LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/27 SAT
ANGIE McMAHON
ここで分かち合う希望の歌
フジロック2日目の昼下がり、ここレッドマーキーは熱気でムンムンだ。Hedigan’sのお次はオーストラリアのメルボルン出身のシンガーソングライター、アンジー・マクマホンのお出ましだ。これが彼女にとって記念すべき初来日にして初ステージとなる。観ておくしかなかろうというもの。
4名のバンドとともにフロアに手を振りながらにこやかにアンジーが登場。「私たちと一緒に深呼吸してくれませんか?」と突如みんなで深呼吸タイムから開演とあいなった。スターターの“Fireball Whiskey”ではバックに流れる鳥の鳴き声が心地よいアンビエントが漂う中、ギターとドラム、キーボードが奏でるシンプルにまとまった音像の中でアンジーがしっとりと囁くように歌う。その息を呑む美しい世界観に一気に引き込まれてしまった。
“Fish”や“Divine Fault Line”、終盤に息抜きにと披露した“Black Eye”と“Making It Through”のような落ち着いた曲調のバックバンドは基本的に控えめだ。極力ミニマルに抑え、アンジーの歌声が引き立ち、歌に込められたメッセージをダイレクトに届けるための音響に徹しているように思える。
「Oh Yeah!」と嬉しそうにアンジーがギターをかき鳴らし軽快にはじまった“Keeping Time”や歪んだリフをベースに疾走するデビューシングル“Slow Mover”といったロックな質感の楽曲に対してはバックバンドも気迫ほとばしるアンサンブルで応戦するのだ。アンジーが締めで髪を振り乱す様、しゃがみ込んでギターをかき鳴らす様のかっこよさは悶絶もの!完全にロックスターのそれだ。
アンジーとバンドの面々がしゃがみ、それぞれの楽器でゆっくりとフレーズを奏で徐々にはじまったのは“Letting Go”だ。ファーストアルバム『Salt』のリリース後、うつ病や不安障害と闘った自身の経験から生み出された希望に満ちたライン「大丈夫、大丈夫、失敗したとしても、失敗したとしても」(It’s okay, it’s okay Make mistakes, make mistakes)。最後はみんなで合唱し、アンジーの咆哮とバンドが渾身の音を出力し締めくくる。鳥肌ものだ。
「こんなに素晴らしいクラウドに囲まれて、本当に参加できてラッキー。フジロックは世界で一番のフェスティバルだと思うわ。」とご満悦なアンジー。「またいつか日本に戻ってきたいわ!本当にスペシャルな初旅だった。日本は最高!We love you!」と“Pasta”で居合わせたオーディエンスとともに、ピースフルでスウィートな空間を創り上げ、記念すべき初ステージを完璧な状態で締めくくった。アンジーの歌とパフォーマンスには分かち合われるべき希望や優しさがある。彼女とバンドの日本帰還がもう待ち遠しくてならない。
[写真:全10枚]