“阿部仁知” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '22 | フジロック会場から最新レポートをお届け http://fujirockexpress.net/22 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Mon, 24 Oct 2022 01:00:55 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.20 いつものフジロックへの http://fujirockexpress.net/22/p_8780 Mon, 15 Aug 2022 02:01:28 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=8780  3年ぶりに開催された、世界最大規模のフェスティヴァル、英国のグラストンバリーが2年遅れで50周年を祝った今年、初めてここを訪れてから40年の節目を迎えた筆者の目前で繰り広げられたのは「いつものグラスト」だった。日本で大騒ぎしているコロナ禍の影響は微塵も見られない。マスクをしている人はほぼ皆無で、ステージから感染防止のアナウンスが流れることもなく、注意書きさえ目にはしていない。幸運なことに、ほとんど雨も降らず、会場を歩いていると悩まされるのが砂埃。そのためにマスクを着用しようかとも思ったのだが、それさえはばかれる開放的な空気が会場を包み込んでいた。30万人ほどが数日間を過ごしていたなか、見かけたマスク姿は数えるほど。まるで誰もなにも気にしていないという空気が会場を支配していたように思える。

 変化が見られたとすれば、2019年か、その前年からか、「ペット・ボトルを会場からなくそう」と始まった「Reuse Refill Repeat」というキャンペーンの成果かもしれない。「清潔な水を全ての人へ」を形にしようと動いている国際非営利組織、Water Aid(ウォーター・エイド)と協力して、会場内に設置された「ウォーター・キオスク」で水を無料供給。水筒やタンブラーさえあれば、美味しい水がいつでも手に入る。手持ちのものがなければ、グラストの名前が入った特製も購入も可能。それが運動をサポートする収益にも繋がる。これによって、膨大な量のペットボトルが会場から姿を消しつつあるのだ。加えて、毎朝、数多くのヴォランティアが会場のゴミを清掃。それに気付いたのか、以前ならどこにでもポイッとゴミを捨てていた人々に変化が現れて、「ゴミに溢れた」イメージが定着していたグラストが確実に変わりつつあることに驚かされていた。

 そのグラストから約1ヶ月後に開催されたのが、25年という節目を迎えたフジロック。ここがまるで別世界のように見えていた。開催を前に観客のみならず、スタッフ、関係者に周知徹底されたのが『感染防止対策ガイドライン』。それもあったんだろう。土壇場になって「陽性となった」、あるいは、「身内が感染して濃厚接触者となった」と出演をキャンセルしたアーティストも少なくはなかった。さらに、それが理由で会場には向かわないと判断せざるを得なかったスタッフもいて、フジロック・エキスプレスでも、リモート業務を余儀なくされたメンバーもいる。おそらく、そんな事情はお客さんも同じだったと察する。しかも、ちょうど開催期間中あたりか、日本での感染者数が世界最大となったと伝え始めたのがマスメディア。なんとか開催にこぎ着けた昨年よりも、遙かに厳しい状況が待ち受けていたようにも思える。

 ただ、会場にやって来た人達のほとんどがガイドラインをチェックしていたんだろう。多くの人たちがマスクを着用したり、密な状態を避けようとしていたのは伝わった。といっても、屋外で観客同士の距離が確保できて感染リスクが少ないときは、マスクを外して熱中症予防やリフレッシュしてほしいとアドバイスも添えられている。昨年は「がんじがらめの」感染予防を決まり事として受け入れなければいけなかったのに対して、今年は「自分のことは自分で」という本来の姿が戻ってきたようにも思えてた。それが「いつものフジロック」への布石なんだろう。

 例年通り、前夜祭のオアシス・エリアにはやぐらが建てられ、フジロッカーにはおなじみの『苗場音頭』が鳴り響く。そこで踊り出す老若男女も、打ち上げる花火を見上げる人達も、「やっとここまでこぎ着けた」と感じているんだろう、なにやら華やいでる。どこかで悲しさを誘った昨年とは違って、今年はシンプルに「嬉しい」気持ちで空を見上げていた人がほとんどじゃないだろうか。それは3年ぶりに復活させることができた、レッド・マーキーでの前夜祭ライヴ直前の記念撮影でも感じていた。

 舞台裏の話をすれば、はたして記念撮影をすべきかどうかで悩んでいた。全スタッフにPCR検査を施し、観客全てに抗原検査をお願いした昨年、会場に足を運んでくれたフジロッカーがガイドラインを守ろうと涙ぐましい努力をしていたのは、昨年お伝えした通り。その結果、おそらく、国内で最も完全で感染リスクの少ない場を作っていたはずだが、この様子を好意的に伝えたメディアはほとんどなかった。まるで揚げ足をとるように重箱の隅をつつく記事が大半で、なかには意図的に読者をネガティヴな方向に誘導するような記事さえ目に入っていた。脳裏のどこかで、集合写真が「その素材として使われるのではないか」と危惧する気持ちがなかったと言えば嘘になる。

