フジロック2022のルーキーステージ、トップバッターは音速ばばあ。茨城県取手市発の同級生バンドで、年齢は全員20歳。2021年に活動を開始し、翌年ルーキーステージへの出演が叶うだなんて、なんて素敵な物語なのだろう。Apple musicを確認した限りでは、音源はシングルの2曲と、soccer.とのスプリット作品があり、合計3曲のみ。ルーキーにふさわしいルーキーが観れるんじゃないかと期待に胸を膨らませ、さっそくステージに向かった。気になるお客さんの入りは、トップバッターとは思えない感じ。みんな彼らを歓迎しているようだ。

4人のうちメンバー2人が登場すると、1曲目は近いうちに発表するという新曲。音源3曲を聴いた感じでは想像していなかった、ドラムに打ち込み＋ヴォーカルのスタイルの幻想的な楽曲だ。続いて残り2人のメンバーが現れると、“Cricket”へと突入する。ギラギラとしたギターカッティングや、曲を前へとリードするベースの籠もった音像が、青春のもどかしさや軋轢なんかを思わせて、胸がぎゅっとなる。

MCでは、「M-1グランプリとかだと、トップバッターは不利だと言われていて、気になったので調べました。トップバッターでも１組だけ、中川家が優勝している。音楽界の中川家になれるように頑張ります」と語っていた。

終盤は“Youth”と“Cats Around The Dog”を立て続けにプレイ。“Youth”は、音源の中でもひときわ目立っているナンバーで、American Footballを思わせるメロウなイントロ・アルペジオが鳴らされ、跳ねるように躍るドラム、そしてみずみずしくて力強いヴォーカルが天を切り裂く。彼らのなかでもいちばん聴かれているだろうし、期待されでいるであろう1曲。緊張することなく、丁寧に、堂々とやりきっていた。“Cats Around The Dog”はスプリット作品収録の1曲。中盤「Let’s GO!」のシャウトを合図に、お互いが楽器をかき鳴らし、叫び、エモーショナルをぶつけ合う様子は今回のプレイで最もドラマチックな瞬間だった。

bloodthirsty butchersやeastern youthなど、90年代のロックの空気感を呼び起こしつつ、音楽性はさまざま。また、曲ごとにヴォーカルを変えるスタイルであったりと、彼らならではのスタイルの模索にも、まさに今取り組んでいる様子。彼らには、これからいったいどんな物語が待ち受けているのだろう？楽しみだ。

彼らは次世代エモの震源地とも言われている新進気鋭レーベル・ungulatesに所属している。昨日はレーベルメイトが大集合し、Fujırock expressに話を聞かせてくれた。ungulatesからは、レーベルメイトであるdowntの出演も決まっているので、一緒に応援していきたい。