“MITCH IKEDA” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '22 | フジロック会場から最新レポートをお届け http://fujirockexpress.net/22 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Mon, 24 Oct 2022 01:00:55 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.20 MURA MASA http://fujirockexpress.net/22/p_1709 Sun, 31 Jul 2022 18:06:32 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1709 今年のホワイトステージもいよいよ最後のアーティストを残すのみ。当然ながら疲れも見え、多くの人が椅子を出して座っているが、最後まで楽しみたい気持ちはこの人に託そう。そんな気持ちで彼の登場を待っていた。16年の深夜のレッドマーキー以来6年ぶりのMURA MASAがホワイトステージの大トリで帰ってきた!

イントロセクションに続いての9月リリースの最新作の表題曲“demon time”では、Glastonbury Festivalでもゲスト出演したシンガーのFlissが登場。MURA MASAことアレックス・クロッサンは卓の両サイドに設置したドラムを叩き、最新モードのサウンドに早速僕らは酔いしれる(ちなみにまだ音源は解禁されていない楽曲だ)。

日本語で「こんにちはー!」とアレックス。続く“Nuggets”では16年もゲスト出演したCosha(aka Bonzai)が登場し、自身のフィーチャー楽曲を歌い上げ、再び登場したFlissとともに代表曲のひとつ“1 Night”、最新リリースの“bbycakes”、Clairoをフィーチャーした“I Don’t Think I Can Do This Again”と矢継ぎ早に展開するパフォーマンスに、僕らは感情の赴くまま踊っている。“1 Night”でハットを止めるアレックスの一瞬の手つきがかっこいいのなんのって。

正直に言うと、ライブが始まるまでは17年のデビューアルバム『Mura Masa』の“1 Night”などの楽曲が、古びれて聞こえないかということを僕は気にしていた(それはある特定の時代に鮮烈に刺さった楽曲の宿命ともいえる)。あるいは“I Don’t Think I Can Do This Again”は、中止となったフジロック2020にともにラインナップされていたMURA MASAとClairoが2020年に披露しないと、文字通り二度と実現できないもののようにも感じていた。

だがいざ彼のサウンドを全身に浴びると、そんなことはまったくの杞憂だったことに気付かされる。それは最新モードの高揚から、そのままなだれ込む流れによるものとも言えるが、ゲストシンガー2人の貢献が間違いなく大きい。特にFlissはCharli XCXやClairoをはじめとして沢山のフィーチャリングシンガーのヴォーカルパートを歌い上げ、2022年の表現としてここホワイトステージに再現しているのだ。

アレックスがギターとドラムを柔軟に使い分ける中、Flissが「When I say DEAL, you say WIV IT」 と投げかけた“Deal Wiv It”や、尺八の音色が鮮烈な“Lotus Eater”からの僕の今年のホワイト音圧大賞“Hell”の一人DJタイムなど、惜しみなく投入していく楽曲に僕らは自由奔放に踊りふけっている。

そして“2gether”、“blessing me”、“hollaback bitch”、“e-motions”と最新モードを連発したり、新旧織り交ぜながら進行するパフォーマンスに、僕は終わってしまう名残惜しさを強く感じていた。それ自体は最終日の最後の方ではよくあることだが、失われた2020年に果たされなかった想いごと昇華できたこのステージは、なにか例年とは違う特別なもののような気持ちも去来したのだ。

終盤の“Complicated”では、今年ほとんど降らなかった雨が一瞬だけ降ったことになんだかエモくなったり、再び登場したCoshaが歌い上げる“What If I Go?”や、みんなのアンセム“Love$Ick”でもサウンドに呼応するように僕らの気持ちはどこまでも解放されていく。最後の“Firefly”で2人のシンガーとアレックスがついに合流し、MURA MASAが締めくくる今年最後のホワイトステージは大団円を迎えた。なんて書くのも寂しい。帰りたくないや。でもまた来年ここに来ることを楽しみにしつつ、僕はオアシスへと歩みはじめたのだった。

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YOUR SONG IS GOOD http://fujirockexpress.net/22/p_1714 Sun, 31 Jul 2022 08:25:34 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1714 昼過ぎのホワイトステージには、YOUR SONG IS GOODが登場。28日に発表された思い出野郎Aチームのキャンセルを受け、代打の出演となる。スクリーンに「Y」「S」「I」「G」が順番に浮かび上がると、メンバーの登場だ!