 それでも「やろう」と決断したのは、「いつものフジロック」を取り戻そうと、主催者や地元のみなさんのみならず、会場にやって来たフジロッカーも懸命に努力をしていることを記録したかったというのが一番の理由だ。前夜祭からやって来る筋金入りのフジロッカーにとって、この祭りが、彼らの生活やライフ・スタイルにとってどれほど重要な意味を持っているか言うまでもないだろう。ここは年に一度、里帰りのように訪ねてくる故郷のようなもの。「おかえり!」と声をかけると、自然に「ただいま」と返したくなる「自分たちの居場所」なのだ。それを彼らが守ろうとしている姿を残したかった。2007年から毎回続けられてきた、前夜祭最初のライヴ前に撮影される彼らの記念撮影でそれを証明できないだろうかと考えて主催者に交渉。OKの返事をもらったのは、ぎりぎりとなった当日じゃなかっただろうか。

 が、いつものように、「おかえり」と言うと、みなさんから大声で戻ってくる「ただいま」というレスポンスを撮影することは考えてはいなかった。それよりも、記録したかったのは「みんなが思いをひとつにすればなにかを形にできる」ことを証明すること。その思いとは、単純にルールを守ることではない。それぞれの命を守り、この祭りを守ろうとする気持ちであり、そのために自分で考え、責任ある行動をとらなければいけない。大多数の人達がそれを理解していることを形にしたかった。単純にマスクを付ければ感染から完全に身を守ることができると断言はできないし、大声で話せば感染するとも言い切れない。でも、それぐらいのこと、僕らには簡単にできるんだということを見せたかったのだ。

 その問いかけに見事なまでに応えてくれたのが、前夜祭のライヴ直前にレッド・マーキーにいたみなさんだった。ステージから簡単に今回の狙いを説明。「おかえり!」と声をかけるけど、心の中で「ただいま」と叫んで声には出さないで、代わりに大きく手を上げて応えてほしい。そして、みんなにマスクを付けてほしいと、手短にお願いして撮影に臨んでいた。

 もちろん、リハーサルなんて無し。具体的にどうするかを思いついたのも、ステージに向かっているときだった。が、ステージからマイク越しに声をかけると待っていたのは完全な沈黙。あまりに感動的なみんなの反応にステージ上から奇声を発してしまった自分が完全に浮いているようにも思えていた。が、あの叫び声が、逆に静寂を浮き上がらせていたようにも思う。しかも、レッド・マーキーの屋根の下だけではなく、その外でも同じような光景が姿を見せていたことを、友人がフェイスブックに投稿した映像で知ることになる。撮影された写真を見ると、屋根の下にいた2000人を越えるオーディエンスの99.9%が、「マスクを付けてくれ」というリクエストに応えてくれて、例年とは全く違う記念写真が出来上がっていた。

 これから何年か先、このコロナ騒ぎが本当はなにだったのか、そして、どういう意味を持っていたのかを知ることになるかもしれない。それがなにであろうと、この場所を守ろうとしていたフジロッカーの記録は残る。おそらく、そんな思いを共有していたオーディエンスこそがステージで演奏したアーティストたちの好演を呼び起こしていたのではないだろうか。数多くのライヴを見たわけではないが、スタッフや友人の口から耳にしたのが感動を呼んだライヴの数々。スクリーンやモニター越しにその素晴らしさを感じた人達も多かったようだ。が、同じ時間と空間を共有して、空気の波動や臭いに熱気も感じる至福は、その場にいる人にしか得られない。コロナのせいで会場に来られなかった、それを熟知している仲間がモニター越しに悔しい思いをしたという話しも伝わっている。

 でも、「いつものフジロック」と呼ぶにはもうひとつだったかもしれない。天上のエリア、デイ・ドリーミングやピラミッド・ガーデンに見られたのはいつもの表情。でも、フジロックをただ素晴らしい環境下での野外コンサートではなく、フェスティヴァルたらしめている要素のひとつ、まるで異次元の空間にいるような感覚を楽しませてくれるエリア、パレス・オヴ・ワンダーや奥深くに用意されていたカフェ・ドゥ・パリあたりがすっぽりと抜け落ちている。主に英国のスタッフを中心に企画制作されているのがこのエリア。彼らが来日できなかったという事情もあるんだろう。それに彼らが演出してきたボードウォークやグリーンからホワイトに繋がるルートのオブジェにも以前の輝きは感じられなかった。もちろん、それを国内のスタッフがその穴を埋めるように努力しているのは理解しているのだが、なにかが「たりない」という気持ちは否めない。

 その一方で、我々が続ける、この速報サイト、フジロック・エキスプレスは見事なまでに「いつものフジロック」に映っていた。ライヴのことはもとより、会場に集まってきた人々の幸せな表情を切り取り、よだれが出てきそうなほど美味しそうな食べ物が顔を出す。コロナ禍の影響で出店できなかったおなじみのお店が気がかりだが、アルコール無しだった昨年はお休みしたお店も復活。「フジロック的なるもの」がここではてんこ盛りになっていた。さすがに、根っからフジロックを愛するフジロッカーが集まったfujirockers.orgが生み出した速報サイトだと自画自賛したくなる。

 ここはそんなフジロッカーたちにとって、年に一度のミーティング・ポイントなんだろう。再会を喜ぶ人達が「久しぶりだねぇ」と、再会できなかったここ数年の話に花を咲かせている様子も目に入っていた。同時に、まるでずっと繋がっていたかのような気分で新たな出会いも生まれていたようだ。SNSでは「今年は会えなかったね。どこにいたの?」なんて会話が見受けられ、初めてフジロックを体験した人達から耳にしたのは、苗場での幸せな数日間。彼らにとって、ここが年に一度の里帰りのような場所なってくれたら、それに越したことはない。

