LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/30 SUN
ドミコ
苗場に刻み込むドミコ印のロックンロール
フジロック最終日も14時を回った。今年のフジロックは本当に雨が降らない。今日も朝から晴れっぱなしだ。皆さん、熱中症にはほんと気をつけましょう。
これからここホワイトステージに登場するのはさかしたひかる (Vo/Gt)と長谷川啓太(Dr)からなるツーピースロックバンドのドミコだ。2017年は苗場食堂、2019年はレッドマーキー、今回はホワイトステージに出演と、フジロックという場においてもバンドが確実にステップアップしていっている。メンバー自ら開演時刻ぎりぎりまで歌い、音出しをして、入念にサウンドチェック。さかしたの声に気合がみなぎってる。本ステージにかける本気度がうかがえた。
開演時刻にお馴染みのSE、キング・クリムゾンの“Easy Money”が流れ「DOMICO」の文字がバックに映し出されると、二人がステージに姿を見せた。さかしたがリヴァーブのかかったギターをかき鳴らし、長谷川啓太がドラムをドカドカと打ち込んでウォーミングアップ。ひかるが「よろしくー!」と絶叫し、ステージ開演を高らかに宣言し、“問題発生です”からキックオフだ。本曲のハイライトは終盤に二人がジャムセッションのごとく繰り広げたロックンロールパートだろう。ロックファン共のケツを問答無用に蹴り上げるようなド直球のリフを繰り出しまくるのだ。のっけからこの圧倒的な展開に圧倒され呆然と立ち尽くすオーディエンスが散見された。
ドミコは緩急のつけ方が本当に上手い。さかしたが小気味よくカッティングしながらはじまった“united pancake”。中盤ではテンポダウンしてその後徐々にアップして疾走パートに移行し爽快にしめくくる。続く、十八番のルーパーを駆使して音を重ね合わせて音に厚みを生み出していく“なんて日々だっけ?”。この曲も基調のミドルテンポの中でロック好きには唸るしかないギターソロで見せ場を作った上で、締めの速度上げという構成が絶妙だ。“まどらまない”ではさかしたのアームを駆使して巧みに音に変化を加えていく。「小鳥は未来には飛んでいることはないって」のところで長谷川のドラムが転調するところが最高だ。何度聴いても卒倒してしまいそうなほど格好いい。
エフェクトをかけ不穏で浮遊感を伴う音を重ね合わせて出力する“ばける”から“化けよ”への流れ。さかしたのギター表現から、ロックの未来、そしてギターを通しての表現に可能性がまだまだあると思い知らされた。
またしても耳がかっこいいといっているブルージーなフレーズとAC/DCの“Back in Black”ライクなロッケンローリフが刻まれる“深海旅行にて”、かつてのブランキー・ジェット・シティの危なさを感じさせるギターフレーズと声がたまらない“びりびりしびれる”、本セットのラストとなった“ペーパーロールスター”、流れるように披露されたラスト3曲。さかしたと長谷川が向かい合い、互いに挑発するように繰り出される、たまに曲規定の枠を飛び出してしまうほどの熱いセッションは、ロック本来の初期衝動や荒々しさ、ライヴの本質、それら全てを体験させてくれた。
完全にノックアウトされてしまった。多くの海外からのオーディエンスも観ていたが、間違いなくぶっ飛ばされたことだろう。最後まで観た人たちが多かったようだ。ドミコ印のロックンロールで世界を制する日も近い?
[写真:全7枚]