FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/31 SUN

奇妙礼太郎

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Photo by 安江正実 Text by 三浦孝文

Posted on 2022.8.1 00:23

歌と音楽が持つパワー

フジロック2022もいよいよ最終日!晴れ渡ったフィールド・オブ・ヘブンのトップバッターを務めるのは奇妙礼太郎だ。起きがけの目覚ましと言わんばかりの咆哮し挨拶をする奇妙。今の天候にぴったりの気だるさが漂う“エロい関係”からステージの幕が開ける。潮田雄一が繰り出す流麗なギターソロをはじめ、バックバンドものっけから気合十分だ!

この炎天下にぴったりの“かすみ草”のパワーフレーズが飛び出す。奇妙の力強い声も、村田シゲによる縦横無尽に響くベースも、ラストでバチを折ってしまう松浦大樹もすべてがフルスロットル。バンドのパワーに呼応しフロアのオーディエンスのテンションもどんどん上がっていっているのが見て取れる。

「お久しぶりです!元気ですか?」と軽くMCをした後、奇妙の静かな弾き語りからはじまる“アスファルト”。清涼感漂うキーボードと、リヴァーヴが効いたギターが絶妙に乗ると奇妙の真っ直ぐな歌声がヘブン一帯に拡散し感動でオーディエンスを包み込んでいく。

トランペットとドロンボーンのホーン隊が登場すると、スカ調のバックビートが楽しい“たまらない予感”へ。ゴキゲンなグルーヴに居合わせた誰もが楽しそうに身体を揺らしている。

下北沢でリハーサルしていた時にできた曲だという新曲“バーミヤンで烏龍茶”を披露。奇妙が「伝えたいことがある」と言うので何かと思いきや「みたらし団子って食べにくいよね」との言葉に肩透かしを食らいつつ、そのまま「みたらそうぜ!…」とトースティングのようにオーディエンスにもハンドクラップを促しつつ絶妙に繋げていく。最後に「もうすぐ本当に一緒に歌える時が近づいていると思うから、その時はこの曲をやると約束する!」と語り「烏龍茶!」と高らかに歌い上げ締めくくった。

続く“思い出の店”で奇妙は歌声の力量を見せつけ、「大好きな曲をやります!」と“愛の賛歌”のカバーを披露した。命を燃やすような恋の歌詞を歌い上げる奇妙の姿に思わず目頭が熱くなる。しんみりした後は一転して、中込陽大によるファッツ・ドミノのような軽快なキーボードの調べがたまらない“ピアノメン”。もうフロアはハンドクラップとダンスの動きを止めることはできない。コロナ禍でもハミングはいいじゃないかと、オーディエンスと一緒に「んー」とハミングでコール&レスポンスをトライ。「楽しいね!ありがとう!」と奇妙も満足げだ。

ラストは「あんたの歌だー!あんたの歌だよー!」と叫んではじまる“わたしの歌”。自分の良いところも悪いところもそのまんま愛するという自己承認曲を、中込陽大の絶品なピアノ主体のバンドアンサンブルの基、力強く歌い上げる。奇妙はやり切った笑顔を浮かべ、颯爽とステージを後にした。

歌というものは感情をストレートに届ける。奇妙が歌う“わたしの歌”を聴きながら、あぁ俺も自慢したくなったりするけどそれを隠したりしてるなぁって、そしてその時自分のことを嘘つきで駄目なやつってしているなぁって気づいてグッときていた。終演後、会場には佇んで涙を流している人たちが散見された。グッときたところは違うかもしれないが共感がその場に生まれていたことは確かだ。歌と音楽の持つものすごいパワーに触れさせてくれたことに、感謝しかない。

[写真:全10枚]

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7/31 SUNFIELD OF HEAVEN