FUJIROCK EXPRESS '22

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アトミック・カフェ いとうせいこう is the poet with 満島ひかり

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Photo by 馬場雄介(Beyond the Lenz) Text by あたそ

Posted on 2022.7.30 16:03

平和と社会を見つめ直す、言葉の持つ強い力を感じた

「気候クライシスと原発」というテーマでのトークセッションを終え、津田大介のブラックジョークが会場をつなぎ、バトンを渡されるいとうせいこう is the poet with 満島ひかりのメンバーたち。

ゆっくりとメンバーが現れると、観客たちが一気に前に押し寄せてくる。荒野をゆっくりと歩くようサウンドに、管楽器のビビッドなメロディーに戦争反対を謳う詞が乗せられていく。
お次は新曲だという。「戦争を笑うな」「平和を笑うな」「光を笑え」「光と踊ろう」という詞が、なんともフジロックのアトミックカフェらしい。つい数分前にも行われたトークも気候や原発だけではなく政治や戦争の話に繋がってくる。この世のどこかには「政治を音楽に持ち込むな」という人もいるそうなのだが、音楽も政治も戦争も私たちの生活に地続きになっている訳で。こうしてひとつの音楽として、詞が載せられ、私たちの記憶に何かしらの爪痕を残し、現実社会に戻ってからふとした瞬間にさまざまなことに思いを巡らすことになるのだろう。

「満島ひかり!」という紹介のあと、「待ってました!」と言わんばかりの大きな拍手とともに登場する満島。お腹の出るライトブルーのシャツに蛍光グリーンのパンツがかわいらしく、フェスらしい。ムードあるミドルテンポから始まる“conquerer〜Waiting in Vain”。キーボードのメロディにコーラスも心地よい。時折、ハンドクラップも起こり、観客が自由に音そのものを楽しむ空間が広がる。
そして、UAの名曲“情熱”のカバー!体を揺らし、声を会場の奥まで伸ばしていくエネルギッシュな満島の姿がサマになってる。途中、笑いを含みながら歌うシーンがあり、最後にネタばらしがあったのだが、トンボが手に止まっていたそうだ。くすぐるような笑い声にもキュンとときめいてしまう。

最後は、変拍子のドラムにキーボードがアクセントとなった“怒り組曲(prologue~怒りを吠えるけもの~Walking down the street~DEAR A)”では、いとうと満島、熱のこもった2人の言葉の掛け合いが音楽に混ざり合い、心地よく響く。トークセッションでは「言葉と音楽は役割が違っている」と言っていた。そのとおりだと思う。すぐそこに迫るような、2人から織りなされる言葉の数々は音楽としても聴き入ることができるが、改めて平和や社会についてを見つめ直す贅沢な時間になったのではないだろうか?

[写真:全10枚]

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