FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/27 SAT

KID FRESINO

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Posted on 2024.7.27 23:55

意表を突くカバー、嬉しすぎるゲストも1時間のストーリーに盛り込んで

なんなんだろう。ワンマンライブでもフェスでもKID FRESINOのライブの後、「敵わないなあ」という当たり前の気分に陥ってしまう。フェスの狂騒の中でなんでわざわざ殴られにいくのか。

2日目、RED MARQUEEのトリを担うKID FRESINOの人気はすごい。今日の他のラインナップからして、ヒップホッププロパーというよりロックもヒップホップもなんならオリジナルで完成度の高い音楽に目がないオーディエンスという感じか。最近のワンマンではキング・クリムゾンやルースターズのカバー(というか一部をピックアップ)しているらしく、それはこの三浦淳悟(Ba), 佐藤優介(Key), 斎藤拓郎(Gt), 石若駿(Dr), 小林うてな(Steelpan, MainStage), ⻄田修大(Gt)という音楽ヒストリーを理解する辣腕たちだから形になるんだろう。ちなみに石若は1時間前にWHITE STAGEでのくるりのライブを終えたばかり。文字通り鬼神である。近年、フジロック最多出演ミュージシャンなんじゃないだろうか。

バックライトメインのライティングにメンバーのシルエットが浮かび上がり、そこにタイダイ(プリントはセーラームーン!)にフレアパンツという70sな出立で登場したフレシノ。バンドセッションが緊張感を増し、そこにラップが切り込むと降りられないジェットコースターに乗ってる気分だ。息ができないほどの演奏のスリルは“Coincidence”での石若、怒涛のドラムソロで早くもピークに。一転、オールディーズな新曲ではパンクなシナトラみたいな雰囲気を醸し出す。高速で展開する音楽劇を見ている気分なのだが、ハイコンテキスト過ぎるのか?プチョヘンザ!的なライブを期待した人は前線を離脱していく。
畳み掛ける凄まじい生演奏の間に打ち込みメインの“rose”を挟み、緩急をつけながらその後にルースターズのカバー“ロージー”をセットしたフレシノの意図はなんなんだろう。女性の象徴的な名前で繋がっているんだろうか。その次の“lea seydoux
-Band ver-”のリズムにマンチェっぽいものを感じて、だんだんオールジャンルDJを生バンドで実現している感覚になってきた。そしてどこまでもフレシノとバンドはハードボイルドな世界観を描く。
ストイックに演奏とラップで畳み掛ける流れの中に華やかな盛り上がりを作ったのは“Arcades”のイントロが鳴り、NENEが現れた時だ。フジロックに出演している流れで登場を想像したオーディエンスもいたが、なんとゆるふわギャングからryugo ishidaもゲスト参加したのだ。この3ショットをこのバンドで見られたのもフジロックらしい光景かも。

そして何らかのカバーはまだありそうだと踏んでいたところに、ビリー・アイリッシュの“CHIHIRO”の披露というサプライズ。とはいえ、サビでようやっと確信したのだが、三浦のベースラインが生バンドアレンジのキモになっていた。もう、立て続けに新たなトピックや音楽的な驚きが押し寄せてくるし、酸欠になりそうな高速ラップに射抜かれるわで、凄まじい情報量だ。

十二分に濃い展開の中、”Youth”での“SEの長谷川白紙”に続き、なんと生身のハナレグミが登場。ここまでの流れで最も大きな歓声が上がり、ソリッドだったムードが一気に柔らかくなる。歌メロと声のパワーを存分に“that place is burning”で味わうとともに、ゲストが登場するとスイートな笑顔を浮かべるフレシノにちょっとホッとしたりも。後方からREDに足早に入場してきた人に「この人、ハナレグミの?」と訊かれたりも。さすがの存在感である。
ものすごい濃度に高めた物語を高速で見てきた一時間のセットは小林うてなのスティールパンが清冽に響く“No Sun”に着地。毎回何かすごい衝撃を受ける彼のライブの最高値をまたしても更新してしまった。

[写真:全10枚]

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7/27 SATRED MARQUEE