FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/27 THU (EVE)

LEXIE LIU

  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU
  • LEXIE LIU

Posted on 2023.7.27 22:46

”新世代の中国アーティスト”、苗場に君臨!

今年の前夜祭の溢れんばかりの人を見ると、「活気に満ちたフジロックが戻ってきたんだな」と思う。それは、RED MAQUEEでDJ MAMEZUKAの音楽を大音量を聴いているときも同じで、TSHAの“The Light”で大盛り上がりしているステージを見ていると、この場所に今年も戻ってこれたこと、1年間なんとか過ごせてきたこと、これから始まる3日間のワクワクが一気に押し寄せ、なんだか泣きそうになる。

指笛と大きな拍手が送られるなか、ゆっくりと登場したのはLexie Liuだ。まずは、“FORTUNA”。日本での初ライブ、それからたった7時間前に突然発表されたという超アウェイもいいところのステージである。タイトルと歌詞がスクリーンに映され、観客たちへのサービスもバッチリのように思えた。

タイトル通りのマジカルなサウンドに彼女のキュートで透きとおる声が混ざり合うと、腕も上がり、大きな歓声がステージに向けられ、徐々に会場がヒートアップしていく。これがフジロック前夜祭の醍醐味だな、と改めて実感する。Twitterの公式アカウントから発表された前夜祭のタイムテーブルのなかにLexie Liuの名前を見たとき、予想斜めを行くチョイスには正直驚いていた。はっきり言ってしまえば、まったくフジロックっぽくはなかったからである。中国出身のR&Bシンガーが出たことは今まで一度もなかったように思うし、88rising出身アーティストの出演も今回が初めてである。でも、出身とか音楽のジャンルとか、そんな些細なことはまったく関係なくて、目の前で鳴らされる音楽がよければそれだけで最高なのだ。

クラップ&ハンズから始まる“3.14159”は、4つ打ちのドラムに乗せらせたベースが気持ちのよいナンバー。音に合わせて思わず身体が揺れる。日本語でのMCを終えたあとは、サイケなシンセ音が心地よいダンスナンバーの“Dance Dance”。彼女の歌声の最大の特徴と言えば、かわいらしく透明感を感じさせる部分だと思うが、それだけではない。あれだけ踊っているにも関わらず、まったくブレることがない。力強く、ここにいる観客全員を歌声でひとりひとりぶん殴っていくような説得力を持っている。

Lexie Liuといえば、17歳のとき韓国のオーディション番組で注目を集めてから、SXSW発の中国人女性アーティストに、日本でも人気のPCゲーム『League of Legends』の仮想K-POPアイドルK/DAのセラフィーン役と、中国本土だけではなく凄まじいスピードでその名を世界に轟かせている。中国の文化はアクセスしづらい一面があるため、確かに彼女の日本での知名度はそれほど高くはないかもしれない。でも、あの小さな体のどこにあんな芯のあるパワフルな声を出すほどの力を持ち合わせているのだろう。彼女の可愛さや(いい意味での)たくましさに包まれるステージには目を離せない。

Liuが踊りながら観客を挑発していくエロティックな“了”では、ゆったりと聴かせながらも時には身体の重心を下げながらパワフルに歌い、重低音の差し迫るミステリアスな“DIABLO”では、ダイナミックなサウンドに野太いLiuの歌声がノイズサウンドのように合わさり、さまざまな表情を見せてくれる。

裏声が美しく伸びていく彼女の代表曲のひとつである“MAGICIAN”に、ドラムパッドがアクセントとなる“MANTA”。30分という短い時間ながら、思い切り躍らせな、じっくりと聴かせ、まったく飽きる隙も休むタイミングも見つけられない。「Last Song!」という声とともに演奏が始められた“Shanti”では、どこまでも広がっていくような爽やかな歌声が気持ちいい。まるで映画のエンドロールのようなゆったりとした終演には、大きな歓声が送られた。

これが、日本での彼女の初ライブである。ここにいる人全員を味方にしていくようなステージを眺めていると、今この瞬間も彼女が更に有名になっていく中間地点でしかないのかなと思わされる。いつの日か、フジロックの前夜祭でLexie Liuのライブを見たことが自慢になる日が来るはずだ。余裕も魅力もたっぷり、表現豊かな彼女の歌声に酔いしれたひと時だった。

[写真:全10枚]

TAGS
7/27 THU (EVE)RED MARQUEE