FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/27 THU (EVE)

JATAYU

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Posted on 2023.7.27 23:10

レッドマーキーを紅く染めるインド産グルーヴ

 フジロックの前夜祭がいよいよはじまった!この苗場の地へ帰ってきたことの喜びと感動、感謝を最も感じるのが祝祭感で充満している前夜祭という場だ。

 盛大な花火の終わりとともにDJ MAMEZUKAの大味連発のこってりDJからはじまる恒例のスペシャルギグ。当日にならないと発表されないアクト勢には毎回ドキドキ・ワクワクさせられる。LEXIE LIUの次に登場するのは、昨年グリーンステージの1発目を熱きメタルの咆哮でぶち上げたBLOODYWOODに続くインドからの刺客、JATAYU(ジャターユ)だ。インドの叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する巨大な鳥の王の名を冠する四重奏。彼らが生み出す伝統的なカルナティック音楽とジャズ、ファンク、ロックとの混交サウンドは、個人的に注目していたアクトのひとつだ。フジロック’23はじまりのこのタイミングで目撃することができて嬉しいったらない。

 DJ MAMEZUKAによるケミカル・ブラザーズの”Star Guitar”からJunior Jackの”See You Dancin'”でカラフルな照明とともに場をダンスフロアに一変させた後、スッと暗転した中、JATAYUの4名がステージに登場。バックにバンド名が映し出されると、「待ってました!」とばかりにフロアから地鳴りのような大歓声が沸きあがる。

 中央に居座るSHYLU RAVINDRANが、レスポールでいなたいギターフレーズをかき鳴らしステージが煌々と照らされると、ファンキーかつグルーヴィーな音の洪水が一気に押し寄せてきた。KASHYAP JAISHANKARのベースがのっけから冴えわたっている。腹と腰にズンズン響くビート。これがライヴだ!

 SAHIB SINGHが「ヘヴィなやつが欲しいかい?」と重たいリフをSHYLUとツインギターでかき鳴らす。ミドルテンポから性急なビートへ展開させてフロアの熱をじわじわと上げていく。真紅に染まったステージの中、ベースが唸りを上げるサイケセッションから変調しつつ狂乱の音像を描いていく様は圧巻の一言。口琴を駆使したり、ハードロック/ヘヴィメタルマナーな装いは、“Planet Caravan”などで最初からエクスペリメンタルなことに取り組んでいたブラック・ザバスを彷彿とさせる。バンドが一斉に出力する轟音伴う圧巻の締めくくりに、大歓声が鳴り止まない。

「Ta ka Ta ki ta」(タカタキタ)とSAHIBが次の曲の中でレスをもらうためのインド特有のリズムの取り方をオーディエンスに示す。数回これを一緒に練習した後に“Restless”へ。SHYLUによるヒンズー・スケールな流麗なギターフレーズに合わせて、思わずエアギターを繰り出す人も。すると隣にはエアドラムをかます人まで出てきた。みんなで「Ta ka Ta ki ta! Ta ka Ta ki ta!」と笑顔で叫び、ほとんどの人にとって初めて触れるであろうJATAYUの音楽で場が一体となる。これぞフジロックたる最高な光景だ。

 ラストは、愛という意だという“Shringara”で軽快に疾走するグルーヴが渦巻く曲で、途中でベースの機材トラブルに見舞われつつも熱々の30分の初演を完了。大歓声に包まれる中、にこやかに手を振りながらステージを後にした。リリースされている音源からジャジーな音が繰り広げられるものと思っていたところ、ヘヴィでロックど真ん中な灼熱っぷりに思い切り裏切られてしまった。29日のフィールド・オブ・ヘブンに15:10-16:10に登場予定だ。屋外では、今日のセットとはひと味違った世界観を表現してくれることだろう。

 熱い余韻に浸っていたら、DJ MAMEZUKAがフー・ファイターズの“All My Life”を投下ときた。もうこんなの暴れるしかないだろ!今年も激アツなフジロックになりそうだ。

[写真:全10枚]

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7/27 THU (EVE)RED MARQUEE