FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTWHITE STAGE7/31 SUN

MURA MASA

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Photo by MITCH IKEDA Text by 阿部仁知

Posted on 2022.8.1 03:06

2020年に果たされなかった想いごと昇華する、2022年ホワイト最終ステージ

今年のホワイトステージもいよいよ最後のアーティストを残すのみ。当然ながら疲れも見え、多くの人が椅子を出して座っているが、最後まで楽しみたい気持ちはこの人に託そう。そんな気持ちで彼の登場を待っていた。16年の深夜のレッドマーキー以来6年ぶりのMURA MASAがホワイトステージの大トリで帰ってきた!

イントロセクションに続いての9月リリースの最新作の表題曲“demon time”では、Glastonbury Festivalでもゲスト出演したシンガーのFlissが登場。MURA MASAことアレックス・クロッサンは卓の両サイドに設置したドラムを叩き、最新モードのサウンドに早速僕らは酔いしれる(ちなみにまだ音源は解禁されていない楽曲だ)。

日本語で「こんにちはー!」とアレックス。続く“Nuggets”では16年もゲスト出演したCosha(aka Bonzai)が登場し、自身のフィーチャー楽曲を歌い上げ、再び登場したFlissとともに代表曲のひとつ“1 Night”、最新リリースの“bbycakes”、Clairoをフィーチャーした“I Don’t Think I Can Do This Again”と矢継ぎ早に展開するパフォーマンスに、僕らは感情の赴くまま踊っている。“1 Night”でハットを止めるアレックスの一瞬の手つきがかっこいいのなんのって。

正直に言うと、ライブが始まるまでは17年のデビューアルバム『Mura Masa』の“1 Night”などの楽曲が、古びれて聞こえないかということを僕は気にしていた(それはある特定の時代に鮮烈に刺さった楽曲の宿命ともいえる)。あるいは“I Don’t Think I Can Do This Again”は、中止となったフジロック2020にともにラインナップされていたMURA MASAとClairoが2020年に披露しないと、文字通り二度と実現できないもののようにも感じていた。

だがいざ彼のサウンドを全身に浴びると、そんなことはまったくの杞憂だったことに気付かされる。それは最新モードの高揚から、そのままなだれ込む流れによるものとも言えるが、ゲストシンガー2人の貢献が間違いなく大きい。特にFlissはCharli XCXやClairoをはじめとして沢山のフィーチャリングシンガーのヴォーカルパートを歌い上げ、2022年の表現としてここホワイトステージに再現しているのだ。

アレックスがギターとドラムを柔軟に使い分ける中、Flissが「When I say DEAL, you say WIV IT」 と投げかけた“Deal Wiv It”や、尺八の音色が鮮烈な“Lotus Eater”からの僕の今年のホワイト音圧大賞“Hell”の一人DJタイムなど、惜しみなく投入していく楽曲に僕らは自由奔放に踊りふけっている。

そして“2gether”、“blessing me”、“hollaback bitch”、“e-motions”と最新モードを連発したり、新旧織り交ぜながら進行するパフォーマンスに、僕は終わってしまう名残惜しさを強く感じていた。それ自体は最終日の最後の方ではよくあることだが、失われた2020年に果たされなかった想いごと昇華できたこのステージは、なにか例年とは違う特別なもののような気持ちも去来したのだ。

終盤の“Complicated”では、今年ほとんど降らなかった雨が一瞬だけ降ったことになんだかエモくなったり、再び登場したCoshaが歌い上げる“What If I Go?”や、みんなのアンセム“Love$Ick”でもサウンドに呼応するように僕らの気持ちはどこまでも解放されていく。最後の“Firefly”で2人のシンガーとアレックスがついに合流し、MURA MASAが締めくくる今年最後のホワイトステージは大団円を迎えた。なんて書くのも寂しい。帰りたくないや。でもまた来年ここに来ることを楽しみにしつつ、僕はオアシスへと歩みはじめたのだった。

[写真:全10枚]

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7/31 SUNWHITE STAGE