FUJIROCK EXPRESS '22

MOREFUNAREA REPORT7/31 SUN

僕のFUJIROCK FESTIVAL 2022

  • 僕のFUJIROCK FESTIVAL 2022

Photo by 紙吉音吉 Text by 紙吉音吉

Posted on 2022.8.1 11:00

コロナとフジロックと配信とエキスプレス

2021年のフジロックが終わったそのときから、僕たちは来年のフジロックのことを考え始める。フジロックに参加するアーティストが発表されはじめると、僕たちのエキスプレスに向けた活動は活発化し始め、7月に入れば、エキスプレス取材メンバーの確定、僕はといえば、ライブライターのシフト作成やモアファンで何を書こうかなどと、頭は現地のことでいっぱいになるのだ。

エキスプレス取材メンバーの一部はフジロックが行われる週の火曜に入る。僕は後発の水曜入りの予定だった。その火曜に事件は起こった。長女発熱。長女の通う小学校では、コロナに感染する児童が多数発生していた。家族も感染対策は怠らず、気をつけていたはずだった。病院に駆け込むも検査結果は陽性。濃厚接触者となった僕は、水曜入りは難しくなってしまった。その後の検査で、長女以外は陰性だったので、次女と僕は自宅近くの事務所に隔離。政府発表に則り、抗原検査を続けた。晴れて、金曜午後には自宅待機期間を終えたのだった。ここで発覚したのが、妻への感染。こうなってしまうと、もう苗場入りは絶望だ。エキスプレスメンバーに伝え、僕は自宅でのバックアップに切り替えたのだった。

長女と妻の体調を気にしながら、次女の生活を支え、ほぼ24時間体制で、エキスプレスを監視。そして、3つの配信をチェックしながら、何かが起きれば現地スタッフに状況を伝え、上がってくるライブレポートの校正を在宅班と相談しながら行う、という3日間が始まった。
結論から言えば、非常に濃厚な3日間だった。現地に行っていない人間で、おそらく僕ほど現場で起こっていることを知る人間はいないと思う。それほど、PCにかじりついていた。多分、2022年のフジロックに行ってきた、と言ってもいいくらい、思い出話を語れる自信もある。
だけれど、やっぱりあのボードウォークに入ったときの山の空気、心臓を揺さぶる低音、いろんな香りがするオアシスの匂いは感じることができない。自宅で、「起こりそうだぜ、めッ!」だってやったし、SUPER ORGANISMでオロノがハーモニカ吹ける人―!って聞いたときも、一生懸命手を挙げたよ。でも思いは届かないんですよ。想いを今届けたい〜とか言っている場合じゃない。違う、そうじゃない。

経験する、ということは、僕は共感する、ということが大きいと思っている。その場で誰か知らない人と意思疎通する、感動を分かち合う、なんでもいいのだけど、同じものを見て、同じ空気を感じて、一緒に感動して、最高だぜ! なんて分かち合う。それがフェスティバルの醍醐味なんだなって、実感した。もちろん、音楽を見るという意味では、配信はありがたいし、チャンネルを切り替えまくれば、余裕で現地に行くより、多くのアーティストを見ることができる。これってすごいこと。だけど、AWICHが真っ暗な中、登場したかっこよさとか、中村佳穂が家族の風景を口ずさんだら、いきなりハナレグミが、そでから出てくるところとか、見ているだけじゃわかんないんだよなあ! その感動が。やっぱりあそこに居たかった。

コロナ拡大中で、まさに僕のように苗場行きを断念した人は多くいると思う。きっと配信を見ていた人も僕と同じように思ったはず、苗場に行きたいって。その気持ちを胸に、2023年、また苗場で会いましょう。昼間はグリーンで駆け回って、夜はボードウォークの装飾に魅了されて、天国バーガーの列に並んで、ゴンちゃんは日曜までダメー! とか早くやりたい。配信を見ていても思ったけど、限りなく“いつものフジロック”に戻りつつあると思う(UKチームのカムバックを切に願う)。きっと来年は今年より楽しいフジロックが待っている。そう願って、いよいよフジロック最終日の深夜3時30分。筆を置きます。

最後に、今年のフジロックエキスプレスもとても良いものができています。フジロックをさまざまな角度からご覧になれますので、ぜひタグを活用しながら見ていってください。

SEE YOU IN 2023!!

[写真:全1枚]

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