FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/29 SAT

BENEE

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PHOTO BY古川喜隆
TEXT BY三浦孝文

Posted on 2023.7.29 14:27

心躍る、身体も踊るパワフルなステージ

フジロック’23の2日目も気がつけば昼下がり。朝から晴れ渡り、ひたすらに暑い時間が続いている。Gezanに続き本日グリーンステージの2番手を務めるのは、今世間の耳目を集めるニュージーランドはオークランド出身のシンガーソングライター、BENEE(以下ベニー)だ。

彼女の最新アルバム『Lychee』のラストトラック“Make You Sick”の荘厳な響きが会場にこだまする中、ギタリストとベーシスト、ドラマーの3名が登場し一斉に音を出力すると、ベニーが最高の笑顔で登場。遊戯王の赤いTシャツを着て、この天気の中で見るからに暑そうなどデカい白のブーツ、水色のスカートをヒラヒラさせながらにこやかに登場し、オーディエンスに手を振りまくる。特徴的な重たいビート4連発が気分を上げてくれる“Kool”からスタートだ。歌い、踊りながらステージ上を左右に行き来し、笑顔で手を振りオーディエンスとの出会いを祝福するかのようなベニー。好感度が瞬時に上がっていく。「ゲンキデスカー!」と絶叫し、オーディエンスと一緒にヘヴィメタルマナーなメロイックサインを両腕で掲げ、のっけから場に一体感を生み出していく。

続くはミドルテンポで進む“Find an Island”へ。自分以外誰も知らない島を見つけたというテーマの曲だが、バックの映像に魚の骨や海の中で魚たちが泳いでいるアニメーションが映し出され、曲調とともにコミカルな雰囲気を醸成してベニー流の世界観を描いていく。

ここへ来られたことへの感謝と感激をシャウトで表現し、バンドメンバーを紹介。ドラムのフィリップの誕生日が近いということで、みんなでバースデイソングを歌いお祝いする。聴衆との一体感を創るコミュニケーションが天才的だ。次のダウンビート基調のアンニュイな雰囲気を持つ“Soaked”を聞き入っているオーディエンス。本曲のラストで3名のバンドが自由にセッションしている間に、ベニーがステージから出ていった。ベニーがサッカー日本代表の青いユニフォームを着て登場し、サッカーボールを持っているかのような仕草をし満面の笑顔を我々届けるのだから盛り上がらないわけがない。ここで新曲“Love Rollercoaster”を披露。軽快で清涼感あるメロディがとても心地よい。「アリガトゴザイマス!ここは暑いね!地球温暖化よ!怖い…」とおどけ、流れるようなギターフレーズを中心とした清涼感あるサウンドが満載の“Beach Boy”が続く。ラストで踊りながら身体をくねらせてふざける仕草をして、オーディエンスへのアピールを忘れない。

次も新曲“Morning Routine”をお披露目。キレのあるベースがかっこよく、横ノリで問答無用に踊れる曲だ。ベニー自身が縦横無人に踊りまくり、曲の持つグルーヴに身を任せている。フロアにジャンプを促しはじまった、“Green Honda”。ベニーのおばあちゃんから譲り受けた愛車「スティーヴ」のことを歌った曲だ(『STELLA & STEVE』EPのジャケットにもなっている)。ヒップホップ調の重たいビートで突き進む展開にフロアは本セット一番の盛り上がりを見せる。あまりの暑さ故か、ベニーがブーツを脱ぎ捨てソックスの状態で踊り狂うのだ。

「暑いー!」と苦しそうに声上げつつも、バンドが一旦はけ、軽やかな電子ビートの上に爽やかで艶のあるベニーの歌声がのる“Snail”、バンドがステージに戻りプレイされた突き進むビートが繰り出される本ステージ3度目の新曲“Sports Mode”にはこちらも踊り応えるしかない流れだ。

再び清涼感のある落ち着いたギターフレーズが心地よい“Glitter”の後、「あと3曲!フジローック!!」とスクリームし、またしてもメロイックサインを掲げるのだ。ステージ後方までみんなが掲げているのを見て「Wow! Beautiful!!」とご機嫌だ。落ち着いたキャッチーなメロディラインからギターがかき鳴らされ重量級の音へと転調するところが圧巻な“Never Ending”。ステージ上に倒れ込みこれでもかと頭を振り暴れている。ドラムと電子音だけで軽快に発進するGrimesをフィーチャーした“Sheesh”でステージ下に降りて来て左右隅々までくまなくオーディエンスとハイタッチして回った。表情から察するに、めちゃくちゃ暑くて倒れてしまいそうな状態と思われるが、この場を共有した人たちへのサービスと感謝あふれる行動に感動してしまった。

ラストはやっぱりこの曲!“Supalonely”だ。TikTokを通じて世界的に知れ渡ることになったベニーの実体験失恋ソング。居合わせたみんなで歌い、パワフルに1時間のステージを完走。愛と感謝を伝え、「またすぐに帰ってくるよ!」と手を振りにこやかにステージを後にした。

居合わせたオーディエンスへの、フジロックへの、そして日本への愛を、言葉と音楽、全身で表現をしてくれたベニーには感謝しかない。

[写真:全10枚]

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7/29 SATGREEN STAGE