“若林修平” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '19 | フジロック会場から最新レポートをお届け http://fujirockexpress.net/19 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Mon, 02 Sep 2019 02:34:33 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.10 過去最悪のどしゃ降りという試練を乗り越え、まるでなにもなかったかのように弾けていたフジロッカーに乾杯。間違いなく、これまでで最も素晴らしかったと絶賛のフジロックを作ったのはあなたたちです http://fujirockexpress.net/19/p_8672 Thu, 01 Aug 2019 01:33:33 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=8672  台風に襲われて、修羅場のようになった1997年のフジロックを、まさか2年連続で思い起こすことになろうとは、想像だにしなかった。例年なら、梅雨も明けてからっとした空気に包まれるのが開幕の頃。現地入りした火曜日も、ほとんど雨の気配は感じられなかったし、そろそろ梅雨明けと思っていた。実際、その頃の予想では、フジロック開催時の週末はわずかな雨を伴うが、おおむね好天だろうと囁かれていたものだ。が、台風発生のニュースが飛び込んでくる。当然のように、脳裏に浮かんだのは昨年の惨状。風で吹き飛ばされたテントの数々や横殴りの雨…。 コンピュータ機器が重要な役割を果たす、我々の作業場となっているテントも補強しなければいけないし、キャンパー達にはテントの再点検も呼びかけなければいけない。そんなことを頭の片隅に感じながら幕開けした前夜祭で、DJ Mamezukaのターンテーブルから飛び出してきたのは、1997年、台風に見舞われたフジロックで強烈なインパクトを残した電気グルーヴの“富士山”だった。

 わざわざその意味を説明する必要もないだろう、全身全霊でこれを受け止めていたオーディエンスがそれを雄弁に物語っている。とりわけ、今年は特別なんだろうが、例年、ここで目の当たりにするのが弾けんばかりの笑顔の数々。間違いなく、これこそがこの会場で働くスタッフの宝物だ。だからこそ、それを目にしようと多くの関係者がこのステージ脇に集まってくる。今回は、総合プロデューサーの大将こと、日高正博氏もここで、ニコニコしながら、オーディエンスを見守っていた。そんな彼らの表情を記念写真という形で記録し始めてすでに10余年。それをポストカードという形で販売し始めたのが数年前と思うんだが、今年からは無料で配布することにした。どれほどの人がそれを手にしてくれたのか定かではないが、ささやかなお土産として受け取っていただければ幸いだ。

 限られた時間しかないステージで多くを語るのは難しい。が、今年なによりも伝えたかったのは14年ぶりに苗場に戻ってきたイタリアのバンド、バンダ・バソッティが、世界で初めて“フジロック”というタイトルで発表した歌のことだった。

「ようこそ、フジロックへ。君たちが目の当たりにしているのは紛れもない現実で、ここにいるのは戦争とは無縁の人たち。僕らは一人ぼっちじゃない。残酷な世界は僕らを潰しにかかるだろう。でも、誰にも僕らを止めることはできない…」

 すでに今年のフジロックへの出演が決まっていた昨年暮れ、この歌を書いてくれたバンドの要のひとり、ギター&ヴォーカルのアンジェロ”シガロ”コンティが他界。どこかで彼がフジロックを愛する人たちに残してくれた遺産にも思えるのがこの歌だ。「Welcom To Fuji Rock」という英語のフレーズが出てくるが、歌詞のオリジナルはイタリア語。今回、こちらのリクエストに応える形で、バンド側が「フジロッカーズ限定盤」としてプレスしてくれたイタリア盤シングルの日本での販売に向けて出来上がった歌詞対訳を見ると、彼がフジロックに、そして、その向こうに何を見ていたのかがくっきりと浮き上がる。

 その歌で「まるで流れる川」のように山に戻ってくると描かれている人々にここ数年著しく増えたのが、様々な人種や国籍。フジロック好きが集まってくる飲み会のようなフジロッカーズ・バーが台湾でも開催されているのは昨年お伝えした通りで、フジロッカーズ・ラウンジのそばにあるグラフィティ・ボードには香港関係の書き込みも多かった。また、お隣の韓国から東南アジアの国々にオーストラリア…と、会場では様々な国の言葉が飛び交っていた。彼らがコミュニケーションに戸惑うことはないんだろうかという危惧をよそに、僕らの共通言語、音楽がそれを全てカバーしてくれているようにも感じたものだ。

 耳にしたくなくてもメディアで伝えられるぎくしゃくした国際情勢がここでは嘘のように思えていた。世界中で分断を謳う偏狭なナショナリズムや人種差別の嵐が吹き荒れているというのに、ここで目撃したのはそれとは真逆の世界。誰もが互いを個人として尊重し、いたわり、繋がろうとする。その結果、単純な言葉では描ききれない平和がもたらされていた。この平和を愛し、形にすること、あるいは平和について語ることって政治的? 人種差別に反対し、繋がることが政治的なら、もっと政治的になってもいいじゃないかとも思う。ここ数年、きわめてちっぽけな世界で囁かれている「音楽(あるいは、フジロック)に政治を持ち込むな」という発想がどれほどの矛盾を抱えているか、言うまでもないだろう。音楽であれ、アートであれ、自由。それを規制をしようとすることがどれほど政治的なのかを理解できないとしたら、あまりに貧しい知性の持ち主でしかないだろう。

