FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - PYRAMID GARDEN 7/27 SAT

ホテルニュートーキョー guest 山㟢廣和 (toe)

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Posted on 2024.7.28 04:16

穏やかな祈りの音楽

2日目最後のピラミッドガーデン。辺りが寝静まったような穏やかな雰囲気のなか、ステージに現れる8人のメンバー。最初にメンバー紹介を済ませたあと、“カルトヒーロー”で封を切る。温もりのある伸びやかなピアノ、どこか懐かしさを覚えるギターにサックス・トランペットの音が穏やかに響く。ステージ前方には多すぎるくらいのキャンドルが灯され、まばゆく光を放つ。自然から発せられる音以外が存在しない、ピラミッドガーデンの夜の雰囲気にばっちり合っているように思えた。

今谷忠弘 (Gr)が深々とおじぎをし、“if you want it first time”では、アチコ (Vo)がタイトルを囁くように繰り返し歌い、管楽器をアクセントにしながらギターの音色が幻想的な空間に誘う。そっと灯をともすような“マークジェイコブス”、甘いピアノのメロディに時折アチコの力強い歌声が聴かせる“let me turn you on”、後方には柏倉隆史 (Dr)がいて、全体をグッと引き締めるアレンジには惚れ惚れしてしまう。
お客さんも押し寄せるほどはおらず(だからこそ、この空気が保たれているのだと思うし好きな空間なんですけど)、観客たちもステージをじっと眺めたり、身体を揺らしたり、自分の世界に入り込みながら聴き入っているようだった。眠くなってしまう?夜も深くなりつつある時間で、その気持ちもよくわかるけれど、それほど心地のよい音楽だということではないでしょうか。

一音一音が降り落ちてくるギターの音にどこか寂しさを抱えたサックスの音が印象に残る“Bison”のあとは、ゲストの山㟢廣和 (Gr,Vo)が登場し、“ゆかしき世界”と“Light for FUKUSHIMA”の2曲が9人で演奏される。美しい、と思った。確かるように、2本のギター、毛色の異なる2つの声が混ざり合い、音源よりもずっと奥行きが感じられ、心をぎゅっと掴まれる。恐らく音楽なんて関係なしに遊んではしゃいでいるであろう子どもたちの声が、自分の背後から聴こえてくるのもよい演出だった。福島へ祈り、より強く未来を見つめる音楽になっていたように思う。子どもは、全然バンドに興味なんてないだろうけど。でも、だからこそ。

最後に演奏された“ガウディ”で、2日目のフジロックの夜は静かに更けていく。穏やかでありながら、音楽の美しさを追求したような時間。観客からは温かな拍手が送られた。

[写真:全10枚]

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7/27 SATPYRAMID GARDEN