フジロックの会場を歩くのが好きだ。好きな場所や瞬間がたくさんあって、その光景は目を瞑ってもありありと思い浮かぶ。
朝のキャンプサイトで眠い目をこすりながら支度をする人たち、見渡す限りに張り巡らされた色とりどりのテント、楽しそうに写真を撮っている人たちで賑わう入場ゲート、橋を渡ってオアシスの飲食店が見えてくる瞬間、レッドマーキーから聞こえてくるリハーサルの重低音、目に入った瞬間に「帰ってきたー！」という気持ちにさせられるグリーンステージ、キッズランドで興味津々に焚き火をする子どもたち、ところ天国の橋から眺める川とゴンちゃん、サイケデリックでユーモラスなボードウォークの装飾、夜に光を散らすミラーボール、フィールドオブヘブンの後方にある竹のベンチ、幻の街のように目の前に現れるオレンジカフェ、異様な熱気に包まれる深夜のパレス、酔っ払って「明日大丈夫かなー」と思いながら朝日を眺める帰り道。
そういう光景を思い出すたびに「フジロック好きだなー」と思う。会場を歩くだけで楽しいフェスなんて、僕にとってはフジロックだけだ。