロックのルーツと言ってもいいだろう、アトミック・カフェ・フェスティヴァルのスタッフ達。それが沖縄県知事を担ぎ出す流れを生んでいる。

 が、そんなことよりなにより、今年を振り返った時、真っ先に語られるのはどしゃ降りの雨だろう。過去10年連続で台湾からフジロックに通っている友人が「10年で最悪の雨」と語っていたんだが、それどころか、1997年の第1回目から振り返っても、これほどひどい雨はなかった。特に土曜日の午後から日曜日早朝にかけて、まるでバケツをひっくり返したような雨がひっきりなしに降っている。ときおり雨脚が緩やかになって「ひょっとして止んでくれるかも…」とかすかに期待するのだが、それをあざ笑うかのように、さらに激しい雨が、これでもかと言わんばかりに我々を殴りつけていた。

 そんななかを走り回って取材を続けていたスタッフからも「カメラ、死んじゃいました」とか、「テント水没です」なんて話が飛び込んでくる。その一方、どしゃ降りの下、大騒ぎでライヴを楽しんでいるオーディエンスがいた。この日のヘッドライナー、SIAが姿を見せたグリーンステージや他界したアート・ネヴィルのことを思い出さざるを得なかっただろう、フィールドオヴヘヴンのジョージ・ポーター・ジュニア・アンド・フレンズからエゴ・ラッピン…。どれほど防水加工されたコートやジャケットにポンチョだろうが、太刀打ちできないほどの雨だというのに、それを跳ね返すほどの熱気が生まれていた。それは比較的小さなステージでも同じこと。苗場食堂では目の前にいるはずの観客が見えないほどに激しい雨が降っていたと教えてくれたのがコージー大内。また、ピラミッド・ガーデンでは滝のような雨を浴びながら、リアム・オ・メンリィがプリンスをカバーした「パープル・レイン」に感動していた仲間がいた。おそらく、生きているうちに幾度も体験できない奇跡のライヴとして、これが彼らの脳裏に刻み込まれ、語り継がれていくはずだ。

 各ステージでヘッドライナーが演奏を始める頃、会場内の裏導線には規制が入り、最重要車両を除いて、奥地に入るのは不可能となっていた。憔悴しきったスタッフの送迎もかなわない状態となっていたが、彼らには雨をしのぐことのできる場所がある。それより観客の安全を最優先すべきと動いていたのが主催者であり、スタッフだ。会場内を流れる川が増水し、かなり早い段階でボードウォークの一部を閉鎖。過去に例を見ない豪雨の影響で会場に繋がる国道17号線に規制が入ったという情報が流れ、各ステージでの最終ライヴが終わった後、グリーンステージから奥が閉鎖されている。でも、毎年積み上げてきた教訓、特に昨年の経験が生かされていたんだろう、その頃にはテント泊に不安を感じる人々のために地元やプリンス・ホテルが一部を休憩所として確保。彼らを誘導し、キャンプ場の安全を確保し続けたキャンプよろず相談所のスタッフに賞賛の言葉を贈りたい。加えて、悲惨な目にあった仲間たちに救いの手をさしのべようとした人たちがいっぱいいたことも忘れてはいけない。

 主催者、地元の人々、スタッフのみならず、会場にやって来るフジロッカーに与えられたのが、これでもか、これでもかと思えるほどの試練の数々。でも、ほとんどの人たちがそれを乗り越えた後、まるでご褒美のように幸福な時間がもたらされる。夜が明けて、お日様が顔を出す頃、会場に溢れていたのは、まるでなにもなかったかのように満面に笑みを浮かべて最後の一日を謳歌する人々。メディアやSNSが「最悪な一点」をあたかも全体であるかのように吹聴し、尾ひれをつけて拡大していった一方で、この現場にいる人たちが至福のフェスティヴァル体験を語り始めていた。申し訳ないが、それはこの場所で同じ時間と空間を共有しなければわからない。モニターでライヴを見ても、全身に降り注ぐ興奮を感じることはできないし、このエキスプレスをチェックしていても、語り尽くせない幸せを体験することはできない。だからこそ、ここにおいでと呼びかけ続けているのだ。

「これまでで最高のフジロックだった。なによりもこのフェスティヴァルがために、ここに多くの人たちがやって来てるってのがよくわかるんだよ。バンドとか、ライヴとか…。それよりなにより、ここにいることに大きな意味がある」

