LIVE REPORTRED MARQUEE7/29 FRI
Night Tempo – Ladies In The City Live Set
昭和から令和をつなぐ、豪華絢爛ステージ!
韓国人プロデューサー兼DJのNight Tempoは、2019年にフジロック初登場。昭和のシティ・ポップや歌謡曲を独自にカットアップ&アレンジした楽曲たちをプレイし、深夜のレッドマーキーをおおいに湧かせたことは、今でもよく覚えている。当時のレッドマーキーの映像は、その後彼がTVで紹介されるたびに使われるようになり、彼の人気の「証拠映像」ともなった。
彼の登場は3年ぶり。その3年はいろいろな意味でも長かった。けれど、アメリカやインドネシアでシティ・ポップブームがあったり、「フューチャー・ファンク」というよりは「昭和グルーヴ」と呼ばれるようにもなっていったりと、彼というジャンルによりいっそう磨きがかかった3年だったと思う。このタイミングの出演は必然だ。
本日の「Ladies In The City Live Set」はその名の通り、アルバム『Ladies In The City』を中心としたセットだった。ステージに登場したNight Tempoは、まるで昭和トレンディドラマのサラリーマンな装い。まずはDJタイムから、佐藤ミキ“You & Me (Night Tempo Melting Groove Mix)”でスタートした。1曲目から機材テーブルを超え客席の前までくると、クールにジャンプ!早くもノリノリで観ているこちらも嬉しい。ザクザクとカッティングされた音の鋭さに、体を動かさずにはいられない。そして杏里“LOVE IS A TWO WAY STREET -近未来の感動- ”。ふとVJに目をやると、ヘリオス像&チェッカーボード&濃ピンクと、ヴェイパーウェイヴ感あふれる凝った映像が。ますますテンションが上がる。
“Endless Mirage feat. 刀根麻理子”、“Night Light feat. 道重さゆみ”といった 『Ladies In The City』からの楽曲たちが挟まれ、そのまま1人目のゲスト・矢川葵が登場。彼女はアイドルグループ・Maison book girlの元メンバーで、ソロで音楽活動を再開したばかり。Night Tempoは彼女をヴォーカルに迎えたプロジェクトを進行させているようで、今日がそのお披露目日となった。“Flash Light”、“jun Ai”、“doki doki denwa”という3曲を披露。矢川の透明感ある歌声と、可愛らしさもミステリアスさも兼ね備えたアプローチに、ぐっと引き込まれる。これらは、楽曲だけではなく歌詞もNight Tempoが手掛けているとか。3曲すべてがそうかはわからないのだが、彼の詩もより深く楽しんでみたいと思った。
続いてのゲストはBONNIE PINK!「アルバムはリモート制作だったので、お互い会ったことがなかった」という2人のほぼ初対面トークも楽しませてもらい、そのまま“Wonderland feat. BONNIE PINK”へ。意外にもフジロック初登場だという。全身をくねらせ、手招きするような動きで妖しくやさしく歌う彼女。この曲から伝わる大人な世界観を直接浴びてしまい、ドキドキした。
そして、3人目のゲストとして登場したのは、なんと野宮真貴!銀色のドレスに身を包み、“Tokyo Rouge (feat.野宮真貴)”を歌い上げると、会場は大盛り上がり。もう何度も聴いているはずなのに、やはり生で聴くウィスパー・ヴォイスは破壊力があるし惚れ直してしまう。Night Tempoのことを「随分昔から知っている、弟のような感じ」と話すそのやりとりもなんだか羨ましい。
最後は「そうね、今日……苗場は、夕方の5時くらいかしら?」と、始まった“東京は夜の七時 (feat. Night Tempo)”!会場は一体となり、野宮に合わせ手を右に左にと動かして踊る。デビュー40周年を迎えてもなお輝き続ける、その澄んだ歌声に、会場全体が感激していた様子だ。中盤、どきまぎしている様子のNight Tempoが野宮のもとへ近づいたかと思えば、彼の肩に野宮が手を添えたりしていた姿が微笑ましかった。それは、ダンスホールで主役2人が出会ったときのような、ドラマの重要シーンを観ているかのようだった。
楽しい時間はあっという間。野宮が退場し、Night Tempoが“Outro”をかける。ラジオMCチックなローファイ音質のアナウンスに合わせて、会場のVJにはあの「提供 Night Tempo」の文字がきらめく。明日の夜もまた、踊らせてください!
[写真:全10枚]