FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/28 SUN

betcover!!

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Posted on 2024.7.29 02:53

betcover!!の美学全開!定石をぶち壊す驚愕のライブを刮目せよ

フジロック最終日。朝会場に向かっている道中、今日でフジロックが終わってしまう切なさと、これから観るライブに向けて不思議な高揚感を感じていた。向かっているステージはレッド・マーキー。これから目の当たりにアーティストは、昭和歌謡をベースに独自の世界観を作り出す、東京都調布市出身の柳瀬二郎(Vo/Gt)が立ち上げた、日高理樹(Gt)、吉田隼人(Ba)、高砂祐大(Dr)、白瀬元(Key)による5人組ロックバンドbetcover!!だ。

昭和の名曲、金井克子の“他人の関係”をBGMにして、サポートの松丸契(Sax)を含めたバンドメンバー、そして柳瀬が両手を上げながら登場した。プンプンに漂う柳瀬のバンマス感に、これから繰り広げられるbetcover!!のライブの様相予想図が頭の中に広がっていくようで興奮した。ちなみに服装は、全員がスーツスタイル。ジャック・ホワイトのソロ初期のライブでバンドメンバーも含め全員がスーツ姿だったことに影響され、このスタイルになったという。もしかして、ジャックの既存のブルースなロックの定義をぶち破るようなスタイルもまた、彼に影響を与えていたりするのだろうか・・・。

そんな想像はさておき、ライブは柳瀬のかき鳴らすアコギと日高による不穏なエレキギターのフレーズのイントロの“翔け夜の匂い草”からスタートした。日本人の琴線に触れる懐かしいメロディながらもアレンジはオルタナティブで、不穏さを演出する松丸のサックスの音色や、唐突に訪れる日高の激しいギターリフも相まって、日本人にしか感じ得ないであろう昔懐かしい日本の情景の匂いみたいなものが頭の中に広がる。続く“狐”、メロディは昭和歌謡的ながらもアレンジは思いっきりオルタナティブ・インディー・ロック風でエモーショナルな雰囲気を醸し出していた。

曲を重ねるごとに、原曲はその形をどんどん変えていくbetcover!!のライブは、さらにつかみどころのない、まるで漂う煙を掴みに行くような展開を見せていく。カオティックな演奏と平然と歌う柳瀬との間にあるコントラストがえげつない“壁”、「ばかやろー!」という叫びから始まる初期アークティック・モンキーズのように畳み掛ける柳瀬のヴォーカルが印象的な“バーチャルセックス”から、バンド紹介を挟んで“母船”、“不滅の国”と続いていく。

ライブも終盤に差し掛かると、いよいよ曲構成すらも歪みながら変化していく。狂気を感じる白瀬のキーボード伴奏をバックに2番のAメロ歌詞から始まった“炎天の日”の展開は、原曲のメロディを認識できるレベルギリギリのラインを攻める。そんな攻めるアレンジは、まさにライブならではで、ファンからは叫びにも似た大歓声が上がっていた。ラストは“超人”。「原曲通り」という定石を完全に無視したアレンジは、オルタナティブ・ロックでもありポスト・パンクでもありハードコア的でもあった。アウトロで佇む柳瀬を尻目に高砂の超ハードなドラムで終焉を迎えた。

betcover!!、約40分のステージは“翔け夜の匂い草”から“炎天の日”まで怒涛のように駆け抜けていったライブで、そこにはまるでbetcover!!の美学が詰まっているようだった。

<セットリスト>
01. 翔け夜の匂い草
02. 狐
03. 幽霊
04. 壁
05. バーチャルセックス
06. 母船
07. 不滅の国
08. 炎天の日
09. 超人

[写真:全10枚]

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7/28 SUNRED MARQUEE