FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTGREEN STAGE7/29 FRI

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Photo by suguta Text by イケダノブユキ

Posted on 2022.7.29 14:42

「いってらっしゃい」と「おかえり」がある幸せ

この日、TOSHI-LOWは例によっていろいろと話したけれど、ラストの“帰り道”の前に、急遽グリーンステージで演奏することになった感慨を述べる。そしてジョー・ストラマー(ザ・クラッシュ)やレミー・キルミスター(モーターヘッド)が演奏した翌年には亡くなったことに触れて、来年も数か月後も明日すらどうなるかわからない、だから送りだすときには「いってらっしゃい」、帰ってこられたときには「おかえり」といえる小さな幸せが大切なのだと語った。ここで涙腺が崩壊してしまった。数日前「フジロックにいってきます」と家をでて新幹線に乗り、上野から地上に出たころ、夕暮れになる前の街を眺めながらヘッドホンから聴こえてくる“帰り道”と今、目の前で演奏されているその曲が重なったのだ。

フジロック1日目真昼間のグリーンステージ。朝から強い日差しがステージを射抜く。BLACK PUMASが急遽キャンセルとなり、代役としてステージに立ったOAU。モンゴルから来たThe HUが熱い暑いヘヴィメタルをぶちかましたあとの登場である。始まる前には入念にリハーサルがおこなわれた。13時に改めてドラムのRONZIとパーカッションのKAKUEIがでてきて太鼓を打ち鳴らす。そしてメンバー全員が揃ってアルバム未収録曲“Old Road”からスタート。MARTINのヴァイオリンと優しく包容力のある声が緑に囲まれた会場に伝わっていく。

フォーク、カントリー、ケルティック(アイリッシュ)が混ざり合ったアコースティックな音は暑い昼下がりに寄り添うものになる。強靭なドラムが根はハードコア・パンクなんだということを隠しきれてないのだけど、ただ、マッタリさせるだけではなく、曲をくっきりと際立たせる。

「こんなことがあるんじゃないかと、去年3日目のフィールド・オブ・ヘブンのトリを終えてから森の中で待っていました」とTOSHI-LOWは笑わせる。「幸せとはフジロックに来られること」といって“A Better Life”。ヴォーカルをTOSHI-LOWとMARTINの2人で役割を入れ替えるのは、1時間のライヴの中で上手く表情を変え緩急をつけながら聴いている人たちをずっと惹きつけてくのだ。

“Peach Melba”のようにダンサブルなインストゥルメンタルの曲もある。“Again”“Making Time”と終盤に向けて盛り上げていき、ラストに“帰り道”という、急遽ライヴが決まったとは思えないよく練られていた1時間のセットであった。

セットリスト

Old Road
Americana
A Better Life
こころの花
Thank you
Change
世界は変わる
Peach Melba
Again
Making Time
帰り道

[写真:全10枚]

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7/29 FRIGREEN STAGE