この日は、サイトウ“JxJx”ジュン(Key,Vo)、ヨシザワ“モーリス”マサトモ(Gt)、タカダ“ダータカ”ヒロユキ(Ba)、ハットリ“ショーティー”ヤスヒコ(Tb)のメンバー4人に加え、恒岡章(Dr)、松井泉(Per)、武嶋聡(Sax,Fl)、上山悠二(VJ)を迎えた特別編成。ステージに全員が登場すると、「思い出野郎Aチームに変わって代打、YOUR SONG IS GOODです!」と始まったのは“THE LOVE SONG”。スカのリズムにホーンセクションが乗って、曲に彩りが加わり、オーディエンスは大きく手を降って応える。みずみずしいサックス・ソロも聞き惚れてしまった。

フルートの調べがどこか涼しげな“We’re Not To Blame”は、オルガンの南国チックなフレーズを中心とした1曲。ふくよかな低音が心地よい。コンガ&タンバリンが軽快な“Cruise”は、ベースの運びに胸踊る。今まさにクルーズ船が出港するかのようなワクワク感と、ゆったりと体を揺らす喜びを与えてくれる。“Double Sider”は怒涛のソロ祭りで、チンドン風なドラムソロ〜トロンボーン〜トランペットなど、一糸乱れぬ連携プレイで各々のテクニックを光らせた1曲だった。

MCでは、思い出野郎Aチームに触れ、「またフジロック出ようぜと言ってます」とエールを送った。YOUR SONG IS GOODは、2日前からリハして今ステージにいること。急な出場にも関わらず、できるメンバーで全力のプレイをしてくれたことに、会場は感謝の拍手で溢れていた。

後半戦、“Mood Mood”を駆け抜けると、“On”に入ったのだが、ここで「Youtube配信のみんな、見てますか?思い出野郎Aチームのみんなも、見てますか?家族のみんな見てる?パパ頑張っているよ」なんて、サイトウがカメラに声をかける。すると、会場の液晶には思い出野郎Aチームのアーティスト画像が映し出された!すかさず今日のメンバーで“楽しく暮らそう”をワンフレーズ歌い上げ、粋なサプライズに感動が沸き起こった。また、YOUR SONG IS GOOD自身もメンバー紹介で、苗場に来れなかったメンバーについても紹介するなど、彼らの結束の強さには感動させられた。

思い出野郎Aチームにとって今回は残念だったが、次回はここ苗場でまた会えることを祈って。レーベルメイトの絆と愛に満ちた、感動のステージだった。

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ALTIN GÜN http://fujirockexpress.net/22/p_1761 Sun, 31 Jul 2022 07:40:57 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1761 フジロック2022、最終日の昼下がり。朝から汗が滴り落ちるほど快晴が続いている。が、会場のフィールド・オブ・ヘブンに到着すると雨がぱらつきはじめた。これからここに登場するのは噂のオランダ/トルコ混成グループ、アルトゥン・ギュンだ。この名前はアメトーーク!の夏フェス芸人特集でハライチの澤部さんが何度もバンド名を連呼していたので覚えた人も多いのではないだろうか。2020年のフジロックの時から名を連ねていたバンドだ。ようやく達成した初来日にして記念すべき本邦初ライヴがはじまろうとしている。

開演時刻丁度にメンバー総勢6名がステージに登場。颯爽と姿を見せたメンバーの出で立ちから、オーラを醸し出している。バンドリーダーのJasper Verhulst(以下ジャスパー)がベースでリズミカルに踊れる素地を創りそこにパーカッションとドラムが絡み合い進行していく“Cemalim”からキックオフ。バンドの歌姫、Merve Dasdemir(以下マーヴ)が歌いはじめると場は一気にトルコ民謡の世界へと誘われる。Erdinç Ecevit(以下エルディンチ)がサイケデリアをキーボードで醸成して、のっけから一筋縄ではいかない。

「ここは今まで行ったことがある中で一番素敵なところよ!」とマーヴがここに来られた喜びを表現し、リズムセクションが軽快に入り「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」の掛け声から“Vay Dünya”に突入。エルディンチがサズをいなたく鳴り響かせ中東特有のグルーヴを場に生み出していくとそこはもうダンス天国!踊れる音楽のビートとグルーヴが世界の共通言語で、世界をひとつにすることを証明した瞬間だ。

マーヴがキーボードで80年代を想起させるフレーズを奏ではじまる“Yüce Dağ Başında”。Thijs Elzinga(以下、シジス)のギターのカッティングも地を這うようなベース音も最高だ。ピアニカが盛り込まれたことで一層ダブっぽい音色も加わり多国籍感満載なグルーヴで問答無用に踊らせてくれる。