 全てが終わりかけ、夜空に浮かんでいた三日月が、しらけてきた空に姿を消しかけた頃、今年、「I Am A Fujirocker」というTシャツをデザインしてくれたDJでミュージシャンのギャズ・メイオールが、そんな言葉を口にしていた。しかも、同じような言葉がいろいろな人たちから届けられるのだ。あれほど過酷な時間を過ごしたというのに、多くの参加者が「素晴らしいフジロックだった」あるいは、「過去最高!」と今年を語り始めたのはなぜだろう。もちろん、問題がなかったわけではない。あふれかえるゴミやはた迷惑なキャンプ・チェアーや地面に広げられたシートに、置き去りにされるテントなど、解決しなければいけない問題は山積している。が、規則でがんじがらめにしたところで、思考を停止させるだけで本質的な問題は残されたままとなる。じゃ、どうすればいいんだろう。と、そんなことを考えながら、今年のエキスプレスを締めくくることになる。

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 フジロック史上最悪のどしゃ降りのなか、一方で、熱中症も心配された灼熱の下、開催期間中のみならず、その前から最後の最後まで様々な場所に出没し、会場中を駆け巡って取材をしてくれたのは以下の仲間たち。手前味噌ではあるかもしれませんが、いろいろな圧力や問題に立ち向かいながら、公式にサポートされた独立メディアとして、私たちのフジロックを伝え続けてくれたことを褒めてあげたいと思います。もちろん、完成形はまだまだ。もっともっと学ばなければいけないだろうし、数々の試練も乗り越えなければいけないだろうと思います。間違いもあるかもしれません。もし、そういったことが見受けられたら、ぜひご指摘ください。真摯に対応いたします。

 日本のリクエストに応えてバンダ・バソッティが作ったくれた「フジロック (c/w) レヴォリューション・ロック」の限定盤7インチ・シングルはこちらのサイト、fujirockers-store.com、および、フジロッカーズ・バーで販売を続けます。会場で入手できなかった方で、アナログ好きな方はぜひチェックしてくださいませ。

なお、今年、動いてくれたスタッフは以下の通りです。

■日本語版(http://fujirockexpress.net/19/
写真家:森リョータ、古川喜隆、平川啓子、北村勇祐、MITCH IKEDA、アリモトシンヤ、安江正実、粂井健太、Yusuke Baba(Beyond the Lenz)、白井絢香、リン、HARA MASAMI(HAMA)、おみそ、森空
ライター:丸山亮平、阿部光平、イケダノブユキ、近藤英梨子、石角友香、東いずみ、あたそ、梶原綾乃、長谷川円香、坂本泉、阿部仁知、三浦孝文、若林修平

■英語版(http://fujirockexpress.net/19e/
Laura Cooper, Sean Scanlan, Park Baker, Jonathan Cooper, Sean Mallion, Laurier Tiernan

フジロッカーズ・ラウンジ:飯森美歌、関根教史、小幡朋子、町田涼、藤原大和

ウェブサイト制作&更新:平沼寛生(プログラム開発)、坂上大介(デザイン)、迫勇一

スペシャルサンクス:岡部智子、熊沢泉、三ツ石哲也、志賀 崇伸、Masako Yoshioka、MASAHIRO SAITO、増田ダイスケ、Riho Kamimura、タカギユウスケ、永田夏来、Masaya Morita、suguta、つちもり、Taio Konishi、Hiromi Chibahara、そして、観客を守るために奔走してくれた全スタッフ、試練を乗り越えてフェスティヴァルの素晴らしさを伝えてくれた観客のみなさん。

プロデューサー:花房浩一

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YOUの今年のベストアクトは? http://fujirockexpress.net/19/p_8358 Sun, 28 Jul 2019 20:10:52 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=8358 名前:(左から)やすお、ゆきだい、ゆっここ
どんな仲間?:音楽と楽しいことをこよなく愛する関西フジロッカーズ

フジロックに来ると、楽しいことはあっという間に過ぎるということを身をもって知る。
最終日の深夜から翌日の朝にかけてが一番楽しくもあり、寂しさをいやでも感じてしまう時間帯だ。

今年のフジロック本当のラストステージ、石野卓球が繰り出すビートで踊っていた顔見知りの3人組に遭遇。
前夜祭からこれまでのあれやこれやを語り合う。2日目の豪雨でスマホが壊れたなどなど…
今年も色々と大変なこともあったけど、「やっぱり最高だった!」、「楽しかった!」と笑顔。

締めの時間ですから、聞いてみた。「今年のベストアクトは?」
とたんにタイムテーブルを広げて悩みだす(笑)。最高なライヴがてんこ盛りだったんだね。
悩んで出した3人のベストアクトがこちら。

