FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/29 SAT

Saucy Dog

  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog
  • Saucy Dog

Posted on 2023.7.29 19:56

最高にカッコよくて優しいヴァイブス

炎天下の苗場。話によれば、10年ぶりの暑さだとか。昨日のこの時間には雨が恵みのように少し降ったのだが、本日は今のところ終始快晴。嬉しい悲鳴でもあるのだが、こうも暑いと体力の残りが気になってくる。

レッドマーキーに到着したのは、ライブが始まる10分前。すでに会場の8割を埋めるほどの観客が集まっている。ステージ上では、ほのかにBGMが流れ、すでにサウシードッグの優しい雰囲気を醸し出しているようだった。まだ時間になっていないのに、照明が少し暗転しただけで、歓声が上がってしまうほど、会場は期待感に満ち溢れていた。そしてオンタイム。ついにメンバーが登場。ひとりひとりステージの中央に出てきて、深々とおじぎをする。その度に、観客は大きな歓声で出迎えたのだった。
ドラムセットの周りにメンバーが集まり、掛け声をかけていよいよスタート。1曲目には、ニューアルバム『バットリアリー』の中から“そんだけ”が選ばれた。ミディアムテンポのラブソング。透き通った石原の声がゆっくりと染み渡るように、レッドマーキーを包んでいく。それに応えるように手で拍を打つ観客。小さなこどもたちも両親と一緒に踊っている。とても幸せな空間ができつつある。

過酷なフジロック。そんなイメージがどこかに行ってしまいそうになる。レッドマーキーの中は熱気がこもるはずなのに、爽やかな風がスーッと流れたような、そんな感覚。石原の声にはそんな透明感がある。1曲演奏し終わると、「楽しんでね〜!」と叫び、立て続けに“シーグラス”、“雀ノ欠伸”と演奏した。

MCではドラムの、せとゆいかがマイクをとる。「初めまして。ここに来るまでとても不安だったけれど、みんなの顔を見たら安心しました。」そしてベースの秋澤に変わる。「フジロックは絶対出たかったんです。ここにいることが奇跡だと思う。」とファンに対して感謝の意を述べた。ここにいる観客が一番望んでいる曲であろう“シンデレラボーイ”は中盤で披露された。イントロが鳴った瞬間にどよめき、Aメロから合唱が始まるほど。前方から奥の奥まで、この曲によって一体感が生まれるのを見た。
ライブ後半では、石原がMCで「シンデレラボーイが終わった瞬間、結構な人がどっか行っちゃったね……(笑)」と自虐を挟む。続けて「いろいろなバンドが出てるし、サウシーはその1ピースだけど、サウシーに居て良かったな、って思ってくれたら嬉しい。最高にカッコよくて優しいヴァイブスで行こう!」と言い放ち、“怪物たちよ”、“優しさに溢れた世界で”を歌い上げ幕を閉じた。

約1時間のアクト。確かに“シンデレラボーイ”後の観客の流出はすごかった。ステージ上で見ているメンバーにはさらに如実に見えたことだろう。それでも目の前にいる観客たちのために、必死に歌い、最後の最後までリスペクトを忘れなかった。バンドの本気は間違いなく観客に届く。その証拠に最後までサウシーが作り上げた優しい空間は、客が減ろうと消えはしなかったのだ。

[写真:全10枚]

TAGS
7/29 SATRED MARQUEE