FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/30 SUN

never young beach

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PHOTO BY古川喜隆
TEXT BYおみそ

Posted on 2023.7.30 18:01

4年ぶり2回目のグリーンステージ!

開演前、田舎へ行こう!が響くグリーンステージ。客の顔が巨大スクリーンに映し出され、それに気付いた人たちはカメラやスクリーンに笑顔で手を振っている。これから始まるライブを心待ちにしている様子がその表情からわかる。

午前11時、寅さんのあの有名な曲が流れ「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です……」と寅さんの声がステージに響く。まだメンバーの姿は見えない。客席からはSEに合わせた手拍子が起きる。メンバーのDr.鈴木、Ba.巽、Gt.岡田、Gt.下中、Kb.香田の順でステージに現れ、最後にVo.安部が登場。全員寅さんの恰好をしている。あの帽子、薄い茶色にチェック柄のダブルスーツ、そろいのパンツ、腹巻、中には水色のシャツ、そして首からは長く垂らしたお守り。ネバヤンの近頃のライブでは、このスタイルが定着してきたが、安部の似合いっぷりにはいつも笑ってしまう。安部は、客に見せつけるようにスーツの襟をちょいとつまみ、得意げな顔をしている。4年前に、初めてグリーンステージに出演したときの、やるぞー!というエモーショナルな雰囲気とは違い、余裕がありリラックスしているようだ。寅さんの曲が終わると同時に、安部が「おはようございます!」と叫んだ。

その声と同時に“らりらりらん”が始まる。「アハハのイヒヒで楽しくやろうよ」と客席に歌かける。本当にそうだ。2回目のグリーンステージ、皆で楽しくやろう。サビでは客席からも合唱が起きている。
曲の終わりで「ありがとう。never young beachです、よろしく!」と安部。すぐに次の曲が始まる。“哀しいことばかり”が始まり、巽が曲の冒頭でニコっとしたことが印象的。コーラスもよく響いていた。安部は『Oh Yeah』の始まりと共に「トンボの2匹目がと止まっちゃったぞ!フジロック始まってるなこれは!」と笑顔。マイクにトンボが止まるのもフジロックらしい光景だ。アルバムで聞くよりもベースとバスドラムの音がステージに響き渡り、いつもより骨太の音に聞こえる。サビ中に「あー楽しいなー!」と大きな声で言い、心の底から、このグリーンステージという大舞台を心から楽しんでいる様子が伝わってくる。途中、一度落ち着き香田のキーボードを堪能した後に再びドラムが入ってきて盛り上がるところもたまらない。「気持ちのいい日本晴れ」と歌う安部。本当にきれいな空だ。最後は感情が溢れるように「あー!」と叫んでいた。こんな大きいステージで、しかも彼らにぴったりの快晴は最高の演出だ。

そして流れるように“Hey Hey My My”が始まる。アルバムに収録されている電子音はなく、ギターとベース、ドラムを中心にがつんと始まる。テンポの良さに客席からもすぐに手が挙がる。肩車の子どもも手を振っていた。「天気がよけりゃ気持ちがいいもんだ」の歌い出しは、1曲前とつながっていて、にくいなとニヤリとした。やるじゃん安部ちゃん。リズミカルに踊るようなベースを弾きながらも、全体をしっかりと見回す巽。目に焼き付けているのかな。サビの前のコーラスも、大空に響く。声の揺れさえも、彼らが楽しんでいる証拠に思える。「元気でいておくれ」という歌詞の後の鈴木の力いっぱいのドラムが、客席へ元気を伝えているようだった。ドラムの音に合わせて客席からも歓喜の声が上がった。

そのまま鈴木のドラムが続く中、安部のマイクに2匹のトンボが止まる。「トンボ止まりすぎ!2匹は、やりすぎ!」と安部は笑う。そして「あの曲だとわかったら大きい声出したり歌ってみたり、みんなの大きい声を聞かせてくれよ。苗場に轟かせてね。」と安部が話し、“ちょっと待ってよ”のイントロが始まる。このコミカルなイントロが大好きだ。「チョット待ってよ」の歌いだしを、客席にマイクを向け歌わせた。力の抜けた歌い方が晴天に気持ちよく響く。客はそれぞれに踊り、気持ちよさそうに聞いている。曲が終わりそのままドラムのビートは続く。安部が「みんな水飲んでる?ちょっと地球暑すぎ!」と言う。本当に暑い。“毎日幸せさ”では、岡田が机のような形のスチールギターを弾き、その南国風の音が曲を盛り上げていく。“蓮は咲く”では、安部が目をつむり一言ずつをかみしめるように歌う。ふと見ると、下中も目をつむり音を一つずつ丁寧に演奏していた。ネバヤンは以前から演奏の上手さに定評があるが、その演奏に安部の優しい声が乗り本当にバランスが良い。

