FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/27 SAT

Hedigan’s

  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s
  • Hedigan’s

Posted on 2024.7.27 13:01

デカい音を鳴らそうーー話はそれからだ。

すごく不思議な空気だった。自分を含めてHedigan’sのライブ初見の人が大勢を占める様子を伺うムードと、盛り上がりを助長するようなサービス精神皆無のステージが相まって、ここまで見てきたどんなアクトよりフェスの狂騒とか祝祭感と真逆な時間だったのだ。Suchmosのバスタオルを肩からかけている人もいたが、そうやって人それぞれの思いを抱いてここにいるわけで、何が正しいHedigan’sへの向き合い方かなんて存在しない。そもそもまだEP一作をリリースしたばかりのニューカマーであるし。

かなり綿密なサウンドチェック後、いったんソデに下がる際、フロアに向かって拳を上げて見せた河西”YONCE”洋介(Vo,Gt)に呼応するオーディエンス。メンバー全員濃いキャラで、特に本村拓磨(ゆうらん船 / Ba)に目が釘付けになる。サイケデリックな音色のシーケンスが流れ出し、その空気を切り裂くように大内岳(Glimpse Group、AKOGARE、Burgundy、LAIKA DAY DREAM、The9Oz /Dr)の強烈なキックがお腹に響いた。オープナーは“LOVE(XL)”だ。音源ではブルージーな印象だったが、生ではプログレやフォークの匂いもある。続いてはガレージパンクな“O’Share”。この曲では栗田祐輔(Glider / Key)もギターを弾き、YONCEを含め3本のギターがまるでバンドを始めたばかりの少年っぽい。破天荒な大内のドラムはキース・ムーンってこんな感じだったんだろうか?と妄想させる。

YONCEの第一声は「面白いですかー?」というもの。乾いたトーンが意図を計りかねる。音楽性もそうだが、MCも何も説明してくれない。ただ受け取ればいいのだが、まだそうできない自分がいる。

ライブバージョンでさらに長尺になったレゲエ/ダブのりの“説教くさいおっさんのルンバ”が真夏の暑さをさらに助長する。栗田のシャウトがさらにカオスの色を濃くして、他に喩えようのないこのバンド独自の空気を作る。だんだんHedigan’sが現代のレベルミュージックの体現者とか、そんなふうにこじつけるのがアホらしくなってくる。大きな、脳を揺らすような凄まじいライブサウンド、それでいい。

そのニュアンスはシューゲイズさながらにギターサウンドの壁がどんどん膨張していく“敗北の作法”で極まった。意味を探すまいと思いつつ、歌がはっきり聴こえる、ラストの“論理はロンリー”に何かこのバンドがやろうとしていることの答えを探してしまった。過剰に説明されることに慣れてしまった自分に気付かされる、音を出すこと自体が目的、それぐらいHedigan’sはバンドって元々そういうものだったんじゃない?ってぐらい痛快なバンドだった。そしてそれは世界でもすごくレアだ。

[写真:全10枚]

TAGS
7/27 SATRED MARQUEE