LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/28 SUN
ESNE BELTZA
さようならESNE BELTZA。最後のフジロックを走る!
フジロック2024最終日、ホワイトステージのトップバッターを飾るのはスペインはバスク地方出身のESNE BELTZA。昨年でいうとITACA BAND(こちらもスペイン出身!)のような、大所帯の賑やかなミクスチャーバンドである。じつは今回のツアーを最後に解散を発表しており、ステージには「AGUR DENERI ESNE BELTZA 2007-2025」の文字(AGUR DENERIは、翻訳すると「さようなら皆さん」)が映し出されている。切ないけれど、フジロックで観られるのはこれが最後。知っている人も知らない人も、ホワイトステージに集合!
定刻になると、メンバーがぞろぞろと登場。男女Wボーカルに、DJや、3名のホーン隊がいるのが特徴的だ。1曲目“Gotti!”は、メスティソとカントリーが融合した牧歌的なナンバー。さっそく会場をクラップで煽ったり、トランペットが中央でソロを決めるなど、ESNE BELTZAワールドへと手招きしてくれる。“Harresiko kunbia”では、XABI SOLANO(vo,Trikititxa)の情熱的で勇ましいボーカルが炸裂。LOVA LOIS(Vo)は早口のリリックを畳み掛け、会場の熱を加速させる。そして腕を上げたり、しゃがんだりと、パフォーマンスが続いていく。曲を知らなくても楽しめる、絶対的な保証がある。
“Argitzeraino”では、液晶にパレスチナの旗が現れる。DJのスクラッチがアクセントの1曲で、ソラーノの持つバスク伝統楽器・トリキティシャのソロが豊かに響く。“Bagoaz!”では、「リピートアフターミー!チピチャパチピチャパ KORRIKA!」と、コール&レスポンスをしてから楽曲へ。こだまする「KORRIKA」コールで、さらに盛り上がっていく会場。KORRIKAは「走れ!」という意味で、この歌はバスク語の自由を歌っている。まろやかなトロンボーンの音色と、思わずステップを踏みたくなる軽快なカッティングに合わせた、力強い反抗の歌。思わず唸ってしまった。
ツインボーカルがパチっとハマった、ちょっぴりセンチメンタルなカントリーナンバー“Gogoak”、TEKKANNON(Tb)、ISSA(Sax), Show-Ya(Tp)が豪快に前方でプレイする“Hona bostekoa”と続く。ソラーノがステージから降り、「しゃがんで、しゃがんで〜!」流暢な日本語で声をかけ、観客に囲まれながらタンバリンとメスティソのシンプルなセッションを行うひと幕も。特に素晴らしかったのは、歌えてしまうくらいキャッチーなメロのラテン・ナンバー“Sueños de Color”の親しみやすさ。そして、会場のクラップを止めた一瞬の静寂から演奏が始まった“Pasodoble”の爆発感。いろんな楽しみ方を知っていて、いろんなルーツを持つ音が鳴っていて、でも芯が一本太くあって。17年という長い歴史が積み上げてきた厚みを噛み締めた。
「さようなら、フジロック!」と言われたのはなんだか寂しかったけれど、20近い楽曲を力の限り披露して、たくさん盛り上げて、楽しませてくれた。彼らを見るに、きっとこれは哀しい別れなんじゃなくて、希望の別れなのだろうと思う。まだ続くESNE BELTZAのラストラン、ここ日本で彼らと併走できてよかった!
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