“Takeshi Yao(公式写真)、Yuki Kuroyanagi(公式写真)” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '21 | フジロック会場から最新レポートをお届け http://fujirockexpress.net/21 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Tue, 02 Aug 2022 05:24:20 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.18 RADWIMPS http://fujirockexpress.net/21/p_821 Sat, 21 Aug 2021 01:46:30 +0000 http://fujirockexpress.net/21/?p=821 メンバーが登場し、背後の液晶に大きく「RADWIMPS」の文字が浮かび上がると、大きな拍手が起こる。あっという間に終わっていくフジロックの1日目。不安がないと言えば嘘になる。それでも、この瞬間を楽しみにして、待っていたのだ。この日のGREEN STAGEには、そんな人たちが大勢集まっている。

まずは、“夏のせい”。少し肌寒くなった苗場の空気にぴったりの1曲だ。ああ、はじまる。けれど、もうすぐ今日という日が終わってしまう。すでに名残惜しさを感じていた。照明がキラキラと美しくステージを照らし、会場の様子を確かめるように丁寧に奏でられる。
7月23日にリリースされ、エレクトロなサウンドが印象的な“TWILIGHT”のあとには“前前前世”!まさか、こんなに冒頭で聴けると思っていなかった!先ほどのしっとりした雰囲気とは打って変わって、会場は徐々にヒートアップしていく。キャッチ―なフレーズに耳馴染みのいい音、こうして大勢が会場に集まり、同じ曲を共有して楽しめるのもフェスの醍醐味というか。ここ数年、見ることのできなかった奇跡みたいな光景に涙が出そうになる。「夏フェスらしさ」を感じられた瞬間でもあった。

音楽のジャンルの垣根を悠々と超えていく「RADWIMPS」らしさを十分に楽しめた“カタルシスト”。次に演奏された“スパークル”では、野田洋次郎(Vo,Gt&Piano)の歌声とピアノというシンプルな2つの音に、会場全体がぐっと惹き込まれていく。優しい歌声に耳を傾けながら、どこか遠くの夏を思い、聴き入ってしまう。抑揚についた飽きの来ないステージを見ていると、目の前にいるRADWIMPS以外のことを考える余裕もない。こうして、一瞬で人々を夢中にさせる力も、彼らの魅力のひとつだなとしみじみ思う。

「ここでスペシャルゲストをお呼びします!」とステージに現れたのは、菅田将暉だ。ゆったりとした空間のなか、“うたかた歌”の演奏がはじまる。待ってました!数日前に告知され、フジロックの密かな楽しみのひとつになっていた方も、きっと多いはず。菅田は少し緊張しているように見えたが、演奏が始まってしまえば、やっぱり流石!彼は本当に俳優なのだろうか?と思ってしまうほど高い歌唱力でしっとりと、堂々とした姿で歌い上げる。野田と菅田が互いに向き合い、交互に歌う。野田の書く温かな歌詞に、2人の質の異なる声が見事にマッチする。フジロックのGREEN STAGEという広い空間で、贅沢な時間を過ごすことができた。野田とハグをし、深いお辞儀をして去っていく、細かい部分まで人柄のよさを感じさせる菅田の姿も印象的であった。

「ここから後半戦です!好きなように楽しんで!」と、ステージを更に加速させていくかの如く演奏されたのは“おしゃかしゃま”、“洗脳”、“DADA”だ。RADWIMPSの魅力は言葉で語りつくせないほどあるが、この楽器同士が思い切り殴り合っているかのような各々の演奏技術に、ライブでしか味わえない臨場感、こちらの心中を引っ掻き回し社会や世間に対するちょっとした皮肉の効いた表現もたまらない。ここまでの数分間で、RADWIMPSの引き出しの多さを実感せずにはいられなかった。桑原彰(Gt)と武田祐介(Ba)はステージの端から端までを駆け回り、サポートドラムの森 瑞希と繪野 匡史も前方3人に負けじと食らいついていく。ステージを最大限に活用し、ライトや液晶に映し出される映像、視覚的な効果もから得られるカオスティックな空間には、めちゃくちゃに打ちのめされそうになる。こんなのずるい!

初期の楽曲からは、美しい星空を連想させる“トレモロ”にクラップ&ハンズが楽しい“いいんですか?”。思わず、「おお!」と声を上げそうになる。この2曲をフジロックで聴けるのは素直にうれしい。本来ならば、“いいんですか?”ではコール&レスポンスがお決まりだったし、大きな声で歌いたかった。それが不可能ななかでも、この曲は今の時代に向いているというか、突き抜けて明るい曲調から得られる溢れんばかりの幸福感に満たされ、ルールがあるなかでも最大限に楽しむことができたのではないだろうか。

最後に演奏されたのは、直前にリリースされたばかりの“SUMMER DAZE”。SoundCloud上で発表されたときはあまりに突然だったので少し驚いたのだが、フジロックで、GREEN STAGEで、1日目のヘッドライナーとして演奏するために制作された曲なのだそう。初期を思い出すような、どこか素朴で懐かしいギターの音。背景に映し出される美しい光。確かに、今年の夏も大した思い出のない、つまらない季節のまま終わっていこうとしている。温かいメロディーに乗せられた歌に、背後に作られた小さな夜空を眺めていると、それだけで、2021年の夏は特別なものであったと思うことができる。この1曲だけでも、ますますRADWIMPSを好きになってしまう。

アンコールは、映画『天気の子』でもおなじみのピアノのサウンドの美しい“グランドエスケープ”と、すべてのエネルギーを出し切らんばかりにかき鳴らされる“君と羊と青”。本人たちもライブが久しぶりなようで、終始楽しそうに、一秒一秒を大切に演奏する姿は見ているこちらも嬉しくなる。
全体を通じて初期からのファンから最近RADWIMPSを好きになった人、数曲はなんとなく聴いたことがあるけれど……という方、ライブ配信を画面越しに見ている人、どんな人でもRADWIMPSのステージとバリエーションにとんだ楽曲に魅了され尽くし、新たな一面を見ることのできた充実の1時間半になったのではないだろうか。

確かに、今年の夏は退屈だ。気軽に外にも出られなかったし、生活のなかに大きなイベントもない。家族や友達になかなか会えないまま、不安を抱えている人も多いだろう。本当に「ただ過ぎていくだけの日々」だったのに、ほんの一瞬で、RADWIMPSが2021年の夏を大切で特別な思い出にしてくれた。

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