FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTPYRAMID GARDEN7/29 FRI

清春

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Photo by リン(YLC Photograpghy) Text by 三浦孝文

Posted on 2022.7.30 03:57

アウェーだって?いやいや、ドンピシャでしょ!

フジロック2022の初日も終わろうとしている。本日最後に訪れたのはピラミッドガーデンだ。夜のステージはキャンドルの炎がゆらめき、幻想的かつピースフルな空気が充満している。ゆったり腰かけてくつろいでいる人、久しぶりの再会を抱き合って喜んでいる人たち、珈琲を美味しそうに喉に流し込んでいる人、それぞれ思い思いに楽しんでいるのが見て取れる。

しかし、私は緊張している。青臭い思春期の頃のスターがこれから本ステージに登場するから。そう、清春だ「Blueの鬣(たてがみ)」(“Suck me!”)、「連れてゆく白いラバーソール」(“Spray”)、どれだけこの人のファッションに影響を受けたか分からない。黒夢の『Drug Treatment』に『CORKSCREW』、Sadsの『BABYLON』なんて、どれだけこすり倒してきたか分からない。 俺たち世代のジュリーであり、マイケル・モンローが清春なのだ。

かつてなら洋楽勢中心のフェスに疑問を呈していた清春をフジロックで観られるなんて奇跡的なこと。ファンはもちろんのこと、清春を知っている人も知らないも一目観ようと続々とピラミッドガーデンに集結してくる。開演時間少し前くらいからバックバンドのDURAN(以下デュラン)がブルージーなフレーズを流麗に爪弾き、Robin Dupuy(以下ロビン)がチェロで幻想的な音を奏でている。デュランのギターがいなたく鳴り響くと清春がステージに姿を見せた。のっけから魅せる魂の咆哮。最近のトレードマークであるバンダナに長めのつばのハットを斜め気味にかぶり、幾何学模様にも見える色とりどりの僧侶がまとっている袈裟のような出で立ち。装いひとつから表現されるまごうことなき清春の世界観。めちゃめちゃキマっているし、流石としか言いようがない。1発目はコロナ禍の中、もがき苦しみ、それでも命を燃やし前に進んでほしいというような祈りのような歌詞が清春の言霊となって飛び交う”下劣”。お次は初めて聴いた”妖艶”という曲で、デュランがザクザクと刻んでくるリフと清春との掛け合いったらもう!「カッコいい!」の一言だ。会場前方のオーディンスは手を叩き笑顔でノリノリ。これが今の清春のロックンロール。個人的には本セットのハイライトとなった。

ここで「さっき起きたばっかりですけど、1時間かけて起きていくんで、お手柔らかにお願いします」MCタイムに突入。「フジロックなのに厚着なので脱ぎます」と袈裟のような衣装を脱ぎ、白シャツに黒の…あれは何ていうものなんだろう、ベストの後ろがないみたいなやつを掛けて、よく知る清春然な装いに変貌。

「ピラミッドガーデン!」と連呼しはじまった”EMILY”。出だしを間違え「最初からやり直していい?」なんて微笑ましいシーンもありつつ(お陰でこちらの緊張も取れてきた)、前方周辺集まったファンたちがコール&レスポンス、合唱を繰り広げている。わざわざ苗場までやってきたファンたちを「遠くまで来たね」と労いの想いが込められた感謝を示しつつも「もっと寂しいかと思った。流石、俺!」と自信を確かめるのだ。

「「貫く」をスローガンにやっています。ソロでもこういうイベントでもこれ知っているかなってヒット曲をやるのが普通だと思いますが、そこには僕はいません。いつでも最新の自分を見せるという、「貫く」ショーをやっています。2022年の僕はここピラミッドガーデンにいます」というしびれる言葉を聞いて、なぜフジロックに出演するに至ったのか分かったような気がした。今日、ここで清春の言霊を受け取った人たち何かを感じ取ったに違いない。過去ではなく、たった今!それぞれがそれぞれの今いるところから表現していくこと、生きていくことがいかに大切かをあらためて身に染みた。

その流れから「僕らの生き方よ」と問いかけて来る、まだ出してもいない新曲”煌めいて”から”SURVIVE OF VISION”を歌い上げる。「後1曲で終わります!」と言ったものの時間が押していて断念(本ステージトリの時間帯なわけだしもっと自由さがあってもいいのではないだろうか)し、数秒のセッションでコール&レスポンスで場に一体感を創り出して記念すべきフジロックの初ステージを完了した。「ありがとう!清春でした!愛してます!風邪を引かないように」との暖かい言葉とともに。

フジロックはただ野外で音楽を楽しむ場ではない。大自然の中を歩いている時、仲間たちと再会して会話を楽しんでいる時、運営や飲食店スタッフさんたちの奮闘している姿を見た時、どんな時でも新しい発見をあなたにもたらしてくれる場がフジロックだ。清春はその観点からもフジロックにドンピシャなアーティストだと確信した。またぜひ苗場に帰還してほしい!

[写真:全10枚]

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7/29 FRIPYRAMID GARDEN