やすお:VAUDOU GAME(ヴォードゥー・ゲーム)
ゆきだい:TYCHO(タイコ)
ゆっここ:ZOO(ソオー)

トーゴ共和国のアフロファンク・バンドのヴォードゥー・ゲームも、バレンシアのソオーも、そしてタイコも、
現場で出会い、ダイレクトに触れ、発見した音。思いがけない宝物のような音との出会いがフジロックにはあるのだ。

今年のフジロックは、“虹”で大団円を迎え、また次の新しい1年がはじまる。
またここに「ただいま!」と帰ってこれるように、それぞれがそれぞれの場所で最高の人生を送ろうじゃないか!

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THE CURE http://fujirockexpress.net/19/p_1719 Sun, 28 Jul 2019 17:24:09 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1719 今年は、ザ・キュアーにとって何かとメモリアルな年だ。デビューアルバムの『Three Imaginary Boys』リリース後40年で、名盤『Disintegration』のリリースから30年ということで全曲再現ライヴも行っている。そして、ロックの殿堂入りを果たし、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーから愛あるコメントを受けていたのも記憶に新しいところ。そして、ザ・キュアーのラストアルバムになるのではと噂の新作がリリースされるとかされないとか…といった情報も耳に入ってきている。

そんな話題だらけのザ・キュアーが、今や伝説となっている、約3時間、全36曲を演奏した2013年の出演以来、約6年ぶりに苗場に帰還する。

ステージ前で待ちわびるオーディエンスの話し声に耳をすましていると、色んな言語が飛び交っている。今年のフジロックで一番の人種のごった煮感。海外のフェスティバルに来ているような感覚だ。多くのファンが、わざわざ海外から観に来ているという事実に、海外におけるザ・キュアーの人気の高さを開演前から目の当たりにした。

開演予定時刻を10分程度遅れて、グラス同士が軽く合わさる時のようなキラキラと浮遊する音が流れる中、4名のバンドメンバーが姿を見せ、満を持してロバート・スミスが登場した。“Plainsong”の重厚で荘厳なフレーズが響き渡ると、フロアから「ロバちゃーん!」という歓声がそこかしこから飛んでくる。ロバート・スミスがステージを左右にゆっくりと歩き、オーディエンスとの再会を喜ぶかのように立ち止まってはフロアの方を見つめていく様が何とも可愛らしい。

オーディエンスから「I’ve waiting for you for a long time!(ずーっと待ってたよ!)」との歓声が上がり、フロアが笑顔に包まれると“Picture of You”が投げかけられた。この苗場の地での極上の環境の下、世界中の音楽を愛する者たちに囲まれて堪能するロマンチックなメロディとロバートの声。めちゃくちゃ気持ちが良い。今夜の雰囲気にぴったりな空に向かって突き抜けるような爽やかな曲が続いた。

ここから“A Night Like This“、“Lovesong”、“Last Dance”の3曲。個人的にはおセンチなこれらの曲は苦手だったのだが、肩を組んで大合唱しているオーディエンスや大歓声の中で聴いているとまったく違った興奮を伴って聴こえてくるから不思議だ。ついつい一緒に歌い上げてしまった。“Lovesong”の後、あまりの気持ち良さを感じてか「アー!」と叫んでいたが、フロアにいる全員が同じ気持ちだったことだろう。

ここで最初のハイライトが訪れた。ロバートが笛を吹き鳴らし、ヘヴィに熱狂の渦を作り出した“Burn”。主演のブランドン・リーが撮影中に発砲事故で死亡したいわくつきの映画『クロウ/飛翔伝説』の劇中歌だ。強く降り注ぐ雨も、重たいリズムに合わせて灼熱の真紅から白光色とクルクルと変わる照明も演奏に華を添え、オーディエンスを沸かせるのに一役買う。意外なほどダンサブルに変貌した“Fascination Street”からクラブ向きのダンスチューンの“Never Enough”へとなだれ込むという、文句なしの流れだ。

ここからはキラキラのポップチューンの3連発。“Push”の軽快なフレーズが流れただけで、みんながハイタッチして喜んでいる。ほんとにみんなキュアーが好きなんだなぁ。その光景は次の“In Between Days”で更に盛り上がることになる。みんなでピョンピョンと跳ね、主旋律を合唱するのだ。ロバート自身の結婚にまつわるロマンチックな実話がそのまま表現された“Just Like Heaven”で集まった聴衆の多幸感は最高潮に達する。何だこの幸せに満ちた空間は。ロジャー・オドネルのキーボードの調べこそがザ・キュアーのポップ度を向上させる鍵なんだと気づかされる。