 さて、来年はどうなるんだろう。このコロナ騒ぎは収まっているだろうか。それとも、「コロナと共に生活する」ってことになるんだろうか。できるなら、マスクなんぞおさらばして、仲間たちと心置きなく大騒ぎできるようになればいいんだけど、どうだろう。そして、フジロックをこよなく愛してくれたジョー・ストラマーが語ったように「生きている意味を確認できるような」時間や空間を引き戻したいと思う。それを人ごとのように語るのではなく、そのために自分でできることはなになんだろうと、思いを巡らしながら、これからの1年を過ごしていこうと思う。来年こそは、当たり前のフジロックを楽しめるように祈りながら。

なお、「フジロック愛」に溢れたフジロック・エキスプレス、今年のスタッフは、以下の通り。会場の様子を羨ましそうに眺めながら、自宅からリモートで作業してくれたスタッフもいる。作業をスムーズに進めるために好きなライヴをほとんど見られることのないスタッフもいた。ありがとう。感謝しています。

■日本語版(http://fujirockexpress.net/22/
東いずみ、阿部光平、阿部仁知、安藤淳太、イケダノブユキ、ミッチイケダ、古川喜隆、石角友香、板場俊、あたそ、岡部智子、梶原綾乃、おみそ、北村勇祐、粂井健太、小亀秀子、Eriko Kondo、佐藤哲郎、白井絢香、suguta、髙津大地、リン(YLC Photograpghy)、中島たくみ、馬場雄介(Beyond the Lenz)、HARA MASAMI、平川啓子、丸山亮平、三浦孝文、吉川邦子、森リョータ、安江正実、若林修平

■英語版(http://fujirockexpress.net/22e/
Mishu Callan, Mika Carl, Karen Lynch, PARK BAKER, Jonathan Cooper, Nina Cataldo

フジロッカーズ・ラウンジ:mimi、obacchi、藤原大和、土井優子、関根教史

ウェブサイト制作&更新:平沼寛生(プログラム開発)、迫勇一(デザイン)、坂上大介

プロデューサー:花房浩一

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fujirockers.orgは1997年のフジロック公式サイトから派生した、フジロックを愛する人々によるコミュニティ・サイトです。主催者からのサポートは得ていますが、完全に独立した存在として、国内外のフェスティヴァル文化を紹介。開催期間中も独自の視点で会場内外のできことを速報でレポートするフジロック・エキスプレスを運営していますが、これは公式サイトではありません。写真、文章などの著作権は撮影者、執筆者にあり、無断使用は固くお断りいたします。また、文責は執筆者にあり、その見解は独自のものであることを明言しておきます。

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補足です。例年、河原に姿を見せるゴンちゃんは最終日まで、そっとしておいてくださいとお願いしているのに、平気で「盗んで、連れ去っていく」人達が未だにいると聞きます。子供達が我慢してその時を待っているのに、恥ずかしいとは思わないんでしょうか また、森に姿を見せるマッドバニーも作品で、「勝手に持っていって(盗んで)いい」とは作者はもとより、誰も表明してはいません。これを持って帰った人達は泥棒です。「いつものフジロック」をぶちこわしにするような人達はもうここには来ないでほしい。

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Cornelius http://fujirockexpress.net/22/p_1703 Wed, 03 Aug 2022 09:40:06 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1703 白い幕で覆われたステージでサウンドチェックが行われている22時前のホワイトステージ。僕は期待感とも少し違う気持ちを抱えながら彼の登場を待っていた。どんなライブになるんだろう?どんな表情で歌うんだろう?周りの人たちはどんな反応をするんだろう?その時僕は何を思うんだろう?いつも以上に、過剰なほどにそんなことが頭を巡っていた。

しかし起こったことだけを突き詰めていうのなら、4人はただいつものようにライブをして、僕らはただいつものように圧倒された。本当にそれだけだったように思えた。でもそのことが何より嬉しかったし、だからこそ感じられたことが本当にたくさんあった。20年大晦日の無観客配信「KEEP ON FUJI ROCKIN’Ⅱ〜On The Road To Naeba 2021〜」以来となる、Corneliusのリスタートのステージだ。

「いつも」というと少し語弊があるかもしれない。例えばフィーチャリングのmei eharaの歌を小山田圭吾(Vo / Gt)自身が歌った初披露の最新楽曲“変わる消える”は、ホワイトの音響で優雅に奏でる情感が溢れていた。ビートルズやボブ・ディランといったミュージシャンだけでなく、世界中の様々な民族が音を奏でる様子が演奏に呼応してフラッシュする“Another View Point”を筆頭に、見たことのない映像もたくさんあった。なによりオープニングの“MIC CHECK”でステージを覆う幕の向こうに4人のシルエットが投影され、続く“Point Of View Point”で4人が眼前に現れた時の胸を満たす感情を僕は言いあらわすことができない。

だがセットリストだけを見れば17年のグリーンステージから始まった『Mellow Waves』のツアーと大きく変わるものではなく、数々の新しい要素も「ただいつもそうしてるから」以上の意味はないのではないか。つまるところ「特別なこの日のために」といった何らかの意味が付加されることを(一部を除いて)徹底して避けているように感じられたのだが、それもいつものCorneliusのスタンスともいえるし、特別なことではないように思えた。