曲が終わり、ギターを持つ安部。ここまでマイク1本だったが、いつもの白いギターを手にして、「フジロックに帰ったので」と“帰ろう”を演奏し、フジロックに帰ってきたことを噛みしめている。「気が付けばここまで歩いてきたが」という歌詞を客席全体を見渡しながら歌っている。サビでは安部はタンバリンも手にして、リズムよく音を出していく。下中のギターが心地よく伸び、香田はキーボード2段で演奏、岡田はギターを演奏しながら楽しそうに笑っている。

MCで、安部は「4年ぶりなので体力が落ちてまして……。ステージ上で仮に僕が倒れても皆演奏を止めないで。皆で歌って最後まで行ってください。僕は救急車で運ばれながら手をグーにして挙げます。」客席から笑いが起き、ここからのさらなる盛り上がりに期待が膨らむ。そして始まった“どうでもいいけど”。「いくぞいくぞいくぞありがとうー!」と叫びギターが始まる。このギターの繰り返しが最高。「大人になりました!」と歌詞に合わせて叫ぶ安部。ドラムのダダダという音で盛り上がりは最高潮に。香田も表情豊かに弾いている。曲の後半で冒頭のギターが繰り返され、その後1トーン上がる部分が、心臓をきゅっとつかんで持ち上げていく。安部は「いくぞいくぞいくぞ!」と叫ぶ。

苗場食堂に出演した2015年。「ヤシの木フラミンゴ」という、ボツになったバンド名でシークレットのような形で、夜中の苗場食堂に出演したこともある。気付いたファンが押し寄せて、ものすごい数の客が集まった。最前列で見ていた私は、もみくちゃになりすぎて太ももがあざだらけになった。そのあざは1週間ほど消えなかった。あのステージからここまで来たんだよな。「どこまでもいくぞ!」と気持ちが一緒になる。“あまり行かない喫茶店で”では、「調子はどうですか!」と大きな声でマイク越しに叫ぶ。客席は、暑いなかでもとても楽しそうだ。“なんかさ”では、いつもよりリズミカルに聞こえる演奏で、テンポも少し早めに感じるがとても気持ちいい。ここの「平気だよって言い聞かせるけど、なんだか焦ってしまうのさ」の歌詞ではいつも涙が出てしまう。“fam fam”が始まり、下中のギターソロが炸裂。客席ぎりぎりまで前に出てギターを響かせる。巽は目をつむり噛みしめるように演奏している。

「いくぞ最後の曲!」と安部が言う。絶対にあの曲はやるはずとドキドキしてくる。安部と客が同時に「あー!」と叫んでから“明るい未来”が始まった。歓声が上がる。きた、いつも泣いてしまうこの曲。何回聞いても最高だ。4年前にもこのステージで、この曲を演奏していたなと思いだしてグッとくる。「いつまでも側にいてくれよ」の歌詞では、客席に手を伸ばし気持ちを伝えていた。そして本当のラスト“夏のドキドキ”。イントロから本当に良い。この快晴の苗場にぴったりだ。ステージの端から端まで走り回る安部。マイクに戻り歌いだす。息を切らしながら全身で歌う。コーラスの声も、ボリュームが上がる。鈴木のドラムがいつもより力強く響く。そして安部は客席の最前列の柵へ行き、そこに立つ。いっぱいに集まった客を見渡す安部。きっと今までのフジロックでの思い出も、頭によぎっているのだろう。柵に立ったまま熱唱した安部。大きな拍手と共に、最後はセキュリティースタッフに抱きかかえられステージに戻されるというオチまで完璧だった。

4年ぶりのグリーンステージ、最初にFUJI ROCKに出演し苗場食堂で演奏した2015年から8年。エモーショナルで、でも少し大人になったネバヤンのライブだった。大きな空に、気持ちの良い歌と演奏を残していった。

[写真:全10枚]

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7/30 SUNGREEN STAGE