エルディンチがリードボーカルをとる“Badi Sabah Olmadan”の疾走感には頭の振りが一切抑えられない。メタルとトルコ民謡の親和性のようなものを感じ取ってしまった。こと音、非常に中毒性が高く、癖になる。フロアは腕を突き上げ、腰を振り、笑顔でジャンプしている癖になっちゃった人たちだらけだ。

マーヴが「踊り方を教えるわ!両腕を挙げて、指を鳴らすだけよ!」とステージ上を所狭しと踊り倒すのだから、ヘブン一帯は狂乱のダンスフロアと化す。ラストは、メンバーそれぞれが「私を見て!」ではなく「あなた一人一人を躍らせる!」ことが主目的のソロパートを次々に繰り出していき、オーディエンスをグルーヴで歓喜の渦に巻き込んで日本での、フジロックでの初演を清々しく完了した。

アルトゥン・ギュンの一度体験してしまうと癖になってしまうビートとグルーヴ。これからも世界中で中毒者が増えて行くことだろう。彼らがショウを繰り広げていくと、いつの間にか世界がひとつになっていたりして。

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SNAIL MAIL http://fujirockexpress.net/22/p_1706 Sat, 30 Jul 2022 14:28:14 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1706 16時過ぎのホワイトステージには、スネイル・メイルことリンジー・ジョーダン(Vo / Gt)率いる5人のバンドセットが登場!90sインディー/オルタナへの憧憬溢れる1st『Lush』から飛躍的に表現の幅を広げた昨年の最新作『Valentine』リリース後の4年ぶりの来日だけあって、遭遇した友人たちもみんな絶対観たいと言っていた。僕の周りにいるホワイト前方の人達も明らかに同類だ。

オアシスの“Live Forever”のTシャツで現れたリンジー。このままダイナソーJr.を見るフジロッカーみたいな出で立ちに親近感を覚えるが、モニターを見る限りどうやら靴だけは『Valentine』仕様?なんて思っていたら早速表題曲“Valentine”だ。気だるいムードがサビで爆発するあの激情が、バンドの生音を伴って目の前で再現されている。少し音圧は抑えめに思えたが、それだけで感激するじゃないか。

続いて“Ben Franklin”、“Glory”と最新作から立て続けに披露。細かくハットを刻むレイ・ブラウン(Dr)やアレックス・バス(Ba)の重いベースラインもひときわ印象的だが、やはり様になるのはリンジーのギターだろう。“Speaking Terms”の気だるそうにざっくりと弾き語る姿を見ていると、もはや弦の鳴りだけで涙が出てきそうだ。

それからもアコギに持ち替えた“Automate”や、ゆったりとしたドリームポップの感触もある“Golden Dream”など、新旧バランスよく進行していく流れが心地いい。そして彼女が17歳の時のEP『Habit』の“Thinning”のドライヴ感といったらもう。別に飛躍的に進化したからといってインディーへの愛を忘れたわけじゃない、どころかさらに深めているリンジーの姿に胸が熱くなるじゃないですか。

ハンドマイクの“Madonna”ではステージ前に腰掛けていたり、“Heat Wave”や“Full Control”がまとう憂いの表情に揺られたりとリンジーとともに心が90sに還っていくようなこの体験。かといって単なるノスタルジーではないことは“Headlock”や“Forever (Sailing)”の微細なニュアンスからも感じられ、2022年のライブがホワイトステージを唸らせている。

セッティングの調子が悪かったようで、何度もローディーさんをつかまえては少しふてくされたり、その時の会話や独り言もマイクで拾っていたりと奔放な様子も愛らしい。そして最後は“Pristine”。個人的な話にはなるが、よく顔を出す大阪のロックDJパーティーでアンセムになっていたこの曲に僕はすべての想いを投影する。隣のお兄さんも恍惚の表情。減速するにつれ感情が溢れる最後の「I’ll still love you the same」にすべての気持ちを昇華し、リンジーと僕らの時間は過ぎ去っていった。

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The fin. http://fujirockexpress.net/22/p_1727 Sat, 30 Jul 2022 04:23:07 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1727 2日目のレッドマーキー、トップバッターを飾るのはThe fin.だ!彼らをここで観るのは、2017年のレッドマーキーぶりである。あれから海外を拠点とした活動、メンバーの脱退、コロナ禍直前に帰国など、バンドを取り巻く環境は大きく変わった。そして昨年リリースしたサード・アルバム『Outer Ego』は、バンドをよりニュー・ウェイヴやアンビエントな方向に磨き上げた傑作アルバムとなった。