この後は“From the Edge of the Deep Green Sea”からしばしの間、ダークでディープな世界に誘われることになる。ロバート・スミスの混乱した頭の中を垣間見るようなギターノイズと咆哮。ライヴだと、悲痛な苦悩に満ちた歌声がダイレクトに胸を打つ。“Play for Today”では悲しげな旋律にもかかわらず、サッカースタジアムかと思えるほどの「オーオーオー」が巻き起こり、幼少期に家族と旅行で訪れたドイツの森で迷子になってしまった時の不安感から生まれた“A Forest”も最後のロバートが奏でる不協和音と、ベースが刻まれる残響音に不安が掻き立てられる。

インダストリアル・ミュージックの祖であることを証明するかのような“Shake Dog Shake”で再び熱狂の渦を場に生み出し、バックのスクリーンに映し出された芋虫のごとく耳の奥で蠢くノイズが不安感をあおる“Disintegration”で歪んだ残響音とともに本セットが完了。すぐに出てくることをみんな察知しているのか、アンコールの拍手が控えめで笑ってしまう。

案の定、すぐに登場して、幼少期にロバートの叔父さんから聞かされた蜘蛛男の恐怖を形にした歌、“Lullaby”を披露。キーボードが蜘蛛男が忍び寄ってきて糸を吹きかけるかのような不気味な効果音を入れて恐怖感をあおる。蜘蛛男の次は芋虫少女、“The Caterpillar”。跳ねるリズムに楽しく会場がポップすると、80年代にタイムスリップしたかのようなキーボードの調べとベースが唸り腰をロックする“The Walk”でダンスタイムを提供し、アコギの弾き語りから入ったスクリーンにハートマークが飛び交う激甘のポップチューン、“Friday I’m in Love”でここ一番の歓声と合唱が沸き起こり、愛に包まれた。“Close to Me”でそのポップさをキープし、“Why Can’t I Be You?”のグルーヴで再度ダンスフロアを作り出す。ラストは、女の子にフラれて、未練がましくも強がっている男の子の青臭いアンセム“Boys Don’t Cry”で締めくくった。本セットの美味しいところを再抽出したかのような濃密なアンコールだった。

ザ・キュアーのライヴを直に体験すると、ロバート・スミスの表現フォームを絶妙にバランスしたよく練られたセットリストだと気づかされる。そして、ひとつのステージを通して、こんなにも多種多様な気持ちを味わわせ、新しい発見を促してくれるロバート・スミスはやはり圧倒的な鬼才だと思い知らされたライヴだった。

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音楽好き系女子2名@ブルーギャラクシー http://fujirockexpress.net/19/p_7247 Sun, 28 Jul 2019 15:10:33 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=7247 名前:(左から)なつみ、あいり
どんな仲間?:音楽を愛する仲間

フジロック最終日。ホワイトステージのトリを務めたジェイムス・ブレイクの終演後に大阪のあいりちゃんと、栃木からやってきたなつみちゃんの音楽好き系女子2名をDJテントのブルーギャラクシーでキャッチ!今年のフジロックのベストアクトをそれぞれ教えてくれました。あいりちゃんは選定理由も教えてくれて、二日目の土曜日と本日最終日の足取りまで見せてくれました!

Airi’s Best Acts:
・JAMES BLAKE(ホワイトがドンピシャなステージだったし、日本への感謝と愛が感じられ可愛かったから)
・STELLA DONNELLY(めちゃタイプの音だったから)
・HIATUS KAIYOTE(もう演奏が最高!6弦ベースがとにかくヤバかったから)

Natsumi’s Best Acts:
・TORO Y MOI
・TYCHO

こうしてみんなのベストアクトを語り合うのはほんとに楽しいですね。早速、皆さんも仲間と振り返ってみてはいかがでしょう?
まだまだフジロックは終わらない。この後、二人はレッドマーキーに登場するコメット・イズ・カミングを観に行くとのこと。最後の最後まで思い切り楽しみ尽くしましょう!今年も本当にありがとう!フジロック!!

