FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTPYRAMID GARDEN7/29 FRI

LOVE FOR NIPPON (谷本賢一郎 香取線香 渡辺俊美)

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Photo by MITCH IKEDA Text by 三浦孝文

Posted on 2022.7.29 17:10

たった今、新しくはじめる私たちそれぞれの表現

フジロック2022初日、朝から汗が流れ落ちるほどの大快晴だ。ここピラミッドガーデンの1発目を飾るのは、本エリアも手掛けるCANDLE JUNEが代表理事を務める一般社団法人LOVE FOR NIPPON縁のアーティストたち。

開演5分前にCANDLE JUNEがステージに姿を見せ、2011年3月11日東日本大震災を受けて立ち上がってからの11年間の成り立ちから、毎月11日には福島で活動を続け、福島の子供からお年寄りまで皆さんとともに各地の災害支援に取り組んできたこと、そしてすべてが何にもないところから、仲間たちとみんなで一緒に創り上げてきたからこその、互いへの「楽しいね!嬉しいね!ありがとう!」があるんだということ、とこれからの福島の未来を見据えた示唆を熱く力強く語った。

“タニケン”こと谷本賢一郎のステージが朝に1発目ということで“あいさつのうた”からスタート!みんねで手を振って「おはよー!」。“青空しんこきゅう”で今の日本人が忘れてしまった心を歌い、“バスにのって”ではみんなで右へ左へ後ろへと身体を揺らせて笑顔が弾ける。“LOVEをプレゼント”で場に大きく愛を創り出し、最後は坂本九の“見上げてごらん星の空を”をアカペラで歌い上げ感動とともにステージを後にした。

続いて登場したのは、福島県いわき市在住のHYSとB-sicによるヒューマンビートボックスチーム、香取線香だ。フジロック初出演となる彼ら、LOVE FOR NIPPONが支援を開始した当時に、CANDLE JUNEが出会った頃はまだ幼稚園児だった男の子、HYSがここに立っているということを知ることで、いかにこの活動が拡がる未来を創っているのかを目の当たりにして、目頭が熱くなった。HYSとB-sicの表現は終始振り切っていた。特に圧巻だったのはそれぞれのソロパート。B-sicからはじまった、打合せ内容なんかをすべて吹き飛んでしまうほどの渾身ビートを繰り出すと、HYSは一転してループステーションで、ビートと声をどんどん重ねてループさせ、幽玄な世界観を醸成し、最後は美声を響かせて締めくくった。ラストは互いに繰り出すバトルタイムも飛び出し最高潮を迎え完了。

HYSの控えめな「俊美さん」コールでほっこりさせられる中、最後の出演者、渡辺俊美がアコギを片手に登場。「今日はいい天気!」ということでブルーハーツの“青空”からステージを回しはじめる。この快晴の下で、これまでの歴史と今も繰り広げられている現実を直視しろよ、と疑問を投げかけてくる歌詞に胸が熱くなる。最後は「青い空の真下で」のところを「フジロックの真下で」を変えて歌い、「開催おめでとう!」お祝いの言葉とともに終えた。その後も岡林信康の“私たちの望むものは”をはじめ、このコロナ禍で必死に、もがいている人たちに寄り添うような楽曲たちを、一言一言大切に大切に歌い上げていく。“出逢いの唄”にはどれだけの人が心を打たれ感謝したことだろう。どれだけの人が明日も頑張ろう!と希望がわいたことだろう。ラストの「ありがとう!」の咆哮には涙がちょちょ切れた。

最後にアコーディオンとパーカッションも含めた本日の出演者全員がステージに揃い、“I love you & I need you ふくしま”で、集まった福島の人たちも、福島でない人たちはそれぞれの故郷に思いをはせ、ほっこりと笑顔いっぱいにステージを締めくくった。

今日ここに居合わせた人たちは彼らの表現を目の当たりにして、何かを感じ取ったはずだ。我々にはまだまだ知らないことすら知らないことが多い。たった今、ここからそれぞれがはじめていく表現があるはずだ。「私は何を手掛けよう?」という清々しい疑問の中に残してくれたステージだった。

[写真:全10枚]

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7/29 FRIPYRAMID GARDEN