そんな今の彼らを観ようと、会場には多くの人が集まっていた。時間を迎えると、Yuto Uchino (Vo, Syn,Gt)、Kaoru Nakazawa (Ba)の二人が登場、サポートメンバーにはDuran(gt)、松浦大樹(dr)、Yusuke(key)を迎えた5人編成だ。

1曲目“Shine”から、規則的なシンセのサウンドがサーチライトのように会場を照らし、レッドマーキーは幻想的な空気に包み込まれた。Uchinoがギターを持つと、「1、2、1・2・3・4!」とカウントの入る“Over The Hill”で、わっと観客が沸く。イントロから硬質なカッティングが効いていて、ガッチガチに踊れる感じだ。

“Gravity”では、シンセの音色がディレイしていく一方で、ベースは前へ前へと進むのを感じ、そのギャップが面白い。やがて5人が思うままに音をかき鳴らしていくと、それが巨大な音の塊となり、まるで音のヴェールに包まれているような、不思議な感覚になる。

続いて“Night Time”が始まると、会場は待っていましたとばかりにわっと湧き、力強いドラミングに胸を高鳴らせた。Nakazawaの芳醇なベースのうねりに乗って、シンセのループもトーンが上がっていく。いったん静寂からのビルド・アップ、そしてブレイクで、この日いちばんの盛り上がりに!ファースト・アルバムからの人気曲だが、ずいぶん磨きがかかっていて、成熟した音の厚みも魅せ方からも、アダルトな成長を感じさせる。

メタルっぽさもある泣きのギターが炸裂した“Deepest Ocean”や、ジュブナイル的な浮遊感を持つ“Outer Ego”などは、これまで彼らが着地していたドリーム・ポップ的な雰囲気からは、また一歩違ったアプローチが感じられた。そういえばこれらの楽曲が収録されているアルバム『Outer Ego』は、Uchinoが作詞作曲、歌、演奏、プロデュース、レコーディング、ミックスまで全てを担当したという。Uchinoの世界をさまざまなアプローチで解釈するNakazawaとサポートメンバーのテクニックをみるかぎり、今バンドはかなり脂がのっているなと思う。

変化の時期も前向きに捉え、次なるフェーズへと足を勧めたThe fin.。彼らとレッドマーキーの相性はとても良いのだが、次はぜひホワイトステージのあの音響で浴びてみたいとも思っている。

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DJ 濱田大介 http://fujirockexpress.net/22/p_1787 Fri, 29 Jul 2022 15:40:55 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1787 DJ ZAMIANG http://fujirockexpress.net/22/p_1788 Fri, 29 Jul 2022 15:03:37 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1788 クロワッサンサーカス http://fujirockexpress.net/22/p_1786 Fri, 29 Jul 2022 12:24:55 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1786 すでにテントサイトを去った人もいるなか、ここピラミッドガーデンでは、大人が読書していたり、子どもがはしゃぎ回っていたり、犬が芝生で佇んでいたりと、各々が自由に過ごしていて、とても穏やかな時間が流れている。そんな楽しい時間をさらに彩ってくれるのは、クロワッサンサーカスの面々!

韓国民族楽器(おそらく「チャング」だろうか?)のパフォーマンスをオープニングに、お客さんはサーカスの世界へと誘われていく。舞台には「CIRCUS」の文字1つ1つがモニュメントとなって設置されており、それらを高く積み重ねた上にパフォーマーが乗る。そして開脚で倒立を決めると…周囲から温かい拍手が!

楽団はギター、トロンボーン、ピッコロ、コントラバス、ドラムといったメンバーで、聴き馴染みのあるナンバーでもってパフォーマンスをゆったりと盛り上げていく。ここには隣接するステージもないし、静かな自然が最高のスパイス。豊かな音色と空白感がおいしい。

ポールに足を絡めて回転するポールダンス的パフォーマンスや、大道芸でおなじみ足長なお兄さんの行進など、バラエティ豊かな演出が次々飛び出し、子どもも大人も釘付けになる。筆者がいちばん好きだったのは、団長Hisawoが見えない「何か」をつまみ、紙袋に入れるパントマイム的なひとコマだ。子どもにその「何か」を渡し、袋に入るように投げてもらうのだが、近くに落ちてしまったり、遠くに行ってしまったり…。紙袋に入るときは、ちゃんと「ガサッ!」と音がするし、「何か」の飛距離がトロンボーンの音で再現されているのもまた面白かった。

そんな数々のアプローチもあって、初日から会場の心をぐっと掴んだクロワッサンサーカス。たくさんの道具とパフォーマンスを持ってはるばるやってきてくれたそうなので、ここピラミッドガーデンで3日間パフォーマンスをしてくれるそう。もちろん、パフォーマンスへの感謝と「お気持ち」も忘れないでね!できれば、折りたたみのできるやつで!