Airi’s schedule of 2019/07/27, Fuji Rock Festival, Day 2:
・GEZAN
・CAKE
・COURTNEY BARNETT
・ALVVAYS
・DANIEL CAESAR
・SIA
・DEATH CAB FOR CUTIE

Airi’s schedule of 2019/07/28, Fuji Rock Festival, Day 3:
・STELLA DONNELLY
・HIATUS KAIYOTE
・HYUKOH
・CHON
・VINCE STAPLES
・JAMES BLAKE
そしてレッドへ~…

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BANDA BASSOTTI http://fujirockexpress.net/19/p_1745 Sun, 28 Jul 2019 05:28:56 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1745 昨日までの豪雨が嘘の様に晴れ渡ったフジロック最終日。満を持してホワイトステージに登場するのは、イタリアはローマからやってきた闘う音楽ギルド、バンダ・バソッティだ。開演前から入念にリハをやり、開演10分前になるとスマッシュ代表の大将こと日高正博が登場し、「晴れたね!開演まで後10分あるからみんな友達呼んでくれよ!ローマからやってきてくれてるんだからさ。よろしくな!ありがとう!」と呼びかける。

開演時間になると、ピースマークがでっかく描かれたTシャツを着たFujirockers.org主宰、花房浩一がバンドの紹介役としてステージに登場。「みなさん、こんにちは!知っている人も多いと思うけど、2002年のフジロックには、ジョー・ストラマーがいました。マヌ・チャオもいました。そして、これから登場するバンダ・バソッティもいました。バンドの代表メンバーだったシガロ(故アンジェロ・コンティの愛称)が昨年12月に亡くなりました」と声を詰まらせる。見ると、ドラムセットのところにシガロに捧げるサッカーユニフォームが掲げられている。「彼の魂がここにあります。彼がフジロックの時の思い出を基に“Fuji Rock”という曲を作りました」と、フジロックに集う人たちは戦争なんて無縁の仲間たちだと歌ったその胸を打つ歌詞を語りかけた。「あなたが目の当たりにしているのは現実です。彼らの音楽は政治的です。彼らの音楽は現実を変えるための武器です。でもね、政治のための音楽じゃないんですよ」と言う。バンダ・バソッティはパレスチナ、ニカラグア、エルサルバドルで、現地の人の為に学校や家を建てるなど、ダイレクトな行動を起こしていることでも有名だ。これから登場するバンドは、ただのロックバンドではない雰囲気を場に作り出して「ブラザー&シスターズ、そして同士のバンダ・バソッティ!」とメンバーを呼び込んだ。

“SAVE DONBASS CHILDREN”とドーンと描かれたスクリーンが表示され、バンダ・バソッティの“Asi Es Mi Vida”が流れると、フロアからどでかい「Oi! Oi!」コールが巻き起こる。サイレンが鳴り響き、“The Internationale”をバックに、腕を突き上げたメンバーが「¡No pasarán!」(スペイン語で「奴らを通すな!」の意)と描かれた横断幕を掲げ登場した。

熱さそのままに一発目に繰り出したのは“Piazza Fontana(Luna Rossa)”。想いが込められた歌に胸が熱くなる。続けて“E’ Solo Un Sogno”でフロアは一瞬でスカ天国に。サックス、トローンボーン、トランペットのブラス隊がこれでもかとブロウし、ギターの軽快なカッティングでフロアにスカダンスを次々に生み出していく。

ゆったりしたテンポのレゲエチューン2連発で「踊ってくださーい!」と会場を暖めた後に、激烈パンクチューンの“Avanzo De Cantiere”を落とすものだから、ステージ前方はモッシュが巻き起こるわ、クラウドサーフは飛び出しまくるわでぐちゃぐちゃな状態に。その様を見ていて、不意に涙が流れてきた。集まったみんなが今、この瞬間を存分に楽しんで笑顔でいっぱいの空間。こんな空間がもっともっと共有されれば世界は平和になるのに。

バンダ・バソッティ節満載のパンクチューンはとどまるところを知らない。ハイオク満タンのパンクアティテュードで疾走する。ステージ中央を見やると、の黄色い旗と、チェ・ゲバラの真紅の旗がはためいている。今、ここには銃なんて必要としない音楽と言う名の革命が繰り広げられているのだ。シガロの魂もステージで一緒になって歌っているかのような熱さを伴っている。「オーオーオー」とみんなで歌い、何度もしゃがんでは天に向かって爆発するダンスをかまして最高の時間を共有するのだ。

