FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/28 FRI

思い出野郎Aチーム

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PHOTO BY古川喜隆
TEXT BY梶原綾乃

Posted on 2023.7.28 20:14

ホワイトステージにおかえり!感動的なリベンジをここで

昨年のホワイトステージのことを覚えているだろうか?コロナの影響により、急遽出演キャンセルになってしまった昨年のフジロックでは、YOUR SONG IS GOODが代打出演し、レーベルメイトに愛を込めて“楽しく暮らそう”を披露するなど、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。あれから1年、彼らを今度こそ見たいと集まったオーディエンスも多かったのではないか。

去年、ユアソンが演奏した“楽しく暮らそう”を引き継ぐかのように、「こんにちは!フジロック3日間楽しく暮らしましょう!」と、始まった“楽しく暮らそう”で、思い出野郎Aチームのフジロックが始まった。サポート・メンバーを加えた現体制は総勢13名。2021年ごろから加わったFukaishi Norio(Ba)、沼澤成毅(Key)、ファンファン(Tp)、YAYA子(Cho)、そして手話通訳のペン子。いざステージ上でみると、かなり大所帯。見るだけでもワクワクする。

初っ端からステージ上で跳ねる増田薫(Sax)の暴れん坊なバリトンの響き、ファンファンと山入端祥太(Tb)による息ぴったりで強靭なバッキングなど、今日このステージを待ちわびた彼らの思いが、そこかしこから溢れ出ている。続いて最新作『Parade』に収録の“独りの夜は”。〈独りの夜はもう終わりさ/孤独を抱えたままバラバラに踊り続ける〉という歌詞は、孤独も孤独じゃないことも肯定してくれる。ロックフェスという人が集まる場所でみんなでこの曲を歌う、ある種のちぐはぐさが愛おしい。

高橋一(Tp, Vo)のしゃがれたトランペットが差し込まれる“それはかつてあって”、ラテンなパーカッションが踊らせにかかる“無許可のパーティー”、雪景色のVJも相まって、どこかひんやりとテーマを投げかけてくる“フラットなフロア”と立て続けに、世の中や社会に迫るような楽曲たちがプレイされる。かなりの熱量でもってオーディエンスを引っ張り、踊らせ続けたからか「野外フェスで大事なのは温存。温存を忘れてたよ」と高橋が笑う一面も。

演奏中、ふと液晶に目を向けると、ペン子による手話がワイプで映し出されていた。ステージ上手に位置するペン子は小さな体で左右にステップを踏みながら、思い思いに手話を伝えていく。音楽に手話をつけるケースはまだまだ稀だというが、フジロックにおいても初のパフォーマンスとなった。表面的な歌詞だけではなく、言葉の細かなニュアンスまで再現されているというその動きに釘付けになってしまう。音楽表現の可能性を感じた。

そんな手話をみんなで一緒にやってみようと、レクチャーのうえ歌われた“アホな友達”。シンガロングしながら、手でも「アホ」と「友達」をシンガロングしてみると、会場は大盛り上がりで、世界が変わった気がした。この世の中、いろんな分断が起きているけれども、みんなで口を揃えて手を揃えて歌えばもう家族みたいなものだと思う。思い出野郎Aチームは、アットホームな集団だ。社会でどんなことがあっても、家族みたいな優しさで私たちと関係してくれる。

最後は“ダンスに間に合う”。思い出野郎Aチームは夜の曲が多いというが、昼間に聴くとまたひと味違って、暴れて遊びたくなる元気がある。観客の反応のよさに「泣いちゃうからやめて」と言っていた高橋の気持ちもわかるくらい、感動的なリベンジだった。おかえりなさい!

[写真:全10枚]

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7/28 FRIWHITE STAGE