 誰もが政治や経済、社会とは切っても切れない存在としてこの世界を生きている。だからこそ、背を向けるのではなく、向き合うことが必要とされるのだ。そうすることで自らの未来を描くことができる。「The Future Is Unwritten」と語ったジョー・ストラマーが、その言葉の向こうに込めたのがそれなんだろう。音楽やアートはそういったことを気づかせてくれる貴重な宝物であり、そんな宝物で溢れているのがフジロック・フェスティヴァルなのだ。

 実を言えば、今年NGOヴィレッジに生まれた「うちなーヴィレッジ」の発端も音楽だった。きっかけは10年ほど前に辺野古への新たな米軍基地建設計画を巡って、沖縄で繰り広げられていたピース・ミュージック・フェスタの仲間たち。「フジロックは沖縄に関して何もやってくれないの」というつぶやきをきっかけに昨年からなにかが動き始めていた。それを快く受け入れてくれたのが、フジロックのルーツと言ってもいいだろう、アトミック・カフェ・フェスティヴァルのスタッフ達。それが沖縄県知事を担ぎ出す流れを生んでいる。

 が、そんなことよりなにより、今年を振り返った時、真っ先に語られるのはどしゃ降りの雨だろう。過去10年連続で台湾からフジロックに通っている友人が「10年で最悪の雨」と語っていたんだが、それどころか、1997年の第1回目から振り返っても、これほどひどい雨はなかった。特に土曜日の午後から日曜日早朝にかけて、まるでバケツをひっくり返したような雨がひっきりなしに降っている。ときおり雨脚が緩やかになって「ひょっとして止んでくれるかも…」とかすかに期待するのだが、それをあざ笑うかのように、さらに激しい雨が、これでもかと言わんばかりに我々を殴りつけていた。

 そんななかを走り回って取材を続けていたスタッフからも「カメラ、死んじゃいました」とか、「テント水没です」なんて話が飛び込んでくる。その一方、どしゃ降りの下、大騒ぎでライヴを楽しんでいるオーディエンスがいた。この日のヘッドライナー、SIAが姿を見せたグリーンステージや他界したアート・ネヴィルのことを思い出さざるを得なかっただろう、フィールドオヴヘヴンのジョージ・ポーター・ジュニア・アンド・フレンズからエゴ・ラッピン…。どれほど防水加工されたコートやジャケットにポンチョだろうが、太刀打ちできないほどの雨だというのに、それを跳ね返すほどの熱気が生まれていた。それは比較的小さなステージでも同じこと。苗場食堂では目の前にいるはずの観客が見えないほどに激しい雨が降っていたと教えてくれたのがコージー大内。また、ピラミッド・ガーデンでは滝のような雨を浴びながら、リアム・オ・メンリィがプリンスをカバーした「パープル・レイン」に感動していた仲間がいた。おそらく、生きているうちに幾度も体験できない奇跡のライヴとして、これが彼らの脳裏に刻み込まれ、語り継がれていくはずだ。

 各ステージでヘッドライナーが演奏を始める頃、会場内の裏導線には規制が入り、最重要車両を除いて、奥地に入るのは不可能となっていた。憔悴しきったスタッフの送迎もかなわない状態となっていたが、彼らには雨をしのぐことのできる場所がある。それより観客の安全を最優先すべきと動いていたのが主催者であり、スタッフだ。会場内を流れる川が増水し、かなり早い段階でボードウォークの一部を閉鎖。過去に例を見ない豪雨の影響で会場に繋がる国道17号線に規制が入ったという情報が流れ、各ステージでの最終ライヴが終わった後、グリーンステージから奥が閉鎖されている。でも、毎年積み上げてきた教訓、特に昨年の経験が生かされていたんだろう、その頃にはテント泊に不安を感じる人々のために地元やプリンス・ホテルが一部を休憩所として確保。彼らを誘導し、キャンプ場の安全を確保し続けたキャンプよろず相談所のスタッフに賞賛の言葉を贈りたい。加えて、悲惨な目にあった仲間たちに救いの手をさしのべようとした人たちがいっぱいいたことも忘れてはいけない。

 主催者、地元の人々、スタッフのみならず、会場にやって来るフジロッカーに与えられたのが、これでもか、これでもかと思えるほどの試練の数々。でも、ほとんどの人たちがそれを乗り越えた後、まるでご褒美のように幸福な時間がもたらされる。夜が明けて、お日様が顔を出す頃、会場に溢れていたのは、まるでなにもなかったかのように満面に笑みを浮かべて最後の一日を謳歌する人々。メディアやSNSが「最悪な一点」をあたかも全体であるかのように吹聴し、尾ひれをつけて拡大していった一方で、この現場にいる人たちが至福のフェスティヴァル体験を語り始めていた。申し訳ないが、それはこの場所で同じ時間と空間を共有しなければわからない。モニターでライヴを見ても、全身に降り注ぐ興奮を感じることはできないし、このエキスプレスをチェックしていても、語り尽くせない幸せを体験することはできない。だからこそ、ここにおいでと呼びかけ続けているのだ。

