LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/29 SAT
ELLEGARDEN
大合唱は鳴りやまない。各々の想いの強さを感じた1時間!
ELLEGARDENのライブを待っているといつも緊張で吐きそうになる。自分の青春とともにあったバンドと言ってもいい。精神を作った音楽のひとつと言っても過言ではない。わざわざ高い金払って苗場スキー場に足を運ぶくらい、音楽を好きになってしまったきっかけと言っていいかもしれない。そういう人生を大きく変えたバンドが、大好きなフジロックのGREEN STAGEに出る。考えるだけで、心拍数が上がっていくのがわかる。
息が詰まりそうなのをなんとか堪えていると、開始時刻の19時ちょうど。SEが鳴り、ロゴがスクリーンに登場すると、前方に押し寄せる人、人、人。それから、「オイ!オイ!」のコール。この光景すらも懐かしく感じてしまう。
4人のメンバーが登場し、それぞれの位置に着く。まずは、“Breathing”。オレンジと赤のライトに照らされながら、高橋宏貴の軽快なドラムに高田雄一のベースと細美武士・生形真一のギターの野太い音が乗せられる。去年12月にリリースされた新アルバムからの一曲だが、それぞれのメンバーの出す音を身体と耳が覚えているように感じられ、目の前によく知っている4人がいて演奏をしてくれているというだけで、鳥肌が立つ。
“Space Sonic”、“Supernova”と、会場は更にヒートアップしていく。もうすでに、汗だくになるほど蒸し暑い。前方は隣の人との腕が当たるくらいに人が殺到している。そんななかでも全員が全員Aメロからサビまでを大声で懸命に歌い、ステージに立つ4人に応えようとする。この光景がたまらなく好きだ。ELLEGARDENのライブを見ていると、気づいたら歌っている自分がいる。あの現象、なんなんですかね?今回も喉ががらっがらになってしまったわけですが。人も靴もレジャーシートも観客たちの上を転がり、もうもみくちゃ。演奏をしながら、楽しむ観客をしたり顔で眺める細美が印象に残る。
休む暇もなく、新アルバムから爽やかなメロディが耳に残る“チーズケーキ・ファクトリー”に、バンドが再び歩き出す様子を描いた英詞を美しいミドルテンポのメロディに乗せた“Mountain Top”が続く。やっぱり楽しい。好きだと心から思う。シンプルにELLEGARDENが好きでよかったと思わせてくれる。リリースされて半年ほどしか経過していないにも関わらず、この会場にいる皆が汗だくになりながら歌い、それだけでこのバンドへの個々の思い入れの強さを感じられる瞬間でもあった。
身体に突き刺さるギターサウンドが心地よい“Fire Cracker”のあとは、“Salamander”。静かなイントロ、直後の爆発音のようなサウンドがたまらない。「やっちまおうぜ!」という細美の声に、もうこれ以上にないくらいステージ前方は熱を持ち始める。大勢の観客を巻き込みながら、どんどん加速している。“Missing”では上に飛び跳ね、季節的に少し早い“The Autumn Song”では、そのステージに向けられる腕の多さ、温かなクラップ&ハンズの音数を思うだけで、このバンドがどれほどの人に愛され続けてきたのかがよくわかる。
“モンスター”でさらにめちゃくちゃになったあとは、“I Hate It”。テンポをグッと落とし、しっとりと聴かせる。生形真一のギターソロが心をえぐる。思わず、目で追いながら聴き入ってしまう。
そこから、“ジターバグ”、“スターフィッシュ”と、もう何十回何百回と聴いてきたイントロが流れれば、「待ってました!」と言わんばかりの歓声があがる。やっぱり気づけば歌ってしまうのだが、何年経ってもいい曲はずっといい曲であり続けるのだな、と実感させられる。確かに年齢を重ねた。しかし今改めてこの2曲を聴くと、また違った印象を持つ。今までの自分の失敗や悲しみ、才能のなさみたいなものを優しく包み込んでくれるようで、なんだか少し泣きそうになってしまう。活動再開後、メンバーの関係性がより強固なものになったように個人的には感じている。それぞれが余裕を見せながら楽しそうに演奏する姿は、見ているこちらもうれしくなった。
一度中断をして演奏をやり直す場面も見られたが、最後はいつも通りにもみくちゃになった“Make A Wish”と“Strawberry Margarita”で締められる。音楽が好きでよかった。ELLEGARDENが好きでよかった。あの光景を見ていると、いつもそう思わせてくれる。汗だくになったTシャツも泥だらけになったトレッキングシューズも、ガラッガラになった喉も、無我夢中で演奏を楽しんだ勲章のように思えた。