「ジョー・ストラマーと花房に捧げる!」と投下したのは、ザ・クラッシュの“Revolution Rock”。俺たちは武器を手にせず、音楽を武器として踊って体制に立ち向かうぜ!という熱い気持ちが込められているような胸が熱くなる演奏だった。そのまま軽快なビートで“L’altra Faccia Dell’impero”になだれ込んだ。あ~、終わってほしくないこの時間!最後は反ファシストの讃美歌“Bella Ciao”で拳を突き上げ歌い、「¡No pasarán!」の横断幕と“The Internationale”の再登場とともに締めくくった。オーディエンスから「ありがとうー!」や「Gracias!」といった感謝の歓声が尽きなかった。音楽に込められた想いと主張、音楽が持つ可能性を訴えかけてくるような彼らのステージは、今回のフジロックで体験したどのステージよりも涙腺にくる胸を打つものだった。

“Limited Edition for Fujirockers”と記されたバンダ・バソッティの「Fuji Rock(c/w)Revolution Rock」7インチシングル盤は、フジロッカーズ・ラウンジと岩盤のオフィシャルショップで購入できます。限定100枚しかありません。ぜひ、記念にお買い求めください。

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関西フジロッカーズ、ブルーギャラクシーに集結! http://fujirockexpress.net/19/p_6643 Sun, 28 Jul 2019 03:30:25 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=6643 名前:(左から)みやぎ、ようちゃん、ゆき、あず(※左端は取材者です)
どんな仲間?:関西は大阪界隈でよく集まって飲む仲間。ライヴやイベントも一緒に行ったりしています。

地元にいる時に「苗場で乾杯しよう!」などと言ってはみるものの、それぞれが大の音楽好きで自分のスケジュールで動くため、
期間中に会って、乾杯するのはなかなかに難しかったりするのが実情。そんな中、ばったりとブルーギャラクシーで出くわした面子でパチリとおさまりました。
早いもので、今年のフジロックも最終日。最後の最後まで思い切り楽しんでくださいね!

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GEORGE PORTER JR & FRIENDS http://fujirockexpress.net/19/p_1789 Sat, 27 Jul 2019 18:33:22 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1789 フジロック開催の直前に亡くなってしまったザ・ミーターズの創設者のひとりであり、ニューオーリンズ音楽の精神的支柱でもあった、ことアート・ネヴィル。2009年のファンキー・ミーターズ名義での出演以来10年ぶりの苗場帰還ということで心待ちにしていた、盟友ジョージ・ポーターJr.とその仲間たちによるフジロックの公演がまさかアートの追悼公演になろうとは思いもしなかった。

フジロックの二日目もあっという間に闇に包まれた。雨がどんどん強まり雨具程度では防げない様相を呈してきたフィールド・オブ・ヘブンに、アートへの敬意と追悼を表するということもあるだろう。相当の数のオーディエンスが集まっている。

開演時間の19時ちょうどに、バンドメンバー全員がずらっと登場。ジョージがトリオ編成でライヴを行う際のメンバーであるマイク・ レムラー (キーボード) とテレンス・ヒューストン (ドラムス)、ニューオーリンズを代表するファンクバンドのダンプスタファンク(Dumpstaphunk)のリーダーにして、ネヴィル・ブラザーズのアーロン・ネヴィルの息子、アイヴァン・ネヴィル (Hammond B3 organ)、ダンプスタファンクに所属する2名のギタリスト、アートの息子のイアン・ネヴィルとトニー・ホールという布陣だ。

ジョージが野太い声でリードする“More Time”で、のっけからどファンクなグルーヴを出現させると、会場全体の熱が一気に上がるのを感じた。打ちつける雨のことなんか忘れて笑顔でビートに合わせ手を叩き、身体をスウィングさせている。それに応じるかのごとくバンドは、渾然一体となってがっぷりとファンクネス度数を上げていくのだ。ステージを照らす灼熱の赤の照明も抜群の演出。続く“Liver Splash”では、トニー・ホールによるエディ・ヘイゼル顔負けの歌い上げるギターソロのあまりの恰好よさに、思わず声を上げてしまった。

テレンス・ヒューストンのドラムも特筆しておきたい。ニューオーリンズ・ファンクと言えば必ず出てくる、「セカンドライン」と呼ばれるリズム。地元のお祭りやお葬式のパレードのブラスバンドの後ろで、空き缶などを叩いたり、踊りながらついてゆく人々の列が繰り出す音が由来なのだが、いまひとつピンと来ていなかった。テレンスの繰り出す、リズムのメインを押さえつつも終始ドラムソロをしているかのような手数の多さで、叩き出しているのを目の当たりにして、「これがそうか!」と自分の中で腹落ちしたのだ。やはり生で、現場でこそ本当に発見できるのだと実感した次第だ。