「これまでで最高のフジロックだった。なによりもこのフェスティヴァルがために、ここに多くの人たちがやって来てるってのがよくわかるんだよ。バンドとか、ライヴとか…。それよりなにより、ここにいることに大きな意味がある」

 全てが終わりかけ、夜空に浮かんでいた三日月が、しらけてきた空に姿を消しかけた頃、今年、「I Am A Fujirocker」というTシャツをデザインしてくれたDJでミュージシャンのギャズ・メイオールが、そんな言葉を口にしていた。しかも、同じような言葉がいろいろな人たちから届けられるのだ。あれほど過酷な時間を過ごしたというのに、多くの参加者が「素晴らしいフジロックだった」あるいは、「過去最高!」と今年を語り始めたのはなぜだろう。もちろん、問題がなかったわけではない。あふれかえるゴミやはた迷惑なキャンプ・チェアーや地面に広げられたシートに、置き去りにされるテントなど、解決しなければいけない問題は山積している。が、規則でがんじがらめにしたところで、思考を停止させるだけで本質的な問題は残されたままとなる。じゃ、どうすればいいんだろう。と、そんなことを考えながら、今年のエキスプレスを締めくくることになる。

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 フジロック史上最悪のどしゃ降りのなか、一方で、熱中症も心配された灼熱の下、開催期間中のみならず、その前から最後の最後まで様々な場所に出没し、会場中を駆け巡って取材をしてくれたのは以下の仲間たち。手前味噌ではあるかもしれませんが、いろいろな圧力や問題に立ち向かいながら、公式にサポートされた独立メディアとして、私たちのフジロックを伝え続けてくれたことを褒めてあげたいと思います。もちろん、完成形はまだまだ。もっともっと学ばなければいけないだろうし、数々の試練も乗り越えなければいけないだろうと思います。間違いもあるかもしれません。もし、そういったことが見受けられたら、ぜひご指摘ください。真摯に対応いたします。

 日本のリクエストに応えてバンダ・バソッティが作ったくれた「フジロック (c/w) レヴォリューション・ロック」の限定盤7インチ・シングルはこちらのサイト、fujirockers-store.com、および、フジロッカーズ・バーで販売を続けます。会場で入手できなかった方で、アナログ好きな方はぜひチェックしてくださいませ。

なお、今年、動いてくれたスタッフは以下の通りです。

■日本語版(http://fujirockexpress.net/19/
写真家:森リョータ、古川喜隆、平川啓子、北村勇祐、MITCH IKEDA、アリモトシンヤ、安江正実、粂井健太、Yusuke Baba(Beyond the Lenz)、白井絢香、リン、HARA MASAMI(HAMA)、おみそ、森空
ライター:丸山亮平、阿部光平、イケダノブユキ、近藤英梨子、石角友香、東いずみ、あたそ、梶原綾乃、長谷川円香、坂本泉、阿部仁知、三浦孝文、若林修平

■英語版(http://fujirockexpress.net/19e/
Laura Cooper, Sean Scanlan, Park Baker, Jonathan Cooper, Sean Mallion, Laurier Tiernan

フジロッカーズ・ラウンジ:飯森美歌、関根教史、小幡朋子、町田涼、藤原大和

ウェブサイト制作&更新:平沼寛生(プログラム開発)、坂上大介(デザイン)、迫勇一

スペシャルサンクス:岡部智子、熊沢泉、三ツ石哲也、志賀 崇伸、Masako Yoshioka、MASAHIRO SAITO、増田ダイスケ、Riho Kamimura、タカギユウスケ、永田夏来、Masaya Morita、suguta、つちもり、Taio Konishi、Hiromi Chibahara、そして、観客を守るために奔走してくれた全スタッフ、試練を乗り越えてフェスティヴァルの素晴らしさを伝えてくれた観客のみなさん。

プロデューサー:花房浩一

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toe http://fujirockexpress.net/19/p_1795 Sun, 28 Jul 2019 21:06:02 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1795 ライブ開始前、山㟢廣和(Gt)、美濃隆章(Gt)、山根敏史(Ba)、柏倉隆史(Dr)のメンバー4人が、普通にサウンドチェックに現れ、普通に去っていく。彼らにしてみればいつものことなのかもしれないが、初見のお客さんも多いフェスにおいては驚きの光景だ。

そんな彼らのライブはカオス(混沌)だ。言い換えると「目が離せない」ということである。そこにはライブでしか味わえない体験があって、そんなバンドがフジロックの空間に合わないわけがない。山嵜は「(2007年フジ初出演でホワイト・ステージは)暴挙だ」と言っていたが、実は暴挙でもなんでもなかったことは、今年で5回目の出演という実績が物語っている。