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おお雨 (おおはた雄一+坂本美雨) http://fujirockexpress.net/22/p_1785 Fri, 29 Jul 2022 09:03:37 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1785 LOVE FOR NIPPON (谷本賢一郎 香取線香 渡辺俊美) http://fujirockexpress.net/22/p_1784 Fri, 29 Jul 2022 08:10:00 +0000 http://fujirockexpress.net/22/?p=1784 フジロック2022初日、朝から汗が流れ落ちるほどの大快晴だ。ここピラミッドガーデンの1発目を飾るのは、本エリアも手掛けるCANDLE JUNEが代表理事を務める一般社団法人LOVE FOR NIPPON縁のアーティストたち。

開演5分前にCANDLE JUNEがステージに姿を見せ、2011年3月11日東日本大震災を受けて立ち上がってからの11年間の成り立ちから、毎月11日には福島で活動を続け、福島の子供からお年寄りまで皆さんとともに各地の災害支援に取り組んできたこと、そしてすべてが何にもないところから、仲間たちとみんなで一緒に創り上げてきたからこその、互いへの「楽しいね!嬉しいね!ありがとう!」があるんだということ、とこれからの福島の未来を見据えた示唆を熱く力強く語った。

“タニケン”こと谷本賢一郎のステージが朝に1発目ということで“あいさつのうた”からスタート!みんねで手を振って「おはよー!」。“青空しんこきゅう”で今の日本人が忘れてしまった心を歌い、“バスにのって”ではみんなで右へ左へ後ろへと身体を揺らせて笑顔が弾ける。“LOVEをプレゼント”で場に大きく愛を創り出し、最後は坂本九の“見上げてごらん星の空を”をアカペラで歌い上げ感動とともにステージを後にした。

続いて登場したのは、福島県いわき市在住のHYSとB-sicによるヒューマンビートボックスチーム、香取線香だ。フジロック初出演となる彼ら、LOVE FOR NIPPONが支援を開始した当時に、CANDLE JUNEが出会った頃はまだ幼稚園児だった男の子、HYSがここに立っているということを知ることで、いかにこの活動が拡がる未来を創っているのかを目の当たりにして、目頭が熱くなった。HYSとB-sicの表現は終始振り切っていた。特に圧巻だったのはそれぞれのソロパート。B-sicからはじまった、打合せ内容なんかをすべて吹き飛んでしまうほどの渾身ビートを繰り出すと、HYSは一転してループステーションで、ビートと声をどんどん重ねてループさせ、幽玄な世界観を醸成し、最後は美声を響かせて締めくくった。ラストは互いに繰り出すバトルタイムも飛び出し最高潮を迎え完了。

HYSの控えめな「俊美さん」コールでほっこりさせられる中、最後の出演者、渡辺俊美がアコギを片手に登場。「今日はいい天気!」ということでブルーハーツの“青空”からステージを回しはじめる。この快晴の下で、これまでの歴史と今も繰り広げられている現実を直視しろよ、と疑問を投げかけてくる歌詞に胸が熱くなる。最後は「青い空の真下で」のところを「フジロックの真下で」を変えて歌い、「開催おめでとう!」お祝いの言葉とともに終えた。その後も岡林信康の“私たちの望むものは”をはじめ、このコロナ禍で必死に、もがいている人たちに寄り添うような楽曲たちを、一言一言大切に大切に歌い上げていく。“出逢いの唄”にはどれだけの人が心を打たれ感謝したことだろう。どれだけの人が明日も頑張ろう!と希望がわいたことだろう。ラストの「ありがとう!」の咆哮には涙がちょちょ切れた。

最後にアコーディオンとパーカッションも含めた本日の出演者全員がステージに揃い、“I love you & I need you ふくしま”で、集まった福島の人たちも、福島でない人たちはそれぞれの故郷に思いをはせ、ほっこりと笑顔いっぱいにステージを締めくくった。

今日ここに居合わせた人たちは彼らの表現を目の当たりにして、何かを感じ取ったはずだ。我々にはまだまだ知らないことすら知らないことが多い。たった今、ここからそれぞれがはじめていく表現があるはずだ。「私は何を手掛けよう?」という清々しい疑問の中に残してくれたステージだった。

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