いい意味であれ、悪い意味であれ、言葉は曲解されていく。僕らはそのことを痛いほど思い知ったし、ステージ上の彼もそうなのかもしれない。だが抽象度の高い映像や言葉に揺られていると、心を巡っていた余計な解釈や推論のようなものはどんどん削ぎ落とされ、ただただライブに没頭していく僕がいた。

そのことに合点がいった時、僕はわけも分からずボロ泣きしてしまった。ああ、これがCorneliusだ。演奏と映像が生み出すフレッシュな驚きで、当たり前のように毎回トップフォームを更新し続ける、いつものCorneliusがここにいるのだ、と。横向きのシルエットが映える堀江博久(Key / Gt)のエレガントなプレイに、緩急が際立つあらきゆうこ(Dr)のスティックさばき。コーラスやベースで随所に存在感を見せた大野由美子(Ba / Syn)に、簡素な挙動に風格が宿る僕のギターヒーロー小山田圭吾。この4人が眼前で奏でている。ただそれだけでよかったのだ。

だが意味性が極めて薄いパフォーマンスだからこそ、本当にさり気なく織り交ぜられた4人の想いが鮮烈に胸を打った。冒頭で聞こえてきた「マイクチェック」「聞こえますか?」の声に呼応した拍手、幕に投影された「THANKFUL TO BE HERE FUJIROCK FESTIVAL」 の文字、あるいは“環境と心理”の映像や言葉、そして“STAR FRUITS SURF RIDER”の間奏で堀江のトランペットがホワイトステージに伸びていく中映し出された「Sound by Cornelius FROM HERE TO EVERYWHERE」。このテキストを書いている今も感極まってしまう。

そしてシームレスに移行するあらきの打音が“あなたがいるなら”だと気づいた人から波及していくように、ホワイトステージに広がっていく惜しみない拍手は僕らの想いが溢れたものに思えたし、僕が「あなた=Cornelius」と感じる以上に、4人の「あなた=観ている僕らやフジロック」という想いが伝わってくるような気がして、何度も観たこの曲が本当に特別な響きを持っていたように感じたのだ。

ノンMCでアンコールもなく演奏を終えたCornelius。映し出された「Thank you very very much, everyone.」の言葉とともに、この日唯一話した「どうもありがとうございます」の言葉が心に染み入ってくる。4人が集まり僕らにお辞儀をした時だけサングラスを外した小山田圭吾が、何を思っていたのか僕にはわからない。「笑顔で」とも「感慨深そうに」とも僕の口からは言えないし、ライブ中もなにか4人の感情を見て取れるようなことはなかったように思う。だが今日この日をともにした事実だけが燦然と輝く、最新にして最高のいつものCorneliusがここにはいたのだ。

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BONOBO http://fujirockexpress.net/22/p_1697 Wed, 03 Aug 2022 09:35:00 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1697 前回17年は入場規制、最新作『Fragments』を引っさげ先月のGlastonbury Festivalでも素晴らしいパフォーマンスを披露したBONOBOが苗場に帰還!期待感が渦巻く22時前のホワイトステージにいよいよ彼がやってきた!

イントロセクションに続いて早速最新作から“Rosewood”。ホーン隊やドラム、キーボードなど総勢7人のバンドセットは思わず「生音だとこんなに映えるのか…」と感嘆してしまうほどで、いきなりテンションは最高潮!“Counterpart”ではBONOBOことサイモン・グリーンはベースを携え、終盤にはギターとしめやかに旋律を重ねたりと、部屋で聴いている時ともクラブで踊っている時とも違うバンドサウンドがホワイトステージの音響で鳴り響いている。ああ、たまんねえ。

ここでグラストでもゲスト出演したシンガーのニコール・ミグリスが登場し、“Tides”、“Shadows”を立て続けに披露。伸びやかなベースや水の中を漂うような映像も相まって、寄せては返す波のような情感がホワイトステージを満たしている。かと思ったら“Kiara”、“Bambro Koyo Gabda”、“Cirrus”などの身体にずっしりと響くビートに高揚。3年振りの海外からのホワイトのヘッドライン、全てが極上な世界最高水準の音楽体験に、「ああ、これがフジロックだ…」と喜びを噛み締めたのは僕だけではないはずだ。

再び登場したニコールがフルートを奏で、“From You”、“No Reason”へと移行するバンドセット。先程までの直感的に即ブチあがれる楽曲から、ダウナーなビートとしっとりした歌声にじっくり浸れるこの流れ!フロアの心を読み取ったようなここぞというタイミングは、サイモンの根っこにあるDJ気質も感じさせる。ニコールも含め最大8人のバンドは曲間でも入れ代わり立ち代わりながら、サイモンの音楽が最大限に拡張されるバンドセットに唸りっぱなしだ。

しかしだからこそサイモン1人で向き合う姿が際立っていた“Linked”はひとつのハイライト。DJを拡張するバンドセットであると同時に、バンドがDJの時間をさらに輝かせる素晴らしい配合。カットアップボイスが煌めく“Age Of Phase”で帰還したバンドがライティングに照らされ、あまりの神々しさに息を呑んでしまった…。

