FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/28 SUN

NO PARTY FOR CAO DONG

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Posted on 2024.7.30 19:19

台湾インディの代名詞が苗場に風を吹かせる

最終日のGREEN STAGEの午前の時間帯はあっという間だったフジロックを最後まで楽しもうと英気を養う人たちが集う。“田舎へ行こう!”が流れる中、カメラが捉えた人々がステージ左右のビジョンに映し出されるが、気づいた人はみんな笑顔で、中にはビールを一気飲みする人も。すっかり馴染みになったこの光景だが、朝イチのGREENのモッシュピットにいる人たちはトッパーであるNO PARTY FOR CAO DONGを熱く応援する台湾の人たち。もう何年も前からフジロックに訪れるアジアの人たちは増加の一途だが、目に見えて一つのバンドの元に集まる様子は個人的には初めてだ。客層は多彩。台湾の国民的な音楽賞を獲得していることが日本だとピンとこないのだが、それぐらいロックバンドとして大きな存在で、彼らと彼ら以降でインディロックの潮流が変わったとすら言われている。

黒いTシャツにハーフパンツのWood Lin (Vo,Gt)とJudy Chan (Gt,Vo)の黒づくめながら夏仕様なシンプルファッション、Dennis Chang(Ba)は日本のメタル/シューゲイズバンド「明日の叙景」のTシャツを着ている。そしてバンドの活動再開後、再びバンドに合流した初期メンバーBirdman(Dr)はアスリート風の鋭さを漂わせている。

イントロダクションのセッションでは自然を想起させる清冽なギターにメタル/エモもかくやなツインペダルが叩き込まれ、ポストロックでもシューゲイズでもないユニークな音楽性が屹立する。ハスキーでモノローグっぽいWood Linの声、時折シャウトするDennis Chang、メインボーカルも聴かせるJudy Chan。この3人がユニゾンで声を合わせる場面もパンク由来のエモではあまり見ない構成だ。誰か一人がカリスマなんじゃなく、音楽を構成する一人ひとりが過剰にならないように選び抜いたリフや声を加えていく。

ダンサブルなビートを独自に昇華した側面もユニークで、“醜 Gristy Me”や“大風吹 Simon Says”ではダンスビートを軸に引きながら、ダウナーなセクションに移行、そこから爆音アンサンブルへと、1曲の中で自在に感情を変化させていく。ファンは曲をよく知っているようで、ブレイクから爆発する瞬間の一体感は、音楽があればどこでもNO PARTY FOR CAO DONGのコミュニティが立ち上がる力強さがあった。

Wood Linは、「長くバンドをやってるけどシャイだからあまり喋れない」というようなことをボソボソ喋り、日本語は喋れないのでと、英語でタイトルコールをする。その一つ一つが必要最低限のMCなのだが、無愛想なわけじゃなくそのスタンスが彼らの音楽性にも通じる。「美しい山ですね……」とポツリと発した後の演奏曲が“人洞山 The Human, the Hole and the Mountain”だったのは偶然だろうか。広大なランドスケープを描く彼らの演奏はGREEN STAGEにハマりすぎだ。

ライブが進行するにつれ、キラーチューン“Emily the ghost”の天変地異レベルのアンサンブルでサークルモッシュが起きている。フジロックで初めて見るライブマナーもあったりして、つくづくこのバンドの求心力を見せつけられた思いだ。ラストは日本でも有名なナンバー“山海Wayfaner”。ようやくバンドロゴが大きく投影され、スマホを取り出す人多数出現。しかもサビのシンガロング率は恐ろしく高い。台湾を代表するバンドがポストハードコア、メタル、シューゲイズ、エレクトロダンスの要素をタフな胃袋で消化していることも衝撃だが、そのバンドの人気や魅力をオーディエンスの熱狂と共に伝えた今回のライブは海外のオーディエンスが数多く参加するフジロックならではの出来事だったんじゃないか。音楽が鳴っていることで、お互いを理解できることがある。そんな証左の1時間だった。

[写真:全10枚]

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7/28 SUNGREEN STAGE