FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/27 SAT

GLASS BEAMS

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Posted on 2024.7.28 10:10

灼熱のダンスフロアに染め上げる異国ビート

お昼14時のレッドマーキー。外は今年初と思われる本格的な雨が降りしきる中、本ステージに登場するのは、今回の出演陣の中でも随一の謎の覆面集団、グラス・ビームスだ。インドからオーストラリアにやってきた移民である父を持つラジャン・シルヴァが、メルボルンで結成。異国情緒あふれる衣装に身を包み、奇怪なマスクをかぶっているビジュアルが、表現される音世界と相まって摩訶不思議さに輪をかけている。果たしてそのライヴがいかなるものになるのか?話題のアクトを目撃すべく会場は前方から後方まで人でぎっしりだ。

満を持して3人組がステージに姿を見せた。本当に、文字通りの覆面。控えめ、かつ後ろから光がさす照明がバンドのミステリアスさを強めている。一体どのメンバーがラジャンなのだろう(ギターの人か?)。初っ端の“Mahal”から催眠術をかけられたような怪しい音色が鳴り響き、ドラムとシンプルなビートと歪んだギターでエキゾチックなグルーヴを生み出していく。音のひとつひとつを聞くと、耳馴染みのあるギターとベースとドラムの音なのだが、インド音楽のギターフレーズとクラウトロックやサイケデリックなビートが溶け合い、極上のダンスミュージックとなって我々をのっけからガンガンに踊らせるのだ。

西洋と東洋フジロック出演歴を持つアメリカはテキサスのクルアンビンとよく比較される。クルアンビンのように東洋風の様々な音を持ち込むのではなく、グラス・ビームスはラジャンのルーツでもあるインド音楽との融合がメインテーマのようだ。そして、バックはクラウドを踊らせることに特化したビートを繰り出す、たまに刻まれるギターのカッティングが絶妙なスパイスとなり、グルーヴに緩急をつける。“Kong”ではバーチャイムの金属音を随所で入れ、宇宙的なサイケデリアを醸成していく。締めパートでは音を一斉に出力し、ものすごい音量と音圧でフロアに熱風を送り込んでくる。

もう会場は完全にクラブ状態。誰もが、頭を振り乱し、ここにあるグルーヴに身を任せている。大歓声に割れんばかりのハンドクラップが飛び交う。フジロック創始者の大将こと日高正博がかつて言っていた通りの光景がここにある。「よく知らないけど、かっこいいバンド」が奏でる音をみんなで楽しみまくっているのだ。

クラウドは踊り倒して完全燃焼。バンドが残した残響音と、大歓声がいつまでも鳴り響いていた。

[写真:全4枚]

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7/27 SATRED MARQUEE