LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/28 SUN
RIDE
RIDEが苗場に帰ってきた!
フジロック2024最終日のレッドマーキー、いよいよ最後のアクトになってしまった。9年ぶりにフジロックに登場するのはRIDE。昨年は『Nowhere』『Going Blank』の再現ライブで来日、今年3月には新作『Interplay』発売。これだけ歴史があって話題を集めているのに、なかなかライヴを目撃できていなかったので、フジロックで出演が発表されて以来、大変楽しみにしていたのだ。
ブルーのSEとともに現れたマーク・ガードナー(G,Vo)、アンディ・ベル(G,Vo)、ステファン・ケラルト(Ba)、ローレンス・コルバート(Dr)。打ち込みのキック音が鳴り、ドラムカウントが始まると、バックスクリーンに「RIDE」の文字が現れ、最新アルバムより“Monaco”が始まる。ローレンスの力強いドラミングに、我々オーディエンスの胸の高鳴りを感じる。
戻ってきたよ、とマークが言うと、“Leave Them All Behind”へ。芯の太い音の波が会場を包み、ギターのフレーズがうごめく。マークとアンディのコーラスはぴったりと重なり、くらっとするような美しさを放っていた。太い音圧で魅せた“Twisterella”、寄せては返す波のようなリズム隊の響きがたくましい“Last Frontier”、さらに“Dreams Burn Down”!唸るようなベースに力強いドラミング、どこか深い海まで潜っていくようなトリップ感……とても気持ちいい。ジリジリと響く低音とやわらかな高音の対比、他の音にかき消されないギリギリの力強さを持つヴォーカル、これぞライドの美学。惚れ惚れずる。
キーを落としたアレンジで歌われる“PEACE SIGN”はノイジーな感じが増していてかっこいい。たくさんのオーディエンスが腕を上げて、ピースサインをする様子はとってもピースフルだった。“Lannoy Point”のミニマルなフレーズが繰り返されると、あのセンチメンタルなギターフレーズが音像の中に潜りだす。なんてすさまじい音圧。ヴォーカルですらひとつの音の柱になっていて、空間全体がこもっているのが目に見えるよう。これがシューゲイザー。本当に心地よかった。
ジャリジャリと粒子の荒いギターと、甲高い歌声が浮遊する“OX4”は、意識ははっきりしたまま心に浮遊感をもたらし、
“Vapour Trail”では爆発的なシンガロングで会場が一体となり、熱いドラミングに絶対的な包容力を感じた。ラストはなんと、“Chelsea Girl”。暴れるようなドラミングと大歓声のなか、ふたりの歌声が絡み合う。じっとりと湿度の高い音と会場の熱気が、レッドマーキーをいっぱいにしたまま、彼らの公演は終わった。
シューゲイザーやノイジーなバンドを「白昼夢」と表現することがあるけれど、RIDEにはその言葉が相応しくないと思うくらいの、確かな力強さを持っていることがよくわかった。音の緩急と、ノイズのバランスの美しさに、ベテランたる所以をこれでもかと見せつけられ、彼らをより好きになってしまった。今や活動再開してからの歴史のほうが長くなったRIDE。新作中心のセットリストの中で、彼らの今に接近できた、貴重な機会だった。
[写真:全10枚]