けたたましく鳴るサイレン音の中、メンバー4人とシンガーソングライターのコトリンゴが登場。この時点で察したファンから歓声が上がった。そう、1曲目は昨年リリースされたEP『Our Latest Number』の初回限定盤に収録されているブラック・サバス”WAR PIGS”のカバー。オジーとは180度違う声質のコトリンゴがサバスを歌っているわけだが、そこにtoeの演奏が加わると不思議とこの違和感に納得してしまう。そんなヴァースが終わると一気にカオスへ突入する。まるで狂ったかのように演奏するtoeのメンバー。しかも、4人が4人とも大概違う方向を向いて演奏している。「これどうやって合わせてるんだ?アイコンタクト?感覚?」。もはや理解不能な世界に彼らはいる。もちろんスタートはなんかしらのコンタクトをとってスタートするんだろうが、気がついたら微妙な“歪み”や“ズレ”などがあったりして、けれどそれすらも気持ちよく感じてしまう。

山㟢がインタビューで自身の嗜好性についてこんなことを言っていた。「ビシッとカッコいいものではなく、“ほつれ”とか“途中感”があるのがいい。“抜け”とか“余白”があるのが好みなのかも」と。その言葉を聞くと、toeの音楽に気持ちよさを覚えてしまうのに納得がいく。完璧ではないから、僕らはその間を埋める何かを求めるために想像し、toeの音楽を完成させる。

<セットリスト>
01 WAR PIGS feat. kotoringo (guest コトリンゴ)
02 Etude Of Solitude
03 Run for word
04 レイテストナンバー (guest JC)
05 Because I hear you
06 エソテリック
07 F_A_R
08 グッドバイ (guest コトリンゴ&JC)

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JAMES BLAKE http://fujirockexpress.net/19/p_1740 Sun, 28 Jul 2019 14:45:13 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1740 人間とは長い人生において、あらゆる経験をして成長する生き物である──。

昨年30歳を迎えたジェイムス・ブレイクは20代の間にあらゆる辛い体験をしてきた。失恋、睡眠障害、うつ…そして孤独。しかし、彼はそれらを乗り越え確実な成長を遂げてきた。そのことはこれまでに彼がリリースしてきたアルバムを聴けば一目瞭然だ。特に新作『Assume Form』は“他者を受け入れる”ことにより完成した、彼にとって新しい試みが詰まったアルバムである。このアルバムは「愛」について歌われていて、それまで内省的だった歌詞やサウンドらと比べ、明らかに温かく穏やかで開放的なアルバムになっている。その要因となったのは、制作を共に進めたマウント・キンビーのドミニク・メイカーをはじめ、アメリカのラッパー、トラヴィス・スコットや、アメリカのシンガー・ソングライター、モーゼス・サムニーらコラボレーターたちの存在があったことが大きい。ジェイムスは彼ら他者を受け入れることによって、自らに開けた心とフィーリングをもたらした。このアルバムでの成長がどうライブに反映されるのか?この日のステージに対する興味はそこに尽きた。

ライブ1曲めの新曲“Assume Form”はそんな今の彼のステータスを歌っている曲だ。優しくそして開放的なピアノやストリングス(サンプリング)のサウンドがホワイトステージの空間に広がっていく。新作に収録されているゲスト・シンガー/ラッパーを招いた曲では、飽きさせない創意工夫が施されていた。トラヴィス・スコットが参加した“Mile High”、ラテン・ポップの歌姫ロザリアが参加した“Barefoot In The Park”では、彼らの声の存在感を引き出すため、それがクリアに聞こえるようなサウンド・バランスを取っていた。その効果か”Barefoot In The Park”では曲中のジェイムスとのヴォーカルの掛け合いがまるでMVのワンシーンを想起させた。さらに、アウトキャストのアンドレ3000が参加した“Where’s The Catch”では、ヴォーカル・セクションとラップ・セクションを完全に分けることにより、メロディとラップそれぞれが引き立つような、いわゆる今風なアレンジになっていて、ジェイムスの曲の特徴を考えるととても新鮮だ。

一方で旧作からの曲にも新作の開かれたマインドは大きな影響をもたらしていた。例えば“Life Round Here”では曲に明るいエッセンスを入れるためメジャー・コードのシンセフレーズを入れていたり、ラストの“The Wilhelm Scream”ではパキッとしたオリジナルのアレンジに、バンドメンバーである盟友エアヘッドによるギターの生音リフを重ねることで有機感を表現していたり。そしてエレクトロ・サウンドな“Klavierwerke”や“Voyeur”に関しては穏やかな曲の間にセットすることによって、新曲の柔らかく温かいイメージとこれまで以上のメリハリをつけるための大きな役割を果たしていた。そんな変化を感じ取ったオーディエンスはその都度対応し、時に体を揺らし、時に踊り、ジェイムス・ブレイクのライブを心から堪能しているようだった。