レゲエ風のカリブ海の潮風を“Soul Island”でパッと会場が華やいだ後は、「ア~ヤッ!」の掛け声から満を持してミーターズの超名曲“Sissy Strut”が投下された。アートに捧げるがごとく、アイヴァンが弾く、跳ねまくるオルガンの鳴りがたまらない。もはや降りしきる雨のことも、レポートのことも忘れて踊り狂う自分がいた。見渡すと会場全体が同一の状態。フロアを見やるジョージも笑顔でご満悦のご様子だ。ステージもフロアも笑顔で満ちている。

“What’cha Say”からそのままなだれ込んだ“Fire On The Bayou”。年輪を感じさせるジョージの「匠」という言葉がぴったりなソロに、テレンスが繰り出した雷神様かというほどの超絶ドラムソロを挟み、みんなでフックを合唱して歓喜のステージを締めくくった。バンドメンバー同士熱くハグし、会場に集まったみんなと集合写真を撮影。名残惜しそうに笑顔でたたずむジョージの姿が忘れられない。

鳴りやまない拍手と歓声に、バンドがまさかのカムバック。イアンがブルージーでたまらないフレーズを奏で“People Say”でバンドもオーディエンスも完全燃焼。踊り倒していたら、最後には雨が上がっていた。まさしくヘブンがファンク天国と化したステージだった。アートも天国で今夜の光景を笑顔で見下ろしていたことだろう。

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キセル http://fujirockexpress.net/19/p_1792 Sat, 27 Jul 2019 15:37:11 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1792 フジロック2日目。曇天だが湿度が高く蒸し暑い。フィールド・オブ・ヘブン、蓮沼執太フィルから2番手のバトンを受け取るのは、辻村豪文(Vo/Guitar)と辻村友晴(Vo/Bass)の兄弟ユニット、キセルだ。デビューして2年目の頃から出演しているヘブンということもあってか、開演時刻ぎりぎりまでバンドとともに入念にリハをやる二人の顔に気負いの色はなく、とてもリラックスしているのが見て取れる。

柔らかな拍手で迎えられる中、兄弟二人が登場して、リズムマシーンのビートをバックに豪文が暖かみをもって浮遊する“くちなしの丘”のギターフレーズを奏でると、その瞬間に風がすうっと吹き抜けた。二人が奏でるベースとギター、兄弟ならではの絶妙なハーモニーで会場を感動で包んでいく。体力勝負のフジロックにおける、束の間の癒しタイムに会場で身体を揺らす聴衆がうっとりとした顔を浮かべていた。

今年で結成して20周年を迎えた彼ら。豪文からの感謝の挨拶に呼応して、ヘブン一帯がお祝いムードに満ちた温かい空気であふれ返るかのようだった。続く“夜の名前”で、ドラムの北山ゆう子、フルートの加藤雄一郎、そしてグッドラックヘイワのキーボーディスト、野村卓史とが加わる。バンド編成になったことで、グッと音圧が増し、フルートが軽快に流れる“夜の名前”でステージ前方のオーディエンスをホップさせる。腹にドシドシと突っ込んでくる友晴のベースが何とも心地よい。雨がパラパラと降ってきて、ゆったりとしたテンポの“ナツヤスミ”に、雨が身体にの上を心地良く跳ねる。キーボードが醸し出す残響音と、うだるようなフルートの音色。永遠に続くかのような「ナツヤスミ」コールに、キセルと共有する今、この瞬間こそが最高の夏休みだと感じてしまう。

雨足が強まってくるのを見て、「風邪などひかないように養生してください」とオーディエンスを気遣う豪文。キセルの音楽が「大切な何かを思い出させてくれる」と言われていることが腑に落ちた気がした。彼らの表現は、何も無理強いしない。「そのまんまでいいよ」とこの場に集まった我々を抱きしめてくれるかのようなライヴだった。

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2日目のみ参戦! http://fujirockexpress.net/19/p_6525 Sat, 27 Jul 2019 07:03:24 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=6525 名前:鈴木啓(すずきけい)さん
どんな仲間?:東京からやってきた、2日目のみ一人参戦しているフジロッカー。普段は会社員。

この後、ホワイトステージに登場するコートニー・バーネットの出演待ちのタイミングでつかまえ、雨が降りしきる中でしたがハイネケンで乾杯。
今年3月の単独来日公演に行っているほどのコートニー・バーネットのファン(この後、一緒にライヴを観たのですが、曲名や音源との違いなどを詳しく教えてくれました)。
フジロックには大学時代の2008年から来続けているそうですが、結婚してお子さんができた最近は奥様に頭を下げて一日だけ来ているとのこと(ありがたい奥様ですね!)。
ほんと相当な音楽好き。本日だけ参戦ということもあってか、かなり無理があるスケジュール(笑)。一応宿は押さえているようですが、疲れ果てるまでレッドマーキーで過ごすそうです。今日一日、思いっきり楽しんでくださいね!色々とありがとうございました!また来年、苗場でお会いしましょう!