『Fragments』から“Otomo”をドロップする最終盤では、バンドサウンドもトラックのビートも味わってきたからこその自由なフィーリングが交錯し、ダンスフロアと化したホワイトステージは最高潮!からのダメ押しとばかりに大名曲“Kerala”!サイモンのサウンドに広がりを与え続けたジャック・ベイカー(Dr)のドラムも最高に弾けているじゃないか。

最後はニコールが“Break Apart”をしめやかに歌い上げ、ステージを去るバンド。「このタイミングは出てきにくいんですよ」とアンコールのないステージに現れるMC。でも不満な人なんているんだろうか?それくらいの圧倒的な満足感を僕らにもたらし、BONOBOのステージは“完成”を迎えた。

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また来年! http://fujirockexpress.net/22/p_8122 Mon, 01 Aug 2022 04:00:08 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=8122 帰りの車内から。苗場を離れるのが名残惜しくて色々写真を撮っちゃいますよね。

2枚目は苗プリを撮ろうとしてバスの停留所を撮ってしまった写真。車内は爆笑。

こういうのも思い出になっていくんですよね。

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ジビエカレーと甘酒カクテルのチャイ http://fujirockexpress.net/22/p_8154 Sun, 31 Jul 2022 19:16:35 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=8154 店名:IZAKAYA×KAMAMESHI 筍
エリア:OASIS
メニュー名:ジビエカレー(1,000円)と甘酒カクテル チャイ(700円)
ジビエカレーを買おうとするとチャイをやたら推してくるお兄さん。最終日の深夜なんて僕もへらへらしてるからあっさり購入。
「兄さんめっちゃ推すやん」なんて普段言わない言葉も出てくる深夜のテンション。こういう感じが大好きなんですよね。
カレーは最終盤の身体にガツンと効くパンチのある味で、チャイは優しい感じ。
兄さんめっちゃ合うやん!
★★★★★

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MURA MASA http://fujirockexpress.net/22/p_1709 Sun, 31 Jul 2022 18:06:32 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1709 今年のホワイトステージもいよいよ最後のアーティストを残すのみ。当然ながら疲れも見え、多くの人が椅子を出して座っているが、最後まで楽しみたい気持ちはこの人に託そう。そんな気持ちで彼の登場を待っていた。16年の深夜のレッドマーキー以来6年ぶりのMURA MASAがホワイトステージの大トリで帰ってきた!

イントロセクションに続いての9月リリースの最新作の表題曲“demon time”では、Glastonbury Festivalでもゲスト出演したシンガーのFlissが登場。MURA MASAことアレックス・クロッサンは卓の両サイドに設置したドラムを叩き、最新モードのサウンドに早速僕らは酔いしれる(ちなみにまだ音源は解禁されていない楽曲だ)。

日本語で「こんにちはー!」とアレックス。続く“Nuggets”では16年もゲスト出演したCosha(aka Bonzai)が登場し、自身のフィーチャー楽曲を歌い上げ、再び登場したFlissとともに代表曲のひとつ“1 Night”、最新リリースの“bbycakes”、Clairoをフィーチャーした“I Don’t Think I Can Do This Again”と矢継ぎ早に展開するパフォーマンスに、僕らは感情の赴くまま踊っている。“1 Night”でハットを止めるアレックスの一瞬の手つきがかっこいいのなんのって。

正直に言うと、ライブが始まるまでは17年のデビューアルバム『Mura Masa』の“1 Night”などの楽曲が、古びれて聞こえないかということを僕は気にしていた(それはある特定の時代に鮮烈に刺さった楽曲の宿命ともいえる)。あるいは“I Don’t Think I Can Do This Again”は、中止となったフジロック2020にともにラインナップされていたMURA MASAとClairoが2020年に披露しないと、文字通り二度と実現できないもののようにも感じていた。

だがいざ彼のサウンドを全身に浴びると、そんなことはまったくの杞憂だったことに気付かされる。それは最新モードの高揚から、そのままなだれ込む流れによるものとも言えるが、ゲストシンガー2人の貢献が間違いなく大きい。特にFlissはCharli XCXやClairoをはじめとして沢山のフィーチャリングシンガーのヴォーカルパートを歌い上げ、2022年の表現としてここホワイトステージに再現しているのだ。

アレックスがギターとドラムを柔軟に使い分ける中、Flissが「When I say DEAL, you say WIV IT」 と投げかけた“Deal Wiv It”や、尺八の音色が鮮烈な“Lotus Eater”からの僕の今年のホワイト音圧大賞“Hell”の一人DJタイムなど、惜しみなく投入していく楽曲に僕らは自由奔放に踊りふけっている。

そして“2gether”、“blessing me”、“hollaback bitch”、“e-motions”と最新モードを連発したり、新旧織り交ぜながら進行するパフォーマンスに、僕は終わってしまう名残惜しさを強く感じていた。それ自体は最終日の最後の方ではよくあることだが、失われた2020年に果たされなかった想いごと昇華できたこのステージは、なにか例年とは違う特別なもののような気持ちも去来したのだ。

終盤の“Complicated”では、今年ほとんど降らなかった雨が一瞬だけ降ったことになんだかエモくなったり、再び登場したCoshaが歌い上げる“What If I Go?”や、みんなのアンセム“Love$Ick”でもサウンドに呼応するように僕らの気持ちはどこまでも解放されていく。最後の“Firefly”で2人のシンガーとアレックスがついに合流し、MURA MASAが締めくくる今年最後のホワイトステージは大団円を迎えた。なんて書くのも寂しい。帰りたくないや。でもまた来年ここに来ることを楽しみにしつつ、僕はオアシスへと歩みはじめたのだった。