ライブはアンコールなしの計12曲、約1時間10分で幕を閉じた。当初ジェイムスのステージは1時間半で設定されていたため、観客からは早い終演を惜しむ声が多く上がっていたが、今回のライブは間違いなく彼の来日ライブの中でベストアクトだった。その要因となったのは、新曲から滲み出ていたオープン・マインドであり、旧作にアドオンされたニュアンスレベルの穏やかさであり、明確なネクスト・フェーズに彼が突入したことを感じられたことの喜びである。

冒頭にも書いたように、ジェイムスはなかなか抜け出せない闇の中でもがいてきた。しかし、そこからなかなか抜け出せなかったとしても、いつか絶対に光のある場所へ抜け出すことができる。そのことを、彼はこれまで出してきた4枚のアルバムを通して、精神的時間軸で体現し表現してきたことは最新作であり今日のステージが証明していた。だから、彼は今「Don’t miss it like I did.(僕のように人生を見失っては駄目だ)」と静かにピアノに乗せて歌うのである。

<セットリスト>
intro: Forword (feat. James Blake)
01: Assume Form
02: Life Round Here
03: Timeless
04: Mile High (feat. Travis Scott & Metro Boomin)
05: Barefoot In The Park (feat. Rosalía)
06: Limit To Your Love (Feist cover)
07: Klavierwerke
08: Where’s The Catch (feat. André 3000)
09: Voyeur
10: Retrograde
11: Don’t Miss It
12: The Wilhelm Scream


【追記】
7月29日の午後、ジェイムス・ブレイクのインスタグラム・アカウントにて、YouTube生配信の中止及び当日のセットリストについての説明アナウンスがあった。それによると「喉の違和感があり、これ以上負担をかけないためにセットの変更した」「本番開始直前の機材トラブルにより、フルプロダクションでのパフォーマンスが実現できない状況になった」とのこと。彼の一日も早い回復を願っています。

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HANGGAI http://fujirockexpress.net/19/p_1724 Sun, 28 Jul 2019 04:14:35 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1724 豪雨の2日目から一転して、若干の晴れ間が見える3日目の朝一グリーンステージ。あの男たちが7年ぶりに苗場へ帰ってくる。そう中国北部に位置する内モンゴル自治区出身の6人組バンド、ハンガイだ。彼らの音楽は、モンゴル民謡をベースにしたロック・ソングである。バンドの中心人物であるイリチは、北京に住んでいた頃にパンク・ロックをやっていて、故郷である内モンゴルへの訪問などをキッカケにしてルーツであるモンゴル伝統音楽に回帰し、ハンガイ結成に至ったという。そんな異色バンドの彼らがグリーンステージに立つ。

バックドロップに『HANGGAI』のロゴがあしらわれた巨大フラッグが掲げられる中、モンゴルの民族衣装に身を包んだメンバーが登場。彼らのライブでの編成は、イリチ(トップシュール※1/バンジョー)、フルジャ(ボーカル/アムネ・フア)、バゲン(モリンホール=馬頭琴※2)、ニウ・シン(ベース/ボーカル)、アイラン(ギター/モンゴル三味線)、モウタツ(ドラムス/パーカッション)、ホーン隊7人の全13人編成だ。

ライブはバンドの中心人物であるイリチの音楽体験歴史が垣間見れたステージとなった。ヴォーカルは基本的にモンゴル民族音楽の歌唱法“ホーミー”で歌っていて、その歌唱法とロック、モンゴル民族音楽が相まって、僕らにとって新鮮な音がグリーンステージに広がっていった。さらに驚くべきはその融合力の高さ。ハードロックから、ファンク調のロック、ジャジーなロック・バラード、アイリッシュ・パンクなどを、モンゴルの民謡音楽と自分たちの解釈でミックスさせ、見事な新しいモンゴル音楽を作りあげていく。最後“初升的太阳”が終わり、メンバー全員がオーディエンスに向かってお辞儀をすると、観客から自然と大きな拍手が起こっていた。

今日、彼らのライブを観て最後に思ったことがひとつある。それは「ピュアな民族音楽」と「ハンガイの音楽」の違いだ。僕らが初めてピュアな民族音楽を聴くとき「へぇ、こんな音楽があるんだ」という“発見”を得る。では、ハンガイの音楽からは何を得られたのだろう。それは「自分たちの知るロックが世界と繋がっている感覚」─そうそれは“繋がり”だ。

※1 トップシュール:モンゴルにおけるチェロのような楽器で、ヘッドの部分に馬の頭の形の飾りがついている。
※2 モリンホール(馬頭琴):弦が二本ある弦楽器のことで、モンゴルを代表する弦楽器である。 モンゴル語で「馬の楽器」という意味。

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Char ✕ Chabo http://fujirockexpress.net/19/p_1791 Sat, 27 Jul 2019 17:50:46 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1791 今年4月26日。Charと仲井戸“CHABO”麗市、日本の二大ギタリストが初めて2人で共演するライブ『CharxChabo “宝箱”』が開催された。1部がアコースティックセット、2部がエレクトリックセット、そして3部がアンコールセクションの3部構成で、洋楽カバー曲からCharとChaboそれぞれのレアトラックが組み込まれている、文字どおり「宝箱」のようなライブだった。今日はそのフジロック・バージョンだ。

