LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/28 FRI
YEAH YEAH YEAHS
17年ぶりの苗場で魅せた歓喜のステージ
フジロック初日のレッドマーキーにおけるトリとして登場するはYEAH YEAH YEAHS。2006年来17年ぶりのフジロック帰還とあって、前方から後方までギュウギュウでパンパンな状態だ。コロナ禍を越えたどり着いた光景に嬉しくなってしまう。
開演時刻1分前になると、待ちわびたクラウドから割れんばかりの拍手が届けられると暗闇の中、3名のメンバーが姿を見せ、ギターが音合わせ的に刻まれると、キラキラのド派手の衣装を身にまとったカレンOが満を持してステージに登場。「カモーン!フジローック!」と高らかにシャウトしはじまった幻想的な“Spitting Off the Edge of the World”でのっけから異世界へと我々を誘っていく。最後に上着を脱ぎ捨て、王冠のような被り物を外す様、カレンの一挙手一投足に大歓声が上がるのだ。
続くは、軽快なビートが鳴り響き、オーディエンスのバンドクラップとともにはじまった“Cheated Hearts”。この曲の可愛らしいメロディから熱くぶっといリフへの転調パートには飛び上がって盛り上がるしかない。ハスキーにシャウトをきめ、上着を放り投げるカレンは生粋のロックスターだ。ニック・ジナーの跳ねまくるギターフレーズが性急に畳みかける締めくくり、そのままカッティング奏法で繋いではじまった熱狂ガレージチューン“Pin”でフロアは熱気でムンムン状態に。バックが真っ赤に燃え盛る炎に変わりはじまった“Burning”。バンドが愛し、この曲のインスパイアの元になったFrankie Valli & The Four Seasonsの“Beggin’”を磨き上げたグルーヴに身体の動きを止められない。ノイズに電子ビートが入るとオーディエンスのハンドクラップとともに場に一体感が醸成されていく。
「2006年ぶりのフジロックよ!初めて日本に来たのが2003年だから、もう20年になるのね!」とカレン。みんなで、12歳になる息子さんへのバースデイ・ソングを歌いはじまった“Zero”。ピンクの花吹雪が飛び、二つの巨大な目玉のビーチボールがフロアに投げ込まれる。軽快に飛び跳ねオーディエンスを煽るカレン。「アリガトー!」の叫びとともに盛り上がりは最高潮に達した。
続く“Soft Shock”と“Lovebomb”では照明とミラーボールの輝きを駆使した素晴らしい演出でそれぞれの楽曲の世界観を支えていた。YEAH YEAH YEAHSチームが音の聴かせ方、ステージの魅せ方に対していかにプロフェッショナルな集団あるかが確認できる。
ドラムのビートが刻まれるだけで、この大歓声だ。フロアの熱量の高さが分かろうというもの。カレンがバンドメンバー一人一人を紹介していき“Gold Lion”がはじまった。「Ooh ooh!」とみんなで合唱し、バンドと観客の熱が混ざり合ったこの場の楽しさを作っている。
フレーズが鳴るだけで分かる“Y Control”で高揚感に包まれ、そのまま代表曲“Maps”になだれ込む。つい先日亡くなったシネイド・オコナーをはじめ多くの人、そして「最も大切なのは…この曲をフジロックを愛するみんなに捧げるわ!」と叫ぶと、場は本セットいちの多幸感に包まれた。
“Heads Will Roll”で再び大量の紙吹雪が飛びまくる中、フロアの全員で腕を上げ、ジャンプしまくり、正真正銘のラスト曲“Date With the Night”でカレンのキレッキレのシャウトとともにオーディエンスを熱狂の渦に叩き込んで、ステージの幕引きを行った。カレンの衰えぬカリスマ性、YEAH YEAH YEAHSチームが音、照明、映像で描き出す無比の世界観、今宵ここに居合わせたオーディエンスの熱いリアクション、それらすべてが繋がり合い創り上げられた今夜の歓喜のステージ。堪能できた幸運に感謝しかない。
[写真:全6枚]