LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/30 SUN
GINGER ROOT
ポップに踊れ!GINGER ROOTのTHE☆昭和歌謡番組にようこそ!
背後のスクリーンに夜景のアニメーションと「姜根」の2文字が浮かび上がると、観客たちからは大きな歓声が上がる。最終日のLIZZOも終わっちゃいましたね。でも夜はまだこれから!0時のRED MAQUEEはエネルギーに満ちている。
まずは、“City Slicker”。ポップでリラックスできるサウンドは深夜がよく似合う。キャメロンのシャウトもバッチリ決まる。GINGER ROOTのメンバー構成はちょっと不思議。演奏をする3人が登場したと思えば、カメラマンがステージ上を駆け回りながらそれぞれのメンバーを撮影している。どうやらこのカメラマンも今日のメンバーらしい(と、いうか彼が一番ステージ上を動き回り、かなり大変そうに見えた)。背後には80年代歌謡曲番組の演奏シーンを模したレトロな映像がリアルタイムで流される。オーバーなカメラワークは、確かに“日本のテレビ番組あるある”なネタとして記憶に残っている。初登場でありながら、掴みはバッチリ。すでにニヤっとしてしまう演出の連続である。
“Entertainment”では、赤い受話器をマイクにし、通話時のこもった声が聴こえる。ピアノのサウンドにうっとりしつつも、ときにソウルフルな野太いベースがうなり、ドラムのアレンジも光る。演奏後は、なんとステージ上に肩パットゴリゴリの昭和節全開のマネージャー(役)の女性が出てきて、キャメロンに架空の清涼飲料水『ジンジャーフレッシュ』の宣伝を迫る。コントとでもいうべきか、今までのフジロックではなかなか見られなかった光景かもしれない。温度差のある2人の掛け合いには、大きな笑いが起きる。
これまた80年代を彷彿とされる架空のニュース番組でGINGER ROOTが行方不明になり捜索されている報道がスクリーンに流れたあと、すぐ目の前で本人が“Holy Hell”でピアニカを平然と演奏している場面はシュール過ぎて思わず笑いがこみ上げ、“Juban District”では中森明菜の“スローモーション”を披露!観客からは合唱が起きるが、「みんな、助けて!」というキャメロン。歌詞が飛んでしまったようで、皆が微笑みながら合唱のボリュームを上げていく。
“Loneliness”では、なんと日本のトップアイドル・竹口希美子に扮したアマイワナが登場し、キュートな歌声を披露!本当に昭和歌謡番組に出演中のアイドルがすぐそこにいるみたい!ミラーボールが輝けば、大きな歓声があがる。キラキラとしたにキャメロンのシャウトが会場のボルテージを更にあげた“Nisemono”、MVでお馴染みのアニメーションがスクリーンに映し出された“Everything’s Alright”と会場はノリノリ。身体が自然に揺れ、気持ちがいい。「カバーをやります!」というMCを合図に、GINGER ROOTらしいローファイポップな解釈を引き継いだままの“東風”、TIGHTEN UP”、“RYDEEN”、“君に、胸キュン。”とYMOのカヴァー祭り!!!これはうれしい!
最後となった“Loretta”では昭和風のマネージャーに扮した女性がサックスを弾く姿におったまげ、“Weather”での「I!!!!」というコール&レスポンスと最後の最後まで驚きと可笑しさと楽しさが続く。カメラマンがステージを離れ、観客たちの様子を映した様子も、本当に歌謡番組みたい。ずっと笑いっぱなし、ニヤッとしてしまう。日本人の誰しもがどこか懐かしさを感じずにはいられないユニークな時間だった。
[写真:全10枚]