苗場は、昼が過ぎたあたりから、雨が強くなったり弱くなったり。基本的には降ってます、な天候。「この天気は誰のせいなんだろう?」そんなことは考えもしなかったが、それはライブ中に判明した。

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの“Jamming”をBGMに、Dr.Kyon(Key.)、Char(Vo./Gt.)、古田たかし(Dr.)、Chabo(Vo./Gt.)、澤田浩史(B.)の順で登場。5人が所定の位置についたところでライブはスタートした。1曲目はサム&デイブの“Hold On I’m Coming”カバー。CharとChaboによるギター・イントロから、すでに2人は楽しそう。イントロの途中でRCサクセッション“よォーこそ”のフレーズが投入され、オーディエンスから大きな歓声が上がった。曲は原曲のベースイメージを踏襲しつつ、彼らが心地よく感じるアレンジになっていて、彼らの鳴らすロック、ブルース、ソウルが好きな人にはタマらないカバーになっていた。この日のセットリストは、“宝箱”のコンパクト・バージョンではあったものの、しっかり要所は抑えられていて1時間という時間の短さも全く気にならない内容になっていた。Charの“For Your Love”に“OSANPO”、ザ・ローリング・ストーンズの“Don’t Stop”に“Rain Fall Down”、Charの盟友石田長生の“HAPINNESS”、ラストはクリームバージョンの“Crossroads”と、ほぼ非の打ち所がなかったように思う。惜しむらくは、4月の“宝箱”では演った、Charの“Smokey”が聴けなかったことぐらいか。

この日のライブで一番印象的だったのは「笑顔」だった。旧知の中であるCharとChaboがステージに上がると、そこには笑顔が生まれる。3曲め、“For Your Love”が終わった後、雨が一層強くなり2人のMC。

Char「この天気にぴったりの曲やってくれ」
Chabo「フジロックは好きなんだけど、いかんせん日本ロック界ナンバーワンの雨男がいる。今日朝いい天気だったよねぇ?見ろよこのざま(観客大爆笑)」

そう、その大雨の犯人はCharだったのだ、そんな思わずぷっと笑ってしまうようなやりとりも含めて、2人のライブセットは笑顔に満ちていた。

<セットリスト>
01 Hold On I’m Coming (Sam&Dave cover)
02 Don’t Stop (The Rolling Stones cover)
03 For Your Love (Char)
04 Rain Fall Down (The Rolling Stones cover)
05 OSAMPO (Char)
06 Free Time
07 HAPPINESS (石田長生 cover)
08 Crossroads (Cream ver. cover)

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DEATH CAB FOR CUTIE http://fujirockexpress.net/19/p_1733 Sat, 27 Jul 2019 14:15:06 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1733 今やUSインディーロックシーンを代表するバンドとなったデス・キャブ・フォー・キューティー。それまでずっとバンドのギター/キーボード兼プロデュースを行ってきたクリス・ウォラが2014年9月のライブを最後に脱退し、バンドに衝撃が走った。その後、2015年にそれまでサポートメンバーだったデイヴ・デッパー(Gt./Key.)とザック・レイ (Key./Gt.)がバンドに正式加入を果たした。そして、今年5人体制としては初のアルバム『Thank You For Today』をリリースし、7年ぶりの来日ライブを初のフジロックで飾ることとなった。

これまでずっと彼らの活動を観てきたファンの中には、正直辛さや複雑・不安な気持ちを抱えている人もいると思う。なぜなら「新しいデスキャブは大丈夫!」という確信が持てずにいるから─。それならばライブで確認すればいい。いや、確認したい!ホワイト・ステージには、豪雨にも関わらず新生デス・キャブ・フォー・キューティーを自分の目で確認するために多くのファンが集まった。

豪雨と川の水位上昇に伴い15分早い21時45分(※)に開始となったライブは、新作から緩やかでリズミカルなナンバー“I Dreamt We Spoke Again”、そして前作『金継ぎ』から“The Ghosts of Beverly Drive”という“クリス脱退以降”の2曲でスタートした。旧作から疾走感溢れる“Long Division”、ミドルテンポのセミ・バラード“Title and Registration”と続き、再び新作からミニマルだが壮大な広がりのある“Gold Rush”、さらに旧作からギターポップな“Crooked Teeth”と、この辺から彼らの“現在位置”が少しずつ見え始め、次の展開でこの日のライブにおけるひとつのキーポイントを迎えた。ベンが弾くピアノの旋律と歌が美しい“What Sara Said”と、同じベンの弾き語りによる“I Will Follow You Into the Dark”だ。クリスのアンビエントなアレンジなしのこのセクションで、ベンは存分に自分たちのグッド・メロディな歌を見事なまでにエモーショナルに歌い上げていたのだ。この姿にある確信が芽生え始める。そして、その“確信”はラスト2曲“Soul Meets Body”と“Transatlanticism”で確固たるものになった。