Kei’s schedule of Fuji Rock 2019, Day2
怒髪天(green)
昼ご飯(heaven)
蓮沼翔太フィル(heaven)
ずっと真夜中でいいのに(red marquee)
銀杏BOYZ(green)
Jay Som(red marquee)
Unknown Mortal Orchestra(white)
Char x Chabo(heaven)
Courtney Barnett(white)
Alvvays(red marquee)
夜ご飯(oasis)
American Football(white)
SIA(green)
Death Cab For Cutie(white)

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チャラン・ポ・ランタン http://fujirockexpress.net/19/p_1802 Fri, 26 Jul 2019 13:37:20 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1802 フジロック2019の初日も早いもので、夕方6時半を回り辺りが暗くなってきた。雨足が強まってきたが、みんなしっかりと雨具に身を包み、文句ひとつ言わず、ただ雨に身を委ねてはしゃいでいる。これくらいの雨などものともしない。フジロックが培ってきた<フェスティバル>という文化。「自然と音楽の共生」というテーマを来場するみんなが共有していることをあらためて目の当たりにした。

さて、ここはジプシーアヴァロン。これからここに登場するのは、もも(唄)と小春(アコーディオン)によるオルタナティヴ・シャンソン姉妹ユニットのチャラン・ポ・ランタンだ。今月17日に結成10周年を迎えたばかりの彼女たち。少し早めに会場に到着したのだが、すでにステージ前一体はファンがしっかりと陣取っている。ステージを待つオーディエンスの中には子供の姿もちらほらと。小春がアコーディオンを手に、バンドメンバーと音合わせをしている。リハにもかかわらず、ビートに合わせて本番さながらにノリノリのオーディエンスが散見される。「音合わせ完了!後20分くらいあるけど、どこにもいかないんですか?すみませんが、そのままキープで!」と小春が挨拶し、ステージの奥に消えていった。

開演時間になると、ステージ横で姉妹とバンドが円陣を組んで、気合入れの掛け声を上げている。シン・ゴジラのサントラ“宇宙大戦争/「宇宙大戦争」/ヤシオリ作戦”が高らかに鳴り響きと、最新作『ドロン・ド・ロンド』の豪華絢爛な衣装に身を包んだ、ももと小春が登場し、探検隊のような出で立ちのカンカンバルカン楽団の面々を、バイオリンの舞子(磯部舞子)、サックスのオカピ、ドラムスのふーちんの順でステージに呼び込んでいく。ももが、ハイテンションにアジテートすると、それに呼応して沸点を振り切ったかのような演奏を繰り広げる4人の楽隊。のっけからやんや、やんやの喝采が沸き、その熱に誘われるかのようにステージの周りにどんどん人が集まってきた。

グリーグの『ペール・ギュント』の「山の魔王の宮殿にて」の不穏なフレーズが跳ねまくる“メビウスの行き止まり”や、大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のオープニングテーマだった人気曲“進め、たまに逃げても”を繰り出し、尽きることのないアゲアゲのグルーヴと、フロントの4名がステージ上を縦横無尽に動き回って飛び跳ねまくる、前のめりなパフォーマンスに、身体が動きだしてしまうのをまったく止めることができない。

予想していた以上に集まったオーディエンスにご満悦な二人。「何でこんなに人がいるの?3万人はいるよ!」と冗談を飛ばしつつも、感謝の気持ちがあふれ出ている小春。「3万人のあんたら、最高だよ!」と“最高”を届ける。唄のパートが終わった後、ももは縦笛を吹き鳴らし、バンド全員がこれでもかと楽器を弾き倒して「久々のフジロック、最高だったぜ!ありがとうフジロック!」と歓喜のステージを締めくくった。

ステージから終始放出された圧とエネルギーがものすごかった。今宵集まった音楽を心から愛するオーディエンスに囲まれて、野に放たれた感じだ。最後に二人が何度も「最高!」と叫んでいたことからも、終演後も拍手が鳴りやまなかったことからも、今夜のライヴは一期一会なまさしく「最高」のライヴだったと言えるだろう。この場に立ち会えたことに感謝だ。

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