FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTWHITE STAGE7/29 FRI

JPEGMAFIA

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Photo by 古川喜隆 Text by 阿部仁知

Posted on 2022.7.29 17:58

奇想天外で破天荒、だがひたすら真摯なJPEGMAFIAの姿に撃ち抜かれてしまった

JPEGMAFIAとは何者なんだ?ホワイトステージに到着した16時頃、ラップトップPCとまばらにペットボトルが置かれたシンプルなセットを見ても僕はその全貌をまったく掴めずにいた。トラップにハードコアにノイズに…、様々な要素がごちゃまぜになった音源を聴いていてもかつて観た18年のケンドリック・ラマーともまったく違うし、どうやらライブはもっととんでもないらしい。僕はソワソワしながら彼を待っていた。そんなオーディエンスは他にもたくさんいたのではないだろうか。

そして登場したJPEGMAFIA。なにやら香川トヨタの伊井さん?のつなぎを着ている出で立ちはすでによく意味がわからないが、繰り出すサウンドも奇想天外だ。破壊的なノイズとチルなトラックが混ざり合う“Jesus Forgive Me, I Am a Thot”にしろ、妖艶なコーラスとは裏腹にハードなラップと全身に響くビートが強烈な“HAZARD DUTY PAY!”にしろ、様々な要素が渾然一体となって向かってくる様に少し当惑するものの、抜群に踊れることは間違いない。

所狭しとステージを動き回りながら、身振り手振りでホワイトステージにラップの熱情を叩きつけるJPEGMAFIA。痛快なビートの“BALD!”は後半でアカペラになり、コミカルなトラックの“NEMO!”では寝っ転がったりとさらに自由奔放になっていき、“DIRTY!”では客席に飛び込むなんて一幕も。これにはスタッフも当惑していたように見えたが、彼の開放的な振る舞いに触発されてホワイトステージのボルテージも高まっていく。

オートチューンを効かせながらカーリー・レイ・ジェプセンをアカペラでカバーした“Call Me Maybe”に、「Fuck you Peggy」と繰り返したキラーチューン“1539 N. Calvert”でも彼の挙動はとどまることを知らないし、オーディエンスに向けて何度もペットボトルをぶん投げたり、都度スタッフを捕まえて通訳させる様子もなんだかシュールにも思える。

だがハードさを増す“Real Nega”の叫ぶようなラップや、エクスペリメンタルな響きの“Thug Tears”など、矢継ぎ早にどんどん繰り出しながらも、セットリストの流れはとても緻密に思えたし、なによりペース配分など考えていないかのように、ひたすら息を切らしながら歌う真剣な表情といったら!まったくふざけようとしているわけではない。破天荒な振る舞いも奇想天外な展開もすべて彼の真摯な表現なのだと思えたら、通訳の見方も少し変わってきた。

「本当にありがとう、はじめて来たこのステージのみんながとても美しい」というようなことを自らの口で語ったり、一部湧き上がった「JP!JP!」というコールに感嘆の表情を見せる場面もあり、理解が追いつかない破天荒なステージの中でも彼と僕らは気持ちを通じ合わせていく。

あまりに飛ばすものだからトラックを流しつつ何度かステージ横にはけたりもしながら(その間、困ったのかステージに止まったとんぼをモニターが映しているのも印象的だった)、ブロックハンプトンのカバー“CHAIN ON”まで走り抜けたJPEGMAFIA。ここにいたすべての人に彼のパフォーマンスが鮮烈に刻みつけられたことは間違いない。

[写真:全10枚]

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7/29 FRIWHITE STAGE