「デスキャブは大丈夫だ!」

その確信に起因しているのは、その神がかったセットリストだったというのはありつつも、それよりも重要となったファクトは「彼らが自分たちの信じる音楽を堂々と鳴らしていた」と言うこと。音の後方にアンビエントな空気が存在するクリス在籍時の曲と、クリアでパキッとした音感のあるクリス脱退以降の曲の共存。そして彼らの楽曲の根幹にある良いメロディ。どちらも最高にエモーショナルにプレイされていたのだ。この事実が、僕らを最高に興奮させてくれたし、何より「これがデスキャブだ!」という確信をくれた。しかし、おそらく彼らはまだまだ満足していないだろう。「まだできるはずだ!もっとやれるはずだ!」。新しいプロデューサー、リッチ・コスティにもらったこのマインドによって、彼らはもっと成長していくに違いない。

(※)豪雨と川の水位上昇に伴い、22:00〜23:30から21:45〜23:00に変更となった

<セットリスト>
01 I Dreamt We Spoke Again
02 The Ghosts of Beverly Drive
03 Long Division
04 Title and Registration
05 Gold Rush
06 Crooked Teeth
07 No Sunlight
08 What Sarah Said
09 I Will Follow You Into the Dark
10 I Will Possess Your Heart
11 Black Sun
12 Northern Lights
13 Cath…
14 Soul Meets Body
15 Transatlanticism

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豚汁ライスセット http://fujirockexpress.net/19/p_4580 Sat, 27 Jul 2019 03:57:59 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=4580 店名:オアシス プリンス店
エリア:オアシス
メニュー:豚汁ライスセット (500円) 

本日遅めの朝ごはんは、苗プリ特製豚汁とライスのセット。新潟産のお米に、出汁がしっかり取られた豚汁。豚汁は、具沢山とまではいかないが、じっくり汁の沁み込んだ野菜には旨味しかない。朝ごはんをじっくり味わいたい人にはオススメ。

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JANELLE MONÁE http://fujirockexpress.net/19/p_1709 Fri, 26 Jul 2019 22:46:34 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1709 カンザス州・カンザスシティ出身のシンガー・ソングライター、ジャネール・モネイ。ここ十数年の間にデビューしたソウル・シンガーの中で、最も存在感・発信力のある女性アーティストと言っても過言ではないだろう。そんな彼女が初来日・初フジロック出演を果たす。

プリンスやマイケル・ジャクソン、アニタ・ベイカーなど聴いて育ち、プロになってからもあらゆるプロ・アーティストと共演・共作を果たしながら、あらゆるものを吸収しクリエイティブ・スキルを培ってきた彼女。一方で、労働者階級の家庭に育ち、黒人女性のクイアでもある彼女が、これまで目の当たりにしたり受けたりしたあらゆる差別が、彼女の中に「主張」することを身につけさせた。そんな彼女のパフォーマンスを観るために、アティテュードを感じるために、多くのフジロッカーがグリーンステージに集まった。

『2001年宇宙の旅』のテーマ曲に乗って入場して来たジャネール、彼女の象徴と言ってもいいモノクロのカラーリングをベースとしたコスチュームを身にまとっている。新作のタイトルトラックでもある“Dirty Computer”から始まった彼女のライブは、伸びやかでキレのあるメロディの“Crazy, Classic, Life”から、80年代のプリンス直系な“Screwed”へと続く。さらには、ジャネール自らギターを持ち軽快なリフを刻み込むフューチャー・ファンクな“Q.U.E.E.N.”、80〜90年代のポピュラーR&Bを彷彿とさせる“Electric Lady”、モダンR&Bバラードな“PrimeTime”と、バラエティに飛んだセットリスト構成だ。

ここまでで幾度となく驚きをくれた彼女のパフォーマンスだが、それを支えるダンサーとバックバンドのパフォーマンス力も相当なものだ。ジャネールと同様にキレッキレのダンスを見せるダンサーたち、パワーと圧の凄まじいリズム隊、まるでプリンスのようなギタープレイを見せるギタリスト、そして随所で存在感を発揮していたホーン隊。それらどれが欠けても、ジャネール・モネイのライブは成立しない。

そんな強靭なメンバーたちに支えられながら、ライブは終盤へ突入する。プリンスが亡くなる直前まで一緒に制作していたと噂の“Make Me Feel”、アカペラ・バージョンでしっとりと歌い上げた“Cold War”、そしてラストはアウトキャストのビッグ・ボーイと共作した“Tightrope”。そのアウトロ、まるでジェイムス・ブラウンのようにキメとブレイクを繰り返すジャネール。その佇まいには最高に熱量のあるソウルが満ちていた。

今日のステージに在ったのは、彼女の圧倒的なパフォーマンス自体もそうだが、何より彼女からの強いメッセージだったように思う。それらを際立たせていたのは、ステージを照らしていたバイセクシャル・プライド・フラッグ(ピンクとブルーとその中間色となる紫、LGBTQのシンボルカラー)のライティングだったような気がしてならない。人種、性差、同性愛、宗教、階級などといった属性の違いによって生まれる、全ての差別と戦い続けることへの決意と覚悟。これからも、ジャネール・モネイはアーティストとして、モノクロの衣装そしてプライド・フラッグと共にこれからも強い声明(メッセージ)を送り続けるだろう。

