LIVE REPORTRED MARQUEE7/31 SUN
Elephant Gym
うらやましいほどの兄妹関係
奔放な妹を見守る真面目な兄という関係をステージ上でみせてもらった。このステージをみた人たちは、その兄妹関係にほっこりしてこのバンドを好きになったのではないか。
フジロック3日目午後のレッドマーキーにはお客さんが集まった。すでに世界各地で人気を得ている台湾・高雄出身のElephant Gym。お客さんの期待が人数として可視化されている感じだ。
まず、ギターのTell Chang(兄)とドラムのChia-Chin Tuが現れて楽器を構える。あれ?ベースのKT Chang(妹)はどうしたんだろうと思ったら少し遅れて登場してベースを手にする。そして"Midway"からライヴが始まる。どうしてもステージ中央でベースを弾くKTの姿に目を奪われる。涼しい顔ですさまじいテクニックを披露する。タッピングを駆使して細かいフレーズを生みだしていく。
ギターは鋭く切り込んできて、ドラムはKTと共に細かいリズムを叩き、テクニカルでストイックな曲を繰りだしていく。KTな弾きまくるベースを男2人が支える感じ。
KTがそのストイックな音楽とは裏腹に一生懸命日本語でMCする姿が非常にキュートなんである。フジロックが楽しくて飲み過ぎて失敗してしまった話にレッドマーキーが大ウケだった「(失敗だから)拍手はナシ(と手でバッテンを作る)」とか最高だった。さらに曲と曲の間にはビールを注入する。
一方、兄Tellは平和がどうとか真面目なメッセージを日本語で読み上げる。するとKTは「(書かれたものを読んでいるだけで)わかってない」と突っ込む。最後には「台湾のヘンテコなバンドを呼んでくれてありがとう」と読み上げて場内は拍手喝采だった。
そして"Underwater"の背後でバンドのロゴを映していたスクリーンは、VJが入り演奏に合わせた手書き(?)アニメーションが映される。テクニックはすごいが決してひけらかしにならないし、生みだされた音楽が非常に洗練されていてオシャレにも聴こえる。
続く"Moonset"の途中からchilldspotの比喩根が登場してヴォーカルを取る。そして改めて比喩根を紹介し(20歳だという)、次に演奏する"Shadow"の日本語詞をつけたときのことをKTに尋ねられる。ステージ上で公開インタビュー。しかもカタコトの日本語で。比喩根は丁寧に説明して曲へ。大人びた声がElephant Gymのサウンドとマッチしていて聴き流していたら変拍子の曲だと感じないくらい洗練してスムーズに聴こえる。ライヴの場ではドラムなどの労力は目のあたりにしているわけでそれも含めて賞賛に値する。
終盤は地元からホーン隊4人(フルート、サックス、トロンボーン、トランペット)が参加して、”Wings”、”Ocean”、”Galaxy”を演奏する。既存の曲に4人の演奏が組み合わさり、おしゃれさは増したのだった。このライヴの後半はバンドの目指す方向なのだろうか。それこそ事前のインタビューでフジロックで観たいといっていたハイエイタス・カイヨーテとかが目標となるのかもしれない。
11月にも日本でツアーをおこなう。KTは「チケット買って!」「金!金!」と思ったことを口にして兄が苦笑しながら見守る。KTはグリーンステージで失くしたものがみつかるといいね!
Set List
Midway
Finger
Witchs
Underwater
Moonset
Shadow
Spring Rain
Wings
Ocean
Galaxy
[写真:全10枚]