「え、どぶろっくって、あのどぶろっくだよね？」
前夜祭のアクトが発表されたとき、そんな声が周囲からちらほら聞こえてきた。正直、お笑い芸人が前夜祭に出るってなかなかないし、これは面白いんじゃないか。でも実際のところ本当にあの「どぶろっく」なのか？そんな思いをぐるぐるさせて、真相を確かめるべくレッドマーキーに向かうことにした。

DJ MAMEZUKAは電気グルーヴ“Shangri-La”（いや、どちらかというと元ネタの“Spring Rain”のほうが近い？）をプレイしていて、フロアは大変温まっている。そこに、あのふたりが登場した。いや、本当にあのふたりだったのだ。ステージ左側は、浅井企画のホームページの宣材写真ほぼそのままの姿で登場した森 慎太郎（Gt）、右側には、ヒョウ柄のシャツにちょっとお腹がぽっこり出た江口 直人（Vo）だ。拍手につつまれながら始まった1曲目は“魅惑のパンティライン”。歓迎ムードの会場では、パンティラインコールが会場に響き渡る！

続いて、バラエティ番組などでおなじみの“もしかしてだけど”へ。頼んだカフェオレがなかなか出てこない理由だったり、チャーハンの形状だったり、フジロックでテントを立てていてハチに刺された女の子だったり、それぞれの誘っているんじゃないのか？という内容はさすがに…書けないので……胸にしまっておくことにする。“○○な女”では、「料理教室に通っている女は味付けが薄い」「ちんこを見せても動揺しない女は弟がいて、ちんこ慣れしている」などわかる〜なネタを繰り出して、観客のツボにスマッシュヒット！筆者の目の前にいた男子グループも手を叩いて笑っていた。

江口の「ラブソングで小休憩」というMCから披露された“その時僕に出来ること”は「おならのついでにうんこが出たら…」という出だしから明らかに異常事態で笑ってしまうし、そんな歌詞のまま繰り出される江口のファルセットはすごい綺麗で、もうどうしていいかわからない。極めつけは恋愛ソングを経てからの「友情ソング」と前フリがあった“dear my friend”。軽やかな森のアコースティックギターに乗せて歌われる、セックスフレンドへの気持ち。思わず頭を抱えてしまった。「そろそろ名前を教えてほしいよ」という歌詞にも耐えられない。友情とはいったいなんだったのか……。

「フジロックでこれをどうしてもやりたかった」という江口の強いメッセージを感じた“しこれども”は、感極まった江口がノーマイクでサビを歌い上げ、観客もそれに応えるしこりの大合唱が起こった。後ほどのMCで森が「しこれどもの大合唱は初めてみた」「ひとりでするものですが、自慰じゃなくなりました」などと言っていたのも印象的。最後は、江口と森どちらか選べないなら３Pはどう？と軽やかに歌われる“Sunny Day Love”で惜しまれつつ幕を閉じた。

正直、どぶろっくを「お笑い芸人だから」と見ていたことをここにお詫びしたい。ちゃんとロックしているし、歌も演奏も素晴らしく、彼らはフジロックも認めるミュージシャンだ。前夜祭といえど、フジロックの歴史にでかいインパクトをおっ立ててくれた彼らにありがとうと言いたい。トミー富岡ももしかしたら悔しがっているかも。