<セットリスト>
『2001: A Space Odyssey』Intro Song
Dirty Computer (feat. Brian Wilson)
Crazy, Classic, Life
Screwed (feat. Zoë Kravitz)
DJango Jane
Q.U.E.E.N. (feat. Erykah Badu)
Electric Lady (feat. Solange)
PrimeTime (feat. Miguel)
Pynk (feat. Grimes)
Yoga (Janelle Monáe & Jidenna song)
I Like That
Make Me Feel
Cold War (slow a cappella version)
Tightrope (feat. Big Boi)

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ANNE-MARIE http://fujirockexpress.net/19/p_1711 Fri, 26 Jul 2019 12:31:59 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=1711 イギリス・エセックス出身、28歳のシンガー・ソングライター、アン・マリー。6歳の時に初めてプロのステージに立ち、かたやパフォーマンス・スクールでは演劇や歌、ダンスを学んでいた。2015年にはルディメンタルやクリーン・バンディットとの楽曲でフィーチャリング・シンガーとして一躍脚光を浴び、昨年ついにソロ・デビューアルバム『Speak You Mind』をリリースした。そんな彼女がフジロック初舞台をグリーン・ステージで迎える。

開演前には、アデルの“When We Were Young”やアクチュアル・サウンズの“Check It Out”、カーティス・メイフィールドの“Move On Up”などがBGMに流れていて、まるで彼女の根幹にある音楽観が垣間見えるようで、選曲に期待は高まるばかりだ。開始時間ほぼ定刻、薄いピンクのキャミソール・ワンピを身に纏ったアンが登場。首元と手首にはややゴツめのシルバー・アクセサリー、身体の数カ所には小さいタトゥーが彫られている。この「カワカッコいい」容姿に女性フジロッカーから思わず「カワイイー!」という黄色い歓声があがっていた。ステージングもその「カワカッコよさ」が際立つステージになるのかと思ったが、想像よりももっと深い部分で、その類い稀な感性が随所に感じられるステージとなった。

“Ciao adios”で始まったステージは、そのキャッチーでポップな曲に負けない彼女のシンガーとしての高い力量と、絶妙な“遊び”をもって観客を魅了していった。歌うテンポを少し変えてみたり、ちょっとしたグルーヴィーさを出してみたり、一転して可愛らしさを含んだシャウトをかましてみたりと、都度驚きをくれた。唄だけじゃない。“Do It Right”では空手の飛び上段蹴り(9歳の頃から空手を習っていて、国際大会でも優勝経験あり)を炸裂させ、“Don’t Leave Me Alone”では思わず息が切れるほどに、ステージ上を猛ダッシュするというアグレッシブさも見せていた。ライブ後半にかけては、海外でシンガロング必至な曲の連投。シンガロング・レクチャー付きの“Trigger”、ブレイクのキッカケのなったクリーン・バンディットの“Rockabye”、エド・シーランとの共作曲“2002”、そしてマシュメロと連名名義でリリースされ、彼女最大のアンセムとなった“FRIENDS”。どの曲もシンプルでキャッチー、さらには、可愛くて、踊れて、歌えて、そして最高に楽しい。一瞬で過ぎ去っていった1時間のライブは、彼女のネクストを期待させるに十分な内容だった。

ここ十数年の間に、イギリスから良質なポップ・シンガーがどんどん生まれている。アデルをはじめ、リリー・アレン、チャーリーXCX、リタ・オラなど。そんな猛者たちがいるポップ・ミュージック界で生き残るには、間違いなく「自分」を持っていなければダメだろう。しかし、今日のライブを見て、彼女はもう「自分」というものを持っているように感じた。でなければ、エド・シーランやマシュメロ、ルディメンタルらが絡んだ楽曲の中で、名前負けしているはずだし、実際彼女はどの曲においても自分の存在感を存分に発揮していたように思う。今日を含めたアンの22年のキャリアは、きっとこれからさらに続いてく彼女の成長ストーリーの礎になるはずだ。

<セットリスト>
Ciao adios
Do It Right
Bad Girlfriend
Alerm
Heavy
Perfect To Me
Can I Get Your Number
Let Me Live (Rudimental cover)
Trigger
Don’t Leave Me Alone (David Guetta cover)
Then
Rockabye (Clean Bandit cover)
2002
FRIENDS (Marshmello & Anne-Marie cover)

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ケバブスペシャル http://fujirockexpress.net/19/p_3449 Fri, 26 Jul 2019 10:15:42 +0000 http://fujirockexpress.net/19/?p=3449 店名:イスタンブールレストランGINZA
エリア:オアシス
メニュー:ケバブスペシャル (900円) 

サイズ的には比較的標準的なサイズだが、その皮に包まれた中の具の量がとにかくすごい!肉!肉!肉!非常に大満足な一品でした。

★★★★☆

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