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ずっと真夜中でいいのに。 http://fujirockexpress.net/22/p_1710 Sun, 31 Jul 2022 18:02:44 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1710 やたらと大掛かりなサウンドチェックをしている19:40頃のホワイトステージ。「なんだあれ?」と思うような楽器(そもそも楽器なのか?)もちらほら見受けられ、「何が起こるんだろう?」とソワソワした雰囲気の中、作詞作曲もこなすヴォーカルのACAねによる、ずっと真夜中でいいのに。(以下:ずとまよ)のライブが始まった。

10人近い大所帯のメンバーが音だけでなく視覚的にも鮮烈なずとまよバンドセット。“JK BOMBER”ではホーンも加わったファンキーなバンドサウンドが奏でられる一方で、Open Reel Ensembleの2人が両サイドで操るオープンリールや、エレクトリックな打音を叩き鳴らすテレビ型の電子楽器なんかは、どういう原理で音が鳴っているのかさえよくわからない。だがそのことが逆に興味を掻き立てる。わからなさはこのバンドの大きな特徴かもしれない。

そして一番わからないのはACAねだ。ステージ上部のモニターに流れる映像の中で、彼女の姿はぼかされるか、顔は映さないように繊細にコントロールされている。このカメラワークがやたらとエモーショナルで、サウンドに溢れる刹那的な感傷をさらに増幅させていく。ラップ気味に歌う“違う曲にしようよ”や、ポップなメロディの癖が楽しい“お勉強しといてよ”でも、ACAねの異様な存在感は際立っている。“秒針を噛む”では縦横無尽にグラインドしまくるメンバーとは対照的に、ほぼ直立不動のまま伸びやかに歌う彼女の姿から目が離せない。

昭和歌謡のような歌声の“マリンブルーの庭園”ではなにやら扇風機を弾いてるし、スラップベースが冴えわたる“勘ぐれい”の最後できゃりーぱみゅぱみゅのようなフレーズを呟いたかと思えば、ポエトリーリーディングのような歌唱から始まる“眩しいDNAだけ”に、いきなり「苗場」なんて言葉を織り交ぜられたらドキッとしてしまう。

さらに“マイノリティ脈絡”にトラックメイカー気質を感じたかと思えば、最新リリースの“ミラーチューン”はアイドルのようでもあり、ジャンル名や属性で規定しようとした側から遠ざかっていくずとまよのパフォーマンス。でも頭に浮かび続ける「???」とは裏腹に、奔放に踊り続ける身体とドキドキしまくっている心をまるごとエモーショナルに昇華する、ずとまよサウンドがたまらなく楽しいんですよ。

僕はもうずっとACAねのことが気になっていて、“正義”でメンバーにどんどん見せ場を回している時でさえ彼女しか目に入らなかった(バールのようなもので何かを叩いていた)。そしてまた扇風機を弾き、オープンリールの2人が傘を振り回し、ACAねは「ジャスティース!!」と叫び、呼応するように手を振り上げる僕がいた。なんなんだこの高揚感は。

最終盤のここにきてはじめてのMC。何も喋らない方がむしろ自然に感じていたので、逆に驚いて思わずメモってしまった。

「来てくれてありがとうございます。昨日はそこら辺の出店でへぎそば食べました。あとアラビアータのターキーも食べました。次で最後なんですが、めためたでくそくそなこの季節、今日この頃なんですが、心臓を競争する前に一旦一緒に踊りましょう」

やはりいまいち捉え所がないACAねのキャラクターだが、「心臓を競争する前に」はもちろんこの曲“あいつら全員同窓会”のフレーズ。このわかるようなわからないような、でも何か確実に心に残るACAねの独特なリリックが、全編を通して僕をくすぐり続けていたことに思い当たる。「全員ジャーンプ!」で飛び跳ねるたくさんの人々も、多分訳もわからず巻き込まれているんじゃないだろうか。でもそんな自分ごと心から楽しめるずとまよのパフォーマンスに、僕らは最後まで踊りふけっていた。

ここまで書いても僕はずとまよのことが何もわからない。むしろ理解ははるかに遠ざかってしまったような心境だ。でも多分わかることはそれほど重要じゃない。だって今この瞬間もACAねのことが気になって仕方がないのだから。

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BLACK COUNTRY,NEW ROAD http://fujirockexpress.net/22/p_1712 Sun, 31 Jul 2022 10:51:30 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1712 明らかにグッズのTシャツを着た人が多い。昨年の『For the First Time』、今年の『Ants From Up There』と立て続けに傑作をものにしたのも束の間、メインヴォーカルのアイザック・ウッドが脱退、その状況で全曲未発表の新曲のセットリストでフジロックに来ると宣言。そのことが大いに話題となった今年ナンバーワンの注目アクトの一つ、ブラック・カントリー、ニュー・ロード(以下:BC,NR)のライブを見ようと多くの人が詰めかけている。

なにせ(一応YouTubeに先行のライブ動画はあるが)ほとんど誰も曲を知らない状況でのライブなのだ。ホワイトステージには何が起こるかわからない期待感が渦巻いている。だがこの期待をさらに超えてくる、重厚かつはじけるように楽しいライブを6人は披露してくれた。

思わずどよめいたSEの“Seven Nation Army”(昨日ジャック・ホワイトも演奏したらしいですね!)に続いてあらわれた6人。みんなフジロックのグッズのTシャツを着ていて、ジョージア・エラリー(Vn)に至っては渋谷のBIG LOVE RECORDSのTシャツを着ている。スネイル・メイルも「フジロッカーみたいな出で立ちだな」と思ったものだが、やたらとフレンドリーな雰囲気に期待感はさらに高まる。

1曲目の“Up song”ではタイラー・ハイド(Ba)がヴォーカルを務め、みずみずしいメイ・カーショウ(Key)のピアノに浸っていたら突然ハードなバンドサウンドになったり、ピアノ→ギター→サックスと輪唱のように展開したりと、早速様々な展開を見せる6人のバンドセット。だが『For the First Time』のようなポストロックというよりは、展開にワクワクしながら楽しく踊れるヴァンパイア・ウィークエンドのような仕上がりだ。続く“The Boy”ではアコーディオンを弾きながら歌うメイや、弓でベースを弾くタイラー、サックスからフルートに持ち替えたルイス・エヴァンス(Sax)など、チャプター1〜3と緩やかに流動する曲の中で、柔軟に楽器を持ち替えていく。

「ありがとうございます!こんにちはフジロック!」と日本語で投げかけるメイ。これだけで気持ちも高まるが、続く“I Won’t Always Love You”でもタイラーが歌いながらルイスのフルートとメイのピアノを指揮したり、“Across The Pond Friend”でもジョージアのヴァイオリンからチャーリー・ウェイン(Dr)のダイナミックなドラムやルイスのヴォーカルも合流して、最後はカオティックなバンドセッションに帰着したりと予期せぬ展開に驚かされるのが気持ちいい。

ここまで来てなんとなく合点がいったことだが、BC,NRのパフォーマンスは曲構成にもセットリストの組み方にも潤沢なストーリーテリングが流れているように感じる。クラシカルなピアノにジャジーなドラムなどの様々な要素が、時にしめやかに、時にダイナミックにノンヴァーバルな物語を奏でている。リリックがもう少しわかればさらに感じるものは増えるだろう(未発表の新曲にそれを感じられないのは自分の英語力を恨むしかないが)。

ルイスのフルートとルーク・マーク(Gt)のギターでしっとりと始まる“Laughing Song”は聞こえている以上に複雑なリズムが感じられることを素直におもしろく思ったし、ジェフ・バックリィのような情感からバンドサウンドに発展していく“The Wrong Trousers”ではヴォーカルのルイスがクルッと回ったり、奔放で上機嫌な様子を見ているとこちらも嬉しくなってくる。

極めつきは“Turbines/Pigs”で、メイの歌声とジョージアのヴァイオリンの柔らかいセッションを、残りの4人はステージに座ってビールを飲みながら僕らと同じように聞き入っているじゃないか。でもしばらくして立ち上がるとバンドは荘厳なサウンドを奏で、最後の“Dancers”でバンドみんなで歌う様子はベル・アンド・セバスチャンのようでもあり、幸福感に浸りながら物語は終幕を迎える。感極まったのか涙するテイラーがルークとハグをし、メイとジョージアと肩を抱き合いながらステージを後にしていった様子は、今年のフジロックでも屈指のハイライトだったに違いない。誰もがドラマチックな情感を共有したことだろう。

一方でアイザック・ウッドの不在を感じさせるライブだったともいえるが、BC,NRのこれからに心配はいらないだろう。それぞれの新たな人生を讃えながらバンドはまた次のステージを歩んでいく。そんなことが感じられたライブが終わり、僕はホワイトステージに残る爽やかな余韻に浸っていた。

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パソコン音楽クラブ http://fujirockexpress.net/22/p_1739 Sun, 31 Jul 2022 09:32:47 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1739 Corneliusの最高のステージのことを感極まりながら書き綴っていたら、いつの間にかこんな時間に。25:30のレッドマーキーに登場したのは、赤い誘導棒(工事現場とかで使うやつ)を振り回す柴田と西山、初出演のパソコン音楽クラブ(以下:パ音)の2人だ!

Night Tempoの高揚もまったく冷めやらないフロアに向けて、まずは細川たかしの“北酒場”をドロップするも、ほどほどにブレイクビーツでぶち壊すパ音スタイルは早速鮮烈だ。「ああ、深夜だなあ…」なんて感慨深く思いながら、朝まで遊びたいみんなの気持ちもさらに加速していく。

清々しいほどにアッパーなサウンドに、みんな自由気ままに踊っている。いい意味で脈絡のないDJセットに、周りに合わせることなどせず妙なステップを踏んでいる人もたくさんいる。僕は他のライブでは都度スマホでメモをとりながら観ていたが、そんなこと気にせず全力で楽しむことにした。こんなに楽しいのでは、詳細に記述するのも馬鹿馬鹿しくなってくるってもんだ。

棒を振り回し身振り手振りでフロアを煽りまくる柴田と西山。遠目のシルエットだけで深夜の情感を醸し出している様子にさらに高揚しながら、group_inouのあのイルカセラピーなんか飛び出してこようもんなら、もう踊るしかない!ふらっと来ていたimaiも自身が出演した15年のフジロック以来とTwitterで言っていた。感慨深いことだろうなあ。

代表曲のひとつ“Inner Blue”でも曲中でもどんどん加速する展開に「着いてこれますか?」なんて投げかけられたら、着いていくしかないぞ!むしろ追い越してやろうじゃないか!それからも最新リリース“KICK&GO”の林青空の歌声にキュンキュンしながら手を振り上げたり、フラッシュしまくるゲームボーイのポケモンの画像に懐かしさを感じながら“ポケモンしりとり”で跳ね回ったりと、気持ちも身体も大忙し!Night Tempoが昭和なら、パ音は強烈に平成だ!

最後はミツメの川辺素(彼もTwitterで喜んでたね!)の歌声が映える“海鳴り”でしめやかにパーティーを締めくくるパ音の2人。いやー、楽しかった。ディテールなんか朝には忘れているだろうけど、楽しかった感覚だけがずっと残るこの感じ。DTMの自由奔放さが溢れた3年ぶりの深夜ステージを存分に存分に楽しんだみんなは、誰もが「俺が一番楽しんでやったぜ!」と思っていることだろう。ありがとうパソコン音楽クラブ!Yahoo!チャット万歳!

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MIZ http://fujirockexpress.net/22/p_1802 Sun, 31 Jul 2022 07:49:02 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1802 前夜祭から3日間を過ごしいよいよ身体にガタを感じはじめながらも、最後の一日を悔いなく過ごそうとする人々の活力を感じる、最終日昼前のピラミッドガーデンの空気感が大好きだ。残念ながらキャンセルとなった優河 with 魔法バンドに代わって出演したT字路sも、多分素晴らしいライブをしたのだろう。そんな残り香をほんのりと感じる11:30頃のステージ。MIZの2人がゆったりと椅子に腰をかけた。

MONO NO AWAREの八丈島出身の2人が組んだ、アコースティックユニットのMIZ。MONO NO AWAREは昨年レッドマーキーを沸かせていたことを覚えてるが、MIZとしてはじめてのフジロックだ。「虫の鳴き声より音が小さいことでお馴染みのMIZと申します」と告げゆるやかにはじまった“春”で、玉置周啓(Vo / Gt)と加藤成順(Vo / Gt)のアコギと歌声が響きわたる。“君にあった日は”でもみんな座ったり寝そべったりしながら、飾り気のないシンプルな弾き語りに耳を澄ませている。

普段は喫茶店や美容室など、音を出すために存在しているわけではないところでライブをしていると語り、はじまったのは“パレード”。MIZの音楽はどんな環境にもスッと馴染むのが特徴的だが、ここピラミッドガーデンとも抜群の相性を見せている。少し耳慣れない八丈島の言葉に行ったことのない遠くの風景を感じながら、ノスタルジックな気持ちにもさせてくれるどこか不思議な心地。19年の同じ時間にここで観たYAKUSHIMA TREASUREの姿もなんとなく思い起こさせる。

僕の目の前に座っていた5歳かそれくらいの子どもは、あまり関係ないかのように草と戯れていたが、2人の歌に不意に「やんやややんや〜」と呟いたり、こういう感じが愛おしい。(それからも奔放な様子がとても愛らしく詳細に書きたいくらいだが、あとはご両親と僕の胸に留めておこう)

例えばAlex Gのような海外のインディーフォークのニュアンスも感じさせる“空砲”でも、アコギのアンサンブルが心地よく響く。ちょうど日差しが強くなってきた“夏が来たら”に続いて、“夏の終わり”は後方のフードエリアの声も聞こえてくるほどに控えめな指弾きと歌なのだが、そういった環境音ごと肌で感じられるのもまた気持ちがいい。

そして2部構成らしい今日のセットの1部最後の“ジョーク”も、加藤のハイフレットのストロークが気持ちよく玉置のギターと絡みあっている。途中で1部最後と言ったのはまさかの間違いだったらしいが、本気なのかジョークなのか、いずれにせよこういうところも彼ららしい。春から夏にかけての季節の流れを感じさせる1部であった。

2部では昨日のヘヴンで石橋英子のバンドメンバーも務めていた、マーティ・ホロベック(Gt)が参加。“Where did you go?”や“かんかん照りの夏に”でベースのように奏でるマーティのギターの低音が絡みあい、1部ともまた違った広がりを感じさせる。

1部と打って変わって、今年3月リリースの最新作『Sundance Ranch』から立て続けに披露する2部のMIZ。玉置がギターでリズムを刻む“芝生”では、「寝転んで微睡むのにうってつけだった」という歌詞が辺りの状況と一緒すぎて思わず笑ってしまったが、MIZはこういう偶然が本当によく起こる。

牧歌的な“クロスロード”では「終わり方がわからん!」と玉置がギターをかき鳴らしジャムセッションのようになっていき(これ多分いくらでもやれるだろうな)、最後は“バイクを飛ばして”の美しい調べにうっとりとしながら潤沢な1時間は終幕。

この後ジプシーアヴァロンで代打出演することが急遽決まったそう(公式アプリの通知より早かった。こういうリアルタイム感も今年のフジロックの大きな特徴だ)。そちらでもシチュエーションで響き方が変わるMIZの音楽